■日時 平成27年6月8日(月)10:00~10:25
■会場 本庁舎2階応接室
【質問事項】
1 復興事業のあり方について
2 管理型処分場活用に係る国の考え方の提示について
3 原子力損害対策協議会について
4 風評・風化対策について
5 危機管理対応について
6 「福が満開、福のしま。」旅行券について
7 ドローンへの対応について
8 復興計画等の見直しについて
9 子育て施策、人口減少対策について
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【質問事項】
【知事】
今、正に交渉中でありますので、詳細は控えさせていただきたいのですが、先週、実際に国の方の方針が示された。その中で改めて繰り返しになりますが、復興に係る基幹事業あるいは原子力災害に由来する事業、そして緊急雇用事業の一部などのソフト事業、こういった点について、全額国庫負担されたという点は、まず評価をしております。
一方で、それ以外で例えば、相馬福島道路であったり、ふくしま復興再生道路であったり、あるいは12市町村エリア内の県事業に係る負担であったり、あるいはソフト事業の一部、そういったものが国と福島県との考えが異なる部分だということを、ずっと主張してまいりました。
昨日は、浜田副大臣・復興庁の幹部と意見交換をしましたが、県に加えて、19市町村の首長が出られて、正に私と同じ思いを率直に述べていただきました。そういうやりとりをする中で、復興庁が、福島がなぜ思いが異なっている部分をこだわっているのか、なぜそれが復興に必要なのかという点について、我々の立場に対する理解は間違いなく、深めていただいたと思います。
一方で、国としての方針を一度示された訳ですから、それを今後変えていくということに仮になる場合には、彼らなりの一定の整理が必要ということになりますので、浜田副大臣自身も「皆さんの色々な考え方を受け止めた。どうやって、そこの溝を埋めていくのか、すり合わせていくのか知恵を出したい」と言って、非常に悩んでいる表情を浮かべておられました。
そういう点については、我々の思いが届きつつあるなという感触をいだきましたが、昨日はあくまでも我々の思いを持って帰られただけですので、これから本当の意味での結果を出していただくように、更に協議を深めていきたいと考えております。
【知事】
まずエコテックについて、ある程度時間を置いた形になりましたが、先週、環境大臣から、改めての申入れを頂きました。その中で、重要なポイントは「国有化」というキーワードにあろうかと思います。
富岡町・楢葉町、関係の町は、今回こういった指定廃棄物の処理施設というものが、本当に安全なのか、安心なのかということを気に掛けてこられました。
その中で、富岡町長あるいは町議会、住民の皆さんからも「国有化をできないのか」ということが、この期間ずっと唱えていただいておりました。それに対して、国が踏み込んで回答を示したことは、重要な一歩だと捉えております。
また、このエコテックは中間貯蔵施設の問題と同様なのですが、福島県が今後、県内の除染、環境回復を進めていくために、重要な施設という位置付けになります。
そういう意味で、実際に立地を要請されている町、住民の皆さんには大変申し訳ない部分がありつつも、一方でこの議論を県全体として捉えて、考えていかなければいけないという側面があるのも事実でございます。
県は広域自治体という立場でありますので、これまでと同様、また富岡町・楢葉町と様々な形で協議を重ねて、安全・安心がどのように確保されるのか、また、地域振興について、まだ具体的な提示というものが出てきておりませんので、そういったものを復興庁・環境省とも連携をして、今後、取組というものを考えていきたいと思っています。
また、県外の指定廃棄物の在り方につきましては、あの場において改めて環境大臣に確認をさせていただきました。「放射性物質汚染対処特別措置法に基づく基本方針にのっとって対応する。考えを変えるつもりはない」ということを大臣が明言していただいたということは、今後の富岡・楢葉における協議を進めていく上での、これも大事なステップであったと捉えております。
【記者】
関連してなのですけれども、住民の方から、富岡からも楢葉からも「帰れる場所なのになぜここに」という声はいまだ根強いと思いますが、富岡・楢葉の復興ですとか帰還について考えた場合にこの施設、広域自治体として、県はどのような対応をされていくのかというのをお願いします。
【知事】
非常にここは難しい問題があります。元々の中間貯蔵施設の最初の国からの提示の際には、大熊町、双葉町に加えて、楢葉町が対象に入っておりました。
これを昨年、まだ年の初めの頃でありましたが、本当に様々な議論を重ねて、結果的に楢葉町を外して、双葉町、大熊町に集約をするということでギリギリの整理をしたところでございます。
双葉郡内でも、今の避難がこれから帰還をされるという、解除の状況も合わせ見ながらですが、双葉郡全体としても、中間貯蔵施設の立地が二町に、そして今、エコテックについては富岡町ということで、一定の方向性については地域の首長とも議論、整理を重ねてまいりました。あと大切なのは、この施設が本当の意味で安全・安心ということをきちんと説明できるかだと思います。
