■日時 平成27年8月26日(月)13:00~13:25
■会場 応接室
【発表事項】
平成27年度9月補正予算の概要について
【質問事項】
1 平成27年度9月補正予算について
2 中間貯蔵施設について
3 サブドレン計画について
4 風評対策について
5 政府関係機関の地方移転について
6 福島相双復興官民合同チームについて
7 除染作業等に伴う地域の安全・安心の確保について
8 海外からの誘客対策について
【知事】
平成27年度9月補正予算の概要について発表いたします。
今回の補正予算は地方創生に対応するための経費や、復興・再生に向けて緊急に措置すべき経費などについて、計上をいたしました。
その主な内容といたしましては、イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)と福島県の学生との交流や海外への情報発信、会津大学の学生が地域企業等と一体となって課題解決に取り組むことによる地域を支える人材の育成、ソフトコンテンツを活用した交流人口拡大のための仕組みづくり、避難者の帰還支援のため応急仮設住宅等から県内の自宅等に移転する費用の補助、保健医療従事者の養成施設整備に向けた基本構想等の策定、中小企業の経営安定や被災事業者の事業再建に向けた総合的な支援、大熊町及び双葉町における追加インターチェンジの整備支援、復興公営住宅の整備促進など、これらに要する経費を計上したところでございます。
以上によりまして、一般会計におきます9月補正予算の総額は160億9,900万円。
本年度予算の累計は、1兆9,221億4,700万円となります。
【知事】
今回の9月補正予算の中に、県外から県内、あるいは県内から本来の自分の地元に戻られる場合の引越しの費用の一部を補助するという予算計上をしているところでございます。
現時点においても、今、約4年半が経とうとしている訳でございますが、非常に多くの方々が避難をされている、この実状を重く受け止めております。皆さんが安心して帰ることができる生活環境を作ること、医療の関係、教育の関係、色々な課題をまだまだ抱えていますので、こういったものに取り組んで、しっかりと解決していくこと、そして今、福島県内に居住しておられる皆さんがより安心して生活できるような環境を作っていくということがまず県としての責務だと受け止めております。
こうした取組をしっかりと進めていく中で、皆さんが安心して帰れるようにしたい。さらに、それの一つの支援として、今回の引越し補助が一つの役割を果たせればと考えています。ただ、いずれにしても、これはお一人お一人の、あるいは各世帯の御判断、御意思というものもありますので、そういった意思を尊重し、今後も色々な形で御意見を頂きながら、今後、県としてどのような対応がより良いのかということをしっかり考えていきたいと思います。
【記者】
補正予算の5番の「保健医療従事者養成施設整備事業」に関して、これは県立大学として作っていきますよという意思表示として受け止めてよろしいのかということと、具体的に知事の中でどのような施設にしたいのかというイメージを教えていただければと思います。
【知事】
つい先日、県保健医療従事者養成に係る有識者会議の星代表から提言を頂いたところでございます。それを受けて、今後どういう形で整備を進めていくかということについての予算立てを先ほど御説明をいたしました。
今後、県としての関与の在り方をしっかりと検討を進めていくとともに、いずれにしても医療人材が、今、不足しているという目の前の現実がありますので、できるだけ早く対応ができるように、早急に検討を進めていきたいと考えています。まだ今日の時点で、今お問い合わせを頂いたような具体的なお話ということを出来る段階ではありませんので、正にそれを議論するための9月補正予算であると御理解いただければと思います。
【記者】
帰還支援の関係なのですけれども、元々、子ども・被災者支援法の精神からすると、戻る人も、また残る人もというところが一つの鍵だと思うのですが、今回、帰還の支援ですけれども、応急仮設の期限が平成28年度までという形になっている中で、その後、残る人たちへの支援というのは、どういうふうにしていこうとお考えでしょうか。
【知事】
今、御指摘いただいた件について、まず今後の、特に平成29年度以降の在り方について、非常に重要な論点だと考えております。従ってこの件について、今後の県の方向性について、後ほど担当の課長から説明をする機会を設けさせていただきます。
