令和元年10月 プラントパラメータ
東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の中央操作室にて、現地駐在職員が自らプラントパラメータを日々記録し、プラントの状態を確認しています。
主要プラントパラメータグラフ(令和元年10月)
原子炉圧力容器内温度
原子炉圧力容器は核燃料や炉内構造物を収める円柱形の鋼鉄の容器で、1~3号機では、炉心にあった核燃料が溶融し、圧力容器底部や格納容器に溶け落ちていることから、福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画(以下、実施計画)では、原子炉圧力容器底部温度が80度以下であることが求められています。そのため、常時、冷却水を注入して冷却しています。
原子炉格納容器内温度
原子炉格納容器は事故時の放射性物質放出に対する障壁の一つで、事故時に燃料の一部が原子炉格納容器に溶け落ちていることを考慮し、全体的に著しい温度上昇傾向がないことを確認しています。
原子炉格納容器内キセノン濃度
核燃料であるウランが核分裂する際にキセノンが発生することから、定常的に核分裂が発生していないことを確認する指標として原子炉格納容器内のキセノン濃度を監視しています。実施計画では1ベクレル/立方センチメートル以下であることが求められています。なお、1号機のキセノン濃度については、モニタの感度が高いことからウランの自発核分裂による低いレベルのキセノンが検出されています。
原子炉格納容器内水素濃度
燃料デブリ等の強い放射線により冷却水の一部が分解されて水素が発生します。水素爆発の発生を防止するため、原子炉格納容器内に窒素を注入するとともに、水素濃度の監視も行っています。実施計画では格納容器内水素濃度が2.5vol%以下になるように求められています。
使用済燃料プール水温度
原子炉建屋最上階に位置する使用済燃料プール水温を示しています。1号機には292体、2号機には587体、3号機には514体の使用済燃料が保管されています。使用済燃料から発生する熱を除去するため使用済燃料プールの水は常時循環冷却されており、制限値は1号機が60度、2号機から3号機が65度となっています。
※10月15日から10月24日まで1号機燃料デブリ冷却状況確認試験のため、次のとおり、原子炉注水量を低減しています。
・10月15日 3.0㎥/h→0.0㎥/h
・10月17日 0.0㎥/h→1.5㎥/h
・10月21日 1.6㎥/h→2.1㎥/h
・10月23日 2.1㎥/h→2.5㎥/h
・10月24日 2.5㎥/h→3.0㎥/h
そのため、1号機原子炉圧力容器内温度及び原子炉格納容器内温度が若干上昇していますが、事前の予測範囲内での変化となっております。
※計器の点検等により一部データが欠測している場合があります。
※原子炉圧力容器内温度、原子炉格納容器内温度、使用済燃料プール水温度は気温の変動により指示値に若干の変動があります。
※使用済燃料プール水温度は冷却系の点検・停止等により、温度の変動がある場合がありますが、制限値を満足するように管理されています。