【2017年7月20日(木曜日)】 Vol158
目次
- リレーエッセイ
県教育委員会委員 浅川 なおみ(あさかわ なおみ) - 日々の思い
県教育庁健康教育課長 佐藤 晃(さとう あきら) - お薦めの一冊コーナー
- 読者投稿欄「みんなの学舎」
福島大学人間発達文化研究科 特任教授 齋藤 幸男(さいとう ゆきお) - 「こんにちは!各所館です」
- お知らせ
- 県教育委員会からのお知らせ
- 県立図書館からのお知らせ
- 編集後記
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)
リレーエッセイ
「県合唱連盟創立70周年記念事業 青少年選抜合唱団と共に」
県教育委員会委員 浅川 なおみ(あさかわ なおみ)
3月21日、取り敢えずスーツケースを片手に夕方新幹線に飛び乗りました。
前日20日は、白河文化交流館コミネスにてオペラ白河版「魔笛」の上演があり、地元の制作顧問として重責を果たさなければなりませんでした。また、半年かけてドイツ語で練習した「魔笛」の合唱の部分を成功させなければならないのです。
いつも練習で合わなかったあの箇所、何とか今日は上手く出来ますように。
影コーラスだった私は、祈りながら歌いました。お祈りが届き、バッチリ合った本番の演奏を終えて、神に感謝、モーツァルトに感謝。
そして、翌日、スーツケースを片手に新幹線に飛び乗ったのです。
今回 青少年選抜合唱団の同行者としてウィーン・ザルツブルグへの旅に同行させていただきました。私個人では「魔笛」の成功のお礼をモーツァルトさまに捧げる旅、と心に決めての旅でした。
長かった飛行機にうんざりしている頃、ようやくウィーン到着。空港に着くと疲労とは裏腹に、別世界が私達を迎えてくれました。ホテルから地下鉄で2つ先のカールスプラッツ駅。滞在中、何度もチケットを買いケルントナー通りを闊歩しました。まるで夢心地です。
しかし、私たちが別天地での生活を楽しんでいる間、合唱団員は練習、練習また練習。バスの中でも、また練習なのです。その歌声は、的確な指導者の指示に即、対応できる団員の素晴らしい歌声で、練習内容の密度の濃さもさることながら、団員同士が難なく指示を受け入れ、一瞬でお互いがどの程度のバランスで歌えばメロディーを引き立てられるかを理解できてしまう能力の高さに感動するほどでした。
日本に居ても時間があれば賛美歌を歌いたいがために教会に行く事があります。私はクリスチャンではないのですが、音楽の原点は教会音楽にあると考えております。海外に行って、日程が日曜日に重なれば、地元の教会に足を運びます。
今回もザルツブルグでの日曜日に、ミュルナー教会でのミサに参列し、合唱団員が献歌を捧げました。12世紀に建てられたというバロック様式のこの教会は、正にホールと呼ぶのに相応しい響きでした。ヨーロッパでは何百年も前から教会音楽の中に自然に‟残響”と言うものがあったのだと改めて感動しました。
その教会の中での歌は、天から音と光が降り注いで教会の中を音と言う名の龍が駆け巡っているが如く音が動き出す、そのハーモニーの美しさに感動せずにはいられず、涙が頬を伝わりました。あれは人生で一番美しい虹色の涙だったような気がします。
またその教会では、頭からスッポリ黒のガウンを身にまとい、背の高く、男女の区別がつかない奇妙な姿の人物が現れ、私はとっさに‟サリエリ現る”と、勝手にドラマを作り上げほくそ笑んでいました。
そして、サウンド・オブ・ミュージックの舞台となったミラベル宮殿での演奏。またの機会にここでの素晴らしい演奏、観客達についてお話する機会を持ちたいほどの感動がここでの演奏会にありました。
さて、ザルツブルグ・モーツァルトさまの生家で、私の当初の目的であるモーツァルトさまへの感謝お祈りを、一人静かに捧げようとしているところに、「浅川さ~ん、明日一日フリーだからタクシーチャーターしてハルシュタットの方にでも行きません?」と、同行者の方々の声で我に返り、即座に、皆の希望を取り、明日のスケジュールを書き始めた自分は、何と面白い人生を送っているのだろうと気づいた瞬間でもありました。
モーツァルトさま、次回改めて、ゆっくりとお礼に伺います。
日々の思い
「ただ今 食育 奮闘中!」
県教育庁健康教育課長 佐藤 晃(さとう あきら)
我が家は、4世代9人(私と妻、私の両親、長女、長男夫婦と孫2人)が同居する大家族です。
たいへんお恥ずかしい話ですが、我が子3人の子育ては、妻や父母に任せっきりで、子どもが誕生した時の感動は覚えていますが、日々の成長の記憶がなく、気が付けば小学生になっていたというのが実感で、家庭を顧みない所行に対しては、今もって弾劾され続けている始末です。
