【2016年12月20日(火曜日)】 Vol151
目次
- リレーエッセイ
県教育委員会委員 小野 栄重(おの えいじゅう) - 日々の思い
平成27年度教育者表彰(文部科学大臣表彰) 田代 公啓(たしろ まさあき) - お薦めの一冊コーナー
- 学校自慢コーナー
- 西会津町立西会津小学校
- 国見町立県北中学校
- 福島県立浪江高等学校津島校
- 読者投稿欄「みんなの学舎」
国立大学法人福島大学大学院 佐藤 季(さとう みのり)
(祝辞 県教育委員会教育長 鈴木 淳一) - お知らせ
- 福島県教育委員会からのお知らせ
- 福島県立図書館からのお知らせ
- 編集後記
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
リレーエッセイ
「教育フォーラムの真髄」
県教育委員会委員 小野 栄重
平成28年度教育フォーラムが去る11月6日に、いわき市の福島県立磐城桜が丘高等学校第1体育館にて開催されました。私の地元での開催でしたので大変光栄であると同時に多くのお客様をお迎えでき、ほっとした思いでした。今回のテーマは「今、伝えたい・想いを形にする喜びを」でした。
まず基調講演として、アートプロデューサーの相馬千秋先生から「芸術・表現とは、明確な答えを求めるのではなく、問いのままでも構わず、その過程で様々な境界の揺らぎをそのまま表現できる力こそ本物である」というお考えを具体的な事例を挙げながら非常に格調高くお話しいただいたのが強く印象に残りました。
さて、いよいよ地元いわきのそれぞれの分野で独自の体験をしてきた学生と教師の発表です。
プレゼンのトップは、いわき市立藤間中学校3年の鈴木雅大君です。いわき市教育委員会が開催している「生徒会長サミット」に参加して得た様々な出会いと社会との係わりを実証的かつ理論的に発表し、会場からどよめきが沸き起こりました。
次に、いわき市立勿来第一中学校3年大平茉奈さんが、NHK全国放送コンテストテレビ番組部門最優秀賞を受賞したことから生まれた地域広報活動をプロのアナンサーと間違えるくらいのボイスコントロールで堂々と発表されました。
続いて、県立平商業高等学校2年渡辺真由さんが、今年のフラガールズ甲子園で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞したフラダンス愛好会の代表として、ハワイでの表敬訪問で感じたことをこれからの地域貢献に生かしていく決意を笑顔でお話していただきました。
さらに、いわき明星大学教養学部地域教養学科2年の滝本航太君が全日本吹奏楽コンクール全国大会出場の体験が短期間で地域との芸術交流に発展していく過程を落ち着いて述べられました。
最後に、県立いわき総合高等学校の齋藤夏菜子教諭が演劇を通して子どもたちに浸透していく様々な場で通用する思いを形にする表現力の大切さを、実例を挙げて実証されました。
私は、いわきでこれだけの資質と志のある発表者の発信力を県内の方々と共有できたことに、いわきでの教育の先進性をあらためて再認識させていただきました。
そして、最初にアトラクションで披露していただいた県立平商業高等学校フラダンス愛好会のフラと最後にご披露いただいた県立磐城桜が丘高等学校 筝曲部の演奏にも酔いしれた幸せな一日となりました。
日々の思い
「余震に思う」
前福島県立福島高等学校長 田代 公啓
11月22日(火曜日)早朝、下から突き上げるように体に迫ってくる 「ドドドッ」という響きを感じると同時にエリアメールが鳴り響いた。どのテレビも福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震があり、広範囲に震度5弱が観測され、津波警報が発令されたことを伝えていた。
アナウンサーが緊迫した様子で避難を呼びかけていたが、それほど大きな混乱にはならないだろうと思った。ただ、原子力発電所の状況が気になるとともに、通学時間帯を前に学校や教育委員会は当面の対応で大変だろうなという思いが浮かび、ふと震災時のことが頭を過ぎった。
