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【2016年4月20日(水曜日)】 Vol143

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月26日更新

目次

  • リレーエッセイ
       県教育委員会委員 浅川なおみ(あさかわ なおみ)
  • 日々の思い
       県教育委員会教育長 鈴木 淳一(すずき じゅんいち)
  • 就任のごあいさつ
       教育次長 大沼 博文(おおぬま ひろふみ)
       教育庁参事 熊田  孝(くまだ たかし)
  • お薦めの一冊コーナー
  • 学校自慢コーナー
    • いわき市立平第二中学校
    • 白河市立五箇小学校
    • 福島県立福島北高等学校
  • お知らせ
  • 編集後記
       教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)

リレーエッセイ

「入学式の実情と校歌」
               
県教育委員会委員 浅川 なおみ(あさかわ なおみ)
 
 ピーンと張り詰めた空気。
 体育館の隅々までもが緊張しているかのように思えます。そして始まる入学式典。新入学生、在校生、先生方、保護者、PTA役員、同窓会役員、地元の関係者等、参列者全員が起立して国歌、校歌斉唱の時に、一人だけ椅子に座ることを許されている人を、皆様はご存知でしょうか。

 そうです。式典でピアノを弾く先生です。本当は皆さまと同じく失礼の無いように立っていたいと思うのですが、そうもいきませんので暗黙の了解というところです。

 4月の異動で転任してきたばかりの音楽の先生に、私は一番敬意を表します。クラス担任、学年の仕事、部活動に通学区域の把握、自分の個人的な事情と、他の先生と同じように多忙、タボウ、たぼうの毎日です。
 そんな中、新任校の校歌のメロディーを覚え、中には3番まである校歌の歌詞を覚え、特に新入生に教えられるよう先生自身が覚えるのですから大変です。

 音楽の教員は全てがピアノを専門に大学で学んだ訳では、ありません。現状は「副科でピアノは勉強しました。」という先生が、校歌の伴奏を赴任してから入学式までの短期間に練習して、あの緊張した中で弾かなければならないのです。私は常々、新採用、新任の先生方の入学式典が終わったら、結果はどうあれ拍手を送りたい気持ちにかられます。その努力たるや大変なのです。

 この苦労を誰にも言えず、頑張っている音楽担当教員の実情をお察しください。いや、当日、新入生の氏名を読み上げる担任だって大変、入退場の指導も大変とおっしゃるでしょうが、名前の練習は、夜中でもどこででもできます。
 しかし、音の出るピアノは、置いてある場所で隣近所の迷惑にならぬような時間帯に練習をしなければなりません。すべき優先順位をパパアーっと決めるのです。
 中には、厄介で、弾きづらい伴奏などもあるのですが、頑張るのみです。 「どうしてここでこんな音の移り変わりになるのよ。」と思う曲を見つけるのは、私一人だと思いますが、知らない曲を弾く大変さを知っているからこそなのです。

 戦後の学校には、地元の名士の方々の素晴らしい詞に、音楽の先生がつけたメロディーが沢山残っていました。
 ここで我が母校の校歌自慢をさせていただくと、男女共学になる時に、経済力のある高校は、新しい校歌を作曲家、作詞家に依頼して現代的な合唱曲となっています。
 その点、我が母校は変わりなく100年歌い継がれている自慢の校歌です。校歌にしては珍しく転調をしているあたりが、戦前から続く旧制女学校を思い出させてくれます。

 私、個人の趣味を紹介させていただくと、各校の校歌や市町村民歌に非常に興味があります。教育委員を拝命して1年が過ぎ、その間、たくさんの校歌と出会いました。
 ふたば未来学園高等学校の入学式当日発表となった校歌は、喉から手が出るほど楽譜がほしかった、と今でも悔やまれます。
 また、10月に行われた光南高校創立20周年記念式典においても、小椋佳さんの作曲した校歌に興味深々でした。
 そこで、先日伺った石川養護学校では、学校要覧を先にいただき、裏表紙にある校歌をコピーをして卒業式に臨み、一緒に歌うことで卒業生と共に喜びを味わうことができました。

