【2017年3月21日(火曜日)】 Vol154
目次
- リレーエッセイ
県教育委員会委員 蜂須賀 禮子(はちすか れいこ) - お薦めの一冊コーナー
- 学校自慢コーナー
- いわき市立錦小学校
- 会津若松市立湊中学校
- 福島県立須賀川養護学校郡山分校
- 福島県立聾学校福島分校
- 読者投稿欄「みんなの学舎」
須賀川市立第二小学校6年 古川 結翔(ふるかわ ゆいと) - お知らせ
- 福島県教育委員会からのお知らせ
- 福島県立図書館からのお知らせ
- 編集後記
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
リレーエッセイ
「雑草」
県教育委員会委員 蜂須賀 禮子(はちすか れいこ)
春は花の季節、毎朝散歩をする私にとっては、楽しみな季節になった。 道端に咲き始めた雑草は、寒さにも負けず一番先に温かさを感じ、土の中からモコモコと頭を出しはじめ、雪をかぶりながらも私の好きな言葉、「自分の色」をもって咲き始める。雪といえば、先日咲き始めた梅の花に雪が降り積もった。寒いだろうと思い、よく見てみると、頭にちょこっと雪の帽子をかぶり花弁は凍えていた。
春の雪は多くの水分を含む。重いだろうと思いそっと一輪雪を払う。梅の花は、下を向いて咲いていた。
- 梅の花が下を向いて咲いているとこれからも雪が降り、
上を向いて咲くと雪が降らない・・・。-
私の頭の中に、ふと迷信的とも言える言い伝えがよぎり、これからもう一回くらい雪が降るだろうと、ひとり道を急ぐ。急ぎながらも道端を見ると、ふきのとうがうすいコートをはおり、3個ほど、花を咲かせんとばかりに頭を出していた。春の香りを食べて感じるのは、ふきのとうだ。天ぷら、みそとほろ苦い味が何ともいえず、つい食べ過ぎてしまう。
よく道端の物は食べられるというが、目について手を伸ばしてしまうのがふきのとうだ。花の丈が伸びきってしまうと皆さんは手にしないかもしれないが沸騰したお湯で茹で酢味噌で食べるのが私のお気に入りだ。またとなりには、大犬のフグリ(おおいぬのふぐり)がたくさん集まり、瑠璃色の花をいっぱい咲かせてお話会が開かれていた。陽が当たると花びらを広げ、陽がかげると花は閉じてしまう。だれもが知っている可憐な花だ。しかし、雑草としてひとくくりにされて少しかわいそうな気もする。名前もそうだ。
丸みのある腎臓形の実が、犬のフグリに似ていることからこの名前になったそうだ。 可憐な花なのに・・・。
姫踊子草(ひめおどりこそう)も、どこの場所でも見かける花だ。 葉っぱが五重塔のように段々状になって薄むらさきの花が突き出るように咲く花だ。 この雑草は庭に咲くことがあり、かわいそうだが抜かれてしまう。それでも、自然の中に集まっている様子は、とっても美しく私には見えるのだ。 ある雑誌に、「雑草という名の草はない。すべての草には名前がある。」という言葉があった。ひとつひとつに学名がある。調べてみると、とてもおもしろい由来があり、大犬のフグリもその一つだった。
私の名前も「禮子にバカなし・・・禮子とつければ良し。」と親が考えてくれたそうだ。本当にそうかは知る由もないが、親が生まれてきた我が子に強い思いと深い愛情、そして、将来こんな人になってほしいとの思いを抱きつつ、考えに考え、初めて大きな責任をもって行う仕事が名づけではないだろうか。
私も親につけてもらった自分の名前に恥じぬように、これからもしっかりと自分の道を歩んでいきたいと思う。
お薦めの一冊コーナー
このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。
『子どもの命と向き合う学校防災―東日本大震災の教訓から日本の沿岸部学校への提言』 数見隆生/著 かもがわ出版 2015
東日本大震災の津波被害が甚大であったことは誰もがよく知っていますが、大きな被害を受けた学校の共通点として「通常災害時の避難」と「津波発生時の避難」の区別が曖昧だったことは、あまり知られていません。
本書は沿岸部の津波被害への対策を中心に論じていますが、地震により想定される被害は倒壊、火災、土砂崩れなど各校で異なるはずです。
東日本大震災から6年が経過した今、本書を読み、改めて自校の防災について考える時間を設けてみてはいかがでしょうか。
福島県立図書館
→ https://www.library.fks.ed.jp
学校自慢コーナー
このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページに掲載していますので、御覧ください。
「やったぜ!吹奏楽部 3年連続全国大会金賞!」
いわき市立錦小学校
11月19日に大阪市の大阪城ホールでの全国大会「全日本小学校バンドフェスティバル」で最高賞の金賞を受賞し、3年連続受賞することができました。1月29日には、東京都練馬区で行われた「全日本ポップス&ジャズグランプリ大会」でも、2年連続となるグランプリを獲得することができました。
吹奏楽部の練習は、大会が近づくと日曜日も練習があります。活動は大会だけでなく、学校でのサマーコンサート、受賞報告コンサート、クリスマスコンサート、卒業コンサートなど定期的な活動のほか、地元のイベントやショッピングセンターでの演奏も行っています。
「Rising Sun Project~夢の課外授業SPECIAL~」
