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【2014年2月20日(木曜日)】 Vol117

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月26日更新

目次

  • 日々の思い
     教育庁教育次長    田代 公啓(たしろ まさあき)
  • リレーエッセイ
     県教育委員会委員  高橋 金一(たかはし きんいち)
  • お薦めの一冊コーナー
  • 学校自慢コーナー
    • 只見町立明和小学校
    • 郡山市立喜久田中学校
    • 福島県立石川養護学校
    • 福島県立郡山養護学校
    • 福島県立聾学校平分校
  • お知らせ
  • 編集後記

日々の思い

「あれから3年・・・・・」

教育庁教育次長 田代 公啓(たしろ まさあき)

 3月になると1日の県立高等学校の卒業式を皮切りに、13日に市町村立中学校、20日には市町村公立小学校で一斉に卒業式が行われる。
 2011年3月11日(金曜日)は中学校の卒業式が行われた「晴れの日」であった。それが午後2時46分頃に起きた未だ曾て経験したことのない大地震、それに伴い発生した大津波と東京電力福島第一原子力発電所事故により一転し、誰もが一生忘れ得ぬ大惨禍の日となってしまった。晴れの卒業式に亡くなった7名の生徒、行方不明1名を含め県内の小中高生73名が死亡し、7名が行方不明となった。また、多くの子どもたちは大切な家族を失ったり、住み慣れた我が家からの避難を余儀なくされ着の身着のままで避難所生活を強いられたり、通うべき学校がなくなり友達と離ればなれになるなど、それまでの日々の生活を失った。明日をも知れぬ緊迫した状況下、周囲を始め国内外の心温まる支援に感謝の念を抱きながら、僅かな食べ物を分け合い、身を寄せ合って寒さを凌ぐなど
お互いに支え合って生きる術の中で、日常生活の有り難さを痛感し、生命や生きることについて思いを新たにした。
 あれから3年、家族や友人を失った悲しみを心の奥に秘めながらも微笑んでいる子どもたち、家族が離散してしまった子どもたち、受験した学校や入学した学校と異なる学校で学んでいる子どもたち、サテライト校や仮設校舎などで学び、一度も本来の学校や校舎で生活を送ることができなかった子どもたち、あるいは、震災前の生活を少しずつ取り戻してきている子どもたち、逆境に耐えながら勉学に
励んでいる子どもたち、心機一転新しい生活に踏み出そうとしている子どもたち、子どもたちはそれぞれの場所でそれぞれに思い悩みながらも懸命に歩んできた。その子どもたちの懸命さの一端が2月5日に行われた平成25年度教育・文化関係表彰に結果となって現れた。学術・文化・学校体育の分野において全国大会第一位又はこれに準ずる顕著な実績を上げた団体として、大震災以前に増して
小中高12団体が栄えある表彰を受けた。子どもたちの並々ならぬ努力とそれを支えた先生方や保護者の熱意の賜であろう。しかし、今回表彰を受けた子どもたちは大会に参加した中のほんの一握りでしかないが、そこに至ることができなかった多くの子どもたちと指導者にも、頂点に立った者たちと同じような、あるいはそれ以上のそれぞれの物語がある。そこから得られるものは、何にも代え難い大きな財産であり、これからの人生の大きな糧となるであろう。
 3.11を契機として福島に生まれ育ったが故にハンディを背負ってしまった
子どもたちが、この福島の地でしっかりと学んで生きる力を身に付け、謂われない、目に見えないハンディを克服し、自らの進むべき道を切り開いていってほしい。
 ふくしまの未来を担う子どもたちがたくましく羽ばたくことを願って!

リレーエッセイ

「一切従心転(一切は心より転ず)」
    
県教育委員会委員  高橋 金一(たかはし きんいち)