 さて、今年はどんな校歌と出会えるか楽しみな一年です。

日々の思い

「就任に当たって」

県教育委員会教育長 鈴木 淳一(すずき じゅんいち)


この4月に県教育委員会教育長に就任いたしました鈴木淳一でございます。

皆様方には、児童生徒を取り巻く社会的環境が困難を極める中、各学校や地域の特色を生かしながら、学力向上や生徒指導、心身の健康増進等に、熱心に取り組んでいただいておりますことに、心から感謝申し上げます。

簡単に自己紹介をいたしますが、昭和31年福島市生まれ。
矢吹小学校に入学、醸芳小に転校、笹谷小を卒業。福大附属中学校、福島高等学校を卒業しました。
父の転勤で県内を転々とし、映画「となりのトトロ」のような風景の中で、子供時代を過ごしました。
県職員になってからは総務部が長いのですが、前任は保健福祉部長として医療や福祉を、その前は大震災と原発事故関係の損害賠償や避難者支援の臨時部長をしておりました。

 さて近年、少子化、核家族化、過疎化、地域力の低下など、様々な社会的課題が世の中にあふれ、子供たちも否応なくその影響を受けております。
 学校現場においても、「勉強を教える場」以前の教育環境づくりのところで、大変な御苦労を抱えておられることと拝察いたします。
 さらに、本県の場合、大震災と原子力事故からの復興途上であり、教育の再生という大きな課題に直面している状況にもありまして、そのような中での新制度に基づく初めての教育長ということで、大変な重責を痛感しております。

 教育は、子どもたちの夢や希望を叶え、自己実現を可能にし、ひいては福島県、そして未来の日本を創る重要な役割を担っています。
 その役割を果たしていくためには何が大切か。様々あると思いますが、私は「心が動けば頭も身体も動く。」を念頭に置きたいと思います。
 限りない可能性を秘めた子どもたちが、安心して学びや遊びに集中でき、様々な事象に好奇心や向学心を持ち、心を動かして学ぶことができる環境づくりが重要です。

 「答えは必ず現場にある。」 
 私たち県教育委員会にとって、大切にすべき現場は学校であり、さらには一人一人の児童生徒だと思います。
 子どもたちのため、県民のために何ができるか。
 各校長をはじめ現場の皆様と緊密に連携し、現場からの声や情報を大切にして、課題を共有させていただき、市町村や福祉など関係行政部局、そして地域の皆様など、 学校の外からの応援も含めて、教育環境を充実する観点から、共に考え、共に取り組ませていただきたいと思います。
 時間が作れる限り、学校や地域の皆様のもとへもお伺いして、勉強させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

就任のごあいさつ

教育次長 大沼 博文(おおぬま ひろふみ)

 最近読んだ中で、印象に残った本の紹介から。
 今井むつみ著『学びとは何か』(岩波新書)

 著者は認知科学の研究者です。紙幅の都合上、内容は省略しますが、子どもたちの学びを導く先生方にとって一読の価値大いにありです。
 昨年度まで2年間、皆様に支えていただき、高校教育課長を務めることができました。今年度、教育次長職を担うこととなり、組織規則に定められたその職責の重さに身の引き締まる思いです。
 教員として勤務したこれまでの経験を生かして教育長を補佐し、本県児童生徒の学びの環境づくりに取り組んでまいります。
 よろしくお願いいたします。

就任のごあいさつ

教育庁参事 熊田  孝(くまだ たかし)

 この4月に、知事部局の市町村行政課長から、人事・企画担当の庁参事に就任いたしました熊田孝です。
 教育庁には、以前、猪苗代養護学校の事務長として、学校の現場にも勤務しておりました。約4年半ぶりに教育庁にまいりましたが、教育行政の諸課題に、新たな気持ちで取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

