【2013年9月20日(金曜日)】 Vol112
目次
- 日々の思い
教育庁理事兼政策監 尾形 淳一(おがた じゅんいち) - リレーエッセイ
県教育委員会委員 高橋 金一(たかはし きんいち) - お薦めの一冊コーナー
- 学校自慢コーナー
- いわき市立上遠野小学校
- 会津若松市立第一中学校
- 福島県立修明高等学校
- お知らせ
- 編集後記
日々の思い
「せっかち者の悩み」
教育庁理事兼政策監 尾形 淳一(おがた じゅんいち)
朝晩はめっきり涼しくなりほっとしたのもつかの間、早いもので今年度も後半戦を迎え、9月の県議会が開会しようとしています。仕事は順調なのか? 懸案事項は解決したのか? 来年度に向けてそろそろ何か動き出さなくて大丈夫か? いっこうに成果が現れない! どうしよう!! せっかち者の
私にとって憂鬱な季節がやって来ました。でも、こんな私も解ってはいるのです。経験もしています。一番気を揉んでいるのは、日々様々な仕事に追いまくられている担当者であったり、授業に部活動に生徒指導にと、日々全力投球を続けている教職員の皆さんであることを。それでも、どうしても急いで結果を求めようとしてしまうのです。特に管理職の皆さん、あなたも思い当たることはありませんか?
この半年を振り返るとせっかち者の私は、説明者を前に、結論を急ぎ途中で話を遮って発言したり、逆に自分で理解できないのに先を急ぎ結局聞き流してしまったり、同じミスを繰り返している、危機感がない、などと自分の感覚だけで判断してきつい言葉を発してしまいました。前回のメルマガの中で、良い仕事をするためには一人ひとりがよく考え、立場を超えて議論し練り上げてほしいと訴えておきながら、私自身に皆さんの考えや思いをまずしっかり受け止めるという意識が不足していました。一番の反省点です。
反省ついでにもうひとつ、先日、高校生の音楽コンクールに行ってきました。全国大会を目指して各校がこれまでの練習の成果を遺憾なく発揮し、すばらしい演奏を披露してくれました。コンクールの最後、審査員の方の講評を聞いてこんな言葉が耳に残りました。「何故この曲を選んだのでしょう?皆さんは演奏していて楽しいですか?難しいことをきちんとこなす、感心はしますが、感動はしません。」コンクール全体の様子を的確に言い当てていると思う一方で、一生懸命練習に取り組んできた生徒たちがどう受け止めるのかが気にかかりました。我が身を振り返ると私自身のここ半年の仕事の進め方にも当てはまり、考えてしまいました。例えアドバイスや奮起を促すための言葉であっても、思いが正しく伝わらなければ、批判や否定に止まり、次につながることはありません。これはお互いにとって残念なことです。自分の伝えたいことをしっかりと届け生かすためには、話す内容や相手に応じ、最も適した時、場所、方法をしっかりと考えなければいけない、これが私の二番目の反省点です。
せっかくの貴重な機会に長々と反省の弁を述べてしまいましたが、反省だけでは物事は進んでいきません。年度末に向かって、せっかち者の私はこれまでにも増して結果を求め、皆さんに厳しい話をする機会が増えると思います。そんなときは遠慮せずに皆さんの思いを聞かせてください。人それぞれに持ち味、得意分野は違います。同質の意見や考え方だけでは議論は深まっていきません。慎重な意見、前向きな意見、突飛なアイディア、専門的視点からの指摘、細かい指摘、すべて必要です。子供たちのことを思い、最後にみんなの意見を一つにまとめ事に当たっていけば突破できない壁はありません。信じて前を向いて進んでいきましょう。
リレーエッセイ
「東京オリンピック2020」
県教育委員会委員 高橋 金一(たかはし きんいち)
2013(平成25)年9月8日朝(日本時間)、2020年のオリンピック夏季大会の開催地が東京に決定しました。マドリード、イスタンブールの3候補地が争い、第1回投票でマドリードが脱落し、イスタンブールとの決選投票の結果、60票対36票で、東京がイスタンブールを制したそうです。2020年の東京での開催は、1964(昭和39)年以来、56年ぶりの開催ということになります。
49年前の前回の東京大会の時、私は小学校1年生でした。
まず思い出されるのが聖火リレーでした。父に連れられて、郡山市富久山町の旧国道4号線と国道288号線の交差点付近で北海道から南下してきた聖火リレーを見ました。目の前を走り抜ける聖火ランナーが持つトーチのオレンジ色の炎が、半世紀が経とうとしている今でも瞼に焼き付いています。
そして、この東京オリンピックから学校の教室にテレビが導入されました。担任の先生が、電気屋を営んでいる級友に、テレビを学校に設置してくれないかと頼んでいた光景が記憶にあります。教室に運び込まれたテレビ(当時は白黒)で、授業そっちのけで、昼休みは勿論、毎日その日の目玉競技を観戦していたような記憶です。かなり柔軟なカリキュラム運用で、オリンピックをテレビ観戦していた
