3月30日(月曜日)10時00分~10時15分
場所:県庁応接室
【質問事項】
1.新年度の抱負等について
2.楢葉町の帰還準備宿泊について
3.東京電力の情報公開について
4.市町村の除染費用について
5.県民健康調査について
動画を見る
【質問事項】
【記者】
今週、いよいよ新年度ということになりますが、知事の抱負と課題をお聞かせ願えればと思います。
【知事】
平成27年度、震災から5年目、非常に重要な年度になると考えています。
今回、県においては機構改革も行いまして、例えば、危機管理部、風評・風化対策監、あるいは避難者支援の対応についても別建ての組織といたします。
また、県の組織が一丸となって有機的に連携をして、国や市町村と共に福島の復興をしっかりと前に進めていきたいと考えております。
この4年間でだいぶ復興が前に進んだ部分もありますが、そうは言いましても、まだまだ11万人以上の方が県内外で避難生活を続けておられますし、まだ浜通りの一部の地域は帰還の目途も立たないという厳しい現実もございます。
こういった避難地域の方々が安心して、今後、事業再建であったり生活再建ができるような目途を立たせていくということも重要ですし、産業もまだ震災前の水準に比べて、完全に戻ったという状況では到底ございません。そういう意味でも産業再生をし、環境回復をし、避難地域の復興、様々な課題がたくさんありますので、そういったことにしっかりと取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
【記者】
楢葉町の準備宿泊の話がですね、だいぶ町と国との調整というのは水面下で進んでいたようなのですけれども、今日午後、正式に日程が発表されるのですけれども、そうなると解除の判断と言うか、それは町の問題ではあるのですけれども、県が解除に向けて、楢葉町、次の解除の自治体ということになってくると思うのですが、どのようにサポートされていくかということについてお話しください。
【知事】
国は先般、楢葉町に対して3か月間の準備宿泊の実施ということを伝えられたと伺っております。
先日、私自身が楢葉町の復興祈願祭「楢葉ならでは祭」というイベントに参加をいたしました。町民の方々の固いきずなであったり、故郷への思いというものを自ら実感をいたしました。
また、その後、上水道の施設を拝見しまして、やはり生活をしていく上で、安全・安心の確保が重要だということを改めて感じてきたところでございます。
楢葉町の復興、あるいは再生が進んでいくように、こういう準備宿泊を進めていく中で様々な課題も出てこようかと思います。そういった課題に対して、国や町と一緒になって、県もしっかりと取り組んで皆さんが安心して暮らせる環境を創り上げるということに力を尽くしていきたいと考えております。
【記者】
今の質問に関連してなのですけれども、楢葉町で準備宿泊が始まり、今後、解除に向けての動きが進むとしたら、全住民が避難している自治体、全町避難の自治体としては初めてになると思います。そのことに対する知事の受け止めと、楢葉町、双葉郡の一つの自治体が初めてもし帰還するということになればですね、準備宿泊は大きな意味を持ってくると思いますけれども、その辺りの重要性というのをどのように知事は考えていらっしゃるのかをお願いします。
【知事】
これまで、例えば、川内村・田村市であったり、その自治体の一部の地域についての避難解除というものが昨年も含め進められてきました。
今般の楢葉町は、全町一括での初めてということになりますので、今回のこの対応というのは非常に重要だと受け止めております。
特に、楢葉町、今後やるべき課題がまだまだございます。そういった点について、町のお話を伺いながら、国自身も一つ一つ、今着実に対応を進めてくれているところではございますが、やはり町民の皆さんが安全・安心を実感できる、あるいは戻っても大丈夫なんだなと確信ができることが何よりも重要だと思いますので、そういった丁寧な対応、きめ細かい対応というものを、今回の場合、特に心掛けていかなければいけないと受け止めております。
【記者】
もう一点、楢葉町の帰還準備宿泊というのが、双葉郡、ひいては避難地域、福島県全体の復興にとって、どういう意味を持つとお考えですか。