お薦めの一冊コーナー

 このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。

『石垣りん詩集』 伊東比呂美/編 岩波書店 2015

 仕事と生活を往復して家族を養いながら、たぎるような思いを詩に綴り、戦後の女性詩を牽引した石垣りん。本書には、よく知られた彼女の代表作のほか、手書き原稿としてのみ遺された未発表の詩や単行詩集には収録されていない作品33篇が収められています。
 ものごとをじっと見つめ、問い続ける営みから生まれた力強い詩に影響を受ける読者も多いことでしょう。

福島県立図書館
 → http://www.library.fks.ed.jp

学校自慢コーナー

 このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページで紹介していますので、御覧ください。

「NIE実践校として」

 白河市立五箇小学校

 3年生以上で、NIE(Newspaper In Education)の取組を行っています。「教育に新聞を」の訳のとおり、授業や朝の活動に新聞を取り入れ、新聞の見出しや写真、資料等を国語科や社会科の授業で活用したり、世の中の情報を知って自分なりの考えを深めたりしています。

「笑顔の集まる場所」

 いわき市立平第二中学校

 休み時間、教室移動の時、係活動で通りかかった時・・・本校には、生徒も先生もみんなが足を止め、笑顔の集まる場所がある。校長室の前にある掲示板。そこが、みんなの笑顔が集まる場所である。そこには、学校での四季折々の行事や、毎日の授業、何気ない一瞬などで、生徒たちが見せる表情を切り取った写真が掲示されている。
 笑顔の集まる場所・・・そこは、子ども達の輝きが見られる場所であり、生徒にとっては、自分や仲間達の喜びがあふれている場所である。そして、この場所に集いながら、彼らは自分に自信を持ち、また、自分たちのプライドを高め、ひいては母校への優しい愛情につながっていく場所でもある。

「総合学科研究発表会について」

 福島県立福島北高等学校

 総合学科研究発表会は、総合学科での学びの集大成の場です。3年次生は、生徒一人ひとりがテーマを決め、1年間の課題研究に取り組みます。
 主体的に研究に取り組む実践力、研究をまとめる力、プレゼンテーション力などを発揮する校内での発表会により、本校の学習の成果を全生徒で共有しています。

お知らせ

 四月は、桜とともに新しい風が吹く季節ですね。新年度は、どんな出会いがあるのでしょうか。
 さて、ここからは4月のお知らせコーナーです。

福島県教育委員会からのお知らせ

「第6次福島県総合教育計画平成28年度アクションプラン」について

 本県では、平成23年3月に発生した東日本大震災・原子力災害からの復旧・復興や福島県総合計画「ふくしま新生プラン」等への対応を図るため、平成25年3月に第6次福島県総合教育計画を改定し、震災等からの復興・再生に向けて取り組むべき施策を積極的に展開し、計画の推進を図ってきたところです。
 第6次福島県総合教育計画では、その運用に当たり、毎年度重視する観点を定め、これに基づく事業を明らかにすることとしており、これまでの各種施策の成果を踏まえながら、本年度、施策ごとに実施する事業等を体系的に示すものとして「平成28年度アクションプラン」を策定しました。
 これに基づき、未来を担う子どもたちが将来への希望や生きる喜びを実感できるよう、ふくしまの復興・再生に向けたふくしまならではの教育を一層推進してまいります。
 平成28年度アクションプランの詳細は、下記のホームページを御覧ください。

「宇宙教育フォーラム・研修会」

 福島県教育委員会ではJAXA宇宙教育センターが提唱する宇宙教育の理念に基づき、「宇宙航空」を素材とした教育活動を通して、福島県の青少年の宇宙や科学に対する関心を高め、福島県の復興を共に支え、共に歩んでいく人づくりの推進に資することを目的として、連携協定を締結しました。
 そこで、「宇宙教育フォーラム・研修会」を下記の日程で開催します。

