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【2015年1月20日(火曜日)】 Vol128

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月26日更新

目次

  • リレーエッセイ
      県教育委員会委員 蜂須賀 禮子(はちすか れいこ)
  • 日々の思い
      県教育長 杉 昭重(すぎ あきしげ)
  • お薦めの一冊コーナー
  • 学校自慢コーナー
    • 三春町立中郷小学校
    • 葛尾村立葛尾中学校
    • 福島県立いわき養護学校
    • 福島県立聾学校福島分校
  • お知らせ
  • 編集後記

リレーエッセイ

「福寿草」

県教育委員会委員  蜂須賀 禮子(はちすか れいこ)

 新年おめでとうございます。
早いもので雪が多く積もる中での新年も四度目となります。

 暮れに正月の買い物に行き、ある店で福寿草の花が目にとまりました。黄色の芽が出ていて思わず福寿草の鉢に手がのびました。3本の花芽が出て頭の先には黄色が少し見えていました。
『買おうかなぁ~、でも花がかわいそうかなぁ』
仮設住宅の狭い玄関先ではと思い、迷いながらやっぱり買うのをやめてしまいました。

 ふるさとの庭には福寿草が植えてありました。
私の友も自分の趣味として庭に色々な種類の福寿草を植えていました。私も花屋をしていたので、友のために市場に行き福寿草が出るたびに店に揃え、それを友が買っていってくれました。
 あの年の冬も『今年はいっぱい咲くぞ』と友との会話、それが最後で見に行くことは今もできません。きっと春になると友の庭にはいっぱい福寿草の花が咲き乱れていることでしょう。

 黄色の花をもつレンギョウ、マンサク、クロッカス、春一番に咲くのは黄色の花達です。
 寒さ厳しい冬に耐え、春を感じてきた時に咲き誇るいろいろな花が次から次へと咲き乱れるとあたたかい春がくるのです。モノトーンの世界から明るいイエロー、ピンク、そして、グリーン、自然とはなんて素敵な世界なのでしょうか。
 人も厳しい環境におかれて自分自身の色で咲く事ができるのでしょうか。

 先日の新聞で「子供達が厳しい現状にも慣れ、避難生活をしている」という記事をみました。
 また、親を思い心を押し隠す場合もあるとも書かれていました。本当に子供達は、いや、子供達ばかりではなく、私たち大人も慣れてしまったのでしょうか。
 私自身「慣れた」のではなく、「我慢」をしているのだと思います。そんな「我慢」のなかで一瞬ではありますが、あたたかいやさしい黄色の福寿草の花が、私の心に安らぎをくれました。

 『和顔愛語』二年連続自らの目標です。
今年もよろしくお願い致します。

日々の思い

「2015仕事始めの式」

県教育長 杉 昭重(すぎ あきしげ)
  
 2015年、新しい年がスタートしました。
皆様には子どもたちの幸せのために御支援御協力をいただいておりますことに感謝申し上げます。
 通常、年明け最初の勤務日に、役所では仕事始めの式があり、教育庁でも行っております。教育長が、課長等幹部職員を前に話をしておりますが、話の中身は、新年に当たっての方針や決意を述べています。今年は1月5日に執り行いました。
 そのときと今の思いは変わりませんので、仕事始めの式で話したことを思い出しながら、県民の皆さんに向けた内容にアレンジして書いてみます。

 皆様、あけましておめでとうございます。
御家族とともに素晴らしい新年を迎えられ、充実した時間を過ごされ、心身ともにリフレッシュされたことと思います。今年の干支の未(ひつじ)は家族の安泰や平和をもたらす縁起物とされており、今年一年安泰で平和な年となるよう、御祈念申し上げます。
 まずは、この年末年始の間、子どもたちに大きな事件事故がなかったことをうれしく思うとともに、関係各位に感謝申し上げます。

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故からまもなく4年となりますが、12万人を超える県民の皆様が避難を余儀なくされており、福島はいまだ有事が続いていると言わざるを得ません。
 昨年の9月、私は福島第一、第二原発を視察して参りましたが、その時、第二原発の所長には、「福島県民への思いやりとして、第二原発を廃炉にしてください。」とお願いしてきました。
 しかし、いまだ、廃炉にするとは明言していません。事故の収束はまだまだ先ということを実感しております。
 しかしながら、懸案であった中間貯蔵施設については、除去土壌等の搬入が間もなく始まる見通しであり、イノベーション・コースト構想の具体化の動きも加速化していくと思います。
 さらなる復興の加速に向けて、内堀知事のリーダーシップのもと、県が一丸となって邁進していくことになります。教育庁としてともに頑張っていきたいと思います。

 さて、教育行政は、総合教育計画のもとに遂行していくことになりますが、現行の第6次総合教育計画も改定してから3年目に入ります。
 引き続き計画の基本理念、「ふくしまの和で奏でる、こころ豊かなたくましい人づくり」の実現に向け、各種施策を展開していきます。

