【2016年1月20日(水曜日)】 Vol140
目次
- リレーエッセイ
県教育委員会委員 佐藤 有史(さとう ゆうし) - 日々の思い
県教育長 杉 昭重(すぎ あきしげ) - お薦めの一冊コーナー
- 学校自慢コーナー
- いわき市立平第五小学校
- 会津若松市立河東中学校
- 福島県立須賀川養護学校医大分校
- 福島県立西郷養護学校
- お知らせ
- 編集後記
リレーエッセイ
「ジュニアエコノミーカレッジ」
県教育委員会委員 佐藤 有史(さとう ゆうし)
本年度も全国各地でジュニアエコノミーカレッジ(以下「ジュニエコ」という。)が、北は青森、南は熊本までの28か所で開催されている。
ジュニエコは、平成12年に会津若松商工会議所青年部が発祥で、自ら決めて行動できる人材育成を目的に、小学校5・6年生を対象に5人1組で模擬株式会社をつくって商売体験をしてもらうプログラムだ。
内容は、「資本金」と「借入金」の合計2万円で自分達が決めた商品を売る。株式会社とは何か、事業計画、決算書の作成、利益処分など会社設立から解散までガイドブックに従ってセミナーを行う。自分で考え、決断し、実行していくアウトプットを重視している。
セミナーでは普段学校で正しい答えを出すことに慣れている子どもに正解のない問題に取り組むように導く。私たちは教師ではない。しかし、各分野の商売のプロが、子どもたちと真剣に向き合いながら、商売の楽しさと厳しさを体験できるようにサポートしている。「教える」ということは大人の常識や先入観であったりする場合がある。あえて「教えない」プログラムに、子どもたちが本来持っている自分力を試してもらうというジュニエコの本質があるのだろう。
ドリームセミナー(第1回目の子どもたちと保護者への説明会)の時には不安気な子どもたちの表情が、商品企画書や食品のレシピを会社の仲間たちと考え、アクティブセミナーでのドリームプラン(収支予算、商品紹介、店つくりなどを表現したボード)を作成し、販売日当日の頃には楽しそうな表情に変わっていく姿は毎年楽しみだ。
「目が輝いている」とは、こういうことを言うんだなと実感できる。
会津若松でのアクティブセミナーは1泊2日の泊まり込みでの合宿となる。今年度は120名の参加があり、皆で学び、食事をし、初めて会う人と一緒の部屋で寝泊まりする。学校での修学旅行や宿泊訓練とは一味違う体験もできる。ここで、ジュニエコの子どもたちはドリームボードを作成し、模擬銀行(地元の大人たち)と株主(保護者)に説明して、資本金と借入金の元手を手にしなくてはならない。模擬銀行のプレゼンではみんなが真剣そのもので、うまく商品説明ができず借入金を得られないのではないかとのプレッシャーのなか元気よく発表してくれる。
実際に借入金を手にした時の安堵感と販売に向けて売り切るぞという意気込みが伝わってくる。子どもたちが頼もしく思える瞬間だ。
ジュニエコの経験の中から将来の職業への意識を強く持ってもらえたら嬉しい限りである。大人になった時に、自分で会社をつくりビジネスを活性化させたり、職場内で企画立案する時に、ジュニエコで得たことを少しでも思い出してもらえたらジュニエコ冥利に尽きる。
日々の思い
「リレーマラソン」
県教育長 杉 昭重(すぎ あきしげ)
新しい年、2016年がスタートしました。
震災と原発事故から5年が経過しようとしています。復興は一歩一歩ずつ進んでいますが、未だ10万人の県民の皆さんが避難を余儀なくされています。
ふくしまの未来を担う子どもたちも一生懸命、勉強に運動に頑張っています。その頑張りを見ていると、この子たちにふくしまの未来を託しても大丈夫という思いが強くなります。しかし、この子たちに襷(たすき)を繋ぐために、しばらくは私たち大人が頑張らなければなりません。
昨年の6月末、世界陸上のマラソンに出場が決まっていた南相馬市出身の今井正人選手をリオ五輪へ送り出そうというリレーマラソン(42.195Km)がNPO法人はらまちクラブの主催で行われました。縁があり、私を始め10人のメンバーで「県教委ランナーズ」を結成し、参加しました。
10人のメンバーはそれぞれ個人ではフルマラソン等に出場経験はありましたが、リレーマラソンは初めてでした。400mトラックを1周交代で10人で105周します。
スピードもあり、結構きついレースですが、みんなで、仲間でひとつのものを作り上げる面白さもあり、楽しく走ることが出来ました。今井正人選手を応援するのが目的で、順位を競う大会ではありませんでしたが、記録は2時間58分34秒、ランナーの勲章であるサブスリー(3時間以内)も達成し、充実した時間となりました。
今井選手は7月末、髄膜炎にかかってしまい、8月の世界陸上を欠場せざるを得ませんでしたが、元旦の実業団駅伝では、復活の見事な走りを見せてくれました。
スタートラインに立つまでが勝負です。そこまでの練習、調整がどうだったのか。結果は付いてきます。今井選手には、リオ五輪への選考レースに向け、しっかりと準備をし、納得のいく走りを期待したいと思います。
