平成17年度森林(もり)の未来を考える懇談会 第3回発言要旨についてお知らせします
意見交換における発言の概要
【事務局】
資料7(懇談会の開催スケジュール改訂)、資料8-2(県民憲章の検討状況、他県の独自課税導入状況)について説明。
他県の独自課税との比較
【座長】
岩手県を除くとみんな関ケ原の西側の県ばかりだが、これはどういうことか。
【事務局】
歴史的に水の問題を抱えているところが、森林との関わりを重視したということではないかと思う。
【座長】
各県の既存の森林整備の予算と新たに導入された森林環境税の予算のバランスを知りたい。それを出してもらえると福島県の税収規模とかなり違うので、そのへんの違いが際だってくるのではないか。
【委員】
各県は8割程度を森林整備に充てているが、それは県民の理解を得なければできない。西の方は水で困っているので県民の同意が得られたのではないか。幸い福島県はそんなに水には困ってはいないが、健康問題等もあるので、ただ水があればよいというものではなく、やはり福島県としても水環境保全を目的とした森林整備は必要。
ソフト事業については、県全体で取り組まなければならないような大きなものと、民間や市町村でやるような小さいものがあるのではないか。それらを織り交ぜながら福島県の特徴を出していければよい。
以降、資料11に沿って意見交換。
市町村への交付金のあり方
(委員が作成した資料を配付)
【委員】
市町村交付金について、A、B、Cの3つの案を考えてみた。
Aは、使途は病害虫の被害林への対応も含めて景観の保全や、木材資源の活用、火力発電用の燃料としての間伐材の活用、災害防止や花粉症対策など。各自治体間で異なる森林整備の目的や状況に応じて柔軟に対応できると思う。配分基準は各市町村の森林面積比、そして各市町村が県に計画書を提出して県が審査・調整するという仕組み。
Bは、使途は森林環境教育のためのフィールド整備等で、配分基準は各市町村の人口や生徒の人数比など、そしてAと同じく各市町村が県に計画書を提出して県が審査・調整するという仕組み。
Cは、なかなか森林面積比や人口比だけで対応することは難しいので特別対策枠としての交付金ということで、各市町村が意欲・創意工夫をもって、特殊事情等を反映した計画書を県に提出し、県が審査・調整するという仕組み。
以上、議論のたたき台として提案した。
【委員】
福島県の場合は、イコールパートナーである市町村もそれぞれ同じ立場で責任をもって取り組もうということで交付金制度が導入されているのだと思う。
だから、市町村が申請し、県がそれを審査するという仕組みがなじむのかどうか。それぞれの自主性で実施するが、ただしこういうことに使ってはいけないという厳しい基準があり、その基準に適合しなければ当然交付金はもらえないと、そのような仕組みが適当ではないか。市町村がアイデアを出したものに対して、県が良し悪しを審査するという従来のやり方ではこれからはやっていけないのでは。
【委員】
県民に納得していただけるような使い方をしなければならない。市町村に配分するのも良いが、国から市町村への地方交付税のうち森林整備分として算出されているものがそのとおりに使われていないという問題がある。そのようなことを森林環境税でやってしまっては県民も納得しないし、継続していくこともできないと思うので、そのへんはきちんと懇談会でも考えて検討していくべきだ。
【委員】
昨日現地調査で行った会津自然の家のプログラムは、創意に満ちており、子供ばかりか大人の利用も多いということだった。森林環境税でそのような魅力的な事業を行っていくためには、やはり市町村が地域の実態に応じてアイデアを生かして使ってくということが大切。当然透明性の確保は必要だが、あまりしばりをもうけてしまうと市町村の自由な発想が阻害されてしまう。
【委員】
現在、国や地方公共団体の財政状況は非常に悪化しており、市町村も予算のやりくりに苦労している。そういう中で交付金をぽーんとやって、後は創意工夫で適当に使ってくださいというやり方では、本来の森林環境税の趣旨に合った使い方がされないおそれがある。一度そのような緩いやり方をすれば厳しいやり方に戻すのは困難。だから、特にスタートの段階では、市町村から事業計画をあげてもらい県にしっかりと中身を審査してもらうことが必要だと思う。
【委員】
市町村はそれぞれに特色があり、実際にそこに生活している生活者、地域のことをよく分かっているのは市町村である。そのような地域の特性に細やかに配慮した事業は県レベルではできない。そうしたことからも市町村への交付金はやはり必要。
【座長】
交付金とは、あらかじめ渡してしまう性格のものなのか?