 先日、ある教育関係者の集まりで、すでに教員を定年退職された大先輩から、お話しをお伺いする機会がありました。その際に非常に印象に残った言葉がありましたので、紹介したいと思います。
「一切は心より転ず」という言葉です。
 何でも、華厳経にある言葉で、物事のすべては心の持ちようでどうにでもなるという意味だそうです。
 初めて聞いた言葉でしたので、華厳経にあるということを手がかりに調べたところ、華厳経の「華厳唯心偈(けごんゆいしんげ)」の一節であることがわかりました。「偈」というのは、仏典のなかで、仏の教えや仏・菩薩の徳をたたえるために韻文の形式で述べたものだそうです。この「華厳唯心偈」は100文字で、心の作用すべてを凝縮しているといわれ、写経の対象としても利用されているようです。
「一切は心より転ず」 字義からすれば、物事の全て一切は気の持ちよう、心の持ちよう、つまり自分自身の考え方次第でどのようにでもなるということになります。
 この言葉を聞いて、私は次のようなことを思い出しました。
 平成22年11月。当時、私は福島県弁護士会の会長の職にありました。地元会の会長の職務の外に、日本弁護士連合会の理事としての職務等、様々な職務をこなさなければなりませんでした。そうした時期に、不覚にも法曹ソフトボール大会でアキレス腱断裂の怪我をしてしまいました。負傷直後は、 任期の後半戦に差し掛かり、いよいよ忙しくなる時期に大変なことになってしまったと思いました。目の前が真っ暗になる思いでした。最低6週間のギプス固定、その後もしばらく松葉杖が離せないという不自由な生活が始まりました。
 しかしながら、幸い左足の断裂であったため車の運転は可能でした。そのため、断裂の翌日に会津若松で予定されていた大事な仕事にも車を運転して出かけることができました。そして、最低月1回の1泊の東京出張も、JRの介助サービスのおかげで、駅員の方が押してくださる車いすで駅構内を移動し、容易に新幹線の乗り降りができました。大変ありがたいことでした。
 こうしたことから、負傷前と同様一人で移動することができ、仕事に全く穴を開けないで済みました。かえって足が不自由になったことで、例えば普通は入れない東京駅の地下を車いすで送迎していただきながら見ることができたり、バリアフリーがどれほど大切なことなのかを身を以て実感したり、初めてのことをいろいろ体験し世界がどんどん広がる思いでした。不便なことは沢山ありましたが、それが苦にならなくなりました。周囲の人から大変ですねと言葉をかけられましたが、今まで知らなかったことがいろいろ分かるようになってよかったです、と答えていました。
 物事は気の持ちよう、一切は心より転ずとはこういうことなんだと思ったのでした。
 数十年前に遡りますが、こんなこともありました。大学受験を控えた高校3年生の時でした。夏休みが終わると志望校も確定しており、本番に向けて校外模試を受けるようになります。私の志望校の合否を占うのに最も権威のある予備校の模試を最初に受けた時の評価が、Dでした。最初はまだまだ時間があるから、これからだと高を括っていたところ、何度受けてもDでした。流石に不安になってきました。そうした折、年末に受けた某出版社の全国規模の模擬試験でAに入りました。意気揚々とこれで大丈夫と思いきや、年明けに受けた先ほどの予備校の模試では、今度はE、即ち「志望校を変えよ」のランクに落ち込んでしまったのです。これを見た私は、自分は一旦Aをもらったのだ、あの予備校の試験は何かの間違いだ、もう受けるのはよそう、Aだけを信じて残った日々を頑張ろうと決心し、その後の校外模試は一切受けず、その分受験勉強に打ち込みました。三度の食事と入浴以外の時間はすべて勉強をしました。その結果、運良く第一志望の大学に合格することができました。
 これも一切は心より転ずだと思います。いいことを積極的に受け止めて、前向きに努力する。これが道を開く鍵になるのだということを、今年、先輩の「一切は心より転ず」のお話から学びました。
「一切は心より転ず」の意味を、物事の全て一切は「気の持ちよう」、「心の持ちよう」でどのようにもなるというのが、先のアキレス腱断裂のエピソードだとすれば、「鷹揚に構えよ」という解釈になるでしょう。むしろ、そこから一歩踏み込んで、物事の積極面を見つけて更に前に進むことができると捉えれば、「より積極的に人生を歩むべし」との強いメッセージが、この言葉に込められているのではないかと思うのです。
 このメールマガジンが出る頃は、受験シーズン真っ盛りだと思います。受験生の皆さん、「一切は心より転ず」です。最後まで諦めずに自分の力を信じて、頑張って下さい。その結果、不運にも失敗したとしてもいつまでもくよくよしない。全ては心の受け止め方次第です。「応当如是観」、まさにかくの如く観ずべしです。
 受験生の皆さんのご健闘をお祈りします。

お薦めの一冊コーナー

 このコーナーでは、福島県立図書館司書のお薦めの一冊を御紹介します。

おすすめの一冊『3・11を心に刻むブックガイド』(草谷桂子/著 子どもの未来社 2013)

 東日本大震災後、人々の「伝えたい」という思いが、数多くの本になりました。この本には子どもの本を中心とした、創作、ノンフィクション、紙芝居、マンガ、そして地震や津波、エネルギー、放射能に関する科学の本が300冊紹介されています。これからの子どもたちに震災を伝えるとき、参考になる
資料です。本書は、著者により福島県内の公共図書館に寄贈されました。(県立図書館司書 S.S) 

県立図書館024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/

学校自慢コーナー

 このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。

『地域に根ざした教育活動の展開 ~只見学を身につけた、地域に誇りを持つ子どもの育成~』

 只見町立明和小学校

 「身近な自然との共生」を目指し、この明和地区だからできる自然の魅力を活かした教育活動を数多く取り入れ、子どもたちが地域を自慢に思い、誇りをもてるようにしています。
 
  只見町立明和小学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]

