ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 労働委員会事務局 > 個別Q&A7-(1)労働基準法上の労働時間

個別Q&A7-(1)労働基準法上の労働時間

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年3月29日更新
Q&Aのトップに戻る


労働基準法上の労働時間

質問

 私は警備会社に就職してビルの管理業務に従事しています。
 夜間の宿直の業務があり、仮眠時間が設けられていますが、仮眠時間分の残業代が支払われていません。
 仮眠時間は労働時間に当たらないのでしょうか。

答え

 ご質問の仮眠時間は労働時間に当たると考えられます。

解説

1.労働時間の定義

 労働基準法で規定している労働時間は、休憩時間を除いた実際に労働させている時間(実労働時間)をいいます(同法第32条)。

2.労働時間の判断

仮眠時間
 最高裁の判例においては、実作業に従事していない仮眠時間(不活動仮眠時間)であっても、労働からの解放が保障されていない場合には、使用者の指揮命令下に置かれていると評価できるので、その仮眠時間は労働時間に該当するとされています。
 つまり判断基準は、「労働からの解放が保障されているか否か」にあるといえます。
 ご質問の仮眠時間についても、指示があればすぐに業務を実行できるように待機していた時間であり、労働から解放され、労働者が自由に利用できる時間とはいえないことから、労働時間に当たる可能性が高いです。

(参考)
 判例における労働時間とは、労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間です。使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間も、労働時間とされています。
 実労働時間には現実に作業している時間だけでなく、作業と作業との間の待機時間である手待時間も含まれます。

1.黙示の指示と労働時間

 所定の労働時間内には終了しないような作業を命じられた場合には、明示の指示がなくとも黙示の指示による労働となります。また、労働者が終業時刻以降も就労していることを上司が知って放置している場合も、使用者の指揮監督下にあるとみなされ、黙示の指示による労働となります。

2.労働時間に該当するもの・しないもの
 (1)始業前・終業後の時間
   作業に当たっての作業服、保護具の着用が使用者から義務づけられている場合には、その着用及び
  脱衣のために要する時間は実労働時間に当たります。
  (2)移動時間
   会社と異なるところで作業するとき、始業前後の移動時間については、作業場所が通勤距離内にある
   場合は、労働時間として取り扱いません。作業場所が通勤距離を著しく超えた場所にある場合は、通
   勤時間を差し引いた残りの時間を労働時間として取り扱います。
  なお、労働時間の途中にある移動時間は、労働時間として取り扱います。
  (3)通勤時間
   通勤は、労務提供の前段階に過ぎず、使用者の指揮命令下に入っていないことから、原則として通勤
    時間は労働時間には当たりません。

判例

○三菱重工業長崎造船所事件(最一小判平成12.3.9 労判778号)
○大星ビル管理事件(最一小判平成14.2.28 労判822号)
○大林ファシリティーズ(オークビルサービス)事件(最二小判平成19.10.19 民集61巻7号)
 

 

 

 
 

ページの上部に戻る