当事者である環境省自身が責任を持って対応し、また、県も広域自治体として、この問題の課題解決に一緒になって取り組んでいく中で、丁寧な進展が必要かと考えております。
【記者】
昨日の原子力賠償のことでお尋ねしたいのですが、昨日知事は、直接広瀬社長から、「一括払の後の賠償についても、損害が続く限り賠償を続ける」という言質は取ったと思うのですが、昨日出席した観光業の方々を中心に、本当に東電がその約束を守るのかという強い疑念が示されました。
一部報道では、昨日、協議会として東電の方針を大筋了承したというふうにありましたが、昨日の議論を聞いている限りでは到底そのようには受け止められません。
知事として、昨日の東電が出してきた案について、改めてどのような御評価をされているのかお聞かせください。
【知事】
まず、今回の国との協議会のやり取りというのは、あくまでも福島県のそれぞれの立場の方々が意見を国と東京電力に直接ぶつけるという場ですので、何らかの了承をするとか、容認をするというような性格の場ではございません。
また、そもそも時点の問題が重要なのですが、今、与党から一定の考え方が出て、政府自身が今後どうするかという検討を進めている最中ですので、また政府案が何か出てきた状況でもございませんので、そういう意味で私は、了承とか容認という言葉を使っておりません。
あくまでも、昨日私が東京電力、国に確認をしたのは4点でありまして、まず「営業損害賠償」、あるいは「精神的損害賠償」の関係で、国は2年間で一定の整理をベースとしてすると言っていますが、それは決して楽ではない、容易ではないと思っております。その覚悟をまず問いました。それはやり抜くという決意を高木副大臣が示された、というのがまず2点でございます。それから「損害が続く限り賠償を続ける」ということについては、東京電力から。また今後とも「損害賠償をする際はできる限り簡易に柔軟に対応する」という点も確認はいたしましたが、それが全てでございます。
今後ともその場でも申し上げたのですが、実際に2年間で一定の整理ができるかどうか、これが先です。従って、それができないと今回の枠組そのものが成り立ちませんということをあの場でも申し上げましたが、そういった点をしっかりと国に対して伝えたというのが昨日の会議の状況でございます。
【記者】
今後、協議会として2年間以降の賠償の確実な継続というのを、どのような形で担保していくのかということを改めてお聞かせください。
【知事】
この対策協議会というのは、福島県が本当に全域において、様々な業種で多くの県民の皆さんが色々な形で被害を負っている。その被害に対して、確実に迅速に的確に賠償を求めていくという性格で設立をした団体でございます。
従って、昨日は、一つの節目として行っておりますが、今後とも適時・適切に国に対して東京電力に対して、福島県としての意見をしっかりと申し上げて、的確な賠償がなされるように努めてまいります。
【記者】
昨日の協議会の件なのですけども、それに関わるのですけれど、政府が「自立」という言葉をかなり使っていて、地域外・区域外だったら良いのですけれども、12市町村で帰還困難区域で、まだ帰れるか帰れないか分からない段階で2年という区切りがあって、さらに自立と言われると「何か押しつけなんじゃないか」という声もすごい出ていてですね、「まずは帰れるか帰れないか決めてから、そこから話を聞くなら分かる」という声も昨日も多くてですね、内堀知事として、政府が「自立」という言葉を使って、支援策を打ち出していることについて、どういうふうにお考えなのかお聞かせください。
【知事】
「自立」という言葉は、使う場面というものをよく考えてから使用するべきだと思います。
12市町村の首長とお話をしたり、私自身、仮設住宅に行ったりして、お話する機会があります。あるいは今後、避難解除がされて、帰還できるようになったら、また是非商売を再開したいという事業者さんともお話ししておりますが、彼らにとって、「自立」「自ら立つ」ということは決して簡単ではないと思います。
ふるさとに帰って仕事を再開しようとする、あるいは真っ先に帰って、普段の生活を営もうとする、これは色々な意味での障害を乗り越えていかなければいけませんので、そういう局面にある方々あるいは地域に対しては、簡単に「自立」という言葉は使えないと私は考えております。
また、避難区域外であっても、例えば風評の問題であれば、これは観光の業者さんがどんなに努力をしても、昨日も痛切なお話がありましたが、福島第一原発で一つトラブルがあることによって積み重ねてきた努力が一瞬にして消え去ってしまう、こういうこともございます。
そういった局面において、「自立」という言葉を使えるのかどうかは、正直、違和感がありますので、タイミングですとか地域、そういったものを見ながら丁寧に使うべき言葉ではないかと私は考えております。
【記者】
