【2016年11月21日(木曜日)】 Vol150
目次
- リレーエッセイ
県教育委員会委員 蜂須賀 禮子(はちすか れいこ) - 日々の思い
県教育委員会委員 岩本 光正(いわもと みつまさ) - お薦めの一冊コーナー
- 学校自慢コーナー
- 棚倉町立棚倉小学校
- いわき市立内郷第三中学校
- 福島県立聾学校
- 読者投稿欄「みんなの学舎」
福島大学人間発達文化学類 准教授 秋山 了 (あきやま おさむ) - お知らせ
- 福島県教育委員会からのお知らせ
- 福島県養護教育センターからのお知らせ
- 福島県立図書館からのお知らせ
- 編集後記
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
リレーエッセイ
「初冬のコスモス」
県教育委員会委員 蜂須賀 禮子(はちすか れいこ)
散歩をしたある朝、遠くの山を見ると雪をかぶっている姿が見られました。 もう冬は、そこまできているのだなあと感じました。夏から秋にかけて美を競っていた、まだ色もあせていないコスモスの花が咲いている風景は、私にとって何とも言えない風情を感じる時です。
そんな初冬のコスモスを見ながら毎日を過ごしていると、ある朝、田んぼの真ん中の真っ直ぐな道を全力で走っている幼子の姿がありました。
こんな朝早くから子供が?と思い、目で追っていくと、500mくらいの所から戻ってきました。周りを見渡しても親の姿が見られません。そのうちに姿も見えなくなりました。次の日もまた同じ姿が見られました。彼(幼子)はこんなに小さくても何らかの考えのもとで走っているのだと思いました。
もう一人、学校へ行く前に毎朝バットを振っている学生がいます。野球部であろう彼は、時々目が合うと大きな声で「おはようございます」と深々と頭をさげて、挨拶をしてくれます。部活での規律の正しさが日常の生活にでも出てきているのでしょう。彼が日に日にたくましくなってきているのが感じられます。
どちらの子供も、きっと目的があり毎日の練習をしているのでしょう。子供たちは育っているなあと、彼らの姿を通して成長を感じているところです。
11月6日「教育フォーラム」がいわき市を会場に行われました。皆さんからの素晴らしい意見発表がありました。
中でも私が心から感謝の気持ちを言わせていただきたいのが平商業高等学校フラダンス愛好会のみなさんです。皆さんのダンスが披露された後、意見発表していただいたのは渡辺真由さんでした。「ふるさと」にのせたフラダンス。これには涙が出てきました。
それに先立ち、10月29日、大熊町のイベント「ふるさとまつり」がいわき市でありました。
このイベントにおいても、平商業高等学校フラダンス愛好会の皆さんに出演していただきました。大風の吹く中での披露でしたが、 たくさんの町民の皆様から感動と感謝の言葉が多く寄せられたことをフォーラムの席上で、伝えさせていただきました。
今回のテーマである「今、伝えたい・想いをかたちにする喜びを」は、今、現実に彼女たちがかたちにし行動をとっている。 素晴らしい生徒達がいることを、私も今、伝えたいと思います。
はじめにコスモスの花についてふれましたが、渡辺さんは「ひまわりの花のようになりたい」とも言っていました。このコスモスの花の中には、実はひまわりが自然に種を落とし、2本の大小の黄色い花を咲かせていたのです。
渡辺さんをはじめ、フラダンス愛好会の皆さんはまだ小さな花だけど、多くの皆さんが注目するひまわりになって、もうすでに咲いているのだと私は思います。そしてこれからますます大きく大きく、咲いていくのだと思います。
最後になりますが、このたび教育委員を再任となりました。これまで四年間勉強させていただいたことを福島の子供たちに注ぎたいと思います。 これからも皆様のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
日々の思い
「新任のご挨拶」
県教育委員会委員 岩本 光正(いわもと みつまさ)
ここ数年PTA活動に携わり、学校に出向く機会も増え多数の保護者とも接することが多くなった。そのような中、自分の学生時分に比べると子ども達を取り巻く環境がかなり変わったように思う。
もう30年以上も前の事なので、当たり前の話なのだが・・・。
かなり前の新聞のコラムに面白い投稿があった。
普通の先生は問題の解き方を教えてくれる。
良い先生は勉強のやり方を教えてくれる。
ものすごく良い先生は、勉強の楽しさを教えてくれる。
確かこのような内容だったように記憶するが、勉強だけではなく人生においても、この「ものすごく良い先生」が沢山増えてくれればと願う。
この度、10月19日付けで県教育委員会委員に就任いたしました岩本光正と申します。これから4年間よろしくお願いします。
私なりに今の学校の在り方や教育について思うところがあり、今回、このような大役を引き受けさせていただきました。
福島の子ども達のために、微力ではありますが全力で委員としての活動を行っていきたいと思います。 皆様方のご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
お薦めの一冊コーナー
このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。
『ヘイト・スピーチとは何か』 師岡康子/著 岩波書店 2013
近年、日本でも用語としては一般化した感のある「ヘイト・スピーチ」。この用語は具体的にはどのような表現を指しているのでしょうか。本書は、日本における状況、各国による法規制の選択や規制慎重論など、問題の主要な論点をまとめています。