 本県の中学2年生の好きな教科は男女とも数学が一番というアンケート結果がありましたが、これらは算数・数学ジュニアオリンピックなどの施策の成果と考えています。今年も学力向上に努めてまいりますが、今年は特に、子どもの健康を守るため、児童生徒の体力向上に向けた取組を着実に進めていき、成果を出していきたいと考えています。 

 また、4月には2つの学校が開校します。
 双葉郡の教育復興のシンボルとなる「ふたば未来学園高校」と勿来高校の教室を借りる形で「いわき養護学校くぼた校」が設置されます。
 トヨタのCMで北野武さんにも、「そういぃや、福島にも未来っていう名前の学校ができるらしいよな。」とPRしていただいています。4月の開校に向け、現在急ピッチで準備を進めているところです。
 どちらも地域の要望により、開校にこぎつけており、地域の期待も大きいものがありますので、進学を希望する生徒を適切に受け入れていきたいと思います。

さらに、今年4月から新たな県立学校改革計画の策定に向けた動きを本格化させます。また、特別支援学校全体整備計画の見直しも大詰めを迎えます。
 教育環境の整備に向けて、大いに議論していきたいと考えています。

 加えて、4月からは新教育委員会制度が始まります。
 新設される総合教育会議の場を通じて知事としっかり連携を取っていきます。また知事の掲げる現場主義は教育委員会でも実践していきます。学校現場に積極的に出向くのはもちろん、今年は特に、市町村長や教育長の皆さんとも直接お話しする機会を多く持ちたいと思っております。

 以上、年頭に当たり所信の一端を申し上げましたが、復興に向け、教育課題は山積しております。一つ一つ解決していくことになりますが、その際に、心がけてほしいことは、相手を研究しつつ、自分の得意とするものを生かして、チャレンジしてほしいということです。
 受験生にたとえるなら、英語が得意ならば、英語をさらにパワーアップさせて受験に臨んでほしい。職員の皆さんもICTを活用した情報分析が得意ならば、その結果をもとに具体案を提示するなど、しっかりしたプレゼンをしてほしい。自分は一生懸命に仕事をすることが持ち味だという人は、仕事でしっかりと誠意を見せるようにしてほしい。人と人とのキャッチボールが得意という人は、心のキャッチボールをしながら仕事を進めてほしいと思います。

 それでは、皆様が心身ともに健康で、実り多き一年となることを祈念して、新年に当たってのあいさつとします。

お薦めの一冊コーナー

 このコーナーでは、福島県立図書館司書のお薦めの一冊を御紹介します。

おすすめの一冊 『デカルトの悪魔はなぜ笑うのか 100のアナロジーで読む素晴らしき科学の世界』 (ジョエル・レヴィ/著  創元社 2014年4月)

 難解な式や理論のせいでとっつきにくさが先立つ科学という学問。
その世界がいかに魅力に満ち溢れているかを、分かりやすく伝えてくれるのがアナロジー(たとえ話)なのです。
 有名なシュレティンガーの猫をはじめ、時計じかけの宇宙、デカルトの悪魔など、本書では7つの分野を100のアナロジーを通して紹介しています。
 科学への理解を深めるきっかけとして、おすすめの一冊です。(県立図書館司書 M.S)

県立図書館 024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/

学校自慢コーナー

 このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。

『地域に愛着と誇りを』

 三春町立中郷小学校
 
 本校は、日本三大桜「滝桜」に最も近い学校です。
 豊かな自然に囲まれ「滝桜を守る活動」をはじめ特色ある教育活動が行われています。また、今年は「コミュニティスクール」2年目を迎え、地域の「人・もの・こと」を生かした教育活動を工夫しています。

  三春町立中郷小学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
  三春町立中郷小学校のホームページへ

『生徒も教職員も心ひとつに一体となっての学校生活』

 葛尾村立葛尾中学校
 
 全校生8名、未だ続く避難生活のために葛尾中に在籍する生徒は少人数ですが、みんな仲良く落ち着いた学校生活を送っています。
 学習面でも、少人数ならではの「個に応じた指導」を徹底し、学習内容の定着にも成果が表れています。さらに、学校生活を充実させるため、仮設住宅から学校に通う生徒たちの「元気を発散させる場」「笑顔でいられる時間」が少しでも多くなるように、教職員はさまざまな創意工夫と熱い思いをもって、生徒たちのために一体となり日々の教育活動に取り組んでいます。