つまり支援策については評価はされているけれども、「自立」という言葉を使うことには、違和感があるということなのですか。
【知事】
全体として、福島県が中・長期的に、将来的に自立できるようにもっていく、その方向性については、賛同します。
ただ、今の福島、あるいは特に12市町村のような、まだ避難を続けざるを得ない地域において、現時点ですとか、近未来での自立は難しいという現実もありますので、従って、場面場面に応じて丁寧に使い分けないと、受け止める側からすると、違和感があるという現実があろうかと思います。
【記者】
本日ですね、確認されました風評・風化の骨子案の関係でお伺いしたいのですけれども、知事は選挙当時から、風評・風化対策ということについては本当に重要施策に掲げておられましたけれども、ただ、今日拝見をした骨子案を見る限りでは、率直な印象だと、いわゆる役所の短冊のホチキスではないかというように思えるような内容も正直ございました。要するに目新しい部分というのがこれで出てくるのかなと疑問に思うところもありましたが、今後、まだあくまで骨子案ということに今後なるかと思うのですが、知事としてはどのようにしていくのかということが1点と、またさらに風評・風化で、今、正に起きている被害だと思うのですが、正直申し上げて、この段階でまだ骨子案という進め方、スケジュールの進め方というのは果たして適切なのか、遅いということはないのかどうかという時期の進め方について考えを二点お聞かせください。
【知事】
風評・風化対策は、残念ながらなかなか特効薬というのが見当たりません。それぞれの局面に応じて、それぞれの関係者にきちんと丁寧に説明をしていくということが王道だと思います。今日の会見もそうなのですが、皆さんとこうして顔を合わせてやると比較的伝わります。例えば、メールをただ出しただけとか、あるいは書類を配っただけだとなかなか思いや言葉は届かないという局面があろうかと思います。
昨日の、立場・次元は違いますけれど、財源の議論をする際も、副大臣ですとか復興庁の幹部と直接向かい合ってやる、それによってやはり言葉が届くなというのは改めて実感しております。ただ逆に言うと、それは非常に手間が掛かるということになってしまう。
まだまだ今回の骨子案、足らざるところもあるかもしれません。また、外部の御意見も頂いて、是非またより良い形に進化をさせていく必要があると思いますし、骨子案とか取りまとめができてから風評・風化対策を始めるのではなくて、我々としては、今日の時点でまずできる風評・風化対策をきちんと進めつつ、またより良い風評・風化対策の全体を取りまとめていくこと、両方を同時進行でやっていくことが重要だと思います。
とにかく我々なりに、考えられる手段を様々尽くすということが基本だと思いますので、色々な方の御意見を伺いながら、より良い形にし、かつまたスピーディに実行していく、これを愚直に続けていきたいと考えております。
【記者】
危機管理に関しましてですね、情報共有等この間分類がなされたところである訳ですけれども、重ねて何回も聞いて申し訳ないですけれども、やはり不手際を起こした内部でまず議論するのは大事だと思うのですけども、知事もおっしゃったように、やはり外部の目でですね、客観的に県民なり有識者なりから総括をしてもらうことも大事なのではないかと思うのですが、そのタイミングはともあれ、今後の危機管理の対応方針を作る前か後か分かりませんが、何らかの形で外部の意見を反映させるという場はお考えにはなりませんでしょうかということを最後一点お願いします。
【知事】
先般、お答えしたとおりなのですが、外部の目線というか、まずは県民の目線です。これを基本に置きながら、危機管理の基本方針の策定をし、更に方針の策定が目的ではなくて、やはり実行・実践だと思います。
その全ての局面において、外部の方のお考えとか気持ちを汲み入れながら、日々進化していくことがリスク管理の要諦だと思いますので、そういった御指摘も踏まえて、対応していきたいと思います。
【記者】
「旅行券」の話で半数近くが残念ながら申込みだけで精算されてなかったということがありましたけれども、知事はどう受け止めていて、今後、また二弾、三弾ありますので、どのような指示というか、対応を考えているのかをお聞かせください。
【知事】
6月1日に販売した旅行券でありますが、「せっかく並んだのに買えなかった」というような声を県内外から様々頂いております。あるいは、今お話があったように、旅行券の半数近くが結果的にレジで精算をされなくて販売に至らなかった、こういう状況もございました。
こういった事態をしっかりと検証して、今後、第二弾・第三弾の販売においてより良い形になるようにしっかりと対応していきたいと考えております。
【記者】
対応は今後検証なのでしょうけれども、想像できた点というのもあるかなと思うのですけども、その辺りはどうでしょうか。
【知事】
