2月3日(火曜日)13時00分~13時40分
場所:県庁応接室
【発表事項】
平成27年度当初予算について
【質問事項】
1.平成27年度当初予算について
2.中間貯蔵施設等について
3.東京電力福島第一原子力発電所における作業の再開について
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【発表事項】
それでは只今から、福島県の平成27年度当初予算について発表いたします。
平成27年度の当初予算、予算規模ですが1兆8,994億円、これは1,849億円、10.8%の増ということになります。過去最大の規模の予算となります。この全体額のうち、震災・原子力災害対応分が、1兆287億円を計上しております。
まず、歳入についてでありますが、県税収入は、2,160億円と、前年度を上回りますが、地方財政対策により、震災復興特別交付税を除きます実質的な地方交付税は、2,183億円と、前年度を下回り、一般財源総額の確保は、依然、厳しい状況となっております。
このため、「原子力災害等復興基金」を始めとした各種基金を有効に活用し、必要な財源の確保に努めました。
歳出につきましては、これまで執行した事業の効果をしっかりと検証しながら、内部管理経費の節減、事務事業の見直しに努め、予算編成を行いました。
さて、今年度、平成26年度は、復興の一層の加速化に取り組み、環境創造センターを始めとする拠点施設の整備の進展、プレ・デスティネーションキャンペーンや各種イベントの開催など、復興が目に見える形で進み、明るい話題も増えてまいりました。
一方で、12万人もの多くの方々が県内外で避難を続けており、一日も早い生活再建に向けて取組を更に加速させる必要があります。
これらを踏まえ、平成27年度当初予算につきましては、「夢・希望・笑顔に満ちた“新生ふくしま”」の実現に向けて、新たなステージへの一歩を踏み出すための重要な予算として編成いたしました。
それでは、総合計画に定めた重点プロジェクトの区分に従って、新年度予算の内容を御説明いたします。
始めに、人口減少・高齢化対策プロジェクトについてであります。
出会い、結婚から子育てまで切れ目のない総合的な支援を行うため、「(仮称)ふくしま結婚・子育て応援センター」を設置いたします。
また、「働く女性応援企業認証制度」を創設して企業の取組や離職した女性の再就職を一体的に支援し、女性が活躍できる、働きやすい職場環境づくりを目指してまいります。
将来の地域のリーダーとなる若者による「まちづくり」ワークショップ等を開催し、若者自身の社会参画を促進してまいります。
さらに、「ロボット産業革命の地」の実現に向けて、関係部局連携の下、総合的な施策を推進してまいります。
これらの取組を通じて、本県の人口減少に歯止めをかけ、子どもから高齢者まで、いきいきと暮らせる社会づくりを進めてまいります。
次に、環境回復プロジェクトについてであります。
除染につきましては、市町村と一体となって、更なる加速化を図ってまいります。
また、「環境創造センター」につきましては、平成27年度の一部開所、平成28年度の全体開所に向けて、着実に整備を進めるとともに、幅広い知見を有する外部人材を所長に招へいし、調査研究体制の強化を図ってまいります。
次に、生活再建支援プロジェクトについてであります。
復興公営住宅の整備につきましては、仮設住宅の入居者に対する支援や工期短縮を図りながら、全力で取り組むとともに、入居された方々が地域で安心して生活を送れるようきめ細かな支援を行ってまいります。
また、今なお避難生活を送っている方々が一日も早く帰還や生活再建が実現できるよう、県内外の団体と連携した支援などに取り組んでまいります。
次に、県民の心身の健康を守るプロジェクトについてであります。
「ふくしま国際医療科学センター」につきましては、平成27年度後半の一部開所、平成28年度の全体開所を目指し、着実に整備を進めてまいります。
また、県立医科大学内に「(仮称)福島県周産期医療人材養成支援センター」を設置し、県内の周産期医療機関の支援、人材養成や県内定着に取り組んでまいります。
県民健康調査につきましては、甲状腺検査や被災者・妊産婦に対する心のケアなどにもきめ細かく対応してまいります。
双葉郡の医療提供体制の再生を図るため、郡立診療所の開設等を支援してまいります。
さらに、「(仮称)県立大野病院附属ふたば復興診療所」につきましては、平成27年度中の開所を目指します。