【記者】
30日に中間貯蔵施設の容認からちょうど1年ということになりまして、パイロット輸送などが行われている状況ですが、問題点などが大分あらわになったかと思われますが、知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
昨年のちょうど今頃は、中間貯蔵施設の建設受入を容認するのかどうするのかという非常に大きなジレンマの中にあったことを思い出します。それから1年が経ちまして、進捗をした部分、そうでない部分の両方があろうかと思います。
進捗した部分としては、建設受入を昨年の9月1日に佐藤雄平前知事、関係の町長が安倍総理に対して、苦渋の決断としてお伝えをし、その後、一定の作業が進んでまいりました。
そして今年に入りまして、搬入受入容認というところまでステップが進みまして、現在、地権者に対して、様々な形で用地交渉が進んでいる、これは一定の進捗であったかと思います。
また、それと並行しまして、今年の春からはパイロット輸送が、まず、避難区域、そして、徐々にその広がりが県内に向かっておりまして、今、除染による放射性廃棄物というものが一定程度運び込まれるという状況になったことも進展であろうと思います。
一方で、大きな問題になっておりますのは、地権者の皆さんの御了解を頂くステップが時間が掛かっている、はかどっていないという大きな問題点がございます。
県、関係自治体、福島県全体の市町村では、「早期に」という思いがございますので、国としては、全力を挙げて地権者の皆さんに丁寧な御説明をして、御理解を頂くということをしっかりと形を見せていただきたいと考えております。
最近、環境省の高官とお会いした際も、必ずこの案件をお話しておりますが、やはり相手がある話ということ、そして迷惑施設という性格上、中々はかどっていないという現状もございます。いずれにしても福島県内の除染を進めていくためには必要な施設という位置付けもございますので、国において、その責任を果たしていただきたいと考えているところでございます。
【記者】
昨日、県漁連と全漁連が汚染水対策のサブドレンについて、稼働の容認ということがありましたけれども、廃炉に向けた汚染水対策が大きく進むきっかけになるとも思うのですが、一方で漁業ですとか、福島県全体にとっても風評被害につながるという懸念もまだ拭えないと思うのですけれども、この点について、県としてどのように国や東電に要望していくのか、あるいは漁業者の方に何か対策をとられるのかというのをお願いします。
【知事】
サブドレンの関係でございます。県漁連が正に苦渋の決断をされました。この思いを、国、東京電力には本当に真摯に受け止めてほしいと思います。こういった判断をする際に、当該の漁業者さんにおいては、ものすごい葛藤がありました。特に、今年の春の段階で一定の方向性が少しステップを刻んできたというところで、情報が十分に出きっていなかった、信頼が一回失墜したことによって、このステップが壊れてしまったというプロセスもあります。過去、類似のことも残念ながらありました。今後とも、まず漁業者さんと国、東京電力との信頼関係をきちんと構築をして、結果を出していくことが望まれますし、その上で、その重い期待を背負ってこのサブドレンの計画をしっかりと進め、また、海側の遮水壁、こういったものの対応を国と東電が形を出していく中で、福島県の汚染水の問題というものが大きな進展を見せてくれるものと期待をしております。
いずれにしても、この問題というのは非常に難しい課題でありまして、過去、世界的に見ても日本の歴史で見ても前例のない取組ですので、慎重に取り組んでいくこと、このことが新たな風評あるいは風評の定着につながらないように、オンサイト、原発の敷地内における安全対策はもちろん講じていただきつつ、そういった日本全体、あるいは世界も関係いたしますが、新たな風評を起こすことがないよう、政府としても全力を挙げて支援をしていただきたいと考えております。
【記者】
県として、例えば国や東電に、廃炉安全監視協議会が当然視察されると思うのですが、知事として何かアクションを起こされる考えがあるのかということをお願いします。
【知事】
県は、今日、廃炉安全監視協議会が現地に行っております。この立入調査の結果を踏まえて、私自身の対応も含め、国及び東京電力に対して、県として意見を申し上げる機会を作っていきたいと考えております。
