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集団Q&A2-(6)ユニオン・ショップ協定による解雇

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年1月10日更新
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ユニオン・ショップ協定による解雇

質問

 当社には、従業員の全員が加入しているA労働組合があります。
 このたび私をはじめとする5名が、A労働組合の方針に不満を感じ、A労働組合を脱退して、新たにB労働組合を結成しました。
 ところが、後日、会社から、「当社とA労働組合とはユニオン・ショップ協定を結んでおり、あなた達5名はA労働組合を脱退したので解雇する。」と解雇通告されました。
 このような解雇は許されるのでしょうか。

答え

 判例では、質問のようなユニオン・ショップ協定に基づく解雇は、民法第90条(公序良俗違反)により無効となると判示しています。

解説

1 ユニオン・ショップ協定とは

 労働協約に基づき、当該労働組合に加入しない者及び当該組合の組合員でなくなった者を使用者に解雇させる制度です。ただし、組合に加入しない者及び組合員でなくなった者を使用者が解雇する義務があるかは、労働協約にどのように定めるかによって決まります。 

2 ユニオン・ショップ協定の効力の及ぶ範囲

(1)ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合に加入せず、他の労働組合に加入していない労働者については、ユニオン・ショップ協定の効力が及びます。
(2)ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合からの脱退者や被除名者が既存の他の労働組合に加入し、又は新たな労働組合を結成した結成した場合、労働者の組合選択の自由や他の労働組合の団結権を侵害することは許されないことから、これらの者にはユニオン・ショップ協定の効力は及ばないとされています。
(3)ユニオン・ショップ協定締結当時、既に別の労働組合に加入していた労働者に対しても、(2)と同様の考え方からユニオン・ショップ協定の効力は及ばないと考えられます。

3 ユニオン・ショップ協定を締結できる労働組合

 労働組合法第7条第1項ただし書きは、「特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する」労働組合についてのみ、ユニオン・ショップ協定の締結を認めています。この要件を具備していない労働組合が締結したユニオン・ショップ協定は無効とされています。
 また、協定締結後にその労働組合の組合員数が全労働者の過半数に満たなくなった場合には効力を失うとされています。

4 ユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力

 ユニオン・ショップ協定に基づく解雇については、使用者は協約上の義務に基づいて解雇するものであることから、解雇権の濫用とはなりません。
 ただし、他組合に加入した者又は新たな組合を結成した者に対してなされたユニオン・ショップ協定を理由とする解雇は、民法第90条(公序良俗違反)により無効となるとした判例があります。
 また、労働組合が行った除名が無効である場合、使用者にユニオン・ショップ協定上の解雇義務は発生しないため、無効な除名をなされた者に対する解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当なものとして認められず、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がない限り、解雇権の濫用として無効とされています。

判例

○ 三井倉庫港運事件(最一小判平成元.12.14 労判552号)
○ 日本食塩製造事件(最二小判昭和50.4.25 労判227号)

 

 

 

 

 

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