次に、未来を担う子ども・若者育成プロジェクトについてであります。
18歳以下の子どもの医療費無料化を継続するほか、ふくしまっ子の自然体験・交流活動や社会体験活動を支援してまいります。
また、ふたば未来学園高等学校において、国際的素養の育成に取り組むほか、県立高校1校において、地域課題に対してグローバルな視点で探究活動に取り組むなどグローバルリーダーの育成に努めてまいります。
次に、農林水産業再生プロジェクトについてであります。
原子力災害の被災地域における農業の復興を図るため、大熊町が行う植物工場施設の整備を積極的に支援してまいります。
また、農業短期大学校の教育・研修機能の強化により、実効性のある担い手の育成に取り組んでまいります。
さらに、主食用米の品質向上や飼料用米などの作付拡大、収益性の高い園芸作物への転換を支援し、地方ごとの特色を活かした水田農業の振興を図ってまいります。
このほか、米の全量全袋検査を継続するほか、県産農林水産物の安全性や魅力を発信し、風評払拭を図ってまいります。
水産種苗研究・生産施設につきましては、平成29年度の供用開始を目指して整備を進めてまいります。
次に、中小企業等復興プロジェクトであります。
「ロボット産業革命の地」を目指し、被災12市町村等の企業に対する災害対応ロボット開発のための支援を始め、県内中小企業に対する技術力向上のための支援などにより、ロボット産業の集積を進めてまいります。
また、企業立地補助金による支援、被災中小企業や中小企業グループの施設等の復旧・復興に対する支援、中小企業の資金繰りへの支援などを引き続き実施してまいります。
次に、再生可能エネルギー推進プロジェクトについてであります。
住宅用の太陽光発電設備設置への助成に加え、風力発電やバイオマス発電の事業化を促進するなど、再生可能エネルギーの普及拡大を、更に進めてまいります。
また、国と連携して電力系統接続に係る対策を進めながら、避難解除区域等における発電事業の導入を促進してまいります。
さらに、「福島再生可能エネルギー研究所」との連携、次世代技術に関する研究開発、県内企業等への技術支援や人材育成などにより、関連産業の集積を推進してまいります。
次に、医療関連産業集積プロジェクトについてであります。
医療福祉機器の実証・事業化に対する支援など、引き続き、医療関連産業の集積を推進するとともに、「(仮称)福島県医療機器開発・安全性評価センター」につきましては、平成28年度の開所に向けて着実に整備を進めてまいります。
次に、ふくしま・きずなづくりプロジェクトについてであります。
「ふくしまから“チャレンジ”はじめよう!」の下、積極果敢にチャレンジし続ける本県の姿を国内外に発信してまいります。
また、県内の中学生、高校生が、劇作家、音楽家等の支援を得ながら舞台芸術を創作し、県内で公演を行うことにより、新しいふくしまの姿を発信してまいります。
このほか、ご当地キャラこども夢フェスタやふるさとの祭り2015を引き続き開催いたします。
次に、ふくしまの観光交流プロジェクトについてであります。
本年4月に、デスティネーションキャンペーンが始まりますが、市町村と連携し、切れ目のない観光プロモーションを展開してまいります。
本県への教育旅行の回復に向けた取組もしっかりと進めてまいります。
また、5月に本県で開催されます第7回太平洋・島サミットにおいて、復興に取り組む本県の姿を世界に発信し、交流拡大を図ってまいります。
さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、積極的な誘致活動を展開してまいります。
次に、津波被災地等復興まちづくりプロジェクトについてであります。
海岸堤防の嵩上げや防災緑地などのハード面の整備とともに、防災リーダーの育成などのソフト面の充実を推進してまいります。
また、大規模な建築物等を対象とする耐震改修支援制度を創設いたします。
次に、県土連携軸・交流ネットワーク基盤強化プロジェクトについてであります。
「浜通り軸」を始め、復興を進める上で重要となる道路等の整備、物流等の基盤整備を着実に進めてまいります。
また、豪雨災害からの本格的な復興に向けたインフラの強化にも、引き続き努めてまいります。
併せて、JR常磐線・只見線の早期全線復旧に向けた取組も継続して進めてまいります。
