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中小企業経営革新計画 具体的事例3

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年10月1日更新

商品の新たな生産又は販売の方式の導入

事例1

食品加工業者のA社については、平成7年のPL法の施行、平成8年のO-157による食中毒の全国的発生等を契機に、衛生・品質管理の徹底が求められ、昨今は得意先からも強い要請を受けるようになっていた。
このため、製品のトラブルの発生を防ぎ、消費者、取引先からの信頼を獲得する目的で、新しい品質管理のシステムである「危害分析・重要管理点方式」(HACCP)の導入を行い、同業他社との差別化、競争力の向上を図っている。
従来の管理方法は、製品が完成した段階で、任意のロットから一定量のサンプルを抽出し、安全性に問題のある製品の出荷を防止してきた。
これに対し、HACCP導入後は、「重点管理点」を特定し、これを厳重に管理することにより(A社は工程ごとに管理されるよう抗菌性の壁を設置し区分した)、危害発生の原因そのものを排除した。
HACCP導入により、常に一定レベルの安全性を維持できるようになり、第三者に対しても安全性を科学的根拠で示すことが可能となるなど、経営面の向上に繋がっている。

事例2

金属製屋根工事業者のM社は、技術的にもコスト的にも製造困難といわれていたアルミ合金の押出し形材による屋根パネルの開発に成功した。
従来のアルミ屋根パネルは、他の金属製の屋根材に比べ、軽量で耐久性に優れている半面、コスト高であり、また、焼付塗装した厚さ0.7mm前後のアルミロール材をフオーミング成形しているため、強度や施工時の塗装の剥離問題があった。
同社が開発した製品の特徴は、従来のロール成形法による金属屋根材に比べ、強度、耐風圧性、施工性に優れている点にある。
また、デザイン性に優れ、電解着色のため自然な色調で高級感を演出しやすく、退色が少ないのも特徴の一つである。
近年、公共建築物において、従来の陸屋根に代わり、町並みや景観に配慮した勾配屋根の採用が目立ちはじめているが、同社の製品は耐風圧性、デザイン性等の優れた特徴が評価されて公共建築物の勾配屋根や高級住宅向けに採用が増えており、受注も増加している。

事例3

女性向けユニフォームメーカーのA社は、営業マンによる訪問営業を廃止し、電話・FAXを活用した受注方式を導入して販売効率を高めている。
従来同社では、原型パターンのサイズ展開や型紙レイアウトといった裁断前工程はもとより、生地の裁断、縫製まで製造工程のほとんどを手作業で行っていた。
このため、多品種小ロットの注文が増加する中で受注品目、ロットによって納期が一定せず、得意先からの引き合いに対しては営業マンが打合せのため訪問する必要が生じ、非効率な販売活動を余儀なくされていた。
販売効率を高め、安定した受注を確保していくためには、クイックレスポンスと納期保証が不可欠と判断した同社では、CAD/CAMと自動裁断システムを導入し、受注から2週間で納品できる多品種少量生産体制を整えた。
販売効率の阻害要因となっていたこの生産体制の整備により納期短縮と納期保証が確保できたことで、得意先からの問合せや注文にも電話やFAXで対応できるようになり、販売経費の大幅なコストダウンを実現している。

事例4

地方都市の郊外で中小スーパー3店舗を展開するC社は、大型スーパーの進出により大幅な売上減少に見舞われた。
そこで、同社では、エリア内に1人暮らしの高齢者が多いこと、高齢化が進む中で将来的にも市場の拡大が見込まれること等に着目し、移動販売車2台による巡回販売を始め、大型スーパーに対抗している。
移動販売車という限られたスペースを有効に活用するため、扱い商品は、生鮮三品のほかに自社の売れ筋情報から購買頻度の比較的高い食品に絞り込んでいるのが特徴。
品揃えしていない商品についても、自社店舗から宅配便を使ってデリバリーする仕組みを作り顧客の利便を図っている。
車での移動手段を持たない高齢者や、足腰が弱く日常の買い物にも不自由していた高齢者からの支持を受けて、移動販売による売上は好調を続けており、大型スーパーの進出で落ち込んでいた売上をカバーして収益回復を果たしている。

事例5

弁当製造業者のF社は、ターゲットを大手系列外の中小スーパーやコンビニエンスストアーに絞り込んで営業展開している。
同社では、弁当の一般的な販売形態である買切り制に代えて委託販売方式を導入、取引先の売れ残りリスクを同社が肩代わりすることをセールスポイントにして新規取引先を増やしている。
委託販売方式導入における最大の課題は、売れ残りロスの把握が難しく、採算管理が徹底しにくい点である。
同社ではコンピュータを導入して毎日の天候はもとより、全取引先の店舗ごとに、商品アイテム別の販売・返品数量、売上金額、採算等をデータベース化することでこの課題を解決している。
取引先からの注文に対しては、これらのデータに基づいて独自に販売見通しや採算を検討したうえで納入数量を決定するなど、返品によるロスを最小限に止めており、また、リスクを同社が負担している分言い値も通りやすいことも採算確保の一因となっており、取引先数の増加とも相俟って高い成長を続けている。

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