1月26日(月曜日)10時00分~10時15分
場所:県庁応接室
【質問事項】
1.福島第一原発事故に伴う営業損害賠償について
2.東京電力の福島第一原発汚染水対策について
3.ロボット産業について
4.東北電力による系統接続保留措置の解除について
5.ふたば未来学園高校について
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【質問事項】
【記者】
原発事故の賠償についてお尋ねしたいのですが、商工業者の営業損害についてなのですけれど、県内の各商工関係団体からですね、政府と東電が昨年末示された素案に対する反対の意見が相次いでおりまして、先週の県議会の各派の申入れでもですね、県としての早急な対応を求める意見が相次いだかと思います。こちらにつきましては今後どのように対応されるのか、知事のお考えを伺いたいと思います。
【知事】
先日、私自身が東京電力の会長、社長とお会いをした際にも、商工業者等の意向を反映した賠償を行い、事故の原因者としての責任をしっかりと果たすよう申し入れたところでございます。
引き続き、国、東京電力に対して、原子力損害対策協議会の活動等を通して、被害者の事業の再建につながる賠償がなされるよう求めるとともに、県としても本県の復興・再生に全力を尽くしてまいります。
【記者】
今の協議会の活動というところがあったのですけれども、県議会の方からもですね、そろそろ表立って協議会で活動すべきだという意見が聞かれておりまして、近々そちらの協議会で何か対応される考えはあるのでしょうか。
【知事】
現在、事務局でそのタイミングについての検討を進めております。
【記者】
今の質問に関連してなんですけれども、1月28日に文科省で原子力損害賠償紛争審査会が今年度初めて開かれるのですけれども、住民の方からもですね、「視察も何度かあったんですけれど、もっと現場を見てほしい」ですとか、「審査会が開かれていない中で、東京電力から色々な基準というか、案が示されていて、どうなっているんだ」という声を偶然聞いたのですけれども、知事としては審査会に求めるものですとか、期待するものというものが今後ありましたら教えてください。
【知事】
審査会あるいは国、東京電力、全て賠償に関わる主体として、県として求めていきたいのは、やはり寄り添った思い、あるいは現場に近い思いを共有していただきたいということであります。
そのためにも関係の方々には、できるだけ現場に足を運んでいただいて、様々な被災者の方、あるいは実際に損害を受けている方々と意見交換をしていただく、その上で様々な制度設計であったり、対応というものをきめ細かに考えていただきたいと私は考えておりますし、こういったことをまた機会があるごとに、お話をしていきたいと思います。
【記者】
先日、福島第一原発の汚染水の処理の見通しが今年度は難しいということで、東電側が断念したのですけれども、元々この約束がですね、首相との約束ということで、この約束が守れなかったことについてどのように受け止めていらっしゃるのか。
それと、汚染水処理がどんどん先延びしていく中で、どのような影響が被災者の方に含まれるのか、どのように受け止めていらっしゃるのかについてお聞きかせください。
【知事】
こうした一つ一つの工程の遅れというものが、避難されている方々のふるさとへの帰還ですとか、福島県の復興に対して大きな影響を与えるのだということを、東京電力には改めて肝に銘じて、その上でこの汚染水対策に取り組んでいただきたいと考えております。
この汚染水の問題の早急な解決、安全かつ着実な廃炉にあらゆるリスクを想定して、英知を結集して、総力を挙げて取り組むこと。そして何よりも目に見える、県民の皆さんに実感できる結果を出すことが重要だと考えています。
【記者】
例えば県とかでですね、何か延期の件に関して、現場ですとか、そういったものを視察するですとか、今後の対応などについて何か検討されていることがありましたら、よろしくお願いします。
【知事】
県としては、廃炉安全監視協議会、専門家、県の職員などのメンバーが入った場がございますので、こういった協議会において現場の視察を行い、また、どういった工程というものが今後あるのかということをしっかり確認し、必要に応じて意見を申し述べていきたいと考えています。