入門的内容でありながら、言及される論点の多くは、本年6月3日施行の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組みの推進に関する法律」(通称ヘイトスピーチ解消法)をめぐる議論にも連なっています。
福島県立図書館
→ https://www.library.fks.ed.jp
学校自慢コーナー
このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。
「なりたい自分になるために」
棚倉町立棚倉小学校
本校は、144年の歴史と伝統を誇る学校です。長い歴史の中で、その時代の変化に応じた教育を進め、今に至ります。子供を取り巻く状況が大きく変わろうとしている中、子供たちが将来に希望を持ち、 自分の未来を切り拓いていけるよう、キャリア教育を推進し、「基礎的・汎用的能力」の育成に取り組んでいます。
「小中連携推進による教育活動の充実」
いわき市立内郷第三中学校
内郷三中は、生徒数46名の小規模校です。高野小学校と校舎を二分割しているため、生徒は9年間同じ校舎で過ごします。
そのため、小中合同の行事を行ったり、教員同士の交流や連携授業を行ったりしています。
「よりよい寄宿舎生活を送るために~視覚的な情報の有効活用~」
福島県立聾学校
本校寄宿舎には、聴覚に障がいのある子どもたち、中学部14名、高等部12名が生活しています。
子どもたちがより良い集団生活を送ることができるよう、そして、自主的に生活や学習することができるよう、 居室や廊下、共有スペース(食堂、浴室等)に、生活していく上で必要な内容やルールを具体的かつ視覚的に示して支援しています。
読者投稿欄「みんなの学舎」
「初心忘るべからず」
福島大学人間発達文化学類 准教授 秋山 了(あきやま おさむ)
福島大学大学院では、来年4月から福島県教育委員会とも連携し、教職大学院が開設されることになりました。
私は今年の4月より福島大学に派遣され、現在は福島大学の先生方と一緒に教職大学院の開設準備に携わっています。3月までは20年以上にわたり、 中学校教員として毎日授業をしていたので、赴任した当初は授業がない毎日に物足りなさを感じ、心にぽっかりと穴が開いたような日々を過ごしていました。
そんな矢先、今までの教職経験をふまえて、教職を目指している学生を相手に授業づくりについて話をするよう依頼があったり、高校での進路学習の一環として、教員志望の高校生を相手に教員の仕事内容ややりがい、苦労等について話をする仕事を任されたりと、若い学生を相手に話をする機会がありました。
学校現場にいた頃は、日々の業務をこなすことで精一杯で、それまでの自分の実践を振り返ることもあまりありませんでした。 今、若い学生や高校生の皆さんに話をするにあたって、今まで自分が取り組んできたことを改めてじっくりと振り返るよい機会となりました。 (うまくいったことより、後悔や反省することの方がはるかに多いのですが…。)
当日は、私のつたない話に目を輝かせながら一生懸命耳を傾けてくれる若者の姿に、感動すると同時に、教職に憧れ、教員を目指していた自分の若い頃と重なって見えました。
そして、来年4月からスタートする教職大学院生との研究活動が始まる前に、「初心忘るべからず」のことわざと共に、自分の教員生活の原点に戻れたように思います。
教職大学院でご一緒する皆さんや、私の話を聴いてくれた教員を目指す学生や高校生の皆さんと一緒に、近い将来、福島の子どもたちのために働ける日を楽しみにしながら、来春から教職大学院に来られる若い先生方や学生の皆さんが2年間充実した研究活動に取り組むことができるように、私自身も原点に戻って、微力ながら前進したいと考えています。
「2017春教育実践福島ラウンドテーブル」のご案内
→ http://hdc.educ.fukushima-u.ac.jp/news/1882.html
※ 読者投稿欄「みんなの学舎」では、皆さまからの原稿を募集しております。
実名、匿名対応可能です。
詳しくは、教育委員会のホームページをご覧ください。
福島県教育委員会 024-521-7759
→ メールマガジンのページ
お知らせ
西庁舎から見える吾妻山からも、初冠雪の便りが届きました。さて、ここからはお知らせコーナーです。
福島県教育委員会からのお知らせ
「頑張る学校応援プラン」策定のお知らせ
福島県教育委員会では、平成29年度から平成32年度(4年間)に取り組む重要施策をまとめた「頑張る学校応援プラン」を今年度中に策定します。
これに先立ち、県教育委員会のホームページに「頑張る学校応援プランのたたき台」と「福島県の教育の現状分析」を掲載しました。目標や課題を共有しながら学校が家庭と地域と一丸となって教育課題に取り組むためのプランです。
詳しくは、福島県教育委員会のホームページから御覧いただけます。
福島県教育委員会「頑張る学校応援プランのたたき台」「福島県の教育の現状分析」
→ 主要教育施策のページ
「櫻丘(おうきゅう)タイムス『平成28年度教育フォーラム』特別号」の発行について
11月6日(日曜日)に磐城桜が丘高等学校で開催した平成28年度教育フォーラムに、参加した磐城桜が丘高等学校新聞局が「櫻丘タイムス『平成28年度教育フォーラム』特別号」を作成してくれました。
福島県教育委員会のホームページからぜひ御覧ください。
また、御来場いただきました皆様、本フォーラムに御協力いただいたすべての皆様に、心から感謝申し上げます。