【事務局】
やはり市町村からの申請行為は必要と考える。
【座長】
大学の世界では科学研究費というものがあり、こういう研究をしたいがこれだけ予算が必要ということで計画書を作って申請し、審査を経て多少減額されたりして予算がつくという仕組みになっている。交付金についてもそれと同じく市町村からこういうプロジェクトをやるにはこれだけ予算が必要ということで申請を出してもらうと、このような形式になるのだろうか?
【事務局】
それも一つの手法だが、先ほど委員からのたたき台にあったように、森林面積とか人口などであらかじめ市町村毎に上限を示して、それに対して市町村から何らかの意思表示を受けて配分するという考え方もあるのかなというふうに感じた。
【座長】
これまで委員から出されてきた意見、何をやれば県民に納得されるのか、新たなものをどう作るか、市町村の創意という話を結びつけて考えていたのだが、従来の枠を超えて他の先駆けとなるようなアイデアを出した市町村にメリハリをつけてたくさん交付するというやり方もあるのではないか。
提案されたプロジェクトをコンペにして上位の市町村にだけ交付することで、よりよいアイデアを競っていただいてそれを他の市町村にも広めていくというやり方。61市町村すべてに単に割合に応じて交付するだけでは、給料が少し増えただけみたいになってしまい良いアイデアが出ない。それよりは株価が上がったら給料に反映させるみたいな仕組み。
つまり、新しい創意工夫がある事業を引き出すための呼び水として交付金を使うこともできるのではないかということ。明治初期の勧業博覧会では競わせて賞を与えてそれで技術を上げて広めるということをやったが、それと同じようなことかと思う。
【委員】
森林環境税については、県民の関心が高く、また県民に等しくご負担いただいているものだから、特にハード事業については座長の意見のようにすべて優良な取り組みの市町村にだけ出すという手法では、もらえなかった市町村の住民の不満が爆発してしまう。森林面積割とか方法はいろいろあるかと思うが、ある程度の配慮は必要。お金に関してはみんな非常にシビアなのでさらに議論が必要だ。
森林環境税の効果的な使い方の検討
【委員】
森林整備を行ってもそれが県民にも見えるように、森林環境税を使ってここの森林を整備していると分かるように、道路沿いに県で統一した看板をたててPRすることも大切。
また、森林整備は命がけで大変な作業。担い手の育成も含めて山に入っていくための安全な環境整備も必要だ。
【委員】
福島県ではそんなにひどくはないかもしれないが、最近大都市ではヒートアイランド現象などということで非常に暑い。それは緑が少ないからであり、なるべくその地域に合った樹木を植えるなどして都市の緑を多くし、都会の人も住みやすくしていくということも必要なのではないかと思う。都会の人が森林環境税を払ってもあまりメリットがないということでは困るので、そのようなことにも配慮していく必要がある。
【委員】
最初からどれもこれも事業に組み入れていくのもどうか。初年度は水のように多くの県民の皆さんの理解を得られるところにしぼってスタートして、やっていく段階でいろいろな意見をいただいてそれを取り入れながら軌道修正していけばよいのではないかと考える。
【委員】
森林環境税の導入の効果が県民の方に見えるように、ある程度絞って実施していくべき。ただ、森林なのですぐに効果が現れない部分もあるので、そこはやはり5年とか10年計画の長いスパンで考えていくことも必要。
【委員】
会津、中通り、浜通りでそれぞれ目玉となる事業をつくるとよいのではないか。
例えば、浜通りでは木戸川上流のシャケが昇るところの森林を整備するとか、中通りはかなり水質が悪いところなので、森林整備で得た材木で炭を作りかごマット方式でそれを釈迦堂側の上流に入れて水質を浄化するとか、会津では絶滅のおそれがある希少種を守る取り組みなど。
それを毎年いくつかやっていき、県民の皆さんに森林環境税での取り組みということでPRし、さらにアイデアも出していただいてそれを取り入れていくという、県民の皆さんにご負担いただくことを納得してもらえるような仕組みを考えていくべき。
山口県では森林環境税を使って繁茂拡大した竹の伐採を行っているが、福島県でも取り入れていくべきではないか。
既存事業との整理
【委員】
1ページの最初に「既存事業と同じような事業には森林環境税を導入しないというのが基本的なスタンス」とあり、このことは非常に大切なことだがこれまでに3回にわたり懇談会が進められてきた中で、それぞれの委員、事務局の間で認識がずれてきている可能性があるので、もう一度確認しておきたい。
