会津地方08(只見町):祝!ユネスコエコパーク登録(ハマナカアイヅ)
自然首都・只見町には、田子倉ダムという堰堤があります。
田子倉ダムは、日本有数な規模を誇る発電用ダムで、それに付設されている田子倉発電所は日本第2位の出力のある水力発電所でもあります。
田子倉ダムの堰の上に立つと、自然が織り成す絶景と人が創りだした絶景が目の前に広がります。
でも、ちょっぴり複雑な気持ちでいます。
初めて訪れた田子倉ダムですが、その存在は割りと以前から知っていました。
前の記事にも触れましたが、福島県の会津地方と新潟を結ぶローカル線「JR只見線」があります。
沿線の絶景はさながら、列車以外に到達手段はなく、そのうえ停車本数が少ないゆえに一部では「秘境駅」と呼ばれる駅が存在しています。
かつて、「田子倉駅」は「秘境駅ランキング」では常に上位を占めしていました。
鉄道好きな私は、福島県の国際交流員になる前から、一度行ってみたかったです。
しかし、2013年3月駅の廃止が発表され、その夢は叶えませんでした。
田子倉ダムの建設によって、湖の底に沈没せざるを得ない集落がありました。
田子倉ダム建設の真っ只中、只見町に映画館などの娯楽施設は随所ありました。
ダム建設作業員、及びそれを支える飲食店関係の人々を含めた人口は3万人を超えていました。
あれから半世紀が経ちました。
田子倉ダムへのアクセスは車のみとなりました。
ダムの完成に伴い建設関係が去り、町の人口は4600人まで減りました。(2014年5月現在)
廃止直前までのデータによると、田子倉駅の日平均利用者がたったの一人となりました。
いくら「秘境駅」として有名とはいえ、駅の廃止を止めることはできませんでした。
追い打ちかのように、暴雨で鉄道橋が流出され、只見駅⇔会津川口駅の区間は今もなお再開のめどが立たないままでいます。
なんとも運命的でしょう。
――あるものの誕生は、常にあるもの消失に伴ってます。
「満れば欠けるは世の習い」。
日本語のこの諺は、実に奥深いものです。
高度な経済発展を支えるため、莫大なエネルギーが必要でした。
その需要を賄うほど巨大な尽力と財力が動かされました。
幾多の農村は、時代の波に巻き込まれていました。
時には繁栄を、
時には凋零を持たすこともありました。
一外来者としては、それを謳歌することも、それを罵倒することもできません。
ただただ、あの時代で必死に生きようして、
時には大きな犠牲を払った人や町に大きな敬意を払います。
田子倉ダムの堰の上に立つと、自然が織り成す絶景と人が創りだした絶景が目の前に広がります。
――あなたは、時代の風を感じましたか。
追記:
奇しくも、この記事を書く日に、只見町のユネスコエコパークへの登録は正式に決定されました!これをきっかけに、町に活気に溢れ、国道289号線の「八十里越」の全線開通やJR只見線の復旧復興が早期実現につながるといいですね!
(投稿者:徐)