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【2015年2月20日(金曜日)】 Vol129

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月26日更新

目次

  • リレーエッセイ
      県教育委員会委員 佐藤 有史(さとう ゆうし)
  • 日々の思い
      前福島高校校長 本間 稔 (ほんま みのる)
  • お薦めの一冊コーナー
  • 学校自慢コーナー
    • 鮫川村立鮫川小学校
    • いわき市立湯本第二中学校
    • 福島県立平商業高等学校
    • 福島県立西郷養護学校
  • お知らせ
  • 編集後記

リレーエッセイ

「地域教育の一環」
県教育委員会委員 佐藤 有史(さとう ゆうし)

 震災後、人々の防災に関する意識や知識は大きく変わってきていると思う。建築士事務所で福島工業高校、郡山北工業高校、会津工業高校、勿来工業高校の建築系学科の3年生を対象に「高校生が参加する地域防災 木造住宅耐震診断」授業と称して、地震災害と建築物の耐震性の重要さを伝える活動をしている。私も会津地区を担当させてもらっている。
 内容は、座学から一般住宅の現場調査、簡易プログラムを用いた耐震診断を行うなど、学校の授業ではできない建築設計の実務に近い社会体験といえる。また、日本大学工学部の浅里和茂先生の講義もあり高校生が大学の授業を垣間見ることができる貴重な時間もある。

 この活動を始めてから4回目となるが、毎年私自身得るものがあり楽しみにしている。
 専門的な難しい話ではなく、身近な木造住宅を例に耐震診断の重要性、基本的な地震発生メカニズムを解りやすく、飽きさせないように授業を進めているつもりだが、生徒たちにどう伝わっているのかいささか怪しいところであり、反省材料は絶えない。

 授業ではパワーポイントで写真を用いながら、大地震での災害状況や古い建物は2階より1階のほうが崩壊しやすい状況、建物の強度は地震時に最低限生命の確保ができるだけのものが必要であること、福島県内の断層の位置の確認、震度とマグニチュードの違い、耐震診断は昭和56年以前に建てられた古い建物が対象であり構造上筋違い等がある構造壁がバランスよく適切な長さを確保できているかを診るなどを理解してもらい、そのうえで、住宅を調査し平面図をおこし清書してもらう。

 診断では面積、構造壁の長さを計算し、簡易プログラムに入力する。実際に調べた建物の耐震状況がどうなっているのか机上だけではない体感的なものとして結果を考察できるものになっている。

 また、耐震診断とは別に、毎年生徒たちに進路希望と就職先希望を必ず聞いて、伝えていることがある。
 建築系の大学や、建設業界への進路希望者はもちろん多いが、そうでない生徒たちもいる。
 私と同じ建築系に進む生徒たちには、来年または何年後かに同じフィールドで共に業界を盛り上げ頑張りましょうと、そして、そうでない生徒には建築関係以外の職についても高校で建築を学んだことは実社会で決して無駄ではなく、その過程には社会に生かすものがあるはずと伝える。

 私の場合、仕事を通した経験からのアドバイスとなるが、学校の先生方は本当に大変な中で教壇に立っていると実感する。学校では学力を向上させるだけではなく社会性、コミュニケーション能力まで総合的に多岐にわたり指導し、児童生徒に身につけてもらわないといけない。
 先生方にはより一層子供たちに寄り添う教育をお願いしたいと思う。

 校舎も耐震補強計画により、大規模改造改修工事が進みつつある。学校は生徒たちの安全、安心を守ることはもちろん、震災時には避難場所にもなる公共施設でもある。
 あらためて建築物の社会的重要性を感じざるをえない。

 今年度の高校卒業式では会津工業高校で祝辞を述べることで卒業生の巣立ちを見送ることができる。短時間の講義であっても十数人の私の教え子の巣立ちを見られることは本当に嬉しい。

日々の思い

「統廃合に思う」                            
前福島高等学校長 本間 稔(ほんま みのる)  

 私が新採用として赴任したのは阿武隈山系の山間部にある県立高校の分校であった。

 木造の教室が3つとプレハブ1教室からなり、体育館もない、校庭もない、「玄関」という表札がなければどこが入り口かさえわからない学校であった。
 私は、数学と理科4科目を教え、実験室はむろん無いので、調理室で理科の実験を行った。今となっては笑い話だが、全く恐ろしい話である。
 体育の教員は、隣接の小学校の校庭と講堂を借りて授業。午後には併設の保育所からお昼寝の時間だから授業をやめてくれと言われることもあった。しかし、そのような環境でも募集定員をいつも満たし、近隣から通う生徒たちは実に活き活きとしていた。

