森林(もり)との共生を考える県民懇談会(第5回)発言要旨についてお知らせします
意見交換における発言の概要
【座長】
資料として、報告書の素案と、シンクタンクに委託している「森林との共生の推進に係る調査」中間報告の2つを事前にお送りしている。 本日のメインテーマは報告書案。7月中旬に予定している次回懇談会で最終案をまとめることになっているので、今日が事実上、本格的な議論の最終回。
報告書案は、目次にあるように全体が4章仕立て。第1章で現状と課題を述べ、第2章で県民の持つ意見について集約し、第3章であるべき姿・理想像を示し、第4章で県民参加と森林林業の活性化の2点についての提言と参画の仕組みを述べる、という形で構築している。
全体の構成に関すること
【座長】
まず、全体の構築について、例えば順番を入れ替えた方が良いなどの意見はないか。
【委員】
第4章では、「1県民参画の推進」「2森林・林業の活性化」「3県民参画のためのしくみ」となっていて、行ってまた戻ってくる感じがする。また、章のタイトルが「参画と森林づくり」なのに内容は参画と林業の活性化になっていて、このままでは収まりが悪い。
【委員】
私も同感で、基本理念は県民参画の1番目としてではなく、最初に基本的な考えとしての事項を掲げ、その後で各論に入るほうが良いと思う。
【座長】
理念を最初に置くということですね。第4章「県民参画の推進」の前に置くか、それとも初めに全体的な理念を掲げるか。
【委員】
最初に基本理念を示す何々という憲章があって、そして各論に入るという構成が一つの考え方かと思う。
県民参画の理念などに関すること
【委員】
今まで県では「県民参加の森づくり」だったのが「県民参画」に変わっている。
県民の多くが森林から離れてしまい、森林との触れ合いや森林・林業に対する関心がほとんど無くなっている中で、森林に非常に関心のあるボランティアなどもいる。このような県民全体を捉え意識を向上させ、理解を得てやっていこうとするのであれば「県民参加」の森づくりではないか。
「参画」では、主体性を持って計画づくりから参加することになるので、本当に森林・林業に関心のある人が積極的にプランづくりに関わる、ということを進めようとも読める。
この提言は、ボトムアップも含めて全員の森林・林業に対する理解を高め、本当にやる気のある人はどんどん育てていき、県民全体が参加する中で森林づくりを進めるものだと思っている。
私は「参加」だと思っているが、「参画」に変えているのは事務局の考えなのか。事務局の趣旨はどうなのかはっきりさせてやらないと、読んでいて非常に分かり難い。そこをはっきりさせてから議論したい。
【座長】
最近は男女共生センターなどでも「男女共同参画社会」と言っている。この言葉が使われ始めたのはそう古いことではない気がするが、事務局で何か一言あるか。
【委員】
県は「県民参加の森林づくり」としていたのが、どうして変わってしまったのかという単純な質問である。
【委員】
主体性を県民の側に置いての行動指針だから「参画」。「参加」だと主体性をそれほど県民の側に置いてないと思う。全ての人が計画や行動に参加するわけには行かないが、呼びかけとしてやっているのではないか。主体をどちらに置くかが主題。
【委員】
そこに大きな論点がある。全体を考え全員を対象に考えるのか、参画できる人を対象としてやるのかでは、後の運動の仕方が違う。そこを互いにはっきりさせてからやらないとかみ合わなくなる。
【座長】
議論の流れとしては、これまでの「参加」というレベルにはもう限界があるだろうという意識は、だんだん醸成されてきているような気がする。
【委員】
こういう会議に入っているのも参画、イベントに顔を出したり足を運ぶのもそれぞれの分野での参画、財源の負担による支援も参画、そういう形ができないのかということか。「森林づくりは大切だよね」ということで新たな財源を負担するという形での参画だから「県民一人ひとりが参画する」としたのかと思う。
【委員】
今、改めて森林の問題が議論されるということは、もともとは森林が木材にせよ燃料としてにせよ我々の社会でフルに使われていたものが、化石燃料に依存する社会になって利用されなくなったとことが問題になっていると思う。使われなくなったことで森は荒れてきた。しかし森の大切さはみんなが認識するようになってきた。
結論は財源の問題などになっていくことと思うが、もう一つ大事なことはライフスタイルとしてもっと木を使うこと。薪やペレットストーブを使う、建築資材として使う、落ち葉を肥料として使う…昔は使ってきた、そのところをまず皆が認識することがベースにないとお金を納めても参画していることにはならない。