他県においても、こういった販売システムについては、色々な問題があったということは事前に分かっておりました。そういった点も含めて、今回ある程度準備をしていたはずですが、結果としては同様の事態ということになっておりますので、どういった形がよりスムーズにいくのかということを、改めて今回の我々自身の結果、そして他県の状況、あるいは一般の民間のコンサートの状況、そういったものも含めながら、より良い形にしていくように努力をしていきたいと思います。
【記者】
先週の危機管理室員会議で出ていたと思うのですけれども、福島県におけるドローン規制に関して、改めてどのような方針でいくのかをお聞かせください。
【知事】
今、ドローンも全般的な対応については、国において検討が進んでおりますので、その状況を注視しながら、また県として、県の規則対応の中で可能な部分というのもありますので、ドローンの問題が生じないようなそういった対応というものは、県としても進めていきたいと考えています。
【記者】
ドローンに関して言うと、福島県のイノベーション・コースト構想にも関わりますけれども、やはり逆に、規制緩和の方に、福島県としては今後ドローンに注目している中で逆行するような形、今回の規制になると逆行してくると思うのですけども、その辺り、知事はどのように受け止めていらっしゃいますか。
【知事】
おっしゃるとおりです。ドローンは使い方を誤ると危険な部分ももちろんありますが、一方で、今後色々な形でプラスに有効活用できる分野・場面というものも多くあると思います。従って、その両方のバランスを見ながら対応を考えていくことが重要だと思います。
特に現在、浜通りにおいて、イノベーション・コースト構想を進める、あるいは実際にドローンの生産を始める工場・企業もありますので、そういったものが安全・安心に使っていただけるような枠組みを考えていくことも、行政としての仕事だと思いますので、そういった両方を考えながら、適切な対応をしていきたいと考えております。
【記者】
今日の新生ふくしま復興推進本部会議で、復興計画の見直しの方針案というものが示されましたが、今現状でどういった部分が足らないと、不足していると考えていらっしゃるのか、どの点を特に見直したいというふうに考えていらっしゃるのかということについてと、より上位の計画である総合計画の見直しについて、そのスケジュールについて伺いたいと思います。
【知事】
復興計画の前提、今「第二次」ということになっておりますが、今度「第三次」ということになろうかと思います。
ポイントはこの4年間で色々な状況が変わってきたということです。例えば、国道6号が全線開通し、常磐自動車道が全線開通する。あるいは避難指示の解除準備区域がこの間も徐々に縮まっています。そういった形で今復興が進んでおりますので、そういったものを前提にして考えていくことが必要です。
もう一つは、イノベーション・コースト構想ですとか、12市町村の将来像の議論、こういったものが、国・県・市町村一体となって進んでいます。これはまだ見通せませんが、賠償の議論も現在進行形でありますので、そういった全体の環境が変わっていく中で、復興計画をその状況に合わせて、見直していく必要があろうかと思います。
また、復興計画の見直しというものをまず進めて、総合計画はその上位計画ということになりますので、その検討については今後どうするか、また別途検討していきたいと考えております。
【記者】
先週ですね、厚生労働省の「人口動態統計」が発表されまして、福島県の場合、合計特殊出生率が1.58と、全国で減少傾向にある中で上昇したということがあります。
知事として、なぜこれが上昇したのかという受け止め方が一点と、県としても、こども未来局での体制がスタートして3か月が経ちましたけれども、これまでの評価と今後の課題ですとか、子育て施策をどのように進めていくかというところを教えてください。
【知事】
今回、出生率がある程度上昇したということは、これまでの4年間の復興の取組が、ある程度、功を奏した部分があるのかということで非常に嬉しく受け止めております。
ただ、御承知のとおり、福島県は、震災・原発事故後、非常に特殊な状況に置かれています。
そういう中で、若いお母さん達が、色々な思いを持ちながら、福島の地で、子どもを生み、育てていこうという決心をしていただいた。その思いに対して報いるためにも、更に復興を進めていかなければいけないと決意を新たにしております。
要因分析はなかなか難しい点もあるのですが、例えば、除染が進んだり、健康の問題を丁寧に対応したり、あるいは産業の再生をしたり、色々な形で復興が進んできたというのも一つの要因にはなっていようかとは思います。
ただ、全国的な動向を見ますと、本当に楽観できませんし、いずれにしても1.5台ということになりますので、まだまだ福島県の長期的な人口減少傾向は続いていくということが現実であります。
現在、人口減少対策として、今後のビジョンをまとめていくということで、今鋭意進めておりますが、子育てをしやすい、生んで、育てて、そして仕事をしていただいて良かったと思えるような福島県づくりのためには、たくさんのことを進めていかなければなりませんので、総合的な人口減少対策をしっかりと取り組んでいきたいと思います。
(終了)