3月23日(月曜日)10時00分~10時20分
場所:県庁応接室
【発表事項】
箭内道彦さんの福島県クリエイティブディレクター就任について
【質問事項】
1.原子力発電所の廃炉について
2.国連世界防災会議について
3.地価公示について
4.地方創生について
5.東京電力廃炉推進カンパニーについて
6.子育て支援について
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【発表事項】
【知事】
箭内道彦さんの福島県クリエイティブディレクター就任について、発表いたします。
世界が注目する復興に向けてチャレンジをする本県の姿を、国内外に力強く発信するため、本県出身の箭内道彦さんに、4月1日から「福島県クリエイティブディレクター」に就任いただくことになりました。
箭内さんについては、大震災以前から福島県の魅力を発信する活動をされており、また、県立ふたば未来学園高校を支援する「ふたばの教育復興応援団」のメンバーでもいらっしゃいます。
箭内さんのお力をお借りしながら、福島に生まれたこと、住んでいることを誰もが誇りに思える新しい福島を創っていきたいと思います。
【記者】
箭内さんを起用された最大の理由と、就任に当たって特に知事の方から、これをしてもらいたい、若しくはこういうことをしてもらいたい、震災5年を前にしてですね、具体的に指示等あればお聞かせいただけますでしょうか。
【知事】
箭内さんの震災前あるいは震災後における活動というのは、私自身よく存じ上げていました。
そういう中で、先月の19日に東京都で開催されました「ふくしまからはじめよう。サミットin首都圏」、ここで2人で座談会をさせていただく機会がございました。これがきっかけになって、是非こういう形で福島を応援してほしいというお話をお願いしたところ、「分かりました」ということで快諾を頂いたというのが経緯でございます。
特に、来年度、平成27年度になりますが、震災から5年目という大事な節目になります。その中で我々が展開していきたいのが、「チャレンジふくしまプロジェクト」というものがございます。この総合プロデュースのほか、福島県の情報発信、まだまだ足りないところがあろうかと思いましたので、こういった点についても具体的なアドバイス・プロデュースをしていただきたいと考えています。
【記者】
福島県の情報発信に対するアドバイスとあるのですけれども、例えば、風評被害の問題とか色々あると思いますけれども、もう少し具体的にですね、福島県で例えばどういうジャンルで、どういうことをしてもらいたいと、もちろん、あちらのクリエイティブ的な内容だと思いますけれども、どういうところに力を貸してほしいと具体的にお話をいただいてよろしいでしょうか。
【知事】
後程、箭内さん自身から具体的なお話があると思います。
私自身が、箭内さんと県あるいは知事と言い換えてもいいと思うのですが、情報発信の一番の違いは「言葉の使い方」が違うと思います。
先日も改めて対談していて思ったのですが、県職員あるいは役人として使う用語、言葉の使い方あるいは話し方と、箭内さんが使う非常に平易で当たり前の言葉を使われるのですが、スッと相手に溶け込んでいく。そこの伝わり方・伝え方というのが非常に違うなと思います。
私と箭内さんは同い年ですが、正直、日本語のコミュニケーションの仕方というのが全然違うと思うのです。
今、福島県は、県内もそうであるし国内外全体に対してなのですけれど、「伝える力」「伝わる力」が今一番求められていると思います。やはり行政だけの言葉の使い方ではなくて、箭内さん自身の持前の、凄くフラットで平易なのだけれど相手の心に真っ直ぐに伝わる、そういったものを是非我々にいかしてほしいというか、力を貸してほしいと思っております。
詳細は私の言葉ではなく、箭内さん自身の言葉で是非聞いていただければと思います。
【質問事項】
【記者】
先週ですか、全国で原発5基が廃炉と正式に決定がなりまして、改めて知事のですね、原発事故を経験している福島県の知事としてのお考え、廃炉に関してのお考えを聞かせください。
【知事】
今回の他県におけます廃炉決定というのは、運転期間を原則40年とする、この法令に基づくものであると受け止めております。
福島県としては、原発事故によって過酷な現状に置かれている我々のこの状況というものを踏まえて、引き続き、国そして東京電力に対して、第二原発を含む県内の原発の全基廃炉を強く訴えてまいります。
また、福島県の復興の基本理念、これは「原子力に依存しない社会を創る」ということでございますので、再生可能エネルギーの展開を含めて、福島県としてこの基本理念の実現に向けて、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
先週のことなのですが、国連の世界防災会議が閉幕いたしました。