「森に働く」という項目があるが、もっと森を利用するとか、森林資源を利用するようライフスタイルを変えていくという呼びかけをしないと、表現が不十分ではないか。
【座長】
それは理念的なところですね。
【委員】
そう思う。言っていることは大体書かれているが打ち出し方がもう少し足りない。前に川上と川下の話をしたが、川下がしっかりすれば上手く動いていくのに、そのパイプが詰まってしまっている。
現状と課題に関すること
【座長】
理念の問題が少し出た。それでは各論で目次に添って検討していきたい。
【委員】
「はじめに」にある「…それを支えてきた農山村や林業の現状認識や関わりが不十分であった…」は何が不十分だったのかが読みとりにくい。人と森との関わりが不十分なのか、大まかにはわかるが掘り下げて書いてはどうか。
第1-1「森林の持つ多面的機能」の中程に「県づくりの理念である持続的発展が可能な地域社会の形成に大きく貢献することが期待されている」とあるが、県づくりの理念ということがわかるようでわからないので、表現を工夫してはどうか。
【委員】
第1章の「現状と課題」にある森林の「管理」は、一般的には「手入れ」という意味で使っている場合が多いので、「森林の手入れがされていない」など、より分かり易い言葉にしてはどうか。
また、「森林が荒廃している」という言葉が何度か出てくるが、アンケートにもあるように荒れているイメージが人によって様々なので、何がどう荒れているかをできるだけ明確にした方がよい。例えば手入れが不足して森林が役に立たなくなっているとか、土砂が流出しているとか、あるいは藪になってしまって景観が全然ダメだといように、明確に書かないと改善や対策が必要なのだと言うところに結びついていかない。
【座長】
個人的には、管理を手入れに置き換える以上の管理不行き届きがあるのだと思う。例えば最初の方の懇談会で発言された、所有界が不明確になってきているとか不在村者保有森林とその管理の話になると、単に手入れの問題ではない気がする。
【委員】
境界が分からないから手入れもしないのだが、ほとんどはそのことに直接は結びつかないと思う。要するに境界も分からないから放置され、荒れているというイメージ。
【座長】
荒れているというイメージが沢山あるので、ゴミが捨てられていることも荒れていることだとか書いてある。ただ、報告書で具体的にこういうことと絞り込んでしまうと、逆にこれから森林審議会なりをやって提案していくときに視野が狭くなるので、ある意味漠然としてた方がよいという側面もある。
【委員】
使い分けの話で、全部が全部というわけには行かない。具体的にした方が分かりやすいものについては具体的にした方がよい。
【委員】
一般的に管理といったらプランを立て実行しチェックしそれに対してアクションをするPDCAサイクルがある。今まで計画的に森林の運営をしてはいなかった。単に手入れとすると、山に入ってつるを切ったり間伐をしたりという、狭義の管理、手入れになってしまう。
これからの目標として、人の問題、手法の問題、財政的裏付け、フィールドの整備を手がけ、手入れの段階から管理の段階に移さなければだめだ、とすれば「管理」という言葉が妥当性を持つ。
【委員】
現状と課題については、戦後の拡大造林がその後の経済などの構造が変わってしまいうまく行っていないという、反省が必要ではないか。
【委員】
当時は造林が山村の貴重な雇用を生み、その収入で子弟を育て中央に人材を送り出すなど、いろいろな面で寄与している。確かに拡大造林が間違ったことは確かだが、前向きに議論してはどうか。
【委員】
伐期が来ても伐れないという事実があり、この反省を21世紀に生かし、希望の持てる施策をとって欲しい。森林所有者としては、精神的な問題の喚起を根底に据えて提言を取りまとめたい。
【委員】
「森林が荒れたまま放置され」というような一面的な書き方だと、そうではない森林もあるのに毎年100億円を超える予算を使っていながら、福島県の森林は放置されているのか、と思われる。
【委員】
新たな財源の負担が「1 県民参画の推進」の項に入っているが、まず、県民参画を推進する様々な施策があり、最終的に広く理解を得ながら財源を負担してもらう、という順序ではないか。知事が出演した「ふくしま森林未来トーク」の参加者も、一般県民は少ないようだったので、森林への理解はまだ足りないと思う。
【座長】
新たな財源については「3 県民参加のためのしくみ」に入れるべきだと言うことですね。
【委員】
確かに「ふくしま森林未来トーク」の参加者には片寄りがあったかもしれないが、この懇談会でまとめたことを、実際現場に携わるボランティアとか森林組合とかそれぞれの場で理解してもらう活動をすればよい。
【委員】