会津若松市立湊中学校
標記事業の目標は、「東京オリンピック・パラリンピック」に向け、日本を、東北を、そして多くの子どもたちを「ダンスの力」で元気にしていくことです。
内容は、あの国民的な人気グループEXILEと「Rising Sun」と共同作品を創るという正に夢のようなお話で、本校では、平成26年度から取り組んでいます。
この事業に対する取組は幾度も新聞に掲載され、湊地区住民からも喜びや励ましの言葉を多くいただき、「地域と共にある学校づくり」につながる事業になりました。湊中学校は、子どもたちに湊地区への郷土愛をはぐくみながら、「2020年東京オリンピック出場」という野望をいだき頑張っています。
「地域に支えられて」
福島県立須賀川養護学校郡山分校
郡山分校は、郡山市街の閑静な住宅地にある小さな学校で、近隣には徒歩数分で訪問することができる郡山第五中学校があります。郡山第五中学校とは、交流及び共同学習を行っており、大変恵まれた環境にあります。
また、郡山分校がある桜木地区と隣接する並木地区の地域の方々を講師としてお迎えしたり、児童生徒が近隣の事業所を訪問したりして、さまざまな活動を行っています。その他、地域の方が育てた季節の花々や手作りの木工品などを届けていただくなど、地域の方々に支えられている学校です。
「豊かな人間性の育成と確かな学力」
福島県立聾学校福島分校
本校では、年に2回、「お話会」を実施しています。保護者の協力を得ながら、話題を選び、相手にとってわかりやすい・伝わりやすい発表の仕方を工夫したり、話す態度・聴く態度について考えたりしながら練習を重ね、発表に臨みました。
読者投稿欄「みんなの学舎」
12月号から4回にわたって、頑張る児童・生徒・学生のみなさんが書いた作文等を掲載しています。最終回は、平成28年度「ふくしま子ども宣言作文コンクール」[中学生の部]最優秀賞作品の紹介です。
「命の形」
須賀川市立第二小学校 6年 古川 結翔(ふるかわ ゆいと)
形?命の形?命に形があるのだろうか。あるとすれば、どんな形なのだろう。
ぼくは、命の形はその時その時、その場その場、その人その人によって変わるものだと思う。空気みたいに実体のない目に見えないものではないだろうか。
母とけんかをし、おこってトゲトゲしていたあの時、ぼくの命の形は、トゲトゲしてさわれないような形だったのではないだろうか。久しぶりに友だちとおもいきりサッカーをして汗を流したあの時は、たぶん綿あめみたいにフワフワして笑っていた。でも、あの大震災の時の命の形は思いつかない。 こわかった。悲しかった。寒かった。不安だった。
あの震災で、命の形を失ってしまった人々がたくさんいた。でも、ぼくは、失っていない。丸にもなるし、三角にもなる。先生にほめられて花丸になることもある。ぼくは、これからもいろいろな命の形を感じたいと思う。だからこの命を大切にしていきたい。
平成28年度「ふくしま子ども宣言作文コンクール」優秀作品は、こちらから御覧いただけます。
福島県教育委員会ホームページ
→ 平成28年度「ふくしま子ども宣言」作文コンクール[PDFファイル]
お知らせ
出会いや別れを大切な糧として、子どもたちをはぐくみ、そして見送った教室は、新年度に備えて、まもなく静かな時間を迎えます。
さて、ここからはお知らせコーナーです。
福島県教育委員会からのお知らせ
「頑張る学校応援プラン」決定のお知らせ
本日、教育委員会において、今後4年間の教育施策の骨太の方向性と必要な主要施策を打ち出した「頑張る学校応援プラン」を決定しました。
県教育委員会のホームページに掲載しましたので、ぜひ御覧ください。
本プランにより、子どもたちの学力や教員の指導力の向上に加えて地域とともにある学校づくりや子どもたちの学びのセーフティネットの構築に全力で取り組んでまいります。
福島県教育委員会のホームページ
「頑張る学校応援プラン ~ふくしまの挑戦と戦略~」
「福島県の教育の現状分析 -SWOT分析のバックデータ集-」
→ 主要教育施策のページ
「子どもがふみだす ふくしま復興体験応援事業」成果発表会について
平成29年1月29日(土曜日)、ホテル福島グリーンパレスにおいて「子どもがふみだす ふくしま復興体験応援事業」成果発表会が開催されました。
本事業は、福島の今を伝えたい!復興に貢献したい!!という子どもたちの想いを実現するため、福島県教育委員会が、子どもたちが自ら考え、判断し、実行する、ふくしまの復興に役立つ社会体験活動、社会貢献活動を応援するものです。
発表会の最後では、MJCアンサンブルによる美しい歌声「群青」がホールに響き渡り、今年度の成果を分かち合うことができました。
参加した13団体のみなさんの活動の様子は、社会教育課のホームページから御覧いただけます。
社会教育課ホームページ
→ http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70016a/
新しいふくしまの歌「雲のかなた」について
この「歌」は、県民の皆さんや、福島と関わりのある全国の方々から寄せられた825通の「ふくしまへの想い」を、福島県クリエイティブディレクターである箭内道彦さんを通じて、谷村新司さんにお届けし、作詞・作曲していただきました。