知事も初日に出席なさりまして、各国に向けて福島県の現状を伝えたと思うのですが、4日間の会議を振り返るとですね、原発事故に対する言及が全体的に少なくてですね、自然災害が中心なものになってしまいました。
今、新たに箭内さんにお願いするということなのですが、今後そういったことを踏まえてですね、世界に向けてどのように原発事故の教訓を発信していきたいとお考えでいらっしゃいますか。
【知事】
先週の国連の世界防災会議、これは非常に自然災害の例を含め、意義のあった会議だと捉えております。一方で今お話がありましたとおり、原子力災害というものがこれまでの2回の会義の中で、そういった災害よりも自然災害にどうしてもウェイトが置かれるという傾向がありましたので、我々から見て、福島県の現状であるとか、原子力災害がもたらす厳しい状況というのを、もう少し発信したかったという思いも率直なところございます。
一方で、実際に会議に参加された方が、私自身も若干プレゼンさせていただきましたし、福島県に来られた方もいました。赤十字の方とも私お話ししましたが、非常に強い関心を持っていました。福島のことを是非知りたいと、是非自分の目で見たい、感じたい、質疑応答したいと、その熱意は非常に強いものがあって、やはり世界全体から見て、福島県の原子力災害に対する関心であったり、今後どうなるのだという行く末を見守る思いが強いということを改めて感じました。
こういった経験を踏まえて、今後、国内外に今の福島の状況、明るく進んでいる部分もあるし、一方で5年目に入ってもまだこのようなのかという厳しい状況、両方を正確に発信していくことが何よりも重要だと思います。
併せて、先程言いましたように、県だけの力ではなくて、箭内さんを始め、「はじめっぺプロジェクト」というのもやっていますが、色々な企業の力も借りながら、企画的に発信をすること、そしてそれを続けていくことが福島県の使命なのであろうと私は考えております。
【記者】
先週なのですが、国土交通省の地価が公示になりまして、全用途平均で福島県は全国1位の伸び率と、また住宅に関してはいわきがトップ10を独占するというような、ちょっと異常な事態になったかと思うのですが、いわきの方ではですね、宅地のやはり造成が追い付いていなくて、なかなか被災者、避難者のニーズに応えきれてないという現状があるかと思います。
県としてですね、このような現状に対して、どのように取り組まれるお考えでいらっしゃいますか。
【知事】
いわきエリアの今回の地価の状況というのは、非常に特異な、特殊な状況下での地価高騰だと受け止めています。
それは、いわき市に住んでおられる本来の住民の方に加えて、避難者の方が双葉郡ということもあって、地理的近接性、気候の面等で非常に2万人、3万人というレベルで増えておられること、あるいは各種の復興事業が進んでいく中で、作業員の方であったり様々な方が、今、いわき市の方に流入されておられるといったものが、全体が絡み合って特殊な要因としてこういった地価高騰が起きていると思います。
今後、いわき市ですとか、関係機関と連携して、例えば避難者の方に対しては、今後いつ頃までに帰れるという目途を色々な意味で付けていくということ、それから復興公営住宅をきちんと整備をすること。そしてさらに、いわき市でも今色々なこういった特殊な状況対応というものを考えておられると伺っておりますので、いわき市と連携して、行政として県としてやるべきことをしっかり検討していきたいと考えております。
【記者】
先程の人口減少の中でも出てきましたけれども、消費喚起という形でですね、クーポンであったり旅行だったり商品券とか、5割以上のディスカウントという形になっていますけれども、一方で旅行券とかはですね、他の都道府県と同じ程度の率でやっているということで、北陸新幹線だとか善光寺とか、かなりその仁義なき戦いになりつつあるという形もありますけれども、そういった福島だけではなくて全国的に見た場合に、どのような形で福島に消費喚起をしていこうというふうにお考えなのか。また、いつまでもできる話ではないと思うのですけれども、その辺りどういうふうに来年度以降を見据えてやっていこうとお考えでしょうか。
【知事】
今回、こういった旅行需要の拡大に対する特殊な支援というのは、国の地方創生の交付金、これがあってできるものでございます。従って、いつまでも毎回こういった施策を簡単に打てる訳ではございませんので、このチャンスをラストチャンスとしてどういかしていくかということが問われていると思います。
そういう意味で実際の値引き率は、各県、我々比較的早くは打ち出しましたが、他県さんも似たような対応をしていますので、そこでの単純な比較というのはなかなかできないであろうと。
その上で、我々が二つ訴えていきたいことがあって、一つは原子力災害から復興への道を歩む福島県を見てほしいという強いメッセージを、県全体で発信をしていくこと、これが一つだと思います。
