■日時 平成27年5月18日(月)10:00~10:30
■会場 仮設庁舎1階記者会見室
【発表事項】
欧州訪問について
【質問事項】
1 欧州訪問について
2 与党第5次提言について
3 復興事業のあり方について
4 自主避難者への住宅提供について
5 懲戒処分の公表基準について
6 事務の不適切な処理について
7 ワンストップサービスについて
【知事】
震災から4年を経過しましたが、国の内外において、依然として風評が根強く残っており、また時間の経過とともに、震災の風化も進んでいる状況にあります。
このため、7月の12日から18日にかけて、私自身、就任から初めてとなる海外訪問として、スイス・イギリスの両国に赴き、福島県の現状や復興が着実に進んでいる姿を自ら発信することにいたしました。
スイスにおいては、政府の要人や国際機関等への訪問を始め、セミナーの開催により、福島県の現状や復興に向けた取組等の正確な情報を、直接、世界各国の方々にお伝えをしてまいります。
また、イギリスでは、海外県人会の「ロンドンしゃくなげ会」や、世界有数の総合大学である「ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン」など、福島県に想いを寄せていただいている皆様と連携をして、同大学における講演や、イギリス国会議事堂でのレセプションなどを開催して、多くの方々に、福島県の現状等について理解を深めていただき、支援と共感の輪を広げてまいりたいと考えております。
今回の訪問を通じて、世界各国からの御支援に対して、心から感謝の気持ちをお伝えをし、未曽有の複合災害から立ち上がり、復興に向けて着実に歩みを進める福島県の姿をしっかりと伝えてまいります。
【知事】
「福島庭園」の3周年事業というのも、非常に大事な使命になりますので、私自身も参加をさせていただきたいと考えております。
また、福島庭園以外にも、こういった事業を含めですね、ロンドンあるいはスイスにおいて、今の福島の厳しい状況をお伝えをする。それと併せて、この4年間で、国内外の御支援も頂く中で、福島の復興がここまで進んだのだ、そして、これからも未来に向けて我々は挑戦を続けていくのだ、そういう強い思いを私自身が直接、様々な方にお会いをしながら、発信をしていきたいと考えております。
【記者】
「欧州訪問」なのですが、端的になぜ「スイス」と「イギリス」なのかというのを教えてください。それから、スイスの政府要人・国際機関はどういったところを想定していらっしゃるのか。また、セミナーは何を伝えようということをお考えなのか教えてください。
【知事】
世界各国、様々な国に伺って、できるだけ多く伺っていければ良いのですが、日程的な限りもあるものですから、今回は2国にしております。
スイス、イギリスの理由でございますが、スイスについては、ジュネーブには40を超える国連機関あるいは国際機関が設置されております。従って、世界への発信力が、この一つの地から非常に強いものがある。また、福島県の正確な現状ですとか、復興の取組の発信において、まず1か所において比較的幅広い効果が期待できるというのが、スイスを選んだ理由でございます。
二点目にイギリスですが、ワールド県人会あるいはロンドンしゃくなげ会の会長、あるいはUCL、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに福島県出身の教授がおられます。そういうことから、実は本県の復興応援のためにかねてから活動されておりまして、連携した効果的な情報発信が期待をできる。これが直接的な2国を選んだ理由でございます。
また、まだ具体的に誰と会うかということについては、現在、各国と調整をしているところなので、まだ完全に決まりきってはいないのですが、やはり伝えたいことは「光」と「影」、この両方を正確に伝えていきたい。
諸外国の方ですと、日本の方以上に、2011年の3月以降、福島がどうなっているかというところは中々リアルに感じとっていただけていないところがありますので、福島県知事自身が直接、今、こうやって皆さんと顔を合わせているように、顔を合わせながら発信するということが、一つ福島の理解を深めるための重要なきっかけになると期待をしております。
【知事】
この与党の議論というのは、福島の現状を与党として捉えた上で、今回こうした骨子案をまとめたものと受け止めております。
特に避難指示解除の問題ですが、今後、国自身がこの与党の提言を受けて、議論を進めていくものと考えておりますが、この避難指示の解除に当たっての考え方として、「県、市町村、住民との協議」これを国自身が挙げております。今後の解除に向けても、この関係者との関わりというのが非常に重要だと思いますので、丁寧な説明をきちんと進めていくことが大切だと思います。