震災当時、私はいわき地区の県立高校に勤務していた。震災翌日に勤務校が県から避難所の指定を受け、その日から教頭、事務長とともに校長室に泊まり込みながら対応することとなった。3月14日早朝、県災害対策本部から双葉郡内の病院の入院患者を受け入れるよう要請があった。医療設備も何もない学校での受け入れは困難であることから、一度は断ったが、再度の要請に医療スタッフ・医療機器・灯油等暖房用品・食料等の確保を条件に受け入れることとした。体育館にビニールシートとその上に柔道用の畳を敷き、ジェットヒーター6台を炊いて到着を待っていた。医療環境は整っていないものの、15日午前0時頃から午前6時頃にかけて双葉郡の2病院と南相馬市内の1病院の入院患者等238名を一時避難として体育館に収容した。
学校は入試業務もあり、大変な状況に陥ったが、それを支えてくれたのは困難な中、出勤してきてくれた職員達であり、災害対策本部から派遣されたいわき地方振興局職員だった。それぞれが家庭を持ちながらも自分の果たすべき役割をしっかりと認識して対応してくれた。
特に生徒の安否確認等のため、災害対策本部に組み込まれていない教員と異なり、非常時の対応を心得ている行政職の方々の存在は大変心強かった。
地元のFM放送局を通じて灯油等の物資の支援等を呼びかけたり、ボランティアを機能的に動かしたり、患者の移送など勤務時間を度外視した献身的な働きぶりには頭の下がる思いでした。
物資やガソリンのない中、出勤し、生徒の安否確認や入試業務、避難所業務に奔走してくれた職員の奮闘ぶりも忘れられません。そして、小さな善意を届けてくれた地域の多くの方々にも改めて感謝します。
震災当時は、避難所となった多くの学校で県や市町村の災害対策本部職員と教員、地域の方々が避難者のために懸命に動いていた。それは、自分の果たすべき役割、使命感に突き動かされてのものだったと思う。その思いがあれば、忘れさえしなければ、昨今の不祥事など絶対に起きるはずはないと思うのだが・・・。
※田代 公啓先生は、平成27年度教育者表彰(文部科学大臣表彰)を受賞されました。
お薦めの一冊コーナー
このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。
『福島交通 バスジャパンハンドブックシリーズS 93』 BJエディターズ 2016
中通りと浜通り北部で路線バス等を運行する「福島交通株式会社」。そのルーツは1907(明治40)年の蒸気機関車運行に遡り、100年以上経った現在でもなお、県民の足として暮らしを支え続けています。
本書では福島交通のバスを徹底解剖。経営不振・震災を乗り越えてきた歴史や、一見同じに見えて結構違う車種ごとのバスの特徴が解説されている他、路線バス旅行記まで1冊で楽しめます。
ひと目見ただけで福島交通の本だと分かる装丁も必見です。
福島県立図書館
→ https://www.library.fks.ed.jp
学校自慢コーナー
このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。
「新しい校舎で特色ある教育を」
西会津町立西会津小学校
西会津小学校は、統合5年目、平成27年4月より西会津中学校と廊下で繋がる現在の新校舎へ移り、子どもたちは毎日生き生きと学校生活を送っています。西会津小学校は、この新校舎を有効に活用しながら、教育目標「自ら学び、よく考える子・思いやりのある子・健康でたくましい子」の育成を目指し、学校・家庭・地域が一体となった教育に取り組んでいます。
「国際社会で活躍する人材を育むために」
国見町立県北中学校
本校では、国際社会を生きるために、特に英語を通して積極的にコミュニケーションを図ろうとする人間の育成に努めています。
日々の英語の授業の充実や校舎内の英語による掲示物の工夫をはじめ、英会話研修や英検対策講座など、生徒の英語力の向上に取り組んでいます。
「未来への軌跡」
福島県立浪江高等学校津島校
本校は、現在3学年1クラス12名が在籍し、充実した学校生活を送っています。浪江町津島地区出身の生徒は1名であり、多くの生徒が 二本松市・本宮市の出身ではありますが、望ましい人間関係を築きながら、全員卒業に向けて、教職員・生徒が一丸となり努力しています。