以上が、平成27年度当初予算の概要でありますが、過去最大となる予算が着実かつ効果的に執行されるため、来年度の組織改編につきましてご説明を申し上げます。
まず、東日本大震災及び原子力災害の教訓等を踏まえた危機管理体制の強化を図るため、「危機管理部」を新設いたします。
また、安心して子どもを生み、育てることができる環境づくり、あるいは子ども・子育て支援と青少年の健全育成を総合的に推進するため、「こども未来局」を新設いたします。
さらに、避難地域の復興や帰還支援、県内外の避難者の支援、さらに原子力損害賠償等に係る施策を一体的に推進するため、避難地域復興局と生活環境部の関係組織を統合いたします。
さらに、風評・風化対策を、部局を連携して強化していくため、「風評・風化対策監」を新設してまいります。
平成27年度は、いよいよ国の集中復興期間の最終年となります。
福島県といたしましては、東日本大震災、そして原子力災害からの真の復興に向けて、様々な課題に果敢に挑戦する、「チャレンジ」をする年と位置付け、復興の取組を「進める進化」「深める深化」「新しくする新化」、この三つの意味で「シンカ」をさせながら、総力を挙げて取り組んでまいります。
【質問事項】
【記者】
二点、聞かせてください。
一点目が、当選直後から浜通りの復興というのを力強く訴えられてきました。ロボットの予算が、中小企業の支援の予算が盛り込まれています。その辺の思いを一つ聞かせてください。
もう一点がですね、「婚活」です。全国的にも県がそういう予算を出して支援をする動きがありますけれども、人口減少対策としてそこを盛り込まれたことについて思いというかですね、県が予算を出してそういうことも支援していくというような、ちょっと緩い質問なのですけれども、その辺をお答えください。
【知事】
まず、一点目のロボット産業であります。
私は、知事選に出馬する段階から、浜通りの復興、双葉郡の復興、これが福島県全体の元気に、活性化につながるということを絶えず申し上げてまいりました。
ただ、そうは申しましても、今の現実の双葉郡あるいは避難地域は、人が従来のように住めない状態です。さらに産業の根幹が非常に厳しい状態にある、これが現実でありますので、これまであった農林水産業あるいは中小企業、商工業、こういったものを支援し続けると同時にやはり新しい産業を創り出すことが大切だと考えております。
そのような観点で、今、政府のイノベーション・コースト構想とも連携して、福島県としても、この浜通りにおけるロボット産業を、是非背中を押して、育てて、そしていずれ避難地域の方々が戻られた場合あるいは新しく入ってこられる方がロボット産業に従事して、是非この地域で頑張ってみよう、そう思えるような施策を進めたいと考えております。
そういう意味で、今回の予算の中にこういった予算措置を盛り込んでおりますので、ソフト面・ハード面での支援、一体となってロボット産業の育成にこれから全力で取り組んでいきたいと考えております。
もう一点は、「婚活」と申しましょうか、人口減少対策あるいは「出会いをつくるプロジェクト」についてでございます。
これまで各市町村において独自の取組をされているところがあったかと思いますが、県として本格的に行うのは今回が初めてであります。
そのベースにあるのは危機感です。福島県は二つの意味で危機感を持っていまして、今、人口減少の傾向というのは全国的な構造的な問題であります。その波の中に当然福島県もある、これが一つです。
そしてもう一つは、東日本大震災と原発事故によって、他の都道府県以上に福島県は厳しい状況にありますので、人口減少対策に、県としてあらゆる手立てを打っていくことが欠かせないと考えています。
そういう意味で今回、この思い切った「出会いのプロジェクト」というものを展開していく中で、市町村、関係団体と連携して、福島県全体のそういった場というものをより活発にしていくことが重要だということで計上させていただいております。
【記者】
今回ですね、最終段階の方で知事査定が行われたと思うのですけれども、ここでですね、最終段階で、知事の御判断で何か復活、盛り込んだ事業があるのかというのが一点と、それに関連してなのですけれども、その前々段階から知事も大分おっしゃっておられましたし、その前にも副知事であられたということもありますので、今回のこの予算編成の13項目、重点プロジェクトがありますけれども、今、ロボットという話も出ましたが、敢えて一つないし三つに絞ってですね、これが自分が最もこだわって予算を付けたのだと言える事業をですね、要するに「内堀カラー」と言える事業を挙げていただいてよろしいでしょうか。