それからもう一つは、福島県に来ていただいた方に、福島県ならではの人情であったり、あるいは温かい気持ちでもてなすのだと、このおもてなしの感覚がどれだけデスティネーションキャンペーンの期間に醸成をして、発信できるかが本当の勝負だと思います。
やはりクーポンとかで一時的な需要喚起するのは一過性です。そうではなくて、リピートのある観光を伸ばしていくためには、「福島に来て良かった」「あったかかったよ、福島の人は。すごかったよ」ということを戻られてから、隣近所の方に、あるいは今の時代ですとメディアで発信してもらう。そういう温かさをどれだけ我々が打ち出せるか、継続できるかが勝負だと思いますので、旅館、旅行関係の団体、市町村と連携して、福島ならではのおもてなしをしっかりと打っていく。クーポンに頼るだけではなくて、おもてなしで勝負する。そういったDCの期間にしていきたいと考えています。
【記者】
4月1日にですね、廃炉推進カンパニーからの発足から1年を迎えます。
現時点の評価と、知事としての課題に感じていることをお答えください。
【知事】
私は就任して3日後に福島第一原発に入りました。その時の率直な印象・感想を申しますと、大分頑張っているなと、ここまで廃炉作業を着実に進めているのだなと肯定的な評価をしました。具体的に言いますと、例えば一昨年、非常に大きく問題になった、汚染水のタンクから色々漏れるということが、約1年でほぼ無くなる状態になっていました。あるいは4号機の使用済み燃料プールからの燃料移送が着実に進んでいて、非常に心配されていた4号機が、今、安心できる空の状態になっている。そういった作業を進めている状況を見て、なかなか東京電力・国はしっかりやっているなという思いを、あの時は思っておりました。
ただ残念ながら今年に入って、K排水路の問題ですとか、情報が出ていなかったという事態を見て、それによって漁業者の皆さんあるいは県民の皆さんが、やはり「がっかりした」「信頼はどうなのだ」ということになったのも事実であろうと思います。
改めて今回、廃炉カンパニー発足から1年という大事な一つの節目となりますが、東京電力においては、きちんと情報公開を適時にするという当たり前のことと併せて、道筋がなかなか難しい廃炉・汚染水対策、しっかり前に進めていただきたいと思います。
特に大切なのは汚染水の問題です。これまでも再三期限が伸びてきたというところがございましたが、あれによって、これから故郷に帰ろうと思っている方の気持ちが残念ながら折れてしまったり、あるいは観光とか農産物の関係で一生懸命前に進めても、ああいったことがあるだけで、ガタッとその取組が元に戻ってしまうということになりかねないので、そういったことにならないような、きちんとした方向性を立てた上で結果を出す。このことをカンパニーに是非求めたいと思いますし、また、併せて国も前面に出て、一緒に連携をして進めていただきたいと考えています。
【記者】
先程の会議の中で、子育て支援の「ふくしま新生子ども夢プラン」がありまして、知事のお話の中でも、各部局で連携して総合的にというお話があったのですけれども、原発事故と向き合いながらの福島県での子育てということについて多くの課題がある中で、知事として特に力を入れていきたいところを教えてください。
【知事】
子育てというのは、一つのジャンルだけではなくて、すごく複合的なのですね。
先程の本部会議のメンバーも、実際、各部局全部が子どもに関連する仕事を抱えています。ただ今回4月から、「こども未来局」という形で統合しますので、間違いなくそこが中心になってリードしてもらうという部局になるのは間違いないのです。ただ、こども未来局だけが頑張っても、子育てのための環境づくりはできないと思っています。
先程強調したかったのが、各部局ができるだけ、例えば若いお母さんであったり、若いお父さんであったり、あるいは子どもたち自身も含めてですが実際に会ってほしいのです。
私、知事に就任してから4か月余りなのですが、色々な所でお母さんとかと会って話す機会はあります。会ってお話しすると、ものすごくやらなくてはいけないという動機、モチベーションを頂けるのです。あと一方で、子どもたちの笑顔を見ると、やはり元気を頂ける。
福島県、残念ながら人口の減少の仕方というのが危機的であると思っております。特に、若い世代が抜けているという厳しい状況にあるので、そういう中で子育てを応援する覚悟、危機感というのを持って、福島県全体で臨まなければいけないと思っていますので、そういう意味でも全部局が子どもに関わっているのだという「オール子育て」「皆がこども未来局長だ」という側面を持ちつつ、その本気度を持つために、時折やはり現場に行って実際に色々悩んだり、苦労されているお母さんたちとかお父さんと生の話をすると、嫌でもやらなくてはいけないという気持ちになるので、そういったことを各部局に強くお願いをしたところでございます。