 また、町の祭礼や行事には教職員も皆招待され、まさに学校は、地域の中心として位置付けられ、私も地域とのつながりの中で教員としてのやりがいや生きがいを感じていた。
 あれから40年、その学校は過疎化や交通機関の発達などにより生徒数が減少し、廃校の危機に瀕しているという。

 地方における人口の減少傾向が進む中、福島県の人口もこのままの推移であれば2040年には約150万人になるという調査結果がある。過日、文部科学省から公立小中学校の統廃合に関する手引が公表された。
 また、新聞によれば福島県内で学年1学級以下の小学校は189校で全体の約4割、中学校は48校で全体の約2割にのぼる。
 県土も広大で、中山間地の多い本県の実情を考えればその多さも理解できる。

 学校は地域文化の拠点的な施設であり、地域コミュニティーの核という側面も持つため統廃合に向け地域の理解を得ていくのはなかなか難しいことと思う。
 しかし、あくまでも学校は子どもたちの教育のための施設である。

 何よりもまず先に考えるべきは、子どもたちにどのような教育を施し、いかにその資質・能力を向上させていくかである。生涯にわたって必要となる社会性を育てるためには、最低限の集団の規模を確保していかなければならない。
 こう考えると統廃合はやむなしなのかと思わざるを得ない。

 しかし、そういった状況を十分に理解し、そう在らねばならないと理解していても、かつて教壇に立った、ましてや教員としてスタートを切った学校が廃校の危機に瀕しているということは、なんとも寂しいものである。

 子どもたちの将来と地域の将来にとっての学校の役割が今まさに問われている。
 それぞれの地域で、知恵を出し合い乗り越えていって欲しいものである。 

※本間稔先生は、平成25年度教育者表彰(文部科学大臣表彰)を受賞されました。

お薦めの一冊コーナー

 このコーナーでは、福島県立図書館司書のお薦めの一冊を御紹介します。

おすすめの一冊 『戦後史のなかの福島原発 開発政策と地域社会』 (中嶋久人/著  大月書店 2014)

 原子力の平和利用を提唱した1953年のアイゼンハワー米大統領演説からあの3.11まで、福島原発をめぐる歴史をたどります。
 当時の政治的背景や開発重視の社会情勢の中、原子力に関わったそれぞれの立場を歴史学的にとらえようとしています。
 福島県立図書館の「東日本大震災福島県復興ライブラリー」コーナーにある一冊です。ぜひご活用ください。(県立図書館司書 R.W)

県立図書館024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/

学校自慢コーナー

 このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。

『内から育つ!心豊かな さめっ子 を育てる体験学習』

 鮫川村立鮫川小学校
 
 豊かな自然に囲まれた 鮫川小学校は、子ども達の豊かな心とたくましい体を育むために様々な体験活動を行っています。
 「鮫川和紙づくり」や「大豆加工体験」「間伐体験」「まきわり体験」など、この地域の人材や素材を生かした体験学習を通して、子ども達は自分たちの住んでいる地域のすばらしさを実感することができます。

  鮫川村立鮫川小学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
  鮫川村立鮫川小学校のホームページへ

『秋季全国火災予防運動に伴う特別査察及び合同消防訓練』

 いわき市立湯本第二中学校

 東日本大震災後3年半が経過したことや火災の発生しやすい時季を迎えるにあたって、地元消防署を始めとした地域の各関係機関や住民の方の協力をいただきながら、本校の防火体制の再確認と火災予防の徹底を図り生徒の安心安全を確保するために合同訓練を計画しました。

  いわき市立湯本第二中学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
  いわき市立湯本第二中学校のホームページへ

『フランス大使館訪問』

 福島県立平商業高等学校

 今年5月12日本校にて、駐日フランス大使館参事官クリストフ・グゼリ氏を講師として『EUがあなたの学校にやってくる』という出張授業が行われました。
 そのご縁で本校生が駐日フランス大使館からご招待いただき、訪問してきました。
 