そして何よりも大事なのは、住民が、安全に安心して暮らせる環境づくりでございます。従って、国に対しては、こういったインフラ、生活インフラ、ハード・ソフト様々な面におけるしっかりとした対応を求めていくとともに、県としても、自治体と一緒になって力を尽くしていきたいと考えております。
【知事】
現在、復興大臣が発表された大枠を見ますと、復興の基幹的事業に加えて、原発由来の事業については、引き続き自治体負担をゼロにするとされております。これは福島県の厳しい実情に一定の理解が示されたものと受け止めております。
一方で、道路整備を始めとした公共事業であったり、効果促進事業に一部負担が導入される方向でございます。また、今年度終了するとしている事業の中に、再生可能エネルギーの関係の事業であったり、あるいは緊急雇用の事業が含まれており、こういったものは、これから福島が復興を進めていく上で、大きな支障が出るものと懸念をしております。
ハード・ソフト両面で、一部負担の導入であったり、重要な事業が終了することによって、県民のこれからの復興への展望に直接的な影響が出るのではないかという心配を持っております。
このため、今後、政府主催の会議であったり、あるいは要望活動などの場を通じて、あらゆる機会を捉えまして、私自身がまず積極的に発信をする。また、県庁全体も、各自治体と連携をして福島県の実情と中長期的の確かな財源確保に向けて、全力で取り組んでまいります。
【記者】
復興財源の関係と関わるのですが、15日の閣議後会見で竹下復興大臣が地元負担の割合について、1%から3%くらいという数字を挙げて、記者会見でお話されていたのですけれど、率直に今、内堀知事として、そういう数字を言われて、どういうふうにお感じになっているかという部分と、福島県の地元負担の割合というのをある程度はやむを得ないというお考えなのか、全てを全額国費でというふうにお考えなのか、その点について教えてください。
【知事】
先週、竹下復興大臣が具体的なパーセンテージを挙げて、この財源論のお話をされたということを伺っております。その後、実は国といくつか調整をしているのですが、ポイントはその基幹事業の範囲、あるいは原発事故由来の事業の範囲というものが、どこからどこまでなのかというところがまだ十分に示されておりません。
これはもう既に、しばらく前から、早めに示してほしいということを、私自身も折に触れて訴えているのですが、まだ現時点において、それが示されていない。
そうすると、その影響額がどの程度になるかということも、パーセンテージに掛ける母数が見えていないものですから、ちょっと掴み切れていないというのが現実でございます。従って、今、国には、そうした母数になるような事業対象の範囲を早く示してほしいということをとにかく訴えておりまして、今日、また説明会もありますが、そこでも恐らく、市町村からも同様のお話があるかと思います。今、優先されるべきはその点かと私は受け止めています。
【記者】
確認なのですけれども、復興財源の話で、地元負担に関してその負担を受け入れる考えがあるかないかとの他の社さんの質問にもありましたが、これは母数が仮に分からない今の現状でも、それはもう一定程度、母数が決まるので、金額によって、全額負担を政府に求めるのか、一部負担をやむなしという判断をするのかという考えで良いのか。現時点で母数は分からないまでも、一部負担受入は、これはやむなしという考えなのか、そこをお伺いします。
【知事】
今後の復興財源のあり方、さらに大きく捉えると復興事業のあり方の議論は、慎重に丁寧に議論を進めていくべきだと思います。
今の御質問の趣旨を十分分かった上で答えるのですけれど、今、あまりゼロかイチかという結論を焦るのではなくて、先ほど御説明したとおり、国が提示している案が正直まだ見えないので、この時点において、結論ありきということではなくて、国が今どういう考えなのか。特に福島の場合は、原発由来の事業、基幹事業も実は分からないところがありますけれど、そういったもの全体を見た上で、福島県として、あるいは各市町村として、自治体として、今後の復興をちゃんと進められるのかどうか、そういう大きな議論と一つ一つの金額の積み重ねの議論を合わせた上でなければ、方向性は出せないと思っています。
繰り返しますが、原子力災害を乗り越えなければいけない福島、これに対して国は責任を持って、中長期的な財源対策を講ずべきだと我々は思っておりますし、その趣旨が福島復興再生特別措置法に書いてございます。それにのっとった対応をしていただくという意味でも、我々は丁寧に議論を続けたいと考えております。
【知事】
平成28年4月以降の対応なのですが、これは避難指示の解除、復興公営住宅の整備ですとか、あるいは避難者の住居確保の状況、また、市町村の復興状況、こういった様々な要件を見据えて、市町村等の意見を丁寧に伺いながら、今後の見通しが示せるように国と協議を進めているところでございます。
【記者】