表現の仕方はいろいろあろうが、森林・林業の現状については「第4 県民一人ひとりが参画する森林づくり」に繋げるために、農山村や林業は一所懸命やってきた、しかし森林は困っている、そこで県民の参画を望みたい、と書くべきだ思う。
提言しようとする施策の主体に関すること
【委員】
「第3 あるべき姿」は、問題点を洗い出してアクションプランに繋げる未来図のようなものだが、施策を実現する主体がはっきりしていない。経済財と環境財という言葉も出て来るが、対象は一般県民なのか林業者なのか判るように書いた方がよい。
【座長】
対象については、新たな施策を新たな財源で行おうと言うときに、従来の施策でうまくいっていない部分に対する追い銭になってしまってはしょうがない、ということは確認されている。
人づくりの面にしても、ボランティアを育てても困難な仕事の出来るプロが育成されなければ、とうてい管理は難しい。それと同時に、ボランティアを行いながら理解して欲しい、という側面もある。それをどう融合させて提言するかが難しい。
誰が誰に向けて、ということをもう少し検討する余地がある。
【委員】
この案は、林業に直接関わっていない人にウェイトがおかれている。農林業の会合に行ってもほとんど林業に関する話題は出ないが、これが林業の現状を表している。一方、キノコ採りに行っても私有林だから入山禁止、という立て札を見るが、林業に携わっている側にも壁があるのではないか。林業家、行政、企業などそれぞれの役割をもっとはっきりさせたらよいのではないか。
【委員】
私有林を入山禁止にしているのは、山火事防止のほかゼンマイなどで生計を立てている人の保護もある。日本では私有地に入ることに対しておおらかだが、生計の場への立ち入りについてはマナーとして理解したい。
【委員】
懇談会としては、県としての司り方に、理念を含めてこういう方法もある、という、より積極的な立場での進言をしたらどうか。
また、林業については分かったが、森林ビジネスやボランティアも考えたらどうか、というように論議してきたことを考えると、誰が主体なのかが整理される。
提言に盛り込む施策に関すること
【委員】
山村や森林を何とか活性化させるために様々な人達に協力を願ったり、森林を理解してもらうことを議論している一方で、入山禁止の立て札という相反する行動がとられている。原因の一つにはゴミの投棄がある。森林に入るマナーから始める必要がある。
【委員】
林業家、行政、企業などそれぞれの役割を明示することは大事だと思う。そして、森林所有者も森林管理の視点を意識しなければならない。森林所有者が環境にも配慮した山の経営を推進するよう、森林認証制度を支援してはどうか。
【座長】
森林所有者の視点でいくと、不在村者保有森林の管理についても書き込んでみたい。
人工林については、幸か不幸か福島県の人工林率は36%と全国的に見ても低いので、植林したから荒れたというのではなく、別の所に問題があることを読みとってもらいたい。
【委員】
不在村者については、入会林も含む森林所有の認識という大きな流れで捉えてはどうか。
【委員】
各委員はいろいろな思いを込めてこの懇談会に参加し、議論を通じて共通認識を持ったと思う。そして、現状が大変だから何とかしようと提言するわけだが、福島県としては、モラルや意識の高揚といった一本筋の通ったもので、もう少し踏み込んだものを出したい。
【委員】
県産木材の利用促進の場合、消費者は具体的な入手方法や、県産木材を利用することの意義を知らない。山に木を植えて育てることと木材の利用が繋がるよう、うまく提言に入れたい。長年苦労して育てた木を何とかしようと、それぞれの立場に応じて利用することも、県民参画の一つだ。
【委員】
林業界はPRが下手で、旧態のまま、というのも事実。森の活性化に向けた理解を得るための努力が足りないことを反省しながら、新たな負担も関心を持ってもらうためには大事だと考える。個人的には所有森林を開放したり、NPOなどで何とか続けているが、いずれにしても皆さんの深い理解を得られるよう頑張りたい。
【委員】
いわき市内の木材流通関係者も自ら変わってきており、県産木材で家を建てたいという顧客もいる。ただ、取り組みを始めたばかりなので、どのように進めたらよいのか、活動しやすい環境を整えるという支援の仕方が良いのではないかと思う。
【委員】
郡山市の湖南小学校では地元共有林のスギを利用した大断面集成材で素晴らしい建物を作ったが、県産木材を使う公共建物が増えている。そこで木の良さに気づいてもらうような仕組みがあれば県産材のPRに繋がる。
さらに、輸送時のエネルギー消費まで踏み込んで、県産木材の利用が地球環境の保全に貢献することをもっとPRすべきだ。
【委員】
