■日時:平成27年4月27日(月)10:00~10:25
■会場:仮設庁舎1階記者会見室
【質問事項】
1 集中復興期間後の予算について
2 危機管理対応について
3 就任から半年を迎えて
4 首相官邸のドローン事件について
5 ネパールの地震について
6 パフォーミング・アーツ・プロジェクトについて
7 大熊町・双葉町へのインターチェンジの追加設置について
8 風評・風化対策について
9 デスティネーションキャンペーンについて
10 応急仮設住宅について
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【質問事項】
【知事】
先週の4月20日に全国知事会議の場において、また、今、御指摘いただきました4月23日には被災4県合同で要望活動を進めてきたところでございます。こういったやりとりの中で、政府サイドから一部地方負担についての言及がございました。
私としては、福島県が原子力災害という非常に重い問題を背負っていること。そして残念ながら、この原子力災害という課題を乗り越えていくためには、中期的・長期的、長い時間がかかるという、その特殊性の話を強く訴えてきたところでございます。
特に市町村においては、財政状況が厳しいということもございますので、今後とも、国の方からの提案、どういったものがあるのかを見ながら、市町村と連携をし、また、被災県と連携をして、あるべき財源確保ができるようにしっかりと努力をしていきたいと考えております。
【知事】
危機管理の関係でございます。先週、リアルタイム線量測定システムの関係ですが、当初予定をしていた性能が確保されていない、また、データ提供に支障を来たして、モニタリング全体の信頼性に関わるという状況があることから、事業者との契約を解除いたしました。
あの節には、危機管理部長自身が会見をして、長時間にわたって皆様とやりとりをしたところでございますが、やはり県民の安全・安心の確保のためには、その情報の提供というものは非常に重要でありますし、こういった形で上手くいかなかったということは反省すべき点があったと捉えております。
こういった件も含め、年度当初から御指摘のとおり相次いで課題が浮き彫りになっております。こういった反省を踏まえて、危機管理への対応について、改めて今、危機管理部に検討を進めさせているところでございます。この基本的な考え方は危機管理部だけではなくて、県庁全体、全庁的に共有していくべき状況だと思っておりますので、今、その検討を鋭意進めておりますので、その状況を見ながら、できるだけ早くお示しできるようにしっかり進めていきたいと考えております。
【記者】
今の確認なのですが、危機管理部の改善ではなくて、何らかの県庁一般の例えば情報発信の在り方なども改善方針を今検討中という理解でよろしいでしょうか。どのようなイメージを持っていらっしゃるのでしょうか。
【知事】
今回のリスク管理について、県庁内での例えば情報の共有、特に上に情報が上がっていないというのが、全ての原点になっておりました。そういった兆しであるとか情報の上げ方をどうやったらあるべき姿でスムースにできるのか、こういった点が一つの中心の課題となりますが、そういったことも含めて、危機管理部だけでなくて、例えば土木部も関わっておりましたし、あるいは旧生活環境部も当然関わっていたのですが、全庁的にこういった問題が生じないようにするための事務体制づくりというものをどうするのか、こういったものを今整理しております。
その基本的な考え方を皆さんにお示しすること、これはもちろん大事ですし、我々自身が当事者として、それを実践していくことが重要だと思っておりますので、今、その検討作業を進めているところでございます。
【知事】
就任から半年ということでございます。もう半年という期間、相当長い期間になろうかと思いますが、この間に自分自身が心掛けておりますのが特に二つあります。
一つは「現場主義」。福島県内の状況、特に避難地域であったり、避難者の皆さんが、今どういうお気持ちでどういう状況にあるかということを常に身近に感じていること、これをまず大切にしております。
そしてもう一つは「トップ交渉」。ちょうど財源のお話も頂きましたけれど、国とのやりとりであったり、あるいは東京電力とのやりとりであったり、そういった特に、対東京ですとか風評払拭のために対全国、場合によっては国外ということを含めてですが、そういったこの二つを知事自身が汗をかいてやっている姿を示すということが重要だと思って、それを実践してきたつもりでございます。
ただ御承知のとおり、まだまだ課題は多くございますし、一方で明るいニュースも出てきておりますので、これからもこの「光」と「影」、光を強めて、影を弱める、そして今の福島の生の姿を発信していくということを懸命に続けていきたいと考えております。
【知事】
今回のその案件については、捜査上の案件でもありますので直接的なコメントは控えさせていただきたいと思います。