 葛尾村立葛尾中学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 葛尾村立葛尾中学校校のホームページへ

『かぜくも ~地域へつなぐ チームでつなぐ~』

 福島県立いわき養護学校

  いわき養護学校では、地域とつなぐ、みんなで「つながる」センターを目指して、「地域支援センター かぜくも」を立ち上げました。「地域支援センター かぜくも」では、いわき養護学校に入学するしないにかかわらず、就学前から卒業までをお子さんと保護者さん、保護者さん同士、保護者さんとかかわる先生方、学校等と本校、関係機関を「つなぐ」活動をしていきたいと考えています。
 今年度は立ち上げの年ですので、職員一同暗中模索しながら、以下のような活動に取り組んでいます。
 
 福島県立いわき養護学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立いわき養護学校のホームページへ

『「地域で共に学び共に生きる」~交流及び共同学習~』

 福島県立聾学校福島分校

  本校小学部では、昨年度に特設陸上部を創設しました。放課後に、自校練習や福島第四小学校との合同練習を重ねてきました。
今年度は、「福島市小学校体育大会陸上競技大会」に4名、「福島市リレー長距離走大会」に2名が出場しました。それぞれの種目で地域の小学生と競い合い、貴重な経験を積むことで、自信にもつながりました。
 本校では、今後も「地域で共に学び、共に生きる教育」を実現してまいります。
 
 福島県立聾学校福島分校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立聾学校福島分校のホームページへ

お知らせ

 新しい年がスタートしました。本年も昨年に引き続きメールマガジンを御愛読のほどよろしくお願いします。
 さて、ここからは1月のお知らせコーナーです。

県立郡山萌世高等学校からのお知らせ

平成27年度県立郡山萌世高等学校定時制課程科目履修生募集のお知らせ

 郡山萌世高等学校では、生涯学習社会の実現に寄与するため、身近に利用できる学習施設として広く地域の社会人に開放することを目的とし、科目履修生を募集します。
 出願方法、経費、選抜方法等、詳細については郡山萌世高等学校のホームページを御覧ください。
 
 履修科目 2単位の科目:45分授業×週2回 4単位の科目:45分授業×週4回
 募集定員 定時制課程昼間主コース若干名
 出願資格 一般社会人(学習意欲が旺盛で、向学心に富む者)
 出願期間 平成27年2月10日(火曜日)から2月13日(金曜日) ただし2月11日(水曜日)を除く。

問い合わせ先 県立郡山萌世高等学校定時制課程 024-932-1767
ホームページアドレス  http://www.housei-h.fks.ed.jp/?page_id=34

施設財産室からのお知らせ

広告を募集しています!

 県教育委員会及び県立図書館のHPのトップページに掲載いただける広告を募集しています。
 詳しくはこちらを御覧ください。
 http://www.pref.fks.ed.jp/koukoku/index.html

県立美術館からのお知らせ

「飛騨の円空展」―千光寺とその周辺の足跡―

 生涯に12万体もの仏像を彫ったといわれる江戸前期の僧・円空の名作「両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)」や「金剛力士(仁王)立像」をはじめ飛騨千光寺所蔵の円空仏を中心に、岐阜県高山市所在の約100体を展示します。
 庶民に寄り添った円空の慈愛あふれる仏像が、皆さんに心のやすらぎをお届けします。
 
 期間:平成27年1月27日(火曜日)から4月5日(日曜日)まで (月曜日は休館)
 観覧料:一般1000円、大学生900円、高校生以下無料
  
県立美術館 024-531-5511
http://www.art-museum.fks.ed.jp/

福島県文化財センター白河館「まほろん」からのお知らせ

「まほろん冬まつり」

 「紙細工」や「昔のおかしをつくろう」など、盛りだくさんの楽しい体験メニューを用意しています。

 期間:平成27年2月15日(日曜日) 10時00分から15時00分    
 入館料:無料(体験によっては材料費をいただくものがあります)
   
まほろん 0248-21-0700
http://www.mahoron.fks.ed.jp/

編集後記

 円空さんは江戸時代初期に岐阜に生まれ、修行僧として東日本・北海道を旅し、多くの仏様を残しました。その数、12万体とも言われます。
 東北では青森、秋田に、さらには北海道に多く残っているそうです。
その原動力は幼い頃に災害でお母さんを亡くしたことに由来すると、ある本で読みました。
 
 私の勝手な推測ですが、円空さんは極寒の地、食糧も十分にとれない、生活が厳しい地域にこそ巡業して多くの円空仏を遺したのではないかと思うのです。
 寒さや生活に苦しむ人々、災害で悲しみに暮れる人々に、できる限りの救いと安らぎを与えようと、身近な素材で渾身の力を振り絞ってその人のための仏を掘り続けていたのではないかと。

 厳しさやつらさに堪え忍びながら前を向く、そんなひたむきな方にこそ、慈愛に満ちた円空仏をご覧いただきたいと思います。
 ぜひ県立美術館で、一番好きな「円空仏」を見つけてみてください。

 本年も「うつくしま教育通信」を、どうぞよろしくお願いいたします。

教育総務課長 大類 由紀子(おおるい ゆきこ)

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