そうしますと、現段階で打ち切りの部分ですとか、そういうものはどのくらい決まっているのでしょうか。
【知事】
今、お話をしたのが福島県としての状況ですので、それに尽きるということでございます。
【記者】
自主避難の関係なのですけれども、国との協議を進めていきたいということで、立て付け上、概算要求とか色々なスケジュールも絡んでくると思うのですけれど、いつ頃までに示していきたいのか。
また、当選されてから、これまで知事も就任後、山形とか埼玉とかどんどん行っていらっしゃると思いますが、県から避難していらっしゃる方とのリスクコミュニケーションをどういうふうに図っていくのか。また、市町村との了解というか合意を得るために、どういうプロセスを踏んでいきたいというふうにお考えなのか、そこをお聞かせいただけますか。
【知事】
仮設・借上住宅を始めとした、こういった避難者の方々への支援については、先ほど申し上げましたとおり、市町村等の意見を丁寧に伺うこと。様々な取り巻く条件がありますので、そういったものをしっかりと分析をすること。その上で今後の見通しをお示ししていかなければいけないという局面が近づいていますので、そういったことを頭に置きながら、国と協議を進めているところでございます。
【記者】
自主避難者の件で追加でお伺いしたいのですけれども、今、一口で「自主避難者」という中で、原発事故当初から避難指示が出ていない区域から自主的に避難されている方々と、例えば、都路ですとか川内ですとか、既に避難指示が解除されている、その中でまだ元々の避難元に戻っていらっしゃらない方と、二つに分けられるのではないのかと思うのですが、この方たち、例えば、家族の分裂状況ですとか、家や家財の痛み具合ですとか、周辺に人が戻っているかですとか、色々な意味で状況が違ってくると思いますが、今後、楢葉を始めとした避難指示の解除が進む中で、後者の方の自主避難者の方の数もどんどん増えてくると思うのですが、この辺り、県としてどのように、一緒に対応されるのか、それとも何らかに分けて考えていらっしゃるのか、これから先どのようにされるおつもりかということを伺えればと思います。
【知事】
川内、田村市の都路あるいは広野、今後おそらくエリアが変わっていくにつれ、新しいタイプの自主避難と言いますか、避難のタイミングがずれられる方というのは、出てくるのだと思います。
また、それぞれ御家庭によって事情も違いますし、例えば、楢葉の場合、典型なのですが、「住宅がきちんとリフォームされないと、特例宿泊や準備宿泊もできない」という御指摘があるように色々な状況がございますので、これは一つの言葉の元に一緒くたにするのではなくて、それぞれの個々の実情というものを丁寧に考えながら、施策を形成していかなければいけないと考えています。
【記者】
今、ちょうど住宅の延長、無償提供の期間の延長について色々と議論されていると思うのですけれど、この辺りも例えば、そもそも避難指示が出ていないところからの避難者の方と、例えば避難指示が解除された後にまだ戻っていない方というのは、一緒の対応ではなくて、そこについても分けられて検討されるということなのでしょうか。
【知事】
今、様々な状況を踏まえながら、検討を具体的に進めているところですので、個別の中身は控えさせていただきますが、いずれにしても基本は、それぞれの地域であったり、あるいはそれぞれの御家庭であったり、お一人お一人の思いというものが異なる、それが今回の原子力災害に伴う避難の非常に特別な状況だと考えておりますので、そういった点も十分勘案しながら、国と県と自治体と、あるいは関係機関と丁寧に検討を進めていきたいと考えています。
【記者】
自主避難者の住宅の無償提供で、その話も2017年3月での終了というのも選択肢の一つとして国と今検討を進めているという考えでよろしいのでしょうか。
【知事】
次元が違うのですけれど、先ほど冒頭から申し上げているとおり、今、丁寧に議論・協議を続けているところです。
何か結論ありきということではなくて、しっかりと協議を進めることが今は重要だと考えています。
【記者】
弊紙の報道で恐縮なのですが、福島県の知事部局がですね、懲戒処分の公表基準を策定していないということが一つありまして、県内の13市と福島県の知事部局をみてみると、懲戒処分の公表基準を内部で規定していないのが、福島県の知事部局だけだとなっておりまして他の自治体と比べても、ちょっと公表の姿勢が弱いのかなと感じるところがあるのですが、知事の考えと、今後こういうことを見直す予定はあるのかという、この二点についてお願いします。
【知事】
今回のこういった御指摘も踏まえ、県として、この懲戒処分の公表の在り方をどうするか検討を進めていきたいと考えております。
【記者】
具体的にいつ入るとか、話合いが始まっているという、そういう段階ではなくて、検討は進めるとおっしゃっているのは、方針としてという理解でよろしいのでしょうか。
【知事】
そのとおりです。
【記者】