【知事】
まず、知事査定のプロセスです。
実は予算の編成作業というのは、昨年の夏ぐらいから本格的に始まっています。そういう意味で、実は副知事時代、あるいは当選してから、実はその都度、その時点時点において、担当部局とは幅の広い濃密な意見交換をしています。従って、最終的な知事査定はもちろん重要なのですが、率直に言うと、その前の段階でほぼ形を作っておりますので、知事査定に上がってきた重要政策というのは、全て私自身が自分自身の思いを持って、手がけてきた大事な事業一つ一つだと受け止めています。
それからもう一つの質問、非常に難しい質問なのですが、どれか絞ったら、どれを取り上げますかというお話だと思います。
今、福島が置かれている現況というのは、非常に厳しいものがあります。
福島が東日本大震災、原子力災害から復興させていくために、何か一つの手立てを打てば、それで足りるというものは残念ながらありません。私は、復興施策は総合政策であると思っています。そういう意味で、13の重点プロジェクト全てが、今年、私が懸けていきたい予算であるとお捉えいただければと思います。
【記者】
いくつかお聞かせいただければと思います。
まずですね、名付けるとすれば、どういう予算なのかというのと、それから若干重なるかもしれませんが、トップに立った上で初めて作る予算だと思いますけれども、何に心掛けてやっていこうとしたのか。そして、間もなく震災から5年目に入ろうとしていますけれども、その段階で既に過去最大となっていくと。今後、今回1千億円以上財源不足で色々な基金を崩してやっておりますけれども、これから先ですね、財政規律の維持とそれから更に復興を力強く進めるという難しいバランスをとる中で、任期まであと3年余りありますけれども、どういう形で中期的に考えていらっしゃるのか、そこをお聞かせください。
【知事】
今、三点御質問をいただきました。
一点目の名付け、ネーミングですが、非常に悩みまして、今、私が考えているのが一番短いフレーズで言うと「ひらく(拓く)予算」。「ひらく」というのは、開拓、フロンティアの開拓ですね、後ろの「拓」の方です。
この「拓く予算」の前に付けるとすると、「福島の未来を拓く予算」。それを縮めると「拓く予算」です。
ある意味、「スタート」「始める」という意味を含んでいますので、私自身が昨年の11月から新しい知事として就任をして初めての予算、そういう意味でもスタートの予算ですし、そして、正に震災から今年は5年目に入ります。この5年目から、今まで色々な意味で苦しい、厳しい危機管理の段階であったり、準備段階あるいは胎動という段階を経て、いよいよ未来への道を切り拓いていく、そういうタイミングなのだと、そういう思いを込めて「拓く予算」ということをネーミングとして考えております。
二点目は心掛けたこと。これは「現場主義」です。
私自身、9月に副知事を辞めてから、ずっと浜、中、会津を廻ってきました。
多くの県民の方と会って直接お話をし、あるいは就任後は市町村長さんであったり、様々な方々から今の福島の現状の課題ですとか、これからに対する期待を聴いてきました。
そういった自分自身に刻み込まれた県民の思い、皆さんの思いを、今回の予算の中に最大限盛り込みました。私の心掛けは、「現場主義」に立った予算だということでございます。
そして三点目、過去最大規模の予算になった今後の財政上の規律の問題がどうなるか。
これは一言で言うと、やはり楽観できないと思っております。約1兆9,000億円の予算です。今回は様々な事業がピーク時に入っていますので、この規模がずっと続くということにはもちろんならないとは思いますが、元々福島県の予算は9,000億円です。0.9兆です。それが優に倍の予算あるいはそれに近い予算を今後とも編成し続けていかなければ、福島の復興は成し遂げられません。従って、今後、知事のあるいは福島県としての最大の課題は、財源の中長期的、安定的な確保ということになりますので、それを先頭に立ってやってまいります。
私自身は、3.11以降の3年半、副知事として国と様々な折衝・交渉を続けながら、この間の巨額の予算、財源を確保してきました。今後は自分自身がリーダーとして、国としっかり向き合って、この集中復興期間がいよいよ一端切れるという問題であったり、あるいは各種事業制度であったり、こういったものをサスティナブルに継続できるよう国と対峙をして、しっかりと財源確保を図っていきたいと考えております。