『「学びを広げ学習意欲を高める郷土学習・教科学習」をめざして!!』

 郡山市立喜久田中学校

 本校の教育目標「自立心」を育むために、3つの重点目標「体づくり」「心づくり」「頭づくり」を掲げ、学校教育活動の充実を目指し取り組んでいます。

  郡山市立喜久田中学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
  郡山市立喜久田中学校のホームページへ

『地域の支援の中で育つ子どもたち ~校外学習や校内実習での地域の協力~』

 福島県立石川養護学校

 本校では、児童生徒の自立と社会参加に向けた取組として、小学部や中学部では、校外学習や交流活動を、高等部では、校内実習などを積極的に進めています。
 いずれの活動も地域の方々から理解と協力をいただき、児童生徒にとっては、地域で生きていることの実感と、喜びを感じることができる活動になっています。

 福島県立石川養護学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立石川養護学校のホームページへ

『子どもの未来を拓く ~アシスティブ・テクノロジーの活用~』

 福島県立郡山養護学校

 本校は、肢体不自由児のための特別支援学校です。
 本校では、スイッチ教材やiPadなどの支援機器を活用して「子どもの表現する力をはぐくむ授業づくり」を進めています。

 福島県立郡山養護学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立郡山養護学校のホームページへ

『共生社会の実現に向けて ~交流及び共同学習の取り組み~ 』

 福島県立聾学校平分校

 本校は幼児児童の生活経験を拡げ、同年齢の集団活動を通して望ましい社会性を育むために、地域の保育園や小学校と交流及び共同学習を継続的に実施しています。
 幼児児童は活動をとても楽しみにしています。

 福島県立聾学校平分校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立聾学校平分校のホームページへ

お知らせ

 東日本大震災から、間もなく3年が経とうとしています。あのとき小学6年生、中学3年生だった子どもたちが、来月には中学校や高校を巣立っていきます。卒業という節目に、子どもたちもまた復興への思いを心に刻むことでしょう。
 さて、ここからは2月のお知らせコーナーです。

教育総務課からのお知らせ

平成25年度「ふくしま教育の日」の実施報告について

 「ふくしま教育の日」及び「ふくしま教育週間」を含む10月から11月の期間に、福島県内で、4,354件の事業の実施報告があり、参加者はのべ788,705人でした。御協力いただきありがとうございました。地域の中で子どもたちが健やかに成長していけるよう、今後とも「ふくしま教育の日」への御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いします。
   
 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.pref.fks.ed.jp/kyouikunohi/kyouikunohi.htm

「平成24年度実績教育年報」の発行について

 平成24年度における教育に関する施策概要や事業実績等を収録した、教育年報を発行しました。
本書は、本県教育行政を一望することができる資料として、また、本県の過去の教育行政を現在まで伝える資料として各方面で御活用いただいています。
   
 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.soumu.fks.ed.jp/soumu/kouhou/kouhou.html

県立図書館からのお知らせ

東日本大震災復興ライブラリーについて

 福島県立図書館では、平成23年3月に発生した東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故とそれに伴う県内の被災・復興についての関連資料を、「東日本大震災福島県復興ライブラリー」として平成24年4月28日より開設しています。
   
 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/fukko-lib.htm

県立図書館 024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/

福島県文化財センター白河館「まほろん」からのお知らせ

特別企画展 「救出された双葉郡の文化財2」

 この企画展は、東日本大震災で被災した双葉町・大熊町・富岡町の資料館から救済された文化財を展示公開し、広く県民に3町の歴史や文化・風土を伝え、復興を祈念します。
文化財は地域の歴史にとって大切な財産です。今日まで守り、伝えられてきた双葉郡の郷土資料をぜひ御覧ください。

 期間:開催中~平成26年3月23日(日曜日)    
 入館料:無料
   
まほろん 0248-21-0700
http://www.mahoron.fks.ed.jp/

編集後記

 東日本大震災からまもなく3年が経とうとしています。3年という期間は、大人にとっては短い時間ですが、子どもたちにとっては非常に長い時間です。経験を将来の教訓としながら、時を経て忘れていくこともできるのが人間の強さです。我々は、震災や原発事故の経験の中から語り継いでいくべき部分と、忘れて前を向いていくべき部分を取捨選択していくことになります。
 教育行政としては、例えば、経験を踏まえた防災教育や道徳教育に力を入れることで前者を、個々の生徒の心のケアなどを通じて後者を、それぞれ支えていくことになりますが、大人と子どもとで時間感覚のギャップが最も開いているこれからしばらくの間は、教師やカウンセラーといった大人たちが、児童生徒とどのように接するのか、深く悩む時期になるのだと考えています。
 ただ、これについては、学校に限らず、一人一人の大人と子どもが接していく中で乗り越えていくしかありません。それを乗り越えた先に我々は大きく成長しているのだと思います。
 
教育総務課長 森下 平(もりした たいら)

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