震災復興に関する行事や様々なコンテストなどにも積極的に参加し、第36回福島県川柳賞「青少年奨励賞」に入賞、道徳教育総合支援事業
「モラル・エッセイ」コンテストに入賞するなど、総合的な学習の時間や道徳教育の充実にも力を入れています。
読者投稿欄「みんなの学舎」
今月から4回にわたって、頑張る児童・生徒・学生のみなさんが書いた作文等を掲載します。第1回は、一般社団法人福島県女性経営者プラザ主催「第3回女子学生懸賞作文」金賞受賞作品の紹介です。
「私は女性経営者になって、こんな“しごと”をやってみたい!」
国立大学法人福島大学大学院 佐藤 季(さとう みのり)
私は、中学校の音楽教員を目指し大学院で学んでいる。大学(学類生)時代には、できるだけ多くの知識を身に付けたいと思い、多種多様な講義を受講した。その結果、大学卒業時に、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の免許を取得した。
私が教育に関わる仕事に就きたいと思ったきっかけの一つは、高校時代に全国高等学校総合文化祭福島大会(通称「ふくしま総文」)に参加したことである。文化部のインターハイとも言われる総文祭は、2011年8月に福島県で開催されることになっていて、私は高校1年のときから、実行委員として携わってきた。ところが2011年3月、東日本大震災とそれに伴う原発事故がおこり、福島県は多大な被害を受けた。「ふくしま総文」は、開催が危ぶまれる事態となった。そんな中で、県庁の「ふくしま総文推進室」の先生方をはじめ、多くの大人たちが、開催に向けて力を尽くしてくれた。 子供を支える大人たちは、震災を受けた私たちの思いや考え、望み、願いを少しでも外へ発信しようとしてくれた。その姿は、子供に対して「何かしてあげる」ではなく「したいことへの手助けをする」「子供の前向きな意欲を支え続ける」というものだった。そして、そういう子供の「前向きな意欲」は、大人たちの励みにもなり、復興への後押しともなったことも知った。私も大人になったら、子供の意欲を支える人となりたいと思った。
しかし、現実には、「意欲を持ち続けること」が難しい環境におかれている子供が少なくない。大学時代から学習塾の時間講師のアルバイトをしているが、そこで出会う塾生たちの中には、様々な問題を抱えた子がいる。いじめなど人間関係の問題、学力の格差、貧困など向き合っていかなければならない課題は多い。
生きることに精一杯の暮らしでは、物事に意欲を持つ余裕も生まれにくい。原因の一つは、希薄になっていく人間関係にあるのではないかと考える。 子供だけではない。子供も大人も希薄な人間関係の中でたくさんの悩みを抱えて生きている。例えば、共働きで子供と親の会話の時間が少ない、自主学習が難しく学校の勉強についていけない、先生と親以外の大人と会話することができないなどが挙げられる。
公教育で抱える問題は、種々様々で複雑で且つ多すぎるのではないかと思う。 私は、公教育を補う機能を持った「学童保育」のようなものが必要だと考えた。 私には二人の姉がいる。その構想を語ったら、姉たちから、それだけでは物足りないといわれた。十一歳年上の長姉は介護福祉関係の仕事の経験を生かし、 老人たちが豊かに生きていく施設の必要性を語った。五歳年上の次姉は二児の母としての経験から、乳幼児とその親が豊かに生きていく施設の必要性を主張した。その話を聞き、私たちが求めるのは、それらの施設が相互に関係することのできる施設ではないかと思いついた。
そこで、私が夢見るのは、総合コミュニティー施設をつくることだ。 多くの年代の人が集い、会話をし、何か活動をする場がこれから必要とされると考える。
そのために、年代を問わずに集まることのできる環境を提供することができれば希薄な人間関係を少しでも濃くしていくことができるのではないだろうか。その施設は、学童保育と塾の学習支援、保育園と老人介護施設の働きを併せ持つものである。