速やかに公表する姿勢が大事だというふうにおっしゃっていましたけれども、懲戒処分はその情報に含まれる、速やかに公表すべき情報の一つだと知事はお考えなのでしょうか。
【知事】
そういった対応を含め、県としての検討を進めています。
【記者】
今般報道されているとおり、土木部の住宅に関する過払いがあったということ。それと併せて、教育、特別支援教育の方でですね、講師の免許もれがあったというこの二つなのですけれど。端的に言うと、なぜここまで公表が遅れたのかということに尽きるのですが、土木部についてはもう従前から知っていた、これは本当にこちらも重いと思うのですが、知っていたということで、これについては例えばなのですが、土木部長が当時知っていたということもありましたので、何かこう遡及をして、きちんと厳正に処分ということも考えないかということをですね。
それとまた、今回公表がここまで遅れたということで、知事はこの間ですね、先日、情報公表は迅速にやれと指示したばかりで、この状況だということで非常に残念であった状況です。
これについて、どのような改善を指示するおつもりかということをお聞かせ願います。
【知事】
今般、土木部の案件、あるいは教育委員会の案件も含め、4月以降、年度替わり以降、こういった不手際とあるいは事務の不適切な処理というものが相続いていることは大変申し訳なく思っております。
これは本質はつながるものがあると思います。「情報提供を速やかに」ということは、当然、私自身の前の体制、更に言うと県庁という組織、かねてから恐らくずっと続けているはずなのですが、結果として、それができていない。また、公表への感度、感覚というのが、そういったものが残念ながら鈍いと言わざるを得ないという現実もございます。
こういったものを全て通してなのですが、県として、今後の危機管理能力をより高めていくために、全庁的な危機管理の基本方針というものを策定する必要があると考えております。
現在、庁内での議論、今般の案件も含めて議論を重ねて、1か月程度で基本的な方向性というものを見出していきたいと考えております。
また、土木部の案件については、過去の状況も含め、しっかりと精査をした上で県としての適正な対応を図っていく考えでございます。
【記者】
これは質問ではないのですが、私、ここ県庁に来てから、この県庁は金曜の夕方に不祥事は全部発表するというような申し送りもあったくらいで、昨日のについても投げ込みで例えば教育は済ませようとしたということで、非常にテレビさんとかからもですね、幹事社からもわざとこの時間にぶつけて、報道させないようにしているのではないか、週末にしているのではないかという声も上がっておりますので、ここもお含みおいていただいて、御検討いただければというふうに思います。
【記者】
観光なのですけれど、ふくしまDC、今、佳境だと思うのですけれど、先日、予算を使って、大々的に商品券を3種類を発表したのですけれども、これは本当に更にとも思えるのですが、県民とか我々の問合せについて、3種類、この間、商品券、事業を出したと思うですけれど、担当課が元々違うということで問合せも全部3種類ということで。
【知事】
バラバラなのですか。
【記者】
バラバラです。やはり時代はこうワンストップで同じようなことをやっていくと。
我々もそうですけれども、県民から問い合わせた時にですね、ワンストップで、例えば、観光交流の筆頭である観光交流課が責任を持って全部答えるだとか、若しくは場合によっては臨時のものをやるとか。県の事業に対してですね、そうした、そういう感度というか進め方というのは、始まってしまいましたけれど、必要ではないかと思います。その辺、いかがかというのを。
【知事】
今の御指摘、やはり重要な御指摘だと思います。
二つに分けて捉えたほうが良いかと思いますが、特に県民の皆さんの照会というものを縦割り的にバラバラにするということは、分かりづらい、あるいは不親切という形になってしまいがちですので、今回、新規事業なので、恐らく足りないところはあったと思うのですが、そういったものはできるだけワンストップで対応できるように、今後また工夫をしていかなければいけないと受け止めております。
マスコミの皆さんに対しても、基本的なことはある程度一部局で対応できるのが良いかと思います。一方で、こういった新しい事業で個別の内容で、しかも恐らく日々調整してやっているものですから、皆様に対しては県民の方々以上に、より掘り下げていかなければいけないところもあると思うので、そこは、若干、枝分かれするところがあるかもしれないのですが、入口の部分はできる限り一元的にやるということがとても重要だと思いますので、そういった御指摘を踏まえて、今回の旅行券もそうですし、それ以外の案件もそうだと思うのですが、そういった「親切さ」というものを、これからまた工夫して、我々自身やっていかなければいけないと今感じました。
(終了)