会津地方16(猪苗代町):観音寺川の桜並木(ハマナカアイヅ)
4月下旬の福島県は、中通りと浜通りはとうに桜のシーズンが過ぎましたが、先日から続いていた雨のせいで、梅雨空を彷彿させてくれます。幸いなことに、会津地方のさくらはまだまだこれから先なので、花見を楽しめるところはまだまだたくさんあります。
猪苗代町にある観音寺川の桜並木は、絶好な花見スポットのひとつです。
これまで、何度か観光パンフレットで観音寺川の桜並木の写真を目の当たりにしたが、見る度に現実離れの景色に心を奪われました。ただ、例年だと観音寺川のさくらはゴールデンウィーク中に満開を迎えるため、人だかりがに遠慮しがちの僕は行けないまま、今日に至りました。
こんな僕には今年に朗報が届きました。今年の桜前線は例年より一週間ほど早く北上するため、観音寺川の桜並木はゴールデンウィーク前にしてすでに満開を迎えました。行くなら、「今でしょ!」
実際に行ってみたら、宣伝資料通りの景色と程よい賑やかさに、思わずほっとしました。県内の多くのスポットと同じく、観光の名所にもかかわらず、ここは決して「広大」なわけではありません――正直なところ、スポットというより、ここは地元住民の生活の一部です。
だからこそ、すぐ近くにJRの駅があるのに、駐車場のスペースは必要な分だけの保有台数しかありませんでした。駅前通りは昭和の残りが漂う中、商店街は若干寂れた感じがします。それでも、桜の並木を一目見ようと、地元や遠方から来られた人たちで再び賑わいました。
駅から観音寺川までは徒歩3分の距離なので、目立った観光案内板こそありませんでしたが、人の後ろに付いて行けば、誰もが猪苗代町のユートピアにたどり着くことができます。これまで、日本でさくらの花見はたくさんしましたが、それでも見飽きることなく、毎年楽しみ続けてきました。さくらは、満開まで必要とする日時は長いものの、散りゆく頃の儚さと可憐さは見る人すべての心を掴んでくれます。古来の文学作品においてはさくらを謳う作品が輩出しており、男女が互いに慕い合うことを指す「落花流水」(らっかりゅうすい)はありますが、目の前に広がる観音寺川の光景は正しくこの言葉通りだと思います。
観音寺川の桜並木を楽しむ人は、みんな穏やかな気持の持ち主だと思います。カメラマンによる場所取りもなければ、三角の乱立もない。コンデジカメラを片手にすれば、シャッターを切る度にいい写真の出来上がりだ。特に遠くにそびえ立つ磐梯山と目の前の桜並木と相まって、春爛漫の雰因気は最高です。
30分もあれば、観音寺川のさくら並木を一周することができます。短いと言えば短く感じますが、その味わいが深く、そして長く記憶に残るのは間違いありません。
来年のゴールデンウィークは、ぜひ一度観音寺川の桜並木をご覧に来てくださいね。
(投稿者:徐)