 福島県立平商業高等学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立平商業高等学校のホームページへ

『地域と共に学ぶ学校づくり』

 福島県立西郷養護学校

 平成26年9月16日(火曜日)に高等部3学年9から12組の24名の生徒がボランティア活動を行いました。
 毎日の登下校や学校行事等でお世話になっている地域のために何ができるか意見を出し合い、新白河駅、白河駅、老人ホーム、保育園での清掃活動や地域の方との交流を企画しました。
 
 福島県立西郷養護学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
 福島県立西郷養護学校のホームページへ

お知らせ

 いわきからは梅の開花が伝えられる一方で、会津地方からは例年をしのぐ積雪のニュースが届いています。春の始まりのこの季節は、あらためて本県の広大さを感じずにはいられません。
 さて、ここからは2月のお知らせコーナーです。

教育総務課からのお知らせ

平成26年度「ふくしま教育の日」の実施報告について

 「ふくしま教育の日」及び「ふくしま教育週間」を含む10月から11月の期間中、福島県内で、4,660件の事業の実施報告があり、参加者はのべ892,447人でした。参加者は昨年度と比べ、13.2%増となり過去3年間で最多でした。御協力いただきありがとうございました。
 地域の中で子どもたちが健やかに成長していけるよう、今後とも「ふくしま教育の日」への御理解、御協力をよろしくお願いします。

 詳細はこちらを御覧ください。
 ふくしま教育の日のページ

「平成25年度実績教育年報」の発行について

 平成25年度における教育に関する施策概要や事業実績等を収録した、教育年報を発行しました。
 本書は、本県教育行政を一望することができる資料として、また、本県の過去の教育行政を現在まで伝える資料として各方面で御活用いただいています。

 詳細はこちらを御覧ください。
 教育総務課広報関係のページはこちら

施設財産室からのお知らせ

広告を募集しています!

 県教育委員会及び県立図書館のHPのトップページに掲載いただける広告を募集しています。

 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.pref.fks.ed.jp/koukoku/index.html

県立図書館からのお知らせ

ご活用ください!「東日本大震災福島県復興ライブラリー」コーナー

 福島県立図書館は、「ふくしま」に関する情報を収集する機関として、また、東日本大震災、原発事故という未曽有の災害を経験した福島県の県立図書館として、これらに関する資料を収集・保存し、後世に残していくため、 平成24年より「東日本大震災福島県復興ライブラリー」を開設しています。
 公開図書室に設置されたコーナーを中心に、約7,000タイトルの震災関連資料を備えています。閲覧のほか、一部を除き貸出もできます。
 ぜひご活用ください。
 また、震災関連資料をお持ちの方がいらっしゃいましたら、当館まで寄贈くださいますようお願いします。

 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/fukkolib.html

県立図書館 024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/

会津自然の家からのお知らせ

第4回そりチャレンジデー

 日時:平成27年3月1日(日曜日) 13時00分から
 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.aizu-nc.fks.ed.jp/

みんな集まれ!クラフトキッズフェア

 日時:平成27年3月7日(土曜日) 10時00分から
 詳細はこちらを御覧ください。
 http://www.aizu-nc.fks.ed.jp/
  
会津自然の家 0242-83-2480 
http://www.aizu-nc.fks.ed.jp/

編集後記

 友人がアマチュア劇団に所属していたからか、演劇を観ることが多いのですが震災後は福島の高校生の劇を観るのが楽しく、つい足を運んでしまいます。
 劇中は終始、自ら発する「これが私たちです」というつぶやきや訴え、表情に、魅了されます。

 2月1日、相馬農業高校飯舘校演劇部旗揚げ公演を観劇しました。
 もともと演劇部のなかった相馬農業飯舘校で、昨年6月に3人の生徒さんによる同好会で始まり、半年後の12月の生徒会で正式に「部」に認可されたといいます。
 練習に当たっては明成高校演劇部の協力もあったそうで、演劇部初公演にもかかわらず、台本も演技も素晴らしく公演後は温かい拍手で会場が包まれました。
 3年生にとっては最初で最後の公演でした。

 震災からまもなく4年が経ちます。
 部長さんは「自分を変えたい、演劇をやれば変わるかもしれない」との思いで始めたそうです。
 演劇部ができたのも、あのシナリオをつくれたのも、飯舘校生の変えたいとの思いと行動力。
 4年で私は何を変え、何を残せたかな・・・と振り返る昨今です。

教育総務課長 大類 由紀子(おおるい ゆきこ)

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