【記者】
原発の汚染水対策にも関連するところで、サブドレンの計画ですね。漁協の方に東電が説明を繰り返していますけれども、原子力規制委員会で設備的にはオーケー、ゴーサインが出て、後は時期的にいつ、汚染水対策には欠かせないものだというのは業者の一部の方も認めているところだと思うので、後はどのように県としてもですね、非常に難しい問題だとは思うんですけれども、サブドレンの放出に関して、計画に関して、知事としてはどのようなお考えでいるのかなというのがまず一点お聞かせください。
【知事】
サブドレンで汲み上げた地下水の対応、非常に難しく、かつ悩ましい問題だと受け止めています。
国と東京電力は、浄化をした後の放射性物質の濃度ですとか、海への影響、あるいは風評被害対策などについて、この汚染水対策の全体計画、これも含めて、漁業関係者を始めとする県民あるいは国民への丁寧な説明が何よりも大切ですし、こういった説明のプロセスの中で理解を得ていただく、理解を得ていくことがやはり欠かせないと考えております。
【記者】
賠償の問題にも通ずるところがあるのですけども、なかなかこれはもう両者、それぞれの多分賠償も求めたい気持ちも分かりますし、サブドレンの放出を避けたい両者の気持ちも分かるんですけれども、この辺り、県がある程度この東京電力とそういう対象者の間にですね、入って行って、ある程度仲裁というか最終的な県としての判断というか、そういったものも知事はお考えではあるのですか。
【知事】
県としては、先ほどお話ししたスタンスで臨んでいきたいと考えております。
【記者】
サブドレンの関係の話が出て、それに関連してなのですけれども、県として放水をもしするということになれば、当然、地元の漁業者の方の理解が第一だと思うのですけれども、県としても何らか漁業者の方の了解があった後に、承認をするというような手順を踏むのかということが一点と、サブドレン汚染水の対策として非常に大切な手段ではあると思うのですが、一方で風評被害を懸念されている漁業者の方がたくさんいらっしゃるように、復興ですとか、一次産業の活性化というところでは一つの障害にもなってくると思うのですけれども、そのあたり、県として何か対応、もし運用されることになった場合に、どのような対応をされるのかということをお願いします。
【知事】
まず、サブドレンで汲み上げた地下水への対応については、やはり県としても、設備ですとか、実際の運用、こういった面での安全性について、廃炉安全監視協議会などを通じて、しっかりとまず確認をしていくこと。そして、国あるいは東京電力に必要な意見を申し入れていくこと、これが基本だと考えています。
また、風評の問題というのが根本的について回っておりますので、これに関しては、東京電力、国に対して、きちんとした対応を申し入れていくとともに、県としても周辺状況のモニタリングですとか、あるいは、かねがねやっております様々な一次産品の県としての風評被害対策というものも併せてやって、全体として皆さんの不安を少しでも減らすような努力をしていきたいと考えています。
【記者】
先程の復興推進本部でですね、今後のロボットをどういうふうにしていこうかという大まかな概略がありました。その中でも知事は、2020年ということに言及がありましたけれども、どういったタイムラインで、どういった工程でやっていこうとお考えなのか。
そして、そのどういうペースでやる、この戦略を実現していくことが避難している人たちや被災している人たちに対して、どういったメリットや効果を与えることができるというふうにお考えでしょうか。
【知事】
2020年というのは、福島県の復興計画の目標年次である、そして、東京オリンピック・パラリンピックの開催年であるということで、一つのエポックの年だと考えています。
そういった目標年次に向けて、ロボット産業の関係では二つポイントがあると思います。
一つは、いわゆる廃炉作業に関わるロボットです。それまでの間に、福島県の第一原発における廃炉、これはやはり着実に進んでいかなければいけません。したがって、現在、楢葉町でモックアップ施設の建設が進んでおりますが、こういったものが実際に動いて、更に1Fの本体の中で一定の活躍ができるところまで持っていけるか、これが第一段階だと思います。