  1. 期日 平成28年5月22日(日曜日)10時00分から15時00分
  2. 会場 福島県立美術館・図書館
  3. 主催 福島県教育委員会
  4. 対象者 午前の部 どなたでも参加自由 午後の部 教育関係者限定
  5. 内容 午前の部 記念講演「宇宙と子どもたちの未来」 JAXA名誉教授 的川 泰宣 様
       午後の部 宇宙教育に係る研修会 講師:JAXA職員
  6. その他 参加費は無料ですが、FAXによる事前申込みが必要です。
    詳しくは、義務教育課にお問い合わせください。
義務教育課 024-521-7774
→ http://www.gimu.fks.ed.jp/

会津自然の家からのお知らせ

「春のオープンデー」未来キッズ生き活き事業の併催

 日時:平成28年5月29日(日曜日)9時30分から15時30分
 参加費:無料(バイキング昼食代 希望者500円)
 その他:詳しくは、会津自然の家にお問い合わせください。
                 
会津自然の家 0242-83-2480
→ http://www.aizu-nc.fks.ed.jp/

いわき海浜自然の家からのお知らせ

平成28年度企画事業「春のオープンデー」

 日時:平成28年5月22日(日曜日)
 参加費:無料 ※一部実費負担(クラフト代、食事代)
 その他:詳しくは、いわき海浜自然の家にお問い合わせください。
    
いわき海浜自然の家 0246-32-7700
→ http://www.iwaki-nc.fks.ed.jp/

まほろんからのお知らせ

「ゴールデンウィークまほろんまつり」

 特別企画の「わくわクニイさんの工作教室」では、現在開催中の企画展「縄文土器の年代」にちなんだ「原始模様ペンダントづくり(体験料50円)」ができます。普段は見ることができないまほろんの裏側を体験する「バックヤードツアー」や野外展示の「スタンプラリー」、「こどものための展示解説会」なども行います。

 日時:平成28年5月3日(火曜日)から5日(木曜日)9時30分から15時00分
 参加費:入場無料(別途体験料がかかる場合があります)
 その他:詳しくはまほろんに問い合わせてください。
                 
まほろん 0248-21-0700
→ http://www.mahoron.fks.ed.jp/bosyu/2016_gwmatsuri.htm

編集後記

 福島県教育委員会メールマガジンをご愛読いただき、ありがとうございます。
本年4月に着任しました、教育総務課長の高橋洋平です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 引っ越しの傍ら、今月10日に花見山を訪問しました。圧巻の風景!
 私の生まれは隣県である宮城県であるにも関わらず、こんな桃源郷があるなんて知りませんでした(ごめんなさい…)。
 さらに付け加えると、中通りでは桜前線が南下する(南の標高が高いため)という驚きの事実も知りませんでした。そんな福島県民一年生の私です。

 ♪「サクラさいたら いちねんせいー」(「ドキドキドン!いちねんせい」伊藤アキラ作詞・桜井順作曲より)という童謡があります。
 今年、県庁がある福島市では概ね入学式のタイミングで満開の桜を見ることができましたが、広い福島県内では今が見頃の地域もたくさんありますので、桜が咲く時期は必ずしも入学式というわけでもないですよね。(そう考えるとこの童謡は東京中心の考え方かも…)。
 はま・なか・あいづ、多様な福島県の持ち味を、さっそく桜から感じさせていただいています。遠く九州・熊本などでは、桜は入学式の前にはとっくに咲いていて、桜の散り際が一年生であることが一般的であるわけですよね。

 この度の熊本地震でお亡くなりになった方々に、改めてお悔やみ申し上げます。現在はまだ生命を守る段階ですが、福島県教育庁としても東日本大震災でいただいた恩をお返しできるように、既に動き出しています。
 大熊町より避難し、いわき市にサテライト校を構えている「双葉翔陽高校」では、同じ校名の縁で東日本大震災の際に支援を受けた「熊本県立翔陽高校」に対して、寄付を行うための募金活動を始めています。
 福島県の子供逹はたくましく、優しいですね。

 すべての福島県教育庁の仕事は、こうした福島の子供たちのためにあります。私も持ち場で地に足を付け、ひとつひとつの仕事を謙虚に、懸命に取り組んでいきたいと思っております。何卒よろしくお願い申し上げます。

教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)

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