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平成20年度森林(もり)の未来を考える懇談会 第3回発言要旨についてお知らせします

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

意見交換における発言の概要

(議事に先立ち、森林GISのデモンストレーションを実施)

【座長】
  森林環境基金事業の実施状況と評価については、これまでの実施状況とそれに対する事業評価の中間報告を事務局から説明してもらう。その後、市町村の提案事業である重点枠について検討する。原則として単年度で事業を実施すべきところ、3ヶ年継続で実施している箇所があることについて、前回までに委員の皆様からいくつか意見が出ていたので、まず事務局から該当箇所10箇所についての検討結果を報告いただき、それに対して我々の方で意見を出していくという、大枠で進めたいと思う。なお、後半の地域提案重点枠については、個別の事業評価に関わる問題なので、非公開の場で率直な議論をしたいと思う。

議事1 森林環境基金事業の実施状況と評価について

【事務局】
(資料6による説明)

【座長】
  今後の事業の方向性としては、8番目の県立学校における森林環境学習推進事業だけが終了となり、その理由として意識の向上に一定程度の成果が得られたためとあるが、成果を得た高校生は卒業してしまう訳ですよね。これは、後から入学してきた人達には必要ないという判断ですか。

【事務局】
  現在新たな取り組みを検討している段階であり、後日改めて説明する。

【座長】
  人材育成には継続して取り組んでいるが、県民の意識の醸成をどのように把握するのか。例えば、アンケートとか世論調査とか。

【事務局】
  意識は内面の問題なので把握するのは困難だが、例えばボランティア参加者数の変化などで把握することになるのかと思う。森林ボランティアの参加者数の推移は、森林環境税導入以前の平成16、17年が14,000人から17,000人、平成18年度が19,600人、平成19年度が20,100人であり、意識の向上が図られていると捉えることが可能かと思う。

【委員】
  9番目の森林文化復興事業について、以前の懇談会で映画やビデオにまとめるという話が出ていたが、現状はどうなっているのか。これは小中学校における森林環境学習にも活用できるのではないかと大変期待していた。

【事務局】
  森林文化の調査における事例を15分程度にまとめた映像を2本程度製作して、様々な場で情報発信していく予定である。内容としては、森林の手入れの話であるとか、木材を様々に加工する技、森を生かす術などを考えている。
  また、映像だけではなく、県内の森林文化に関する事例調査を継続している。

【座長】
  データベースを作成しているのか。

【事務局】
  市町村史のなかに森林文化に関する様々なデータがあり、基本的にそこから拾い上げてデータベースを作成している。

【座長】
  結果をWeb上で報告することも検討しているか。

【事務局】
  森林GISにおける情報発信のなかで、併せて発信していく予定である。

【委員】
  先日開催された林業従事者との交流会のなかで、話題となったのは、早期に工事の発注をして欲しいということである。昨日の新聞に掲載されていたが、間伐によって森林を健全化して地球温暖化の原因となる二酸化炭素の吸収量を増やすため、国はこれから大変な面積の間伐をしなければならない。このこと自体は良いことだが、果たして現場で消化できるか疑問である。年間を通して平均的に仕事があれば良いが、従事者が年々減少し、年度後半に業務が集中する状況で早期に消化しろと言われても出来ないという話をしていた。国は国で間伐を推進し、県も独自に森林環境税で整備を進めた場合、現場が消化不良を起こす事態が生じるのではないか。