当日の模様は、県政広報テレビ番組で御覧いただけます。
福島県教育委員会 024-521-7759
→ 広報・広聴のページ
県政広報テレビ番組「KFB Let's チャレンジふくしま」
→ 放送日 平成28年11月22日(火曜日)20時56分から21時00分
再放送 平成28年11月26日(土曜日) 5時40分から5時45分
福島県養護教育センターからのお知らせ
「平成28年度第31回福島県養護教育センター研究発表会」の開催について
特別支援教育を巡る最新の動向や学校等の状況を県民の皆様にお伝えし、共生社会の形成につながるインクルーシブ教育システムの構築・推進を図ることを目的として、研究発表会を開催します。
当日は、「学校における専門性の向上・継承や組織の活性化」及び「入院児童生徒等の学習状況調査と支援体制整備」に関する2つの研究発表に加えて、教材や支援機器についての実践発表や展示・紹介も行います。
また、教育講演会では「発達障がいファミリーサポート Marble(マーブル)」 代表理事の国沢真弓氏より、発達障がい児への接し方のコツや、子育ての御経験を交えた家族支援のポイント等をお話しいただきます。
ぜひ、皆様で御参加ください。
日時:平成28年12月2日(金曜日)10時から15時30分
会場:福島県ハイテクプラザ (郡山市待池台1丁目12番地)
申込:方法、締切等については、養護教育センターのホームページを御覧ください。
福島養護教育センター 024-952-6497
→ http://www.special-center.fks.ed.jp/
県立図書館からのお知らせ
[催し物]「アートなおはなしかい ~とり~」
日時:平成28年12月3日(土曜日)13時30分から15時00分
場所:福島県立図書館・福島県立美術館
内容:
来年は酉年です。図書館で素敵な鳥の本を紹介した後、美術館で鳥などの作品を鑑賞して楽しい工作をします。できた作品は 美術館に飾って皆さんに見てもらいます。(事前申込不要・参加無料)
[催し物]クリスマスミステリーツアー
日時:平成28年12月17日 (土曜日) 13時30分から
対象:5歳から小学生
場所:開始時間の5分前までに福島県立図書館こどものへやへ集合してください。
内容:
普段は入れない書庫で、貴重な新聞のバックナンバーやマイクロフィルム、 昔の教科書などを紹介します。また、クリスマスに関する本(由来・工作・料理など)も紹介します。
福島県立図書館 資料情報サービス部 電話024-535-3218
編集後記
今月の総合教育会議(知事、教育長、教育委員が出席する会議)において、 「頑張る学校応援プラン」のたたき台が議論されました。
県の総合教育計画(平成25年度から32年度)が今年度で前半4年間を終えるタイミングになったので、改めて本県の教育をめぐる現状をしっかり分析した上で、後半4年間の重要施策の方向性を打ちだすべく、本プランの策定を進めています。今後、関係者と議論を重ねて、年度内にプランを確定させ、 来年度より推進していきたいと考えています。
県教育委員会ホームページのトップに、黄色いバナーで「頑張る学校応援プラン」とあり、こちらからダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
プラン本体もさることながら、データ集は、なかなか見応えがあります(手前味噌ですが…)。
例えば、福島の子供たちの学力の課題として、「算数・数学の学力に課題がある」、「知識・技能の活用に関する問題(いわゆる応用問題)が苦手」 「学力が低い層(下位25%)が全国と比較して多く、学校ごとの学力の分散が大きい」などが、わかりやすいグラフで示されています。 今回はこうした課題について、正面から向き合い、教育関係者だけでなく県民に対して「見える化」したことは価値あることだと思います。
そして本データ集では課題だけではなく、福島の子供たちの「強み」や「素晴らしいところ」も明かにしていますので、こちらにもぜひ注目していただきたいと思います。いくつかご紹介します。
- 全国学力調査における「無回答(白紙答案)」の率が低く、全国でもトップレベル。
意欲と粘り強さをもった子供たちである。 - 家で学校の復習をしているという子供の割合は年々増加しており、家庭での学習時間が長い子供ほど、学力調査の得点が高い傾向にあることが明らかになった。
- 「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦していますか」という質問に対して、「当てはまる」と答える子供が増加しており、チャレンジ精神の高まりが見受けられる。
- 「人が困っているときは、進んで助けていますか」「地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がありますか」という質問に対して「当てはまる」と答える子供が、震災後、増加している。
データの分析をして後は学校にお任せというのではなく、現場の苦しみを共に背負い、子供の成長や成功についても学校現場や地域と一緒に喜びあえるような教育委員会でありたいと考えています。
福島県教育委員会ホームページ
「『頑張る学校応援プラン』はこちらから御覧いただけます」
→ 福島県教育委員会ホームページはこちら
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
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