ような気がします。まさにゆとり教育(?)だったのではないでしょうか。
そうした中で、最も記憶に残っているのが円谷幸吉選手でした。須賀川市出身で、マラソン競技で初めて日本にメダルをもたらしたのが彼でした。マラソンは10月21日(水曜日)午後1時スタートだったそうなので、1年生だった私は、授業は4校時までというのが普通なので、自宅に帰ってテレビ観戦していたと思います。
エチオピアのアベベ選手がぶっちぎりの独走で国立競技場に入ってきました。アベベ選手のゴール後、しばらくして円谷選手が2位で国立競技場に入ってきました。そのすぐ後ろにイギリスのヒートリー選手がついてきており、国立競技場のトラックでデッドヒートを繰り広げ、最後はヒートリー選手に
追い抜かれ、3秒差で円谷選手は銅メダルを獲得したのでした。東京大会陸上男子初のメダルと言うことで、非常に喜んだ覚えがあります。東京大会のハイライトとしては、東洋の魔女と言われた女子バレーボール、三宅兄弟によるメダル獲得、男子体操の連覇等々、様々なドラマがありましたが、やはり
円谷選手の活躍というのは、福島県出身の選手の活躍と言うことで、最も心に残ったのだと思います。
今回の開催地決定直後のテレビ報道では、水泳や体操、レスリングをしている子ども達のコメントが紹介されていました。どの子も一様に口にしていたのは、東京オリンピックに出るのが目標ですということでした。東京大会決定を知って、福島の子ども達の中でも、このことをきっかけに、オリンピックを目指そうと考えた子が沢山いたのではないでしょうか。是非オリンピック出場を夢見て頑張って欲しいと思います。半世紀以上を経た2度目の東京大会で、本県出身の選手が大活躍をすることを願っています。そのために、私達教育委員は、震災後の教育環境の整備になお一層努力をしなければならないと思っています。
ところで、オリンピック招致最終プレゼンテーションを間近に控えた9月3日、政府は、突然、原発事故の汚染水漏れ問題で、基本方針と総額470億円に上る総合的対策案を打ち出しました。汚染水問題がオリンピックの東京招致にマイナス要素として捉えられていることへの対応策だと言われたりしています。これを逆に言えば、オリンピック招致がなければ、汚染水漏れに対する対策は更に遅れてしまったということもできましょう。あるいは福島県民の生命身体の安全は、オリンピック招致と天秤に掛けられる程度のものであるというのが政府の認識なのか、という見方もできましょう。
しかしながら、安倍晋三内閣総理大臣は、最終プレゼンテーションにおいて、汚染水事故を「完全に問題ないものにする」と訴えました。言ってみれば、東京大会開催までに、原発事故を完全に収束させるという国際公約をしたということにもなります。従って、政府は、これを機会に原発事故処理を更に
加速させなければ、国際公約違反になってしまいます。
オリンピック招致をきっかけに、安全安心な福島県が一日も早く取り戻され、避難されている方々が一日も早く事故前の日常に帰還できることを期待したいと思います。そして、本県の子ども達の中から、7年後に大活躍をする選手が生まれることを夢見ています。
お薦めの一冊コーナー
このコーナーでは、福島県立図書館司書のお薦めの一冊を御紹介します。
『ぼくは、図書館がすき』 漆原宏/著 日本図書館協会 2013
日本各地の図書館の日常を写した写真集です。赤ちゃんと一緒にお話会を楽しむおかあさん、移動図書館の本を夢中で選ぶ子どもたち、作業着姿で熱心に調べものをする人、ゆったりと新聞を読むおじいさん。あらゆる年代の人が、生き生きと図書館を利用しています。すてきな笑顔をたくさん見つけることができる写真集です。
県立図書館024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/
学校自慢コーナー
このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。
『地域の特色を生かした学習』
いわき市立上遠野小学校
本校は、地域にゆかりのある「飛鳥井(あすかい)宣卿」の頭文字をとって教育目標としています。そして、「5つの気」を大切にした指導を行っています。
本校の自慢は何と言っても「豊かな自然」です。本校は、教育目標の実現のため、地域の特色を生かした学習を展開しています。
いわき市立上遠野小学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
いわき市立上遠野小学校のホームページへ
『生きる力を身につけた 世界につらなる一中生』
会津若松市立第一中学校
