「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正について(令和3年6月1日施行)
「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第39号。以下「改正法」という。)が公布され、段階的に施行されています。
令和3年6月1日から施行されている内容等は、以下のとおりです。
※動愛法の改正に伴い、動愛法施行規則が一部改正、「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」が新たに制定されました。
1.飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造と規模と管理
運動スペース分離型飼養等(ケージ飼育等)を行う際のケージ等の基準
寝床や休息場所となるケージ
・犬 : タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5 倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
・猫 : タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の3倍以上)
1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする。
・複数飼養 : 各個体に対する上記の広さの合計面積と最も体高が高い個体に対する上記の高さを確保。
運動スペース
下記の一体型飼養等と同一以上の広さを有する面積を確保し、常時運動に利用可能な状態で維持管理すること。
運動スペース一体型飼養等(平飼い等)を行う際のケージ等の基準
・犬 : 床面積(分離型ケージサイズの6倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
複数飼養 : 床面積※(分離型ケージサイズの3倍以上×頭数分)と最も体高が高い犬の体高の2倍以上を確保。
※床面積は、同時に飼養する犬のうち最も体長が長い犬の床面積の6倍以上が確保されていること。
・猫 : 床面積(分離型ケージサイズの2倍以上)×高さ(体高の4倍以上)
2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする。
複数飼養 : 床面積※(分離型ケージサイズの面積以上×頭数分)と最も体高が高い猫の体高の4倍以上を確保。
※床面積は、同時に飼養する猫のうち最も体長が長い猫の床面積の2倍上が確保されていること。
・繁殖時 : 親子当たり上記の1頭分の面積を確保(親子以外の個体の同居は不可)。
ケージ等及び訓練場の構造等の基準
犬猫の飼養施設で、 金網の床材としての使用を禁止(犬又は猫の四肢の肉球が傷まないように管理されている
場合を除く)、錆、割れ、破れ等の破損がないこと。
経過措置
ケージの更新等に一定の準備期間が必要なため、
・新規事業者は、令和3年6月から適用
・既存事業者は、令和4年6月から適用
※1日3時間以上の運動スペース内での運動の実施は、ケージサイズと同時に適用
2.従事する職員の数
・犬 : 1人当たり繁殖犬 15 頭、販売犬等 20 頭が上限
・猫 : 1人当たり繁殖猫 25 匹、販売猫等 30 匹が上限
※親と同居している子犬・子猫及び繁殖の用に供することをやめた犬・猫は頭数に含めない。
(その飼養施設にいるものに限る)
犬及び猫の双方を飼養又は保管する場合の1人当たりの上限は、「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」別表 [PDFファイル/1.67MB]を確認してください。
経過措置
行き場を失う犬猫の遺棄や殺処分、不適正飼養を防ぎ、新規従業者の確保又は譲渡等による飼養頭数の削減を
行う期間が必要なため、段階的に5頭ずつ減らす。第2種動物取扱業では、ブリーダー等の第1種動物取扱業からの
譲渡が増加する可能性があることから、完全施行時期を1年遅らせる。
・新規事業者は、令和3年6月に完全施行
・既存事業者は、段階的に適用し、
令和6年6月から完全施行(第1種動物取扱業)
令和7年6月から完全施行(第2種動物取扱業)
3.環境の管理
飼養施設に温度計及び湿度計を備え付け、低温・高温により動物の健康に支障が生じるおそれがないように
飼養環境を管理すること。
臭気により飼養環境又はその周辺の生活環境を損なわないよう、清潔を保つこと。
自然採光又は照明により、日長変化(昼夜の長さの季節変化)に応じて光環境を管理すること。
4.疾病等に係る措置
1年以上継続して飼養又は保管を行う犬又は猫については、年1回以上の獣医師による健康診断を受けさせ、
診断書を5年間保存すること。
・ 繁殖の用に供する個体は、雌雄ともに繁殖の適否に関する診断を受けさせること。
5.展示・輸送の方法
犬又は猫を長時間連続して展示する場合は、休息できる設備に自由に移動できる状態を確保。
それが困難な場合は、展示時間が6時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない時間を設けること。
飼養施設に輸送された犬又は猫については、輸送後2日間以上その状態(下痢、おう吐、四肢の麻痺等
外形上明らかなものに限る)を目視によって観察すること。
6.繁殖に関する規定
・犬 : 雌の生涯出産回数は6回まで、交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が
6回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。
・猫 : 雌の交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が10回未満であることを証明できる
場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。
・犬又は猫を繁殖させる場合には、必要に応じて獣医師等による診療を受けさせ、又は助言を受けること。
・帝王切開を行う場合は、獣医師に行わせるとともに、出生証明書並びに母体の状態及び今後の繁殖の適否に関する
診断書の交付を受け、5年間保存すること。
・犬又は猫を繁殖させる場合には、前述の健康診断、上記の帝王切開の診断その他の診断結果に従うとともに、
繁殖に適さない犬又は猫の繁殖をさせないこと。
経過措置
マイクロチップの装着が義務化され、年齢の確認及び台帳による繁殖回数の確認に対する実効性を担保できること※
を考慮し、
・メスの交配年齢、出産回数に係る規定は、令和4年6月から適用
※令和3年6月から生涯出産回数の繁殖台帳への記入を義務化し、遵守状況を確認できる体制を整えた上で、
令和4年6月から適用
・年1回の健康診断及び帝王切開に係る規定は、令和3年6月から適用
7.動物の管理に関すること
・犬又は猫を飼養又は保管する場合には、以下のいずれかの状態にしないこと。
➢被毛に糞尿等が固着した状態
➢体表が毛玉で覆われた状態
➢爪が異常に伸びている状態
・犬又は猫を飼養又は保管する場合には、清潔な給水を常時確保すること。
・運動スペース分離型飼養等を行う場合、犬又は猫を1日3時間以上運動スペース内で自由に運動できる状態に
置くこと。
・犬又は猫を飼養又は保管する場合には、散歩、遊具を用いた活動等を通じて、犬又は猫との触れ合いを毎日行うこと。
8.幼齢の犬・猫の販売等の制限
繁殖した犬猫を販売する場合は、57日齢以上であること。
ただし、天然記念物の犬種※を専門に繁殖しているブリーダーが一般の飼養者に直接販売する場合に限っては
50日齢以上であること。
※柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬及び秋田犬
動物の愛護・管理に関する法令等(環境省ホームページ)
動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~(環境省ホームページ)
改正法(令和2年6月1日施行)(食品生活衛生課ホームページ)