【事務局】
森林整備を行うときの考え方として整理している。森林整備には、造林補助制度のほか県行造林や治山事業など、いくつかの既存事業がある。
森林環境税を使っての森林整備はそのような既存の事業と同じ手法ではやらないということかと考えている。場所、手法などで既存事業と住み分けを図っていくということが、森林環境税での森林整備の捉え方かと思う。
【座長】
手法とは具体的にどういうことか。
【事務局】
これまでの懇談会での意見を総合すると、ボランティアなど県民が自ら参画して行うものや市町村が自らの考え方でエリア内の森林整備を行うこと、また、前回論議いただいた水環境という特化した視点で森林整備を行うことなど、そのような従来と違った考え方で森林整備ができればよいのかなと感じている。この点については委員の皆さんにさらに御意見を重ねていただきたい。
【委員】
既存事業と森林環境税の整理にあたっては、これまでも森林にとってベストの施策を展開してきたはずなのに実際には様々な問題が生じてきているということだから、既存事業自体の見直しも必要と考える。
水に着目した森林整備
【委員】
きれいな水を保つためには上下流の市町村が広域的に連携し、お互いの合意の下に県から整備すべきエリアを指定してもらい交付金を使って市町村が整備する。また、その時にどこが整備されているのか県民に分かるように看板を立ててPRも行う。
そのような形で交付金を使っていけば、すべて県がとりしきるのではなくて市町村が主体的に行うところもあるということで、福島県の独自性が打ち出せるのではないかと思う。
【委員】
水源かん養機能に着目した森林整備を誰が主体的に行うのかということは非常に重要な議論。私としては、これが森林環境税の一番の柱となる事業だと考えており、また、整備すべきエリアが複数の市町村にまたがる場合もあるかと思うので、県が責任をもって行っていくべきと考えている。ただ、実施にあたっては市町村や森林組合の力を借りる必要があるのかもしれない。
【座長】
水と森は結びつくが、きれいな水と森というのは結びつかないのではないか。
つまり、森林を整備して得られるのは水量であって、きれいな水かどうかというのは川の汚染の問題だろうということ。森林を破壊することで水が汚くなるかと言えばそうではないのではないか。
【委員】
森林を整備すれば水量も多くなるが、水質も良くなるはず。途中で汚すからそのへんの関連が分からなくなってしまうだけ。
【座長】
福島県はこれまであまり水に困ったことがない。先に森林環境税を導入している西国の人間とは森林に対する関わり方が違うと思うので、本県で水のことをアピールしても弱い。
だから、そのように条件が違う場所であえて税金をとって何をやっていくのかということを、今まさに福島県は問われている。西国の使い方と確かに共通するような部分はあるが、あまりそこに引っ張られて水に固執するのはどうかと思う。
【委員】
ただ、水に対するみんなの注目が高まっているので、森林と水、健康を結びつけられないとすると森林環境税の使い道として県民の理解が得られないのではないか。
【委員】
植林、下刈り、枝打ちなどの作業をきちんと行い林齢毎にあった密度管理をしていけば、光が差して下層植生も生えてくるであろうし、水や空気なども必然的に改善されるはず。
だから、あえて水を前面に出さなくてもよいのではないか。いかにきちんと森林を管理してもらうかが大切。
また、水にこだわるとすれば、水は奥山から出てきているのでそこの管理をどうするかということが問題になる。道路から近くの便利な山林は、経費が比較的少なくてすむので造林補助事業を活用してかなり手入れが行き届いてきたが、奥山は全然手入れされておらず対照的だ。個人所有の中には不在村地主の山もあるし、国有林や市町村有林、財産区の山が多くなるかと思う。水と言うと、里山よりも奥山。今度の森林環境税は奥山の方に使わざるを得ないのではないか。
【委員】
私としては、森林環境税について県民のご理解をいただくためには、やはり水源かん養機能というものを前面に出していく必要があると考える。
一つには、現在、我々が豊かな水を享受できているのはご先祖が森を守ってくれた遺産があるからこそであり、昨日現地調査で手入れが行き届いていない山とか、切られたまま植林されない山などを見てきたが、そのようなことを続けていると、今、我々がやらなければこの豊かな緑を次世代に継承できないのではないかと思う。
もう一つには、県が過去に行ったアンケートの中でも水と森の関係を県民の皆さんが重視されている。
【委員】