【知事】
双葉郡が今後どういう形で展望を示していけるか、その時に広野町に続いて楢葉町が全町の解除というものが、今後、具現化するということが一番分かりやすいシンボルになってくると思います。
特に、第一・第二原発の事故収束の問題、楢葉町においてモックアップ施設というものが出来て、これが廃炉対策に非常に有効な手段になってくると考えておりますし、また、大熊町・双葉町は、先般、辛い判断ではあったのですが、中間貯蔵施設の搬入受入れというものを方向性として決めていただきました。
このように双葉郡のそれぞれの地域が、自分たちに課された状況というものを乗り越えていこうという、道筋を見せることが双葉郡の復興・再生の一番の目印になると思っておりますので、そういう意味でも今回の楢葉町が、今後、避難解除に向けてどのように丁寧な対応を進めていけるかというものが、双葉郡全体にとっての一つの方向性になってくると私は考えています。
【記者】
今日の午後に発表されることなのですけれど、東京電力の情報公開についてお尋ねいたします。
東京電力はですね、汚染水の海洋流出問題を受けて、今日の午後にですね、新たな情報公開の基準を発表することになります。
これまでもですね、徹底した情報公開というものを県としても求めてきたと思うのですが、改めて新しい方針が示されるに当たってですね、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
【知事】
これまで東京電力の情報公開の在り方というのは、震災後に限らず、その前から幾度も県が東京電力に対して厳しく話をしてきたところでございます。特に震災後、原発事故後においては、それがより重要度を増している訳です。
こういった取組を間違いなく進めていかなければ、東京電力と例えば漁業者、あるいは東京電力と県民の間の信頼関係というのは築けないと私は考えております。
そういう意味でも、今般のこの情報公開の方向性というものは、ラストチャンスだと東京電力には真剣に受け止めていただいて、やはり形として結果を出していくことが何よりも求められておりますので、きちんと情報公開をし、その上で廃炉・汚染水対策を着実に進めていくこと。この二点を今後とも強く東電に求め、実行してほしいと私は考えています。
【記者】
情報公開に当たって懸念されるのがですね、東京電力がそれで何でも出せば良いという姿勢でですね、膨大な量のデータを出して「私たちは出しています」と。「解釈しないそちらが悪い」というふうに責任を転嫁されることが一番懸念されると思います。こちらについては、県としてどのように対応されるお考えでしょうか。
【知事】
膨大な量のデータの中で基本的に問題がないデータと、結局様々な規制とか基準を超えている、オーバーしている問題になる値というのは明確に分かる訳です。
従って、仮に量が多い場合においても、その中で「こことここが要注意なのだ」ということを、マスコミの皆さんもそうです、あるいは県に対しても、ひいては県民に対して、「ここの部分はオーバーしてますよ」と。例えば、原因が分かっていれば、それは当然セットで出してもらえばいいし、原因が分かっていないとしても、「ここは要注意なので今後必死になって原因究明、対応に取り組む」ということ併せて発表していくことが何よりも重要だと思います。
実際、様々なデータがございますが、基本的にはそんなにオーバーしているものは多い訳ではありませんから、そういう意味でも、「こことここが要注意なのだ」ということを併せて報道すれば、今、言われたような懸念が薄らぐのではないかと思います。
【記者】
関連してなのですけれども、話のきっかけになった2号機の大物搬入口屋上部のデータっていうのも、実は以前にも1回出されていて、ちょっと言葉は悪いのですけれども、マスコミも県も正直分からなかった部分もあると思うのです。
そう考えた時に、一行政機関が、全国の自治体どこも原発関連の部署があると思うのですけども、原発設置自治体はですね、監視していくというのはなかなか、まして廃炉の作業を監視していくというのは、一行政機関ではなかなか厳しいのではないかなと思うのですが、これから新しい体制もできます、県の組織の方もですね。どのように臨んでいくか、この辺、相当難しい話だと思うのですけれど。