こうした反省とともに、学校現場や教育機関において、健康教育に関わる職務に携わったことから、同居人である1歳半と3歳になる2人の孫の養育に関しては、並々ならぬ思いがあります。
ある日、保育士を務めている嫁から、孫の養育に当たり、掟が示されました。虫歯にしないために口へのキス、口移しはしないこと、大人が使った箸で食べ物を与えないこと、食事やおやつを与えた人は歯磨きをさせることなどです。この掟が功を奏してか、現在のところ孫2人の歯は、真っ白で虫歯はありません。内心ほっとしています。
ところで、前出の猛省により、家庭内で与えられた私の役割は、孫の風呂入れ、朝のゴミ出し、日曜日の料理当番です。職業柄、食育については、課題意識を持ち、いかにバランスよく、楽しく食べさせるかを探究しています。孫たちは、成長とともにお菓子やジュースの味を覚え、それらを求めて、曾祖父母がいる「お菓子の部屋」に自ら入ります。お菓子で満腹になり、用意した食事が食べられない孫の様子を目の当たりにし、お菓子よりも魅力的な食事、不機嫌な子どもが笑顔になる「ワンプレートお子様ランチ」づくりを決意し、現在、奮闘しているところです。
写真でお見せできないのが残念ですが、アンパンマン好きの2人のために先日、オムライスを作りました。ケチャップで描いたアンパンマンは、かなりゆがんでいましたが、孫たちは、喜んで食べました。食後、3歳の孫からの「じぃじ、アンパンマンつくってくれてありがとう」の言葉に、この上ない喜びを感じました。
今、孫たちは、庭のプランターでラディッシュとミニトマトを栽培中です。毎日、水をあげ観察し、「花が咲いたよ」「実がついたよ」と報告してくれます。次は、これらを食材においしい料理をつくりたいとレシピを思案中です。
食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるべきものです。子どもたちの健全な心と体、豊かな人間性を育むため、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を自覚し、相互の連携を深め、食育を推進していきましょう。
お薦めの一冊コーナー
このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。
『会津執権の栄誉』 佐藤 巖太郎/著文藝春秋2017
相次ぐ当主の早世、跡目争いによる家中の軋轢、領外からは迫る伊達政宗の脅威。戦国末期の南東北を舞台に、芦名家の家臣たちを中心とした人々の姿が描かれています。
著者は1962年福島市生まれ。単行本デビューとなった本作は、『オール讀物』掲載に書き下ろしを追加した連作短編集です。第157回直木三十五賞候補作。
福島県立図書館
→https://www.library.fks.ed.jp
読者投稿欄「みんなの学舎」
「ラウンドテーブルにようこそ」
福島大学人間発達文化研究科 特任教授 齋藤 幸男(さいとう ゆきお)
A先生は、初めてラウンドテーブルに参加して、「本当に良かったです。高校の数学教師になって13年になりますが、小中の先生、教員を目指している現役学生や大学教授から様々な視点で報告に意見をいただき、自分の新たな視界が広がりました」と、ふり返っています。
ラウンドテーブルは、年代も校種や職種も異なる6人程度で1つのテーブルを囲み、ファシリテータと報告者、聴き手として、実践の長い歩み、そのプロセスをじっくりと語り、聴き合い、互いに問いを深める時間と空間を共有し合います。
A先生は誘われて参加したのですが、始まる直前まで話題がかみ合わないのではないか、深まらないのではないかという不安がありました。しかし、報告では、聴き手に分かるように話そうとし、聴き手からの多様な質問や意見に応えていく中で課題が整理でき次の方策が見えてきたそうです。聴き手になると、報告の展開から自分の実践をふり返り応答する中から自身の成長と歩みを問い直し、視野が広がり新たな展望が生まれたといいます。終了後はテーブルを囲んだメンバーと言葉をかわし、3時間があっという間に過ぎたといって笑顔で帰られました。
4月から、本学教職大学院がスタートしました。学習指導要領が改訂され、「主体的・対話的で深い学び」の授業づくりが始まります。ラウンドテーブルは、教師自らが多様な視点で実践を省察するアクティブラーニングの場であり、成果だけでなく課題や悩みを共有し合う学び続ける教師コミュニティの場でもあります。教職大学院の発足に伴い、大学院生の報告の場ともなりました。
