配管の凍結による漏えい防止に対する申し入れ

　福島第一原子力発電所において、屋外配管接続部その他多くの箇所において凍結が原因とみられる放射性物質等を含んだ水の漏えいが多発していることを受け、抜本的な凍結防止対策の実施について、下記により、東京電力(株)に対して申し入れを行いました。

事象の概要

　平成24年1月28日、東京電力(株)より、福島第一原子力発電所において、10時29分頃、原子炉注水用の常用高台ポンプ(B)近くのベント弁より放射性物質を含んだ水が漏えいしていることを確認したことについて、原子力災害対策特別措置法に基づく通報連絡がありました。

　その後も、蒸発濃縮装置や、淡水化装置等の付近の屋外配管接続部その他の多くの箇所から、原子力発電所構外への流出は無いものの、凍結が原因とみられる放射性物質を含んだ水の漏えい及び亀裂が確認されたとの通報連絡がありました。(配管接続部等の凍結による漏えいもしくは亀裂確認については平成24年1月31日9時時点で合計22件確認されています。

　⇒県が受けた通報連絡一覧について(平成24年1月28日～1月31日)[PDF形式／101KB] 

東京電力(株)への申し入れ

1. 日時　平成24年1月31日
2. 概要　小山原子力安全対策課長から、東京電力(株)福島地域支援室副室長に対し、下記のとおり、口頭で申し入れを行いました。

3. 内容
   　東京電力(株)福島第一原子力発電所においては、1月28日から、屋外配管接続部付近等から内部流体の凍結が主たる原因とみられる漏えいが多数発生している。県は、かねてから処理水の漏えい等、仮設設備においてトラブルが繰り返されていることについて懸念を表明してきたが、今般も仮設設備における厳冬期に備えた対応が不十分であったとみられる事態が判明したことは極めて遺憾である。
   　東京電力(株)に対しては、1月29日に類似箇所の点検の強化、抜本的な凍結による漏えい防止対策の早期実施を求めたところであるが、その後も多数の漏えい箇所が確認されていることから、あらためて、迅速かつ適切に対応するよう重ねて申し入れる。

原子力安全・保安院の対応

　原子力安全・保安院は　東京電力(株)から、福島第一原子力発電所の非常用高台炉注水ポンプ付近の配管接続部その他多くの箇所から水が漏えいしていることを発見した旨の報告を受けたことから、安全上重要な設備及び放射性物質を含む水を扱う設備の凍結防止及び放射性物質を含む水の漏えい防止に万全を期すため、下記のとおり指示を行いました。

• 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における非常用高台炉注水ポンプ付近等からの水の漏えいを踏まえた対応について(指示)(平成24年1月30日　原子力安全・保安院)（リンク切れ）

指示内容

1. 　28日、29日及び30日に発生した漏えいについて、内部流体の凍結の可能性も含め原因を究明し、再発防止対策を直ちに実施すること。
2. 　これらの漏えいについて敷地外への流出の有無を確認し、流出の可能性がある場合には、放出量評価を行うこと。
3. 　類似箇所を特定して凍結対策及び漏えい対策を直ちに実施すること。また、外部への漏えい防止のため、直ちに夜間を含め巡視点検等を強化し、漏えいの発生を確認した場合にも適切に対応できるようにすること。
4. 　上述の対策を含めて、現在実施している凍結対策を見直し、2月8日までに今後の凍結対策の計画を提出すること。特に、原子炉注水系設備など安全上重要な設備については、仮設建屋の設置などの抜本的な凍結対策を速やかに検討し、実施すること。

　その後、原子力安全・保安院は、東京電力(株)から上記指示に関して、原因及び再発防止対策についての報告書を受領しました。

　原子力安全・保安院では、報告の内容については、漏えいの要因分析を行った上で、凍結防止として有効な対策を立案し、安全性の観点から優先順位をつけて、実施していることを確認したとしています。なお、今後は、報告内容に沿って速やかに対策を実施することを東京電力に対して求めるとともに、現地の原子力保安検査官により対策が着実に進められることを確認していくとしています。

• 東京電力福島第一原子力発電所における非常用高台炉注水ポンプ付近等からの水の漏えいに係る報告の受領について(平成24年2月10日　原子力安全・保安院)（リンク切れ）