今回、このリレーマラソンに参加しての感想ですが、団体スポーツの持つ連帯感や達成感は、風通しの良い職場環境やワーク・ライフ・バランスにも好影響を与えるものと思います。
仕事も生活も充実したものにし、子どもたちにしっかりとした復興への襷をつなげるためにも、与えられた区間を完走していきたいと思います。
「県教委ランナーズ」の今後の出場予定は、以下のとおりです。
1月24日(日曜日) 第2回広野ふる里ふれあいマラソン ~復興に駆けるリレーハーフマラソン
2月11日(木曜日) 今井正人GO!リオ応援リレーマラソンNo.2
お薦めの一冊コーナー
このコーナーでは、福島県立図書館司書のお薦めの一冊を御紹介します。
おすすめの一冊 『いじめゼロを目指して 「いじめ防止授業」生徒5000人の現場から』 (栗岡 まゆみ/著 文芸社 2015)
現在、学校でのいじめ問題は非常に深刻なものとなっています。
本書では、「いじめから子供を守ろうネットワーク」東京代表の筆者が、いじめの背景を分析し、防止のために学校・家庭・社会それぞれでできることを具体的にアドバイスしています。
今を生きる大人の責任として、子どもたちの未来のために何ができるのか。筆者は本書を通して問いかけています。
県立図書館 024-535-3218
http://www.library.fks.ed.jp/
学校自慢コーナー
このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。
『本は心の栄養、豊かな心を育む 平五小の読書教育』
いわき市立平第五小学校
本校では、学校司書が配置された3年前から、本との出会いを通して読書習慣を身につけさせる読書教育に力を入れています。
本を読むことによって、子どもたちにとって新しい世界が広がり、経験したことのない世界に浸り、疑似体験をすることができるからです。
また、集中力や想像力が広がり、本校の教育目標にも掲げられている「やさしい子」「考える子」などにつながると考えています。
いわき市立平第五小学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
いわき市立平第五小学校のホームページへ
『心身ともにたくましく情操豊かな生徒の育成 』
会津若松市立河東中学校
本校は、北東に秀峰磐梯山、北には万年雪をいただく飯豊連峰を望み、会津平野を一望できる高台にあります。近くには日新館や会津村などの観光施設があります。
今年で合併10年目となりますが、旧河東町の時からの国際理解教育や、地域と連携し地域の施設を生かした活動に力を入れています。
また、校内においては「いつでもどこでも『あ・い・う・え・お』」を合言葉に、生徒会では自浄力のある集団を目指して「河中宣言」を掲げ、生徒と教師が一丸となって、母校への愛着と誇りを育み、いじめのない明るい学校づくりに取り組んでいます。
会津若松市立河東中学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
会津若松市立河東中学校のホームページへ
『医大の工事現場見学』
福島県立須賀川養護学校医大分校
医大病院の工事関係者からのお声かけで、工事現場の見学をさせていただきました。現場の方々から説明を受けながら、建設中の鉄骨がむき出しの建物の内部を間近から見たり、巨大なクレーンの運転席に座って、クレーンの先についているカメラを操作したりと、めったにできない体験をしてきました。
福島県立須賀川養護学校医大分校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
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『学校に やしおんが やってきた ~マスコットキャラクターが生まれました!~』
福島県立西郷養護学校
「子どもたちをもっともっと笑顔にしたい!」、「子どもたちにとって夢のある明るく元気な学校にしたい!」という教員の願いのもと、若手の教員20名がチームを組んで、『西郷マスコットキャラプロジェクト』を立ち上げました。
児童生徒からデザインと名前を募集し、教員それぞれが教科等で培った技能を発揮して、みごとに手作りのマスコットキャラクターが誕生しました。
10月末に行った全校集会と学校祭「やしお祭」では、児童生徒の大歓声の中、みごとにデビューを飾りました。今後は、様々な学習の場面、行事の中で登場し、児童生徒のみならず保護者や地域の方々からも愛されるキャラクターにしていきます。
福島県立西郷養護学校の学校自慢のページへ[PDFファイル]
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お知らせ
今号でメールマガジンは140号の節目となります。これまで同様、本年も御愛読のほどよろしくお願いします。
さて、ここからは1月のお知らせコーナーです。
県立図書館からのお知らせ
「ふくしまを知る連続講座(5)」を開催します!