これからのふくしまの教育の創造は、教師、学生、研究者、県民の皆さま等教育に関わる方々がテーブルを囲み、ふくしまで学ぶ子どもたちが思う存分学び、希望を奏で、夢を実現できる教室、学校園、地域を語り合う中から生まれてきます。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。
福島大学教職大学院
→ http://hdc.educ.fukushima-u.ac.jp/news/2071.html
「こんにちは!各所館です」
先月から始まりました「こんにちは!各所館です」は、福島県教育委員会が所管する各教育事務所及び各所・各館の取組みを紹介するコーナーです。
『県中教育事務所』編
今年度、県中教育事務所では、「子どもの『ゆめ』 保護者の願いがかなう教育の推進」を組織目標とし、域内市町村教育委員会と連携を図りながら、教職員の支援を行っています。
児童生徒のために日々ご尽力している先生方の力になるために、学校教育課では、昨年度の要請訪問の成果と課題をふまえ、「平成29年度 県中教育事務所 学校教育指導の重点(全体構想図)」を作成しました。今年度は、「『夢』や『希望』を実現する学校教育」をスローガンに掲げ、教職員の資質・能力の向上を図るとともに、児童生徒の確かな学力、豊かな心、そして健やかな体を育むための方策を実践していきます。
この資料は県中教育事務所のHPからダウンロードすることができますので、詳しくはそちらをご覧ください。その他に、管理担当、社会教育担当、総務担当からも、県中域内の教育活動に関わる情報をアップロードしておりますので、ぜひご覧ください。
県中教育事務所ホームページ
→ http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70210a/
お知らせ
横断歩道で見かけた小学生の3人組。右端の子がランドセルを背負いながら小脇にもう一つランドセルを抱えています。じゃんけんで負けたのかなと思いつつ、よく見ると、真ん中の子の右腕にはギプスが・・・。ランドセルは、けがをしたお友だちのものでした。早く治りますように!
さて、ここからはお知らせコーナーです。
県教育委員会からのお知らせ
「第5回 特別支援学校作業技能大会」~夢に向かって テクノチャレンジ2017~開催
特別支援学校高等部卒業生の企業等への就職状況が厳しい状況にあることから、雇用促進に向けた取り組みとして、学習成果の発表や外部専門家からの客観的な評価を受けることを目的とした「特別支援学校作業技能大会」を平成25年度より開催しています。
今回は、作業技能検定部門に新たに「店舗販売」の種目を加え、近年雇用ニーズが多くなっている「サービス業」に対応する学習の充実に努めています。
ぜひ会場にお越しいただき、生徒が進路実現を目指し挑戦している姿をご覧いただくとともに、あたたかい応援をお願いします。
開催日:平成29年8月9日(水曜日)
会場:ビッグパレットふくしま
内容:作業技能検定部門:ビルクリーニング・喫茶接遇サービス・PCデータ入力・(新)店舗販売
作業製品品評部門:作業学習等で製作した作業製品の展示及び紹介
デモンストレーション部門:視覚支援学校生徒によるあんまマッサージの施術体験
県教育庁特別支援教育課
→ http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70058a/
「ふくしま子ども宣言」作文コンクール(小学6年生対象)~テーマ「友だちや家族を大切にする」~
東日本大震災から6年が経ちました。未来に向けて着実に歩みを進める私たちですが、復興の過程でこれまで以上に「友だち」や「家族」の存在を実感することが増えました。
そこで、県教育委員会では「友だちや家族を大切にする」をテーマとして、作文コンクールを実施します。このテーマは、福島県の子どもたちが作った「ふくしま子ども憲章」の一項目にも設定されています。ぜひこの機会に、友だちの存在、家族への想いについて心が動かされた経験を教えてください。たくさんのご応募をお待ちしています。
県教育庁教育総務課 024-521-7759
→広報・広聴のページ
「モラル・エッセイ」コンテスト(中・高校生・一般対象)~あなたの心温まる体験談・すてきなエピソードをお聞かせください!~
普段の生活の中で、家族、友達、学校や地域のさまざまな人々とのふれあいを通して感じた心温まる話、あなたが体験したちょっといい話、今伝えたいメッセージなどを聞かせてもらえませんか。
きっと同じ思いをした人がいることと思います。
義務教育課 024-521-7774
→ 道徳教育・人権教育関係のページはこちら
「ジャーナリストスクール開催事業」新聞発表会参観者募集中!