【記者】
27年度の組織改編なのですけれども、この危機管理とか、こども未来局、風評被害対策というのを見ると、知事が知事選の時に訴えていたものが凄く出ているなと思っておりまして、これが知事のカラーなのかなと思うのですけれども、この改編についてのお気持ちをお聞かせください。
【知事】
組織改編でございますが、県庁の組織というのは、その時点時点、状況に応じて変化をしていく。私の言葉で言えば「シンカ」していかなければいけないと思っております。
実際、副知事として仕事をしていく中で、今回の危機管理の対応であったり、子どもたちへの政策であったり、あるいは避難者の方々への対応、これがどうしても縦割りの中で、十分県の組織としての機能を発揮しきれていない部分があるというところを感じていました。
それはある意味、副知事として自分が横断的に見ながら、その縦割りの弊害をできるだけ取り去ろうという努力はしていたのですが、やはりそれ以上に効果があるのは組織改編そのものです。
今回、丁度4月1日という年度替わりのところで、こういった形で組織改編をすることによって、これまでともすると縦割りの弊害が出る可能性があった、そこが正に部門が一体化します。責任も明確になりますので、これからより部局長が、それぞれの分野においてリーダーシップを持って、発揮できる。
何かあった時、一端有事の時の危機管理。あるいは未来を担う子どもたちのための政策をその人が一元的に「俺がやるんだ」と思ってもらえる。あるいは避難者の方々からの様々な声を、全てワンストップでうちで受け止めます。そういった体制が今回出来上がりますし、また、風評・風化の問題も、これもスポークスマンではないのですが、一元的に対応できる方がいるということが、福島県としてのカラーを発信しやすくなると思いますので、そういう思いを今回込めて、組織改編をいたしました。
【記者】
知事選に出馬した時、県政の継続ということを言葉にされておりましたが、今回の予算で、継続と新しくすべきことは新しくすべきと、継続と刷新というところのバランスが必要なのかと思うのですけれども、その辺のバランスで苦心された点ですとか、その辺りどのようにバランスを取っていらっしゃったのかお伺いします。
【知事】
継続の部分、刷新の部分、どういう形に立っているかというお尋ねです。
まず今回の27年度の当初予算全体は、継続・刷新という理解よりは、むしろ「シンカ」している予算だと思います。これまで4年間やってきたベースの予算、そしてその事業の効果というものを踏まえて、それを更に一段、二段、三段、上にシンカさせていく予算であると思っていますので、何か継ぎ目がある訳ではなくて、やはりシームレスなのだと思います。
一方で中身の、去年の予算と新しい予算を比べていただくと、全く異なるものになっていますので、やはり常にシンカし続ける、そういう予算を作りたいということで、今回編成をいたしました。
また、大きく変えたところは、先程御質問をいただいた組織の改編です。
これは、やはり全く違う組織になります。今までとは違う、組織や人員でもって仕事をしていくということになりますので、年度が替わったところで気持ちを完全に一新してもらって、新しい組織下で、新しいその所属の部局長の下で、しっかりとした仕事をそれぞれ縦割りの弊害は一切外して、やっていただきたいと思っております。
【記者】
医療の分野についてお伺いしたいのですけれども、今回は新規事業として双葉の診療所などが入っています。それから、今、浜通りで特になのですが、介護や医療分野の人材不足が言われておりますけれども、この辺り今回の予算編成を見ると、かなり新しく入れたものとか、一部新規ということで入れているものが多いので、この辺りに対してどのような問題意識と具体的に考えていることなどがあればお願いします。
【知事】
医療人材、介護人材等の不足の問題というのは、県全体の問題であります。その上で、特に浜通りにおいては、それがより深刻という実態を持っています。
今回の保健福祉部の予算の中で、そういった部分を手当てする予算というのを重点的に強化をする形で措置しておりますし、それは福島県の場合ですと県立医科大学がありますので、医大の力を借りるのはこれは当然なのですが、医大の力だけではやはり限界があるというところもございますので、外部の方々のお力、あるいは他のエリアの方々のお力を借りながら、福島県のこういった医療関係人材の不足問題に対応していく必要があると考えております。