平日の午前中には、乳幼児を連れた親子は子どもの遊び場、育児の情報交換の場とする。 老人も朝から施設にやってきて、友人との会話を楽しみ、子どもやその親と関わる。 若い親子は、人生の先輩に育児の相談をすることもできる。午後には利用者みんなで食事を取る。昼食を過ぎれば、小学生が学校を終えて学童保育にやってくる。ここで、宿題をし、勉強を教えてもらい、幼い子どもや老人と遊ぶ。中学生や高校生も自習の場として利用し、勉強は教えてもらい、ほかの年代と関わる。
休日には、映画鑑賞会や演奏会などイベントも行う。施設には大浴場を用意し、一人で行うには大変な乳幼児の入浴を協力し合ったり、世代問わずにゆっくり休んだりする場とする。世代を問わず関わり合い、教えあい学びあう場があれば、人間関係の多くの問題は少なくなっていくのではないだろうか。施設運営にはもちろん専門家が必要である。学習支援をするために教育に精通するもの、 乳幼児と養育に精通するもの、介護と福祉に精通するもの。三姉妹が力を合わせれば、それらをそろえることができる。
私たち姉妹の生まれ育った家の字名を「小豆洗」という(妖怪の名前と同じだが由来は不明)。私たちは家やこの名前に愛着を感じており、その施設を小豆庵と名づけようと決めた。小豆のような小さな庵に、みんなが集い関わり合う場になれば幸せである。私は、二人の姉と夢見る総合コミュニティー施設、「小豆庵」の経営者となりたい。そして、私は、子どもの意欲を支え応援する大人、子どもを支える大人を支援する経営者となりたい。
(一般社団法人福島県女性経営者プラザ「第3回女子学生懸賞作文」金賞受賞作品より)
続いて、表彰式での鈴木教育長の祝辞を紹介します。
今回の受賞作品を読ませていただき、いずれの作品も、経営を通じて社会的課題を解決していこうとする意欲に満ちており、正に、日本実業界の父と言われる渋沢栄一の「論語と算盤」に通ずるところがあると感じました。
また、東日本大震災と原子力発電所事故の被災体験があればこそ、この若さでここまで思いが至ったものとの感慨を持ったところであります。
人間関係の希薄化やコミュニティの大切さをはじめ、体験活動、高齢者の生き甲斐づくり、社会的弱者への配慮、風評対策等、私自身、教育行政を遂行するに当たって、日々念頭に置いているテーマを取り上げていただいており、拝読しつつ、私自身も励まされる思いでありました。
県教育委員会では、現在「頑張る学校応援プラン」を策定中であります。学力の向上などとともに重視しているテーマが「地域とともにある学校」です。地域や家庭の教育力が低下しつつある中、学力以上に大切な、人としてあるべき姿を身につけるため、地域ぐるみで学校への御支援をお願いしつつ、学校も地域づくりに参画し、地域に貢献しようとするものであります。地域課題の解決と学校教育は、一体で行ってこそ効果も上がると考えております。今回受賞される皆さんには、夢の実現に向けて、今後も学業に励んでいただくとともに、広く社会に目を向け、学習や体験で得た知識や技能、そして感性を生かして、地域を担い社会に貢献できる女性になられることを期待いたします。
(第3回女子学生懸賞作文発表会及び表彰式「教育長祝辞」(抜粋)より)
福島県教育委員会ホームページ
『頑張る学校応援プラン』はこちらから御覧いただけます。
→ 主要教育施策のページ
お知らせ
師走も残すところあとわずか。2016年は、みなさまにとって、どんな一年だったでしょうか。
さて、ここからはお知らせコーナーです。
福島県教育委員会からのお知らせ
県外に避難されている小・中学生の保護者の皆さまへ
福島県教育委員会ホームページには、県外に避難されている皆さまに向けて教育長メッセージを掲載しております。
万が一、避難先の学校生活において、いじめ等でお悩みの際には、現在通学している学校の校長や担任の先生などにご相談いただくとともに無料電話相談窓口もご利用ください。
- 子どものための24時間電話相談「ふくしま24時間子どもSOS」
0120-916-024 - いじめ問題や不登校、体罰などの教育相談電話「ダイヤルSOS」
0120-453-141
義務教育課 024-521-7774
→ 県内情報のページはこちら
県立図書館からのお知らせ
