4月。新しい年度が始まり、多くの新入社員が真新しいスーツ姿で街を行く姿が目にまぶしい。
地元生まれなのか?県外から来たのであろうか?
私は30数年前に就職し、出身地である神奈川県の事業所で社会人生活をスタートした。就職してからこれまで6回の引越しを経験しているが、住めば都とは良く言ったもので、各地での生活は新たな発見や多くの出会いの機会に恵まれた。県外からやってきた若者たちには育った土地も大切にしながら一日でも早く、福島県に慣れ親しんでもらい、溶け込んでもらいたい。
私は仕事においてもグループ出向や外部出向、転職を通して様々な職場で勤務してきた。新たな職場に着任するたびに心機一転、目標を設定し仕事をスタートさせるのだがモチベーションというか気持ちの切り替えがスムーズにいかないこともあった。そんな時は自分だけで考え込まずに、新たな同僚や上司とのコミュニケーション、人間関係作りを通して少しでも早くチームの一員になるように努めることでこの問題を解決してきた。
最近、そんな自分の過去を思い出す出来事があった。WBC(ワールドベースボールクラシック)2023である。
手に汗握る熱戦が繰り広げられ、画面にしがみついて応援した人も多かったのではないだろうか。私もその一人である。
近年はプロ野球中継も減り、かつてのように野球をテレビで応援する機会はめっきり少なくなってしまっていたが、WBCは私が野球大好き少年だったころの記憶を呼び起こし、侍ジャパンのキラリと光るプレーに一喜一憂し声を上げて応援することができた。
そんな中、今回のWBCの中継を見ていて最も私の印象に残った場面はプレーではなく、決勝戦直前のロッカールームで栗山監督に促され大谷翔平選手がチームメイトを前に言った言葉である。
「1個だけ。」「憧れるのを辞めましょう。」「憧れてしまっては超えられないので。僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。」「今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。」「さあいこう!」
「何のためにここに来たのか?」と仲間に問うた言葉が、職場を変わるたびの自分に重なったりもした。決して気持ちで負けてはならない。やりたいこと、自分を超えるために必要な事。大谷選手の優勝にかける熱い思いが伝わってきた。
新入社員として社会人生活をスタートさせた多くの若者たちには、それぞれの職場での活躍を期待するし、WBC同様、日本だけにとどまらず、どんどんと世界へ羽ばたいていって新たな事に挑戦し続けて欲しいと願う。
福島県に着任して2年。私も改めて目標に向かってモチベーションを高めていきたい。
今日もまた、メジャーリーグでプレーする日本人選手たちの活躍がスポーツニュースで流れている。彼らのメジャーでの活躍は大変喜ばしい事なのだが、日本のプロ野球好きだった昭和生まれの私にとっては、ちょっと寂しくもあり小学生だった頃の名曲、太田裕美さんが歌った「木綿のハンカチーフ」を思い出す。
曲中にある「東へと向かう列車」ではなく、「東へと向かう飛行機」に乗った選手たちが、「街で暮らし始めた僕と、地元に残った私」ではなく、「アメリカで活躍する君たちと、日本で応援する私」に置き換えてみたりもする。今後メジャーリーグで活躍する日本人選手はもっともっと増えていくだろうし楽しみで仕方がない。
でも一方で「都会(アメリカ)の絵の具に染まらないで帰ってきてね」という思いもある。
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