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会津地方20(金山町):雪割の花(ハマナカアイヅ)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年3月31日更新

 福島県の金山町は、只見川の沿岸を中心とした「奥会津」と呼ばれる地域にあり、日本有数の豪雪地帯のひとつです。

 下記の2枚の写真を見比べてみましょう。
太郎布高原・12月 太郎布高原・2月

 わずか2ヶ月(写真・左:2015年12月 写真・右:2016年02月)で、金山町の太郎布高原は、すっかりと姿が変わりましたね。 

 「道路の除雪は当然、自治体がするし、家屋の雪おろし住民が定期的に行えばいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、人口の6割近くが65歳以上の高齢者で占める金山町では、一人暮らしのお年寄りは作業できないという事情があります。
金山町の人口推移 金山町の人口構成

 2月中旬、県内各大学の学生たちと一緒に、金山町で「雪かたし(雪を片付けること)」のボランティアに参加しました。
ボランティア募集チラシ

 このイベントをきっかけに、自治体の現状について考えるようになりました。

 

 福島市から金山町までの所要時間は、約3時間です。

 医療機関が進んでいる会津若松市までは、高速道路を使っても1時間はかかります。

 ――金山町までのアクセスは実に大変です。
金山町のアクセス

 雪かたしをする前に、主催者からスコップなどの道具の使い方を一通り習いました。
お手本 雪かたしの練習

 経験が皆無な以上、雪かたしのは単なる肉体労働だと思い込んでいました。

 道具をうまく使いこなせるのには、「コツ」が必要です。力任せにすればするほど、腕や腰に負担がかかってしまいます。

 「マネ」は簡単ですが、「コツ」を心得ている者こそ、「プロ」になれます!

 余談はここまでしておきますか。

 

 金山町の大塩地区。

 「田舎の伝統」を感じさせてくれる古き良き時代の町の風貌が特徴です。
大塩地区・01 大塩地区・02

 名物は、日本でも珍しい天然炭酸水の井戸です。
日本で2つしかない天然炭酸水の井戸のうちのひとつ 実にうまい!

 それと、地区の名前を由来としたJR只見線の「会津大塩駅」があります。
大塩駅01 大塩駅・02

 しかし、2011年7月の新潟・福島豪雨災害が発生して以来、不通区間のため「開かずの駅」となっています。
只見線の不通区間

 長年にわって「住民の足」として親しまれてきた存在だっただけに、いっそう悲壮感が漂っています。

 続きまして、金山町の積雪量を見てみましょう。(データは気象庁より)
金山町の年間降雪量

 今回雪かたしの対象となる渡部さんのお宅周囲の積雪を見た途端、さすがに驚きました。

 暖冬とはいえ、雪の吹きたまりはひとりの成人男子の身長を遥かに越えましたね。
2m以上ある雪の吹きたまり 僕と参照すれば、その大変さがお分かり頂けるのだろう

 担当者の指導のもとで、輪かんじきを装着してみました。

 これで、積雪の上でも普通に歩けるようになりました。
輪かんじき体験

 フル装備した若者たちの情熱は、今年の暖冬以上に、雪を溶かしています。
黙々と雪かたしする若者たち・01 黙々と雪かたしする若者たち・02

 よいしょっと、よいしょっと働き続けた若者たちの姿は、正しく「雪割の花」と言えるのでしょう。

 程なくして、雪かたしができました!
よいしょっと、よいしょっと あとすこし!

 休憩の時に、家主の渡部さんが飲み物とお菓子を出して下さいました。

 汗を流したあとの水って、やっぱりおいしいですね。
渡部さんが喜んでくれた ザ・水分補充!

 その間、お話を伺いました。

 「――どうして、この豪雪地帯に一人で住み続けたのでしょうか?」
交流の時間

 渡部さんによると、この大塩地区に嫁いできたのは今から50数年前のことでした。

 以来、ここで家族と一緒に暮らしてきたが、やがて子どもたちが大きくなり、集落を出ていきました。

 そして、ご主人が他界してからは、渡部さんがひとり暮らしをしてきました。

 買い物は移動販売車を頼むと言い、隣県に住まいの息子さんは月に1回身の回りの世話をしてくれるそうです。

 「それでも、やはり冬は大変です。」

 「今年は暖冬で助かりましたが、来年はどうなりますかね。」

 ――そうつぶやいた渡部さんですが、春から関東に移り、横浜市在住の娘と一緒に暮らすことを考えていると言います。
来年は?

 ひょっとしたら、次の冬が訪れる頃には、渡部さんはもう金山町にいません。

 金山町の人口数の変化も気になりますが、何とかしてあげたい気持ちでいっぱいです。

 

 まずは、この町、そして奥会津のことを文章に載せて、多くの人に知らせましょう。

 できる限り町を訪れて、魅力を発掘していきましょう。

 そして、来年もまた、この町で雪かたしのボランティア活動に参加しましょう。

 

 雪割り街道(六十里越街道)の先には、金山町があります。

 雪割の花は、ずっとこの町に咲けますように。
雪割の花

 

(投稿者:徐)

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