[展示]福島県歴史資料館移動展 「名所図会の世界-江戸時代の観光ガイドブック-」
日時:平成29年1月6日(金曜日)から2月12日(日曜日)月曜日及び第一木曜日休館
時間:9時00分から19時00分(土曜日曜祝日は17時30分まで)
場所:福島県立図書館 展示コーナー
内容:
江戸時代の後期には『都名所図会』『江戸名所図会』『紀伊国名所図会』などの名所図会が多く出版されました。これらの本には神社仏閣・名所旧跡・景観・祭礼などの挿絵が多く載せられ、観光案内書のような性格も帯び、江戸時代後期の旅ブームとも深く関連していました。
ここでは『名山図譜』『日本名山図会』『二十四輩順拝図会』など福島県ゆかりの名所が描かれたものを中心に、代表的な名所図会を展示します。(観覧無料)
[講座]ふくしまを知る連続講座(3) 「名所図会の世界-ふくしまゆかりのものを中心に-」
日時:平成29年1月22日(日曜日) 14時00分から15時30分(90分)
場所:福島県立図書館 第一研修室
内容:
江戸時代後期の名所図会出版の歴史とその意義を概観し福島県ゆかりの名所や人物を取り上げている『名山図譜』『日本名山図会』『二十四輩順拝図会』『都名所図会』『江戸名所図会』などを、画像を見ながら詳細に解説していきます。(事前申込不要・参加無料)
福島県立図書館 企画管理部 024-535-3220
→ https://www.library.fks.ed.jp
編集後記
12月7日、国・県・12市町村の関係者が一堂に会して、避難地域の学校再開に関する課題や今後の方向性について知恵を出し合う会議を行いました。 その中では、児童生徒数の減少に伴い教育活動が限定的になることへの対応も、議論されました。たしかに学校規模が小さくなり、部活動などが限定的になるのは厳しい状況ではありますが、教育上のチャンスとも捉えることもできます。個々に応じたきめ細かい教育という観点では、「Student-Teacher Ratio(教員一人当たり生徒数)」が低い方が有利なのです。
ところで、「わたり」「ずらし」「ガイド学習」という言葉を聞いたことはありますか。 これは決して怪しい言葉ではなく(笑)、複式学級の指導に関する専門用語です。
私も、素晴らしい複式学級の授業を拝見したことがありますが、もはや芸術的と思えました。 教室の前と後ろに黒板があり、教員が一方の学年から他方の学年に交互に移動しながら指導していく「わたり」、両学年の指導段階(課題把握や定着・発展など)をずらして学習を進める「ずらし」、教員が一方の学年を直接指導している間、他方の学年では子供の中から選ばれたガイド(学習の案内役)が、教員の指導のもと、他の子供たちをリードしながら、協力して学ぶ「ガイド学習」などの方法論があります。
離島が多い鹿児島県では、複式学級の研究が熱心です(例えば、鹿児島大学附属小学校では複式学級を実際に組んで研究しています)。
こうした少人数規模の教育に関する研究の蓄積は、本県の過疎中山間地域の学校などにおいても応用可能なヒントになります。
また、新地町や天栄村、南会津地域、双葉郡などではICTを使った先進的な学習も進められています。タブレットとインターネットがあれば、距離や時間を超えて、合同の学びをすることができますし、無料のテレビ会議システムで、学校間の交流や有名講師の授業を聞くこともできます。
少人数教育のデメリットを低減させ、メリットを最大化する、苦しい環境をチャンスにしていける教育方法の芽を、大きく育てていくことが重要です。
急激な少子化は、避難地域だけでなく、福島や日本全体でいずれ経験していくことでもあります。少人数だからできないではなく、少人数だからこその教育実践に光をあてていくことは、日本全体のモデルとなる可能性を持っています。
ピンチはチャンス。少人数で質の高い教育が、福島で花開くよう頑張っていきたいと思います。
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
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