【事務局】
  まず、労働力と仕事量の話については、平成12年から17年までの5年間における国勢調査での数字が労働力を把握する一つの指標となるが、この期間に林業労働者は500名減少しており、平成17年時点で1,755名となっている。この間の新規参入者と退職者との関係は、毎年200名が辞め、100名が入ってきて、差し引きで毎年100名ずつ減少しているのが実態のようだ。平成12年から17年までは、現在のように森林整備をどんどん推進していく状況になかったので、労働力の減少については特に山から木材を出す部分に機械を入れることで対応してきたのだと思う。平成17年以降、温暖化対策などにより仕事量が急激に伸びている状況と労働力の自然減少という状況が相まって、仕事の出来る能力と発注の量との間に少し乖離が生じてきたのかと思う。このまま推移すると、平成21年度頃には、森林整備全体で2,000haも出来ない位の労働力の差が出るのではないかと危惧している。早期発注という話が出たのは、仕事量とそれをこなす人間との間に若干の差が生じてきた背景があると思う。労働力の問題については、今後もどのような形で穴埋めしていくかを真剣に検討していきたい。
  早期発注については、間伐等をメインにするものは冬場の仕事というのが定着しており、秋口以降の発注が今までのやり方だった。しかし、労働力不足が顕著になっている状況で、冬場だけに仕事が集中すると人員の関係で事業が進まない事態が生じているので、なるべく春先に前倒して発注できるよう指導したい。

【座長】
  森林環境基金事業では、森林ボランティア等の育成に取り組んでいるが、現状では労働力の問題が深刻ですね。毎年100名が減少する状況と同時に高齢化も進行しているとすれば、加速度的に減少傾向に拍車がかかっていると見た方が良いのか。

【事務局】
  団塊の世代を示すようなグラフになっている。ピークがずれているため、最近は下げ止まりの傾向にあり、毎年100名の減少だったのが80名程度の減少になっている。おそらく10年後には、1,200名程度になるのではないかと思う。

【座長】
  逆にいうと、団塊の世代が一気に退職すると、急激に落ち込む危険性が予測できるということか。

【事務局】
  ピークは既に過ぎているので、現在はなだらかに減少している状況である。

【座長】
  この問題について、森林環境基金以外での取り組みは行っているのか。

【事務局】
  森林整備担い手対策基金で取り組んでいる。現在は、実務の部分は担い手対策基金、ボランティア等については森林環境基金という仕分けをしている。

【委員】
  10番目の森林整備効果実証事業だが、現在どの位のデータが取りまとめられているのか。
  また、県民に分かりやすい形での広報として、具体的にどのような方法を考えているのか伺いたい。

【事務局】
  例えば、整備した森林の地表にどの位の雨が落ちるかなどのデータを継続的に蓄積しており、これらのデータは1つ1つとしてではなく、時間の流れのなかでトータルで捉えるべきものである。実験的に1、2回行っただけでは自然状況の変化などにより、正確な数値が把握できないので、2、3年の期間を通じたデータの蓄積を要する。そのため、まだデータの解析には至っていない。
  県民への広報については、ホームページ上で公表したいと思う。その他の方法についても、今後検討していきたい。

【委員】
  具体的に何年分のデータを蓄積する予定なのか。

【事務局】
  間伐を実施した前後のデータを蓄積しないと解析できない。まず、平成18年度末に最初の調査箇所の機器を設置し、平成19年度に残りの調査箇所の機器を設置した。その後、間伐をしないで1年以上データを蓄積し、間伐してから再び1年以上データを蓄積した後に、初めて解析を行うことになるため、データを取りまとめて公表するのは平成21年度末になる予定である。

【委員】
  森林GISのなかの災害情報などについて、農林水産部以外の担当部署から情報を吸い上げることは考えていないのか。要は、あれは農林水産部林業担当課だけのデータベースなのか、全庁的な福島県全体の情報公開を見越したシステムなのか伺いたい。
  また、福島県が全国で最も整備が遅れているとのことだが、他県のデータとの統合は可能か。

【事務局】
  災害情報については、他の担当部署とのリンクはしていない。
  他県との情報共有についても、各県によって採用しているソフトが異なるため、リンク出来ない状況である。

【委員】
  将来的には県民との双方向での利用を考えているとのことだが、セキュリティへの配慮について伺いたい。

【事務局】
  個人の資産に係る情報をかなり含んでいるため、公開非公開の判断、またどこまで公開可能かについては、県の個人情報保護条例に基づいて検討していく。例えば、細かい保安林の地図まで公開してしまうと森林所有者が判別されかねないので、縮尺1万あるいは2万分の1でないと閲覧できないような表示の仕方を検討している。また、双方向性の動きについては、例えば緑の文化財や森林フィールドがあることを示す旗を地図上に表示して、それをクリックすると様々な情報が発信されるようなものをイメージしている。また、県民の側からは、こんな場所があるという情報をホームページへ書き込む形式を考えている。なお、県民から得た情報に対しては、内容やウイルス等のチェックをきちんと行っていく。