その上で、例えば色々な区域設定されていて、一般の方が立ち入ってはいけないという状況は現にある訳でございます。こういった問題とはまた別に治安上の問題ですとか、防犯上の問題もありますので、今後とも国や地元の自治体と連携をして、きちんとした安全管理、立ち入りが出来ない、そういった対応ができるように、県としても一緒になって、工夫をしていきたいと思いますし、こういった点は改めて関係者間での注意喚起が重要だと受け止めております。
【記者】
今のドローンの件で、直接、捜査上のことはコメントしないというのは理解できるのですけれど、この反原発のそういう意思があるような形での、悪い言い方をすれば、福島が使われてしまったというような考えもできると思うのですけれど、その点に関しての知事のお考えはありますか。
【知事】
改めてとなるのですが、そういう具体的な案件について言及するのはいかがかと思いますので、その点は御理解を頂きたいと思います。
その上で福島県の風評払拭というものは非常に幅の広い概念でして、色々な意味で福島県がこういう状態なのだということを我々が率直に伝えていくことが大事です。復興が前に進んでいる部分もありますし、まだまだ現実に避難区域があって、11万人以上の方が避難生活を続けている。この異常な状態が残念ながら4年を超えても終わってはいない、そういったものを真っ直ぐ伝えていくということが何よりも大事だと思いますし、誤解を生じないような県としての広報対策にもっと力を入れていかなければいけないということを改めて感じております。
【知事】
ネパールの今回の大きな地震、まだ本当の意味での被災状況というのが完全には明らかになっていない。おそらく今後とも亡くなられた方、あるいは怪我をされている方、家屋の倒壊状況等が大きな形により広がっていってしまうのではないかと懸念をしておりますが、我々自身があの3月11日に体験をしておりますので、本当にネパールの国民の皆さん、近隣諸国でも同様に被害に遭われた方々がおられますので、心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、福島県として直接的にどこまでできるかはまた別ですが、こういった世界における災害に対して意識を共有して我々として何ができるかということを考えていかなければいけないと思っております。
また、しばらく前ですがバヌアツでもそういった災害が起きました。今後、いわきで「太平洋・島サミット」が行われますが、そういった際にも我々としてどういう気持ちをお示しするかということもございますし、常に福島自身が、世界の方々から見守られて、支えてきていただいたという視点も含めて、我々として何ができるのかということは、引き続き考えていきたいと思います。
【記者】
担当外のことを聞くかもしれませんけれども、今、在外県人の情報は何か知事に入っているものはありますか。
【知事】
私自身は日本人の被害というのは、エベレストの部分での男女お二人と伺っておりますので、直接的には確認はしておりませんが、引き続き情報収集に努めていきたいと思います。
【知事】
平田オリザさん、大友さん等々ですね、正にそうそうたるアーティストの皆さんが、福島県の生徒たちと一緒に「アート」「パフォーミング・アーツ」というのは正に自分自身を表現するということだと思いますが、そういう芸術作品を約1年掛かりで創り上げようという、すばらしいプロジェクトであります。
是非多くの生徒さんに参加をしていただいて、これは浜・中・会津、全域を対象にしたプロジェクトですので、彼らとのぶつかり合いの中で生徒たちが持つ潜在的な力というものを発揮をしてもらって、それがまた福島の一つの発信のスタイルとなっていくと思いますので、これからの1年間の生徒たちの成長を非常に楽しみにしているところでございます。
【知事】
先週後半、太田国土交通省大臣、総理と面談をされた上で、大熊・双葉のインターチェンジの設置、非常に具体的な方向性を示していただきました。非常にありがたい政策、対応だと受け止めております。
今後、このインターチェンジ、早期の設置が重要ということになりますので、県自身も当事者として自治体と連携をして、できるだけ早くそういった申請をしたり、具体的な手続き、作業に入れるように努力をしていきたいと思います。
【記者】
大熊と双葉のインターチェンジが開設された場合、どのような効果があると考えていらっしゃいますか。
【知事】
二つあると思います。一つは大熊町・双葉町、第一原発の事故というものがあって、全町避難ということで非常に辛い状況にあられますが、今後、町内復興拠点等を核にして、きちんと帰還施策というものを進めていく上で、このインターチェンジがあることによって、非常に避難者の皆さんであったり、あるいは復興の各種の施策を進めていく上でスムースになるという側面がございます。また、廃炉・汚染水対策、東京電力あるいは国が進めていく上でも重要な動脈となりますので、こういった要素が一つございます。