【知事】
今回の情報公開の在り方の議論は、原子力規制委員会においても様々な検討が行われた上で東京電力として出してくるものと考えています。
一番大事なのは、オンサイトとオフサイト、原発の敷地のある部分とそれ以外の我々が通常住む部分と両方エリアがある訳ですが、オフサイト・外界に対しての影響がどうなのだというところを確認していくことが重要だと思います。
また、国の様々な基準もそこの部分において規制の基準というものを考えて、外界に影響があるのかないのかというのが一番重要なポイントになると思いますので、その点について、今後、東京電力が何らかの異常なもの、異常なデータの兆しがある場合には、そこをとりわけ強めに、きちんとマスコミの皆さんにもそうですし、県や国に対して報告をするというシステムを作り上げる。それが「原因が分からないのでちょっと後回しにしましょう」ということは無しだよと。とにかく「数字が出た段階で先ずは出すんだ」という姿勢をまず確立していくことが、今回の反省の上での対応ということになろうかと考えています。
【記者】
そうすると外界への影響があるものに関して、サイトの中も色々あると思いますけれども、とにかく外界に影響があるもので、かつ原因が分からないようなものの数字を何でも出してくるのはそれはしょうがないというふうに捉えても。別に悪い意味で言っている訳ではないですけれども。
とにかく外界に関して影響のあるもので、何かしら数値が高いものとかあった場合には、とにかく数字を出してくれと。そういう意味で言うと、中のサイトのものまで全部出されても困るというところは、やっぱりあるというような感じなのでしょうか。
【知事】
そこは午後どういう形で出してこられるかというところがありますが、やはり特殊な数字が出るものについては、きちんと広報するというのも大事だと思います。
私は一番押さえなくてはいけないのはそこだということを言っただけで、全体としての情報公開の在り方は規制委員会の議論、当事者である東京電力、監督官庁でもある経済産業省も含め、全体として在るべき姿というのを議論してほしいし、対応してほしいと考えております。
【記者】
今朝、一部の報道でですね、東京電力が市町村の除染費用の支払を滞っているという報道がありました。国直轄の除染と市町村の費用の負担というか、その点についてはいかがでしょうか。
【知事】
除染は福島県の環境回復を進め、更に復興を前に進めていくための大前提になる重要な事業でございます。必要な除染を確実に実施するように、国、東京電力は責任を持って対応すべきであります。
県としては、除染に必要な経費、これを確実に措置するよう国に求めてきておりますが、今後ともしっかりとそれを求めてまいります。
【記者】
先週、県民健康調査の甲状腺検査評価部会が開かれまして、今のところ甲状腺がんと放射線の影響は考えにくいというまとめが出されたのですけれども、今後の方向性としては、現状ではやはり内部被ばくなどの推定もしていかないと因果関係を突き詰めるのはなかなか難しいという意見も出されまして、今後ですね、甲状腺の調査の在り方について、知事はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
【知事】
甲状腺検査の在り方について専門家の中でも、今、様々な御意見がございます。
ただ、この検討の場において、こういった影響というのが直接出ている訳ではないだろうという考え方が今示されている。併せて、今後、長期的に確認をしていかなければいけないという御意見もございます。御一人御一人に対する心情をどうすべきかというものについても、様々な御意見がありますので、常にこの専門家の関わる場において、色々なデータを詳細にチェックをして、その上で、より良い形に変えていくということが求められていると思います。
併せて、県民の健康の在り方については、長い年月をかけて、ずっとフォローをして、安心・安全な状態というものを皆さんにお示ししていくことが重要ですので、この健康調査というものは全体としてはとにかく継続をしていくのだと。そして、一つ一つの個別の部分については専門家の御意見を伺いながら、必要な部分については見直していく。この両方をきちんと守っていくことが大事かと私は考えております。