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個別Q&A10-(3)整理解雇

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年3月27日更新

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整理解雇

質問

  私の会社では業績が悪化してきたことから、社員2名を解雇することにしたところ、当該社員から解雇の前に社長の給与を減らすべきだと言われました。
 会社の経営を安定させるため、役員報酬のカットは行わず、適正な人員にしたいと考えていますが、今回のような整理解雇はできますか。

答え

 解雇回避の努力を尽くした上でなければ、整理解雇はできません。

解説

1.整理解雇とは

 整理解雇とは、使用者が不況や経営難などの経営事情により生じた人員削減の必要性に基づき、労働者を解雇することです。
 整理解雇について、合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ解雇が無効となる解雇権濫用法理が厳格に適用されます。

2.整理解雇の4要件

 整理解雇を行うためには、過去の裁判例等では概ね次の4つの判断基準(4要件又は4要素という。)を満たすことが必要とされています。

(1)人員削減の必要性が存すること
 高度の経営上の困難やその他の企業経営上やむを得ない理由など、整理解雇がやむを得ないものと認められることが必要です。したがって、使用者が人員削減の後に多数の新規採用や大幅な賃上げなど明らかに矛盾する行動をとった場合には、人員削減の必要性が存しないと判断される場合もあります。
(2)解雇回避努力を尽くしたこと
 希望退職の募集などの解雇を回避するための努力を尽くしたと認められることが必要です。
(3)被解雇者選定の合理性があること
 被解雇者の選定に当たり、客観的で合理的な選定基準を事前に設定し、公正に適用することが必要です。
(4)手続の妥当性があること
 使用者は、労働者や労働組合に対して整理解雇の必要性やその内容、被解雇者の選定基準、解雇・退職条件などについて納得を得るよう説明を行い、誠意をもって協議することが必要です。
 特に労働組合との関係においては、労働協約に整理解雇について使用者と協議する旨の規定があれば、十分な協議を経ないで行われた整理解雇は無効となり、そのような規定が無い場合でも団体交渉には誠実に応じなければなりません。

判例

○あさひ保育園事件(最一小判昭和58.10.27 労判427号)
○アイレックス事件(東京高裁平成19.2.21 労判937号)

 

 

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