また、もう一点は中間貯蔵施設です。残念ながら、大熊・双葉に設置をしていただくということになっておりますので、そうすると大量の汚染土壌が県内から入ってくる。その時に、このインターチェンジが設置されることによって、中間貯蔵施設への搬入にも寄与するということとなろうかと思いますので、そういった効果を発現していくためにも、できるだけ早く施策を進めていきたいと考えております。
【知事】
風評・風化対策であります。風評で改めてショックを受けましたのは、先週の月曜日の全国知事会議で東北の知事さんたちから、台湾が輸入規制を強化したということに関連して、福島だけの問題ではなくて、全国的な広がりを今の時期になっても、もってきているということです。我々自身は全体としてある程度落ち着いてきたという思いを持っていたにもかかわらず、世界から見ると、そういう見方をされてはいないのだということを如実に表しておりました。従って、福島の風評対策ということではなくて、東北であったり北関東であったり、日本全体にとっても、福島の風評対策を進めていくことが重要だということを改めて実感をしました。
そして風化という面では、4年余りが過ぎて、多くの方々が3.11のことが過去形になっています。しかし、残念ながら福島県は今もなお、東京都の約半分もの面積の避難地域が存在していて、そこにあった日常生活が失われていて、さらに11万人以上の方が県内外に避難をされている。今もなお、災害が現在形であって、悔しいのですけれども未来形というところでもある訳です。そういうところが風化してしまうということではあってはならないと思いますので、風評対策、風化対策、実は矛盾した側面も持っているのですが、やはり真実の福島の姿をできるだけ正確に多くの方に伝えていこうということを知事自身も先頭に立って、やっていかなければいけないと、私自身は胆に銘じているところでございます。
【記者】
風評・風化対策のところなのですけれど、これまでも知事がトップセールスをされたりですとか、首都圏からツアーで福島に招いたりですとか、色々なことをされてきたと思うのですが、今後、改めて何か新しいことをやっていくですとか、ここを強化していくというお考えはあるのでしょうか。
【知事】
やはり今までやってきたものを、より量的にできるだけチャンスを増やしていこうと。
それから質、中身を増やしていく、クオリティを高めていくことが大事だと思います。
先週、KATAという韓国の旅行業協会の会長さんが私の部屋に来ていただきました。そして意見交換をしている時、彼からは率直に福島に不安を持っている方が韓国に多いのだということを言われる一方で、そういう意味でも、福島県の例えば農産物の安全性であったりを韓国の旅行業者さんにダイレクトに伝えてほしいというオファーを受けまして、翌日、山形でそういう会があった時に、会長さんのお計らいでさせていただきました。
やはり生で、今日もそうなのですが、こうして顔を見て話をすると、かなり伝わるというのが私自身の実体験でもございます。できるだけ多くの機会を作って、直接言葉を伝えていくということを、これからも愚直にという言葉が適切かどうかは分かりませんが、続けていくことが風評対策の一番の王道ではないかと思います。
【知事】
福島のDCの関係でございますが、おかげさまで滑り出しは順調でございます。色々な状況、関係の旅館、旅行業界、観光業界の方から伺っていますが、まずまず出だしが好調だということを伺っております。ただ大切なのはこれからです。
ゴールデンウィークはいよいよ本番です。おかげさまで天気にも恵まれるようですので、是非国内外の多くの方々に福島に来ていただけるように、これからの3か月間、全力できちんと広報をして、そして全力でというのも変なのですが、笑顔でおもてなしをしていきたいと考えております。
【知事】
現在、28年3月までということになっておりますが、28年4月以降の対応については、避難指示の解除、このタイミングはもちろんなのですが、復興公営住宅の整備ですとか避難者の皆さんの住居確保、この状況等から検討を行って、国と協議していくことが基本だと受け止めております。
この仮設住宅ですとか、借り上げ住宅を始めとした避難者の皆さんへの支援というのは、これからも当該自治体、市町村ですとか、今受け入れていただいている都道府県、こういったところと連携をして、きめ細かに丁寧に対応をしていきたいと考えております。
【記者】
5年で打ち切りという可能性も視野に入れているという、復興公営住宅の着工・建設が進んでおりますので、ということはどうなのでしょうか。
【知事】
復興公営住宅は福島県だけでなく、実は宮城・岩手もそうなのですが、計画通りに進んでいないというのが現状でございます。皆さんが落ち着ける先があってということでありますので、そういった点も十分考慮に入れながら国と協議を進めていきたいと思います。
(終了)