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会津地方07(会津金山町&只見町):「住民の足」を無くさないように(ハマナカアイヅ)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年6月12日更新

 2枚の写真を見比べてみましょう。
只見線の列車車両 只見線の代行バス

 一見まったく異なる乗り物のように見えるが、実は広い意味では、両者とも「JR只見線」の車両なのだ。
 JR会津川口駅(会津金山町)と只見駅(只見町)では、両種の車両の乗り換えは可能です。
会津川口駅 只見駅

 しかし、これは決して喜ばしいことではありません。

 もともと一本の線路だった只見線は、2011年7月の新潟・福島豪雨で深刻な被害を受けました。
 暴雨で只見川の水位が急増し、氾濫に及びました。
 只見川の流れを縫って走る只見線は、三つの橋梁が流失し、会津川口~只見駅間の列車運行は不通となりました。

 代行バスに乗り込み、只見駅を目指します。
 車窓から奥会津の新緑を眺めると、長時間移動も癒してくれますが、終始こんな遠足気分ではいられませんでした。
 暴雨からおよそ3年の歳月が経ち、只見川沿いではところどころ復旧工事の現場が見られています。

 ただ、鉄道橋梁の跡は、3年前のままでした。
 一度見れば、誰もがため息を吐くほど、悲惨な状態でした。
只見川沿線の復旧工事 流失した鉄道橋の跡

 只見線の復旧は、85億円の費用及び4年以上の工期が必要と言われています。
 残念ながら、資金集めの難航によって、不通区間は今もなお復旧のメドが立っていません。

 運転士さんに代行バスの利用状況について聞きました。

 彼女の話によると、平日の利用者は金山町の役場で務める方がほとんどで、一日あたり20~30人で平日の日中は空走することも珍しくありません。
 しかし、沿線の集落の高齢化が進んでおり、加えて日本有数の豪雪地帯のため、自分自身の運転ができなくなったお年寄りたちが病院に通う手段は代行バスのみになりました。
 地元住民の「足」はなくしてはなりません。たとえ不通区間は廃線になっても、なんとしても代行バスを残してほしいと運転士さんは語りました。
代行バスの運転士 豪雪地帯を象徴する道路指示

 今までは、私はひとりの鉄道愛好者として、利用者が少ないローカル線を気持ちよく乗って景色を楽しんでいました。自分のなかでは、どこか「鉄道は私を必要としている」と思いました。

 しかし、これはまったく意味のない自慢に過ぎません。
 「鉄道が必要している」のは、日頃より利用する「乗客」、すなわち「鉄道を必要としている」人たちなのです。
 代行バスに乗って、沿線住民たちの「足」の不便さを身をもって感じました。
 一日も早く、只見線の全線再開通を心よりお祈り申しあげます。

(投稿者:徐)

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