本校の校章や教育目標は、会津の歴史を受け継ぎながら良き伝統の中に知識を磨き徳を練り、清らかな品性を持ち、常に発展向上し、より良い伝統を培い、世界的視野に立って、一中の校風を樹立する決意を促したものです。また、本校は、会津藩校日新館の入り口に架かっていた「洗心橋」を学校の正門に移築しています。会津藩校日新館の教えにある「ならぬことはならぬものです」の精神を重んじ、朝な夕な「洗心橋」を渡り教育活動に励んでいます。
会津若松市立第一中学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
会津若松市立第一中学校のホームページへ
『地域と一体となった学校教育の実践』
福島県立修明高等学校
これまでの旧棚倉高等学校、旧東白川農商高等学校の伝統を引継ぎ修明高校として5年目を迎える当校は、町内唯一の高等学校として地域行事への参加や全生徒による奉仕活動などをとおして地域と結びついた活動を行っています。
福島県立修明高等学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
福島県立修明高等学校のホームページへ
お知らせ
厳しい暑さの今年も夏も過ぎ、秋風が心地よい季節となりました。読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋です。9月のお知らせコーナーでは、各所館で催されるイベントをまとめてみました。
皆さんお誘い合わせのうえお楽しみください。
会津自然の家からのお知らせ
「あったかふれあいまつり」を開催します
平成25年10月20日(日曜日) 9時30分から15時30分
フィールド・アスレチックやカヌーなど人気のプログラムはもちろん、火起こし体験や木工クラフトなどたくさんのプログラムをお楽しみいただけます。昨年大人気だった川の達人の「水辺の生き物観察」コーナーもあります。入場は無料ですが、ピザ作り体験や昼食バイキングは有料です。詳しくは案内チラシをごらんください。
会津自然の家0242-83-2480
http://www.aizu-nc.fks.ed.jp/
県立美術館からのお知らせ
「ホセ・マリア・シシリア 福島・冬の花」
平成25年10月4日(金曜日)から12月1日(日曜日)
観覧料 一般・大学生800円、高校生以下無料
スペイン現代美術界を代表する芸術家の一人、ホセ・マリア・シシリア(1954年生まれ)は、震災以降、福島をはじめ東北各地を訪れ、ワークショップを行うなど復興支援に向けた文化活動に取り組んでいます。本展は、<日本におけるスペイン年>の一環として開催されます。
県立美術館 024-531-5511
http://www.art-museum.fks.ed.jp/
県立図書館からのお知らせ
展示「いま、磐梯山ジオパークが面白い!」
期間:開催中 12月4日(水曜日)まで
場所:福島県立図書館 展示コーナー
協力:磐梯山ジオパーク協議会・福島県立博物館・磐梯山噴火記念館
ふくしまを知る講座「磐梯山とジオパーク」
日時:平成25年10月6日(日曜日)13時30分から15時00分
場所:福島県立図書館 第一研修室
講師:竹谷陽二郎 氏(福島県立博物館専門員)
対象:どなたでも 定員40名
数十万年前に誕生し、崩壊と再生を繰り返してきた磐梯山。時に人々を苦しめ、でも美しい自然を造り出し、ユニークな歴史と文化を育んできた磐梯山。磐梯山の魅力をジオパークとしての視点からお話します。
福島県立図書館 資料情報サービス部 024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/
編集後記
猛暑が過ぎ去り、朝晩はめっきり肌寒くなってきて、このメルマガの内容も秋の到来を思わせるものになっています。
体感温度の低い筆者としては、そろそろネクタイを締めて出勤したい時期なのですが、クールビズというしきたりがそれを許してくれません。もともと仕事の後に上着やネクタイを外す開放感が好きで、本当は真夏でもネクタイをしたいのです。
ところが、かつて「着用しなくてもいい(=着用してもいい)」だったクールビズは、今では期間中にネクタイを着けようものなら異端者扱いとなってしまいました。「気候や職員の体調に合わせて軽装に取り組んでいます(福島県「クールビズのお知らせ」)」だそうですが、寒くてもネクタイを着けるにはなんだか勇気が必要です。
別に人様がクールビズなのは全然構わないし、冷房の設定温度を上げろとも言わないので、何とかならないものかなと思いながら、勇気の出ない筆者は秋風の中、今日もノーネクタイで出勤です。本文と全然関係ないことを書いてしまいました。すみません。
教育総務課長 森下 平(もりした たいら)
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