福島県は県土面積としては、県の中で2番目に大きく、会津、中通り、浜通りと3つに大きく分けられる。それぞれの地域の特色があるが、会津、浜通りが比較的水に恵まれているのに比べ中通りはあまり水に恵まれていない。清水が湧き出るところに多くの人々が訪れるところを見ていると、普段飲んでいる水の質が悪いことをみんな感じているのではないかと思う。
また、他の地域だって今は水がきれいでも将来のこともあるので、水源の森を確保するということは、県内共通の課題であり現代を生きる我々の大きな責務と言える。
【委員】
只今の意見を補足すると、阿武隈川が中通りを流れているわけだが、郡山市民の方は会津の猪苗代湖の水を飲んでいるわけであり、羽鳥湖ダムは本来会津に流れる水を強引に中通りに持ってきて利用している。つまり、みんな関係していると言うこと。
国有林の整備
【委員】
会津の方では国有林が非常に多い。今でこそ広大なブナ林も含めて森林生態系保護地域として設定して保護しているが、かつての営林署はブナ林を切りまくって不適な場所にもカラマツを植え続けていた。そのため、現在でも水資源確保の意味でいろいろと問題があり、森林環境税の使い道としては国有林内のカラマツ林の自然維持林への転換も検討すべきと考える。
森林環境税は県民みんなから負担していただくわけであり、昭和村など民家の軒先まで国有林という市町村もあるので、水資源確保ということであれば、民有林だけでなく国有林も対象としないと片手落ちになる。
【委員】
森林環境税を国有林の整備に使うということについては、パブリックコメントの資料を見ても分かるとおり納税者である県民の理解がなかなか得られない。したがって、国に対しては整備して欲しいと要望することはあっても、森林環境税の直接的な使い道として国有林を対象とすることは難しい。
【委員】
国有林は、国へ申請してエリアをくくって水源かん養林と指定してもらえれば、保護してもらうことができる。だから、水を大切にしながら森林環境税を使うということであれば、国有林の方もある程度何とかなるのではないかと思う。
【委員】
国有林へ森林環境税を直接投入するということではなく、環境教育などのソフト事業で国有林をフィールドとして使わせてもらうということは検討すべき。例えば、福島市にある「きぼっこの森」では観察路も整備してあり、実際に活用している小学校もある。
ハードとソフトの取り組み
【委員】
各県とも7割程度を森林整備に充当しており、福島県としてもやはり森林整備に重点的に予算を投入することになるかと思うが、整備という結果は同じだとしてもやり方を従来の事業とは異なった形で行うべきと考える。
【委員】
他県の取り組みでは森林整備に使う割合がどこでも50%を超えて高いが、別に他県と同じ使い方をする必要はない。逆に福島県ではソフト事業に力を入れて使うということも福島県らしさの一つになるのではないか。水源かん養林の整備は国で行うというイメージが強い。
他県で行った取り組みを真似していけば一年遅れになるし、大抵の場合はうまくいかなかった事業を追いかけていくことにもなりかねない。せっかく新しい税を導入して県民の皆さんの森林に対する理解を深めていただくまたとない機会なのだから、一年目からすべてうまく使っていくということではなくて、森林が10年、20年かけて育まれていくのと同じで、森林環境税についても最初の5年、10年は試行錯誤しながら子供の環境教育とか福島県の森林のPRなどに絞って使っていき、それに対して県民の皆さんの評価を受けながら改善していくと、そんなパイロット事業のような形で、思い切った使い方をしていくべきではないかと思う。
【委員】
想定される取り組みとしては、ハード、ソフトと大別されるが、森林は長い期間をかけて育まれるものであり、国土保全の役割も担っている。やはりハードにも取り組むべき。
いわき市の高柴ダムもそうだが、ダムへの土砂の堆積は全国的な問題だ。山の保育・間伐がきちんとなされ下層植生が生えて土壌がしっかりいていればそんな問題は起きなかったはず。今回の森林環境税だけではハード的に必要なものを十分に行うことは出来ないけれども、これを呼び水にして国に対して大きな要望も行っていけるのではないかと期待。
【委員】
ソフト事業だけやっていくという意見には反対。昨日現地調査で見たように、場所によってはマツの半分近くがマツクイムシにやられて茶色っぽくなっている。放っておけばもっと広がっていく。何十年もかけて育てたマツがどんどんやられていくのを目の当たりにして、それでもまだなおかつソフト事業だけでいいのかということ。水源地の森だって完璧に整備されているわけではない。そのようなことに大事に使っていかないことには、この懇談会の存在意義すら疑われてしまう。
【委員】