「ジャーナリストスクール開催事業」では、特別講師としてテレビ番組等で活躍中のジャーナリスト、池上彰先生をお招きし、新聞発表会を実施します。
小学5年生から高校3年生までの受講生が作った新聞の発表に対し、池上先生からの講評をいただきます。
ふくしまの魅力ある方々を取材した子どもたちの発表と、池上先生のお話をぜひ、聞いてみませんか。
協力取材先
ワンダーファーム、楢葉遠隔技術開発センター、スパリゾートハワイアンズ、アクアマリンふくしま、西芳照氏(サッカー日本代表帯同シェフ)、鈴木猛史氏(チェアスキー)
日時:平成29年8月3日(木曜日)12時30分から14時30分
場所:いわき市生涯学習プラザ 大会議室
参 加 費:無料
申込方法:「氏名・住所・電話番号・参加者名」を明記の上、生涯学習課宛メールまたはFaxでお申し込みください。
メールアドレス shougaigakushuu@pref.fukushima.lg.jp
Fax 024-521-5677
※先着100名で受付いたします。
県企画調整部文化スポーツ局生涯学習課
→ 電話024-521-7784
県立図書館からのお知らせ
[講演会]「福島を知る連続講座(第2回)現存数日本一!ふくしまの算額の魅力」
講師:白岩信博 氏(福島県和算研究保存会事務局長)
日時:7月30日(日曜日)
時間:14時00分から15時30分
場所:福島県立図書館 第一研修室
内容:
江戸時代に花開いた日本独自の数学「和算」。その問題を記した「算額」の奉納が、なぜ明治・大正時代まで続いたのか。その謎と魅力を探ります。
※ワークショップとして「和算」を体験する時間もあります。
親子でも楽しめます。(入場無料、事前申し込み不要)
県立図書館
→ 企画管理部 電話024-535-3220
編集後記
先日、「いわき志塾」にお邪魔してきました。これは、いわき市内のリーダーの卵(中学生)が学校を越えて一堂に会して、第一線で活躍するプロフェッショナルからその哲学や生き方について講話を聴き、グループでのワークショップを通じて、自らの将来について仲間と一緒に考えるプログラムです(いわき市教育委員会主催)。
年9回にわたって、様々な分野の講師たちが登場して、熱く子どもたちと議論します。学校の外でないとできない仕掛けに溢れた、素晴らしい取組です。今年度第1回目の会に、私も僭越ながら講師として呼んでいただき、「志」について子どもたちと一緒に考えてきました!
議論の過程で、「夢」と「志」は何が違うのかという切り口で、子どもたちに投げかけ、意見交換してみました。辞書を引いても必ずしも判然としません。私見ですが、夢というと、プロ野球選手やケーキ屋さんになりたいといった、自分の将来の職業への願望である場合が多いのですが、志は「自分ではない誰かのために」という観点があると思うのです。地域のために、お客さんのために、家族のために…などなど。
このことを考える上で、子どもたちには「2人の石切り職人」というヨーロッパの寓話も紹介しました。
[ある旅人が、建設現場で働く石切り職人に、何をしているか尋ねた。ある職人は応えた。「このいまいましい石を、ひたすら切っているのさ」と。旅人は同じ質問を、別の職人に尋ねた。別の職人は応えた。「人々の安らぎの場となる教会を作っているのです」と。]
この2人の職人は、石を切るという全く同じ仕事に従事しています。2人の仕事そのものよりも、その先にある「自分ではない誰かのために」があるかどうかが、仕事の価値を決めると思うのです。
国家や社会・政治・経済を左右するような影響力の大きな仕事に就くことが志なのではなく、「その仕事の彼方に何を見据えているのか」、「誰のために、何のためにその仕事をするのか」を確立することこそ、志なのではないでしょうか。さすがいわき生徒会長サミットの子どもたち、しっかりこの話についてきてくれました。
我々教育委員会の仕事は、華やかな学校と比べると行政的で地味な仕事が多いです。ただ、一つ一つの作業の向こう側に、「子どもたちのために」を持つことで、愛おしい尊い仕事に思えてくるのです。
「福島の子どもたち・学校のために」全力で働くこと。これが福島県教育委員会に勤める私の志です。
教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)