また、昨年発表したアニメーション「みらいへの手紙~この道の途中から~」の11通めとして福島ガイナックス(浅尾芳宣社長)が制作しました。
福島県教育委員会のホームページからは、知事メッセージ「2017年3月11日のメッセージ」、福島県のホームページからは「雲のかなた」が視聴できます。
福島県教育委員会のホームページ
→ 広報・広聴のページ
福島県ホームページ
→ http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/01010d/kumonokanata.html
「雲のかなた」
作詞 / 谷村新司 作曲 / 谷村新司 編曲 /石坂慶彦
10年後に 空を見上げる 私を思い描こう
その時は 笑顔でいようね 自分との約束
10年後の 空を見ている その場所がここならいいね
旅のなか 帰りたくなる それがここならいいね
雨の日は 雨に打たれて
風の日は 風に吹かれて
それでも雲のかなたは
いつも蒼い空
通いなれた あの道端に 咲いている花 忘れない
ふざけあい 涙流した 君を忘れてない
離れたから 気付けることや 失くしたものもあるけれど
旅のあと 帰り着く場所 それがここならいいね
雨の日は 雨に打たれて
風の日は 風に吹かれて
それでも雲のかなたは
いつも蒼い空
AH- AH- AH- AH-
10 years after どこにいて 僕らは生きているのだろう
10 years after 未来図は この手の中にある
10 years after どこにいて 僕らは生きているのだろう
10 years after 未来図は 見上げる 蒼い空 AH
10 years after どこにいて 僕らは生きているのだろう
10 years after 未来図は この手の中にある
10 years after どこにいて 僕らは生きているのだろう
10 years after 未来図は 見上げる 蒼い空 AH
Go beyond the pain
図書館からのお知らせ
[展示]「城郭絵図展 ~福島の城を中心に~」
日時:4月7日(金曜日)から4月30日(日曜日)月曜日休館
時間:9時30分から19時00分(土曜日曜祝日は17時30分まで)
場所:福島県立図書館 展示コーナー
内容:
棚倉城を築き、小峰城の大改修をおこなった白河藩主・丹羽長重(にわ ながしげ)の没後380年にちなみ当館の所蔵する城郭絵図を展示します。(観覧無料)
福島県立図書館 資料情報サービス部 電話024-535-3218
→ https://www.library.fks.ed.jp
編集後記
福島から横浜に避難している子供が、いじめをめぐる手記を公開しています。 「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた。」苦しい胸の内を表出した、このメッセージには本当に心が痛みます。
手記には続きがあり、「今、僕は楽しく生きています。一日一日前向きにいればなんとかなります。だから、つらいことがあっても自殺を考えないでください」という力強いメッセージがあります。本当にそのとおりだと思いました。
なぜなら、私も過去にいじめられていたからです。いじめられていた時は、つらい日々が永遠に続くと思っていました。でも、続かなかった。今になってみると、学校は楽しかった時間の方が長い。成長に伴って、人間関係も社会も、どんどん広がっていきます。同じようにつらい思いをしている子供たちには、先生、ご両親、周囲の信頼できる大人に相談して欲しい。県のいじめ電話相談(0120-916-024)だっていい。
頑張らなくていい、逃げてもいい。生きて、のぞみを求めよう。必ず光はある。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のジョバンニの台詞に、こうあります。
「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。
きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも
僕たち一緒に進んで行こう。」
読者の大人の皆さんと想いを共有したいのは、いじめは絶対許してはいけないことであるけれど、「どこでも起こりうる」ということです。
これは一見矛盾するようですが、いじめへの厳正な対応の基本原則であると考えます。 いじめを、人の尊厳を傷つける行為と捉えれば、学校だけではなく、職場や地域などあらゆる大人の集団の中にもあります。つらいことですが、我々の社会にある、差別の芽を認めなければなりません。「うちに限ってそんなことは無いはず」と思ったら、いじめは撲滅できないのです。
学校や子供たちの集団は、社会の縮図です。大人である我々が、いじめの根は社会の中にあることを恐れず認める。そこからスタートして、皆さんと共に、いじめや差別、ヘイト、ハラスメントを、ノックアウトしていきたいです。
(訂正)前回の編集後記で、「最澄」とすべきところを、「親鸞」としていました。 お詫びして訂正します。
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
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