令和5年度第3回廃炉安全確保県民会議(現地調査)
開催結果
令和5年度第3回廃炉安全確保県民会議
令和5年10月19日(火)、令和5年度第3回福島県原子力発電所の廃炉に関する安全確保県民会議(略称:廃炉安全確保県民会議)において、東京電力福島第一原子力発電所の現地調査を実施しました。
◆概要
福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の進捗を直接確認するため、現地調査(調査箇所:原子炉建屋外観、海洋放出設備(俯瞰)、ALPS処理水サンプル等)を実施しました。
構成員からは、処理水海洋放出について緊張感をもった対応を求める意見や、建屋内の汚泥についての質問が出されました。
◆議長まとめ
○ 現地調査は大切な機会である。できるだけ多くの方に見てもらえるような機会を作ってほしい。様々な立場の方にも見ていただくように工夫していただきたい。
○ 廃炉には長い時間がかかる。今後、燃料デブリの取り出しなど難しい課題がある中で県民会議の使命は、県民の目となり耳となり、東京電力に対し意見を申し上げていくことである。県民会議も緊張感をもって取り組んでいきたい。
質疑応答
【処理水に関する質問】
Q1:処理水の放出は次年度以降どのくらいのペースで行う予定なのか。
A1:風評影響を最大限抑制するため、一度に大量に放出しない方針で進めている。2051年までに少なくともタンク類は全て片付いているというのが、廃止措置完了の一つの条件だと考えているので、2051年までの期間を最大限利用し、少しずつ放出していくことを計画している。
毎年年度末までには翌年度の放出計画をお示ししたい。タンクをどのように減らしていくのか、タンクの解体、敷地の転用の計画についてもお話できるように進めていきたい。
また、今の段階では、一つ一つをしっかり行い、東京電力への信頼を高めてくことが重要と考えている。
Q2:理解を進めるためには、関係者だけでなく、一般の方、国内外の方に福島第一原発に来ていただき現場を見ていただくことが必要。
A2:多くの方に視察していただくことは大変重要である。
ブルーデッキ(1~4号機側)に行って帰ってくる40分位のショートコースを設定し、1日に2回(午前・午後)視察対応ができるような取組をスタートした。
ホープツーリズムによる、旅行会社を通じての視察の受け入れも行っている。
直接の視察だけではなく、オンライン視察などの取組を行っているところであり、いろいろな人に見てもらえるような工夫を引き続きやっていきたい。
Q3:ALPS処理水の海洋放出について、今のところ県内の中小企業者から風評被害の話は出ていないが、今後も適切に運用し、緊張感を持って対応してもらいたい。
A3:時間が経つにつれ、緊張感が途切れがちになるのが人間としての性である。
30年という長期間にわたる取組であり、業務引継のみならず、責任感を含めて引き継げるような教育をしっかりやっていく。
Q4:ALPS処理水の放出によって自然環境が変わったと言われないように、注意してやっていただきたい。
A4:モニタリングについて、海水だけでなく海洋生物についても実施している。しっかり見ていきたい。
Q5:緊急遮断弁について、配管内の処理水はどうなるのか。
A5:緊急遮断弁は緊急遮断弁1と緊急遮断弁2の2つがあり、異常があった場合は緊急停止の信号が自動で入り、緊急遮断弁も自動で閉まるようになっている。配管に対して、いずれも直列に繋がっているので、どちらか一方が閉まらない場合も、残りの一方が閉まり、放出が止まる。
緊急遮断弁2については、閉まる速度が速いので、閉まった際の配管内の圧力を逃がすため処理水を排出する造り(三方弁)になっている。排出された処理水を受けるためのタンクが設置されており、環境中に漏らすことはない。
Q6:汚染水を浄化処理する際のフィルター(ALPS等の吸着塔)について、今後もどんどん増えていくが、減容化の構想などについて伺いたい。
A6:フィルター類については、現状は屋外に保管しているが、水分を無くして固形化する作業に向けて検討を進めているところ。
廃棄物については、2028年度いっぱいまでに全て屋内保管にできるよう取り組みを進めていきたい。
1号機周辺について、空間線量が下がってきているが、ガレキの撤去が一番効果があったと思っている。発電所構内を片づけていくことで、空間線量も下げていけるんだろうと思っている。
【汚泥処理に関する質問】
Q7:汚泥処理についての現状と今後の取組の見通しを教えてほしい。
A7:事故の直後に、放射性物質を吸着するために使った樹脂やゼオライト土嚢について、取り出すための計画を立てているところ。
また、汚染水の発生量を減らすためには地下水の水位を下げる必要があるが、そのためには建屋内の水についても水位を下げる必要がある。
建屋内には線量の高い汚泥がたまっていると思われ、撤去についていずれ考えなければならない。
会議資料次第・配付資料一覧
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