近年のI T技術等の科学技術の進展、少子高齢化による人口構造の変化などにより、社会の変容がすさまじい。
個々の労働者の働き方や企業の動きも大きく変わってきている。
WLB (ワークライフバランス)といった、仕事と生活の調和を図り、その両方を充実させる働き方、生き方を追求するという考えや、それを実現するための「働き方改革」といった取り組みが広まって久しいが、さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等に伴うオンライン出勤や週休三日といった、より新しい働き方の導入や、優秀な若年労働者の獲得を目的とした初任給の大幅引き上げなどの動きがみられている。
「団塊の世代」が労働力の中心であった時期は、「企業戦士」などと言われ「24時間闘えますか♪」といった栄養ドリンクのCMまであった。
その陰で、いわゆる「ワンオペ」で泣く、家庭を守る女性の働きも見過ごせない。
WLBという考えを実現しようとする動きは素晴らしいが、過去の我が国の高度経済成長を支えた労働者やそれを支えた家族の働きまでは否定されるべきではない。
一方で最近は、「ホワイト過ぎて働き甲斐がない」として職場を去る、自分の私生活を充実させようとして仕事・労働がおざなりになる、責任が重くなったり、多忙となるのを嫌がり昇進に否定的となる若者も増えている。
それでは、その労働者の人間的な成長はもとより、その所属する組織や社会全体の発展は見込めない。 まさに、バランスが重要なのである。さらに大局的には経済界全体、国全体にも様々なバランスが必要になっている。
かつて、大気汚染や水質汚濁などの産業型公害が多く発生した。
これら企業や地域、公共機関の取り組みにより改善されてきているが、今はさらに「気候変動問題」「生物多様性」といった地球規模の課題を解決し未来を守るため、S D G sへの取り組みが求められている。
冒頭で社会の変容がすさまじいと記したが、大阪万博でお披露目予定の空飛ぶ自動車、民間企業の月面着陸への挑戦にみられるような、宇宙進出などワクワクするような技術が開発される一方で、2 0 7 0年には我が国の人口が8, 7 0 0万人にも減少するとの推計が示され、社会の在り方は益々変化し続けることが見込まれる。
現在と未来、環境と経営と社会貢献、労働者の確保と企業体力の確保、メタバースと現実世界でのモノづくりなどなど、さまざまな視点で最大多数に最大幸福をもたらすよう、バランスを保つのが重要であり、それが難しい,
最近は、チャットGPT(対話型A Iサービス)が話題となっているが、このサービスは最適なバランスを示してくれるだろうか。
いやそれは、血の通った我々人間が、個々人や地球のため、しっかり考えるべきものであろう。
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