そしてもう一つ、浜通りが全体のロボットの活躍していただく場になることが重要ですが、福島県全体においてもこのロボット産業というものが芽吹いていくことが重要です。
例えば、郡山に先般、ロボットの関連企業が立地をするという発表がございましたが、県内の各地に医療関連産業のように、特に「パワーアシストスーツ」というものは、県内の中小企業も参画をして取り組みやすい分野でもあろうかと思いますので、そういった事業者が実際に活動を2020年までにしていると。
このマクロでの廃炉対策のロボットの部分、それから一つ一つの事業者のこういったサポートスーツ的なものの活躍。こういったものが2020年までに、目に見える形になっていくということが重要と私は考えております。
【記者】
これを進めることによって、被災者・避難者そして県政に与えるメリットなどがあれば。
【知事】
まず一つは、浜通りが原子力発電所という従前あった産業が完全にある意味壊れてしまった訳ですので、それに代わる新たな産業というものが起きて、実際の雇用が確保されているという状態が目に見えてくると思います。
そしてまた、やはり避難者の方々がふるさとに帰って、そこで世界でも最先端のロボット産業が根付いている。こういう地域に対して、また戻って頑張ろう。そういう思いを持っていただけるという部分と、また、新たな方々がこのロボット産業に関わっていこうということで入ってこられることも期待されますので、やはり浜通り全体が活性化をし、福島の復興を後押しするためにも、このロボット産業を県としてしっかりと支援をし、そして進めていくことが重要だと考えております。
【記者】
今日から東北電力の方で、再エネ・太陽光を中心とした買い取りですね、再開になったのですけれども、これは新制度の元での再開ということで、再開は喜ばしいことではあるのですけれども、なかなか事業者については新規参入のハードルがちょっと。いつでも電気が止められるということでハードルが上がってですね、福島県の復興の柱の再エネにストップがかかるんではないかという見方もあるのですけれども、そのあたり今回の再開に関して、知事はどのようにお考えでしょうか。
【知事】
今回、系統接続の回答が再開されるということは歓迎をしております。発電抑制の見込み、こういったものは、発電事業者の皆さんにきちんと分かりやすく示していく、明示をしていくこと。こういった事業の予見性・将来性を、自分たち自身が見極めることができる、そういう状況を確保していくことによって、この再生可能エネルギーに係る事業者の皆さんの投資意欲が委縮をしないように、電力会社にしっかりと対応していただきたいと考えております。
また、この接続保留の問題について、「福島からの提言」というものを、我々は東北電力、国に対して出している訳ですが、これらに沿って全体的な対策ですとか抜本的なもの、まだまだ進めるべきものがございますので、こういった点についても、県としては引き続きしっかり求めていきたいと考えています。
【記者】
先日、県教委の方で志願状況が発表になりまして、4月に開校する「ふたば未来学園高校」に県外に避難している人を含む152人が志願しました。これに対する知事の受け止めと、これまでの繰り返しになるかもしれませんけれども、「ふたば未来学園高校」をどのように支えていくかということをお聞かせください。
【知事】
「ふたば未来学園高校」を創ろうという議論のプロセスの中で、双葉郡広野町に実際に生徒さんたちが応募をしてくれるのだろうかという不安、懸念があったのは事実でございます。
結果として、本当に定数を上回る数多くの志願者が出て、やはり県内外から、この「ふたば未来学園高校」に対する期待ですとか、注目があるのだということを、今、実感しております。
4月に、従前、避難区域であった広野町にいよいよ新しい高校がオープンするということは、双葉郡の復興にとっても、大きな大事な一歩になりますので、県としては県立高校、当事者ですので、国や関係の自治体、あるいは応援してくださるすばらしいサポーターの皆さんがおられますので、皆さんと連携をして、双葉郡の未来を拓く学校として立派な学校に育てていきたいと考えております。
特に、今回開校はするのですが、やはり開校した後が大切だと思っております。開校して終わりではなくて、そこからが大事なスタートなのだ、そういう思いでこの高校の支援に努めていきたいと考えています。