昨日現地調査で病気になっている木の様子を見たときに、やらなくてはいけないことが目の前にあるではないかと森が教えてくれたような気がした。だから、森林環境税で得た財源の7割ぐらいは森林整備に使うべきであり、それを県民の皆さんにPRしていくためにはやはり生活環境と密接に関連する水ではないか。森林の理水機能の重要性をきちんと考えてもらうためにも水源かん養林の保全を先ずやっていくべき。
また、そもそも森がなければもりの案内人の活動のようなソフト事業もできない。
【座長】
ハード事業とソフト事業の比率の議論があるわけだが、単純には割り切れない。例えば、森林審議会答申をまとめた資料の中で、「森林環境学習の推進」の中に「森林づくり指導者の養成」、「農山村活性化の支援」の中に「担い手の確保」という項目がそれぞれある。これらの項目は、実は結びつき得る。
実際の森林整備の作業現場というのは今まではあまり人目につかなかったが、そこに見学者や担い手を連れて行って、技術指導などの場所としてオープンで行えば一石二鳥の効果がある。それは従来の森林整備事業では期待できないことで、整備の結果は同じだとしても今までなかったプラスアルファの効果が現れる。
そうしたハード事業とソフト事業との組み合わせというのが使い道としては非常に効果的だと思う。だから、従来の農林水産部の中だけで完結する縦割り行政ではなく、横に展開できるようなフレキシブルな仕組みが必要。そのような形で様々に組み合わせながらどのようにして総合的に事業を展開していくか。これはなかなか具体的には難しいが、多分他県にはない試みだと思う。
その他:マツクイムシ等対策について
【座長】
本日いろいろと意見が出されたマツクイムシについては、既存の補助金があるのではないか?
【事務局】
現在の取り組みを説明させていただきたい。
マツクイムシは昭和50年代の前半に日本に入ってきて、それを撲滅するための法律も定められてこれまでにも取り組んできたが、現在の法律では地域でみんなにとって必要なマツ林は、県あるいは市町村が責任を持って対策を行うと定めている。それ以外の地域については森林所有者自信の力によって整備をするということで、県と市町村の計画をもって進めている。
したがって県としては、県の事業に必要な整備を着実に予算化し進めているが、市町村や森林所有者個人の分については、それぞれの市町村独自の考え方もあって、地域によっては市町村が自ら整備することを断念し、森林所有者の力に委ねるとしているところもあり、残念ながら県が指導してもなかなか思うように整備が進んでいないというのが現状である。
だから、それぞれの地域で一所懸命やってはいるのだが、実施主体が様々でどうしても足並みが揃わない部分もあり、対策が不足しているところを起点としてそこから蔓延するというのが実態。マツクイムシの本県の被害状況は6万立方ぐらいだが、コアになっている部分については、毎年、薬剤散布、伐倒駆除を行っており比較的収まっているが、それ以外の地域が増えており、総体的に被害量が減らないという状況。
また、カシノナガキクイムシの問題もある。これは、県内で今17町村ぐらいが被害を受けているが、県としては早急に退治しようということで、9割の高率の補助制度をもうけ、伐ったものの搬出・焼却するところまで県の予算で行っている。マツクイムシと比べれば伝播力も弱く、早めに蔓延は防げるのではないかと考えている。
第4回懇談会に向けての整理
【座長】
それでは、そろそろ時間なのでまとめていきたい。最後にこれだけは言っておきたいということがあれば発言願いたい。
【委員】
資料11で項目毎に今後行うべき事業が列記されているが、すでに県で取り組んでいる部分もあるかと思うので、既存事業と今後やるべき事業の相関関係が分かるようなものを次回懇談会の資料としてご提示いただきたい。
【事務局】
まだ森林環境税を使って行うべき事業がきちんと整理されていないので、現段階で委員の皆さんから出されている意見をとりまとめるような形で作成することとしたい。
【委員】
第5回目の懇談会で意見のとりまとめということだが、懇談会としては大体の方向性を示し、後は県に一任するというやり方かなと思う。
また、各委員が意見を整理しておくことができるように、議論のテーマを事前にある程度決めておいていただきたい。
【事務局】
先程話があった既存事業との相関関係が分かる資料について、事前に委員の皆さんへお送りし、それに対して意見を出していただき、その意見も取り入れた形で資料を作成することとしたい。
【座長】
ぜひそのようにお願いしたい。
では、他に意見もないようなので、本日の懇談会はこれで終了する。