【委員】
  利用者の事前登録は検討していないのか。例えばこの林道の20mの範囲にはどのような樹種があり、材積量がいくらになるのかが分かるという説明だったが、これは森林組合や大手の木材業者などには非常に利用価値が大きいと思う。そういった方々に事前登録してもらい、木材利用の振興のためにも積極的に活用してもらうことが必要ではないか。

【事務局】
  森林組合などにとっては、施業計画や間伐材の集約化などに有効なツールになると思う。これまでも森林組合などに森林簿を開示することはあったので、個人情報保護がきちんと遵守されているような相手方に対しては、一般県民がアクセスできる情報よりもさらに高い次元の情報を提供することは可能かと思う。

【委員】
  5番目の森林環境学習推進事業も大変重要な事業だと思う。新聞の下の方に福島県からのお知らせが掲載されているのを見かけるが、あそこに森林環境ゼミナールのPRが掲載されているのを見たことがない。200万人の県民を相手に広報する絶好の機会ではないか。

【事務局】
  森林環境ゼミナールは全県1区ではなく、4方部で個別に開催しているため、県の方で一括してのPRは行っていなかった。ちなみに、1回当たり100人程度の参加者を得ている。

【委員】
  そうであれば、4方部の情報を年間計画として一つにまとめたうえでPRすれば良いのではないか。いずれにしても、現在行われているPRはごく限られた人を対象にしたものに過ぎず、福島県全域の県民の目に触れるような方法が必要だ。

【座長】
  現在はどのような方法でPRしているのか。

【事務局】
  流域活性化センターの構成員、市町村や森林組合の協力を得て、各流域活性化センターのホームページや市町村広報誌への掲載を行っている。
  流域毎にスケジュールが異なるため、情報を集約するのは難しいかと思うが、検討する。

【座長】
  昼のラジオニュースのお知らせなどは、意外と聞いてませんか。Webページなどはわざわざそこに入らないと見れないので、もっと効果的な方法を考えるべきではないか。

【委員】
  森林環境学習については、いわき市田人町でも学校林をフィールドとして除伐などに取り組んでいるが、今の子供達は山に行って遊ぶ機会が少ないため、楽しみながら取り組んでいる。今年田人町で開催した市主催のまちづくり懇談会のなかで森林環境学習を田人町の子供達だけでなく、森林に触れ合う機会の少ない都会の子供達を連れて来て、交流を深めながら一緒に実施したら良いのではないかという話をした。山村部の子供達と街の子供達との交流のなかで森林を理解してもらうことをどんどん広げていければ良いと思う。

【委員】
  例えば、文字よりも目に付きやすい森林環境税使用マークを作り、看板や広報誌などに表記すれば印象に残りやすいし、効果的なPRになると思う。

【事務局】
  簡単で明瞭にPRできる方法かと思うので、検討する。

【座長】
  それ自体を公募してPRすることも考えられるのではないか。

【委員】
  先日、小野町浮金から柳橋、中津川を通り、郡山に至る街道を運転していたら、「ここは森林環境基金で整備された森林です。郡山市」という看板を目にした。やはり、こういうことが重要だね。一過性的な5年間の取り組みが終わったら、その後は続かなかったということでは仕方がない。

【座長】
  最後に、森林環境交付金事業の地域提案重点枠についてだが、本来市町村が自ら行うべき事業内容についても何とか森林環境交付金を活用できないかという意識が見え隠れする場合がある。市町村には、限られた年度で交付される財源を呼び水として、次にどうやって継続していくかということをしっかり意識して欲しい。
  それでは、以上で議題1について終了する。

(後半の地域提案重点枠の評価については非公開)

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