県としては、今後とも厚生労働省であったり、関係の方々の御支援をいただきながら、何とかこの人材不足問題を解消して、安心して住める、暮らせる環境づくりを創っていきたいと考えております。
【記者】
今日ですね、環境省の方で中間貯蔵施設の保管場の工事に着手するということで作業が始まりました。
地権者の方々に対する丁寧な説明というのを県としては強く求めていると思いますが、いざ工事が実際に始まってみてですね、どのように国に求めるかということと、今後の県としての取組について改めてお聞かせください。
【知事】
福島県としては、昨年の9月の段階で建設受入れは、容認はしております。
一方、大切なのは搬入開始、こういったものの方向性をつけるためには5項目の確認が重要だということです。現在、国、関係自治体と、県が提示している5条件について協議を進めておりますので、これをしっかりと進めながら、私どもは中間貯蔵施設の今後の方向性というものを見極めていきたいと考えております。
【記者】
先日の復興再生協議会でですね、改めて地権者に対する丁寧な対応というのを求めたと思うのですが、今回の保管場に関しては、用地を取得せずにですね、無償で借りて着工するという現状なのですが、こちらについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
【知事】
今回の保管場の取扱いというのは、ある意味、時間の流れの中でそういった対応になっているかと思います。
いずれにしても大切なのは、中間貯蔵施設の立地に、まだ完全に整理されている訳ではありませんが、それに当たっては地権者それから特に立地町となる双葉町・大熊町の理解、これが無くしては立ち行きませんので、そういった点を国はしっかり念頭において、今後とも丁寧に地権者の皆さんを始め、地元の方々に説明責任を尽くしていただきたい、このように考えています。
【記者】
中間貯蔵施設が今回建設が始まって、ある程度搬入まで先が見えてきたなと思うのですけど、一方、富岡町のエコテックなのですけど、これがまだ決まっていなくて、知事としてどういうふうに関わっていくかと、具体的な時期などもありましたらお願いします。
【知事】
中間貯蔵施設については、やはり丁寧な対応をする。5条件をしっかり精査していくということを正に現在進行形でやっております。
それと指定廃棄物の処理の問題、エコテックをどうするかという問題は、まず立地町である富岡町、それから実際に道路・搬入経路がかかるのが楢葉町になりますので、この2町との関係を、今、国、県が一緒になって、様々な協議を進めているところでございます。
中間貯蔵施設の問題と並行して、このエコテックの問題についても引き続き協議を深めていって、今後の方向性をしっかり出したいと考えております。ただ、具体的なスケジュールというのは示す段階にはないので、そこは控えさせていただきたいと思います。
【記者】
今日、福島第一原発で労災死亡事故を受けて作業がその後中断していたのが初めて再開されました。二週間くらい作業がストップしていて、工期の遅れも懸念されますが、福島第一の状況が収束しないと復興予算を付けても、復興になかなか資さない部分があるのかなと思うのですが、どのように受け止めていらっしゃるのかお伺いします。
【知事】
福島第一原発の作業再開の御質問ですが、やはり2名の作業員の方が亡くなられたということは、非常に深刻な問題だと受け止めております。今後、こういった事故、特に重大事故が起きないように、東京電力においては細心の注意を払って対応していただきたいと考えておりますし、また一方で、工期全体というものが常に何らかのトラブルであったり、こういった事故があることで遅れていきます。
それが福島県全体の復興にある意味マイナスの影響を及ぼすという部分と、それから特に避難区域に「さぁこれから未来に向かって帰っていこう」と思う方々に、非常にマイナスの影響を与えるというのも現実ですので、安全で安定的な原発事故収束の作業を進めていただくと同時に、今、現在組んでいる全体のロードマップをできる限り最大限守るように取り組んでいただくというこの二つ、ある意味矛盾はしているのですが、その矛盾を乗り越えて、ぜひ達成をしていただきたいと思っておりますし、その際、東京電力だけではなくて、国自身がやはり前面に出て、対応していくことが欠かせないと考えております。