テーマ:「亜細亜と欧州を結ぶ ~須賀川の銅版画家 亜欧堂田善 が見た世界~」
内容:精密な銅版画を日本で初めて完成させた須賀川出身の画家・亜欧堂田善について、その画業や交友関係を中心に探ります。
日時:1月24日(日曜日)14時00分から15時30分
場所:福島県立図書館 3階 第一研修室
講師:福島県立美術館 副主任学芸員 坂本 篤史 氏
《入場無料・事前申込は不要》
県立図書館 024-535-3220
http://www.library.fks.ed.jp/
県立美術館からのお知らせ
ふるさとが誇る美術家たち ―福島県立美術館名品展―
二本松市に生まれた日本画家・大山忠作は、東京芸術大学で日本画を学んだ後、日展で活躍。2006年に文化勲章を受章しました。本展では福島県立美術館が収蔵する点の作品とともに、大山忠作美術館が収蔵する習作と合わせて展示し、その創作の軌跡をご覧いただきます。
また、橋本高昇、橋本朝秀、橋本堅太郎、荻生天泉や石川良風、そして古川盛雄など二本松ゆかりの作家たちの作品。あるいは角田磐谷や斎藤清による福島の風景などを御紹介します。
期間:開催中 ~ 平成28年2月21日(日曜日)
会場:大山忠作美術館、市民ギャラリー(二本松市本町2-3-1 二本松市市民交流センター3F)
観覧料:一般410円、高校生以下200円
県立美術館 024-531-5511
http://www.art-museum.fks.ed.jp/
会津自然の家からのお知らせ
そりチャレンジデー
開催: 平成28年1月31日、2月7日、21日、28日(日曜日)
会場: 会津自然の家 そりゲレンデ
参加対象:幼児から高齢者までどなたでも
申込方法:事前申込不要、当日受付、参加費無料
会津自然の家 0242-83-2480
http://www.aizu-nc.fks.ed.jp/
県立郡山萌世高等学校からのお知らせ
平成28年度県立郡山萌世高等学校定時制課程科目履修生募集
郡山萌世高等学校では、生涯学習社会の実現に寄与するため、身近に利用できる学習施設として広く地域の社会人に開放することを目的とし、科目履修生を募集します。
出願方法、経費、選抜方法等、詳細については郡山萌世高等学校のホームページを御覧ください。
履修科目:古典B(2)、地理B(4)、数学活用(2)、物理(4)、コミュニケーション英語3(4)、総合英語演習(2)、手話1(2)、情報処理(2)の8科目
※ ( )は単位数
2単位の科目:45分授業×週2回 4単位の科目:45分授業×週4回
募集定員:定時制課程昼間主コース若干名
出願資格:一般社会人(学習意欲が旺盛で、向学心に富む者)
出願期間:平成28年2月9日(火曜日)から2月12日(金曜日) ただし2月11日(木曜日)を除く。
問い合わせ先:県立郡山萌世高等学校定時制課程 024-932-1767
ホームページアドレス http://www.housei-h.fks.ed.jp/?page_id=15
科目履修生関連ページ http://www.housei-h.fks.ed.jp/?page_id=34
編集後記
私淑する人として、古川貞二郎さんという方がいます。かつて厚生省の公務員として厚生行政に心血を注がれ、後に長年にわたり5人の総理に側近として仕えた方です。
古川さんは公務員生活を送る上で公平さと公正さを、そして座右の銘である「一念一念と重ねて一生なり」という言葉を大事にされていました。
2015年を振り返るにあたり、この言葉に出会い、一瞬一瞬に思いを託し、それを積み重ねていくことの大切さを噛み締めました。実際に心がけることができたなら、いずれ見える景色は全く違うものになるのでしょう。
なかなか思い通りにいかないことが多いですが、それでも挫けずに思いを重ねていく、そんな2016年にしたいと思います。
今年、皆さんにとってよい一年になりますように。
教育総務課長 大類 由紀子(おおるい ゆきこ)
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