前に話した長野の民宿では、山仕事の研修を「木こり塾」と言い換えており、こうなると若い人は行ってみたいなと思う。イメージアップに取り組むときは、例えば「森に入ると福が来る」のような良いイメージで伝えPRすることが出来ないか。
伊南村でも地元のカラマツ集成材を使って地元の大工さんも集結して体育館を建てたが、村のシンボルとなる木の建物があるとみんなの意識が高まる。
【委員】
昔から、専門家の間では伐り旬や、生育した土地と木の性格など、木を使う上でいろいろな知識が伝えられてきた。PRする上で全て出してしまうとやりにくくなる面もあるが、そういうものもある。
【委員】
深く考えると宮大工の域になってしまうが、今は乾燥材であることが必須であり人工乾燥で対応している。外材が多く入ってきているのは乾燥材への対応が早かったから。
今、自宅を建てているが、大工さんが木を見ながら無駄のない使い方をしている。地元材で建てるときこのような技術を持っている工務店で建てると、満足のいくおもしろい家が出来る。
新たな財源の検討に関すること
【委員】
以前の水源税だと全体的に分かり易かったが、この懇談会では報告書の流れの中で新たな県民の負担に分かり易く結びつくのか、具体的にどこまでやるのかとなると説得力に乏しい。
現状はこうだが、昔からの知恵もあって、こうあるべきだという姿が出て来て、その角度からもう一度現状を見るとこういう問題があって、それについては林業家や行政のほか県民の負担が必要だ、と入っていけば、流れとしては良いと思う。
【委員】
最近「農林水産業から日本を元気にする国民会議」が出来るなど、農林業により日本に活力を取り戻そうという意識が非常に高まっている。森林は水を涵養しているが、人々はガソリンの2~3倍もするミネラルウォーターを飲んでいる。これを少し山の手助けに回すとすれば、そんなに負担にならない。環境まで考えた農林業という姿勢を示し時期として機が熟している。
【座長】
最終ページの図に「全国の先がけ」と書いたが、福島として新しい視点で他にはないものを一つ創るという意味では重要なところにいるのかなと思う。
【委員】
前に話した「響きの森」でのコンサートでも、実際森に来たことによって子どもが落ち着いたとか、疲れが癒されたという言葉をたくさん聞いた。PRにあたっては、福島には良い環境がたくさんあり、それは地区の人が一生懸命に守ってきたのだと言うことを伝え、それに対してありがたいという気持ちを持つ人を1人でも2人でも増やすことの積み重ねが大切。
【委員】
いわき市の戸渡で廃校を拠点にした「戸渡リターンプロジェクト」の応援団としてコンサートやワークショップを行っている。交通は不便だが、静かな所に来たいとか山の中に入ってみたいという人が結構いて、山菜農場など、これからは森に対してお金を払う仕組みが必要なのかなと思う。
【委員】
100億円以上の既存事業があり、県税が5分の1として20億円は県民の税。現行の事業をどのようにやっているかも書いておく必要がある。また、各種財源の検討の一つとして税制度があるのだと思うが、書き方が逆になっている。
高知県の条例を見ても「県民の理解と協力の下…」と書いてあるし、環境税に関する政府税制調査会の資料でも「検討する際には、国民に広く負担を求めることになるので国民の理解と協力を得られることが不可欠である」と書いてある。懇談会の提言でも「県民の理解と合意が不可欠である」あるいは「県民の理解と協力を前提に」という書き込みが必要。
平成15年度の税制改正で個人住民税の課税限度額が引き上げられるなど、税を巡る環境は増税基調にある。年間たばこ何個分の負担というような多寡の問題ではなく、税に関して行政は謙虚であるべきだ。
【委員】
県民的な合意形成に関連して、森に入り、親しんでもらうために森林セラピーは期待できる。すでに取り組んでいる県は相当進んでいると聞く。本県でも早く取り組んだ方がよい。自分も山を解放しているが、知的障害者の気持ちが開放されて太鼓を演奏していったこともある。
手弁当で、足代も負担したり、費用を出し合って活動を続けている森林ボランティアは各地にいるが、なかなか続けるのは難しい。生活環境保全林というのも各地に出来たが、その後の整備が続かないという懸念もある。
税の導入には慎重であるべきだが、受益者負担の原則で、気持ちでも出していただけるよう勉強したい。
【委員】
いわき市では「21世紀の森」を(NPOの)「いわきの森に親しむ会」がとても良く整備しているが、このような取組を一押しするような仕組みにあてたらどうか。緑の少年団も設置以来かなり経過しているが、フィールドが無くて学校周辺で活動している団も多いが、これを発展的に展開することにあてるのもよい。こういう形で、何に使われるのかの方向付けを示してはどうか。
また、境界の問題など様々な課題をひっくるめて、問題意識としての提言にしていけば、次に繋げることが出来る。
