集団Q&A3-(7)団体交渉の行き詰まりによる打切り
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団体交渉の行き詰まりによる打切り |
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質問当社では、労働組合が賃上げ及び手当の新設を求める団体交渉を申し込んできたため、7回にわたり団体交渉を行い、交渉の中で組合から求められた決算書等の財務情報を開示するとともに、現在の従業員構成、今後の人員数の推移見込みや業績予想などの資料を用いて、現時点では賃上げや手当の新設は難しいことを説明するなど誠実に応じてきましたが、お互いの主張は平行線をたどりました。このため、当社としてはこの問題についてこれ以上交渉をする余地はないと考え、その後の団体交渉を拒否し打切りとしたところ、労働組合側から不当労働行為として労働委員会に救済申立を行うと言われました。 このような場合、団体交渉の打切りは不当労働行為に当たるのでしょうか。 |
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答え使用者が誠実に団体交渉に応じ協議を尽くしても、双方の主張の隔たりが大きく、これ以上団体交渉を継続しても進展が望めない場合、使用者が団体交渉の行き詰まりを理由に交渉を打ち切っても不当労働行為には当たらないとした判例があります。 解説1 誠実交渉義務 使用者は、労働組合からの団体交渉申入れがあった場合、義務的交渉事項についての申入れであれば、交渉に応じる義務があります(労働組合法第7条第2号)。 2 団体交渉の行き詰まりによる打切り 使用者には、組合の要求ないし主張を容れたり、それに対し譲歩する義務まではありませんが、組合の要求に応じられないのであれば、その理由を十分に説明し納得が得られるよう努力すべきとされています。しかし、労使双方が誠実に協議を尽くしても、合意が成立しないことはあり得ます。労使双方が議題についてそれぞれ自己の主張・提案・説明を出し尽くし、これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない段階に至ったと認められる場合には、使用者が団体交渉行き詰まりを理由に交渉を打ち切っても、誠実交渉義務違反の不当労働行為には当たらないとされた判例があります。 3 時間の経過による団体交渉の再開 判例では、交渉の行き詰まりによる打切り後において、時間の経過やその後の状況の変化などにより、交渉再開が有意義なものとなることが期待される事情が生じた場合は、使用者は交渉再開に応ずる義務があるとされています。 判例○ 池田電器事件(最二小判平成4.2.14 労判614号)○ カール・ツァイス事件(東京地判平成1.9.22 労判548号) ○ 寿建築研究所事件(最二小判昭和53.11.24 労判312号) |
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