森林・林業への理解に関すること
【委員】
一番何が問題かというと、一般の人は森林・林業のことをほとんど知らない。昔は森との付き合いが深かったのが、今は疎遠になってしまって、森林・林業に対する理解が低下し、そこに様々な問題が出てきている。
そのために、最後のページの模式図のように、県民参画でやっていこうとなっている。例えば森林・林業に対する理解を深めるのであれば、森林環境教育の推進やボランティア活動を通して森林林業について肌で感じてもらおうということが出ている。これらは、十分なお金もなく、やりたくても動けないという状況なのでみんなで支援していこうじゃないか、という展開にしたら良いのではないか。
実際、「人工林」という言葉を知らず、山の木を伐ったり手入れをするということも知らない。子どもも、学校の先生も木を伐るのはけしからん、と言い出しているが、それが問題。そういうことが無いよう、教育機関等を通じて皆さんに森林・林業を理解していただくための支援を行い、サポートするのだと言っていけば分かってもらえるのではないか。
また、森林が荒廃しているということは誰もわからない。造林木が負けてしまい広葉樹と混交した林が出来たら、林業から見ればとても荒れた山だが、普通は立派な山だと思う。日本の場合は降雨量が多く温暖なのでどこも緑なので、よほどの禿げ山になっていない限り、普通の方は立派な山だと思っている。
【委員】
山の土砂が崩れたり倒木が多いという荒廃と、手を入れないと長期にわたって育てても将来の価値が望めないと言う意味の荒廃もある。今手入れをするということは、将来の山林としての価値を作り出すという意味を含めての荒廃を防ぎたいということだと思う。
【委員】
県の林業労働力確保支援センターに聞いたところでは、林業の労働力はかなり厳しい。人が居ないと山は手入れが出来ないので、森林整備のための基金にして、この就職難の時代に雇用面で充実すべきと思う。財源がなければ林業労働力の確保を何とかしようといっても空念仏に終わってしまうので、自信を持って仕事が出来るようなしくみを提言したい。
【座長】
報告書案には「地球温暖化問題や自然との共生指向を背景として、森林の持つ機能に対する県民の関心はかつてないほど高まっています」と書いてあるが、今日の話を聞くとどうかなと思う。まさにここがポイントなのではないか。
【委員】
それは「…高めなければならない。地球温暖化問題や自然との共生指向をふまえて、出来るだけ多くの人が森林が持っている機能について高い認識を持ってもらうことが当面の課題です」とした方がよい。
【委員】
これは絶対的なものではなくて相対的なもの、例えば今まで5%位の関心だったけれども、それが10%か15%の関心があるという意味での「かつてないほど」なのかなと理解した。
【委員】
県民アンケートの数字で、回答者には「森林未来トーク」の出席者も含まれているが、これは一般県民ではなく関係者ではないのか。
【座長】
投票所の出口で「選挙に関心はありますか」と聞いているようなもので、もともと森林に関心の高かった人の意見ではないかということですね。
【委員】
意識を持たせるためのトークショーだと思えば、それでも良いのではないか。
議論の整理
【座長】
関心をどうやって高めるかというラインで整理してみる。
まず、従来の100億円なりの施策では関心を高める点までは手が及んでいない。そこをどう高めるかが最重要課題であり、それをどういう形でやるかと言ったときに県民参画の枠組みが出てくる。そこには従来の財源による「プラン21」などでやっている仕組みでは配慮しきれない。従って何らかの財源が必要だ。そのとき、募金とか、受益者負担も必要なのだろうが、もう少し一般的な枠で、もし理解が得られれば、税制度も考えられる、という流れになるでしょうか。
【委員】
そうでしょうね。
【座長】
目次の構成を、ご意見があった「参画の中の財源負担」と言うところを、参画の仕組みの中に組み替えて、もう少し流れがわかるようにする、という形で検討してみる。
また、県民の参画といったときの県民という言葉の中身を明確にし、立場によって関わり方も参画の仕方も違うわけですから、それぞれの役割を明確にしながら、参画の仕組みを図示出来るようにやってみる。
ポイントとして、今日出た意見は「知ってもらうこと」が一番だということでした。
字句の修正等は御一任願います。今日出していただいた意見により案をまとめて、次回懇談会の事前に配布する。
次回は最終回になりますが、外に出たらどうかというお話もありましたので、大玉村のフォレストパークで7月中旬に開催できるよう調整してみます。
本日の懇談会はこれで終了させていただきます。ご協力ありがとうございました。