【記者】
知事は、県としても国に申し上げる機会を廃炉安全監視協議会の調査を踏まえて作っていきたいということですが、それはいつ頃を予定されていますでしょうか。
そして、県としての申入れがあって、それに対する何か回答なりを求めて、それが終わらないとサブドレンの稼働というのは、県としては了承できないということなのでしょうか。
【知事】
まず、今日、廃炉安全監視協議会が正に今、立入調査をしていますので、その結果を踏まえて、日程調整であったり、具体的な内容、今後の進め方というのを整理したいと考えております。今はまだこういう状況でございます。
【記者】
それと、やはり県としての申入れが終わらないと、サブドレンの稼働はやはり認められないということでしょうか。
【知事】
それについても、まず今日の結果を見てからということになりますので、まだ予断を持ってコメントする段階ではないと思います。
【記者】
風評被害、前段の自主避難の方の「安全・安心」の「安心」の方にも問題がつながってくるとも思うのですが、どれだけ検査をして大丈夫だと訴えたりですとか、福島県のモニタリングですとか、色々な情報を開示したところで、安心というものにどのようにつなげていくかというのが共通して難しい問題だと思うのですけれども、このあたりを知事はどのように対策をしていかれたいと思われますか。
【知事】
風評の問題あるいは安心の確保の問題、これは率直に言って、やはり時間が掛かると考えています。私自身、トップセールスをこの9か月余りずっと続けているのですけれど、実際に向き合って、お話をした方にはある程度伝わったなという手応えを感じます。ただ、例えば県のホームページに情報を載せました、あるいはテレビですとか新聞・雑誌等で紙面をお借りして広告を打った、それを見てパッと風評が解けるかというと、残念ながらそういうことにはなりません。特効薬ですとか、即効薬はありませんので、まずきちんと、例えば安全の検査や規制であったり、そういったものを我々が足元をしっかりと固めて、その上でそれを実直に、丁寧に、愚直に伝え続ける、この中でしか本当の意味での風評の解消はできないであろうという覚悟も持っております。
ただ、それは福島県だけではできませんので、多くの関係者の力であったり、あるいは政府自身が我が事として、この風評問題に向き合えるかどうかが今後の福島の復興・再生に大きく関わります。今後とも国に対しては、その点を強く申し上げながら、県としてもできることを最大限にやっていきたいと考えています。その表れが、先ほど御説明した9月補正の一つの予算、風評広報対策ということにもなりますが、まだまだ様々な手立てを打っていく必要があると考えています。
【記者】
今回の9月補正にも地方創生関係のソフト事業が盛り込まれていますが、今、地方創生の話題でホットなのが、いわゆる「政府関係機関の地方移転」ということで、他県の方では具体的にどこの省庁を持ってきたいという声が上がり始めています。福島県として、どのような対応を今考えていらっしゃるのか御見解を伺いたいと思います。
【知事】
各道府県から国に対する提案の期限というものが、今月末となっております。
従って、福島県としては各市町村に対して、今、意向確認を行いながら、最終調整をしているところでございます。
【記者】
そうしますと、今月末までには何らかのエントリーをしたいという考えでいらっしゃるのでしょうか。
【知事】
おっしゃるとおりです。
【記者】
あと、これから市町村の意見を考えてということではあるのですけれども、念頭に置いている省庁、福島県の場合であれば、環境省とか原発関係の経産省というのが考えられますけれど、念頭に置いている省庁などはあるのでしょうか。
【知事】
今、正に念頭に置いているものはある訳なのですが、最終調整をしている段階なので、今日の会見では御理解いただきたいと思います。
【記者】
官民合同チームの初めての協議会が先日行われました。高木副大臣や色々な方が挨拶していたのですけれども、実際に取材をした中で、農業従事者の数が前後したりですとか、官民合同チームの民側が今のところ東電の出向の方しかいなくて、専門家が中小企業の再建に取り組むんだろうなというふうに副大臣とか色々な方の話から予想していたのと、実際のメンバーがですね、少し専門性の部分とかでちょっと不安を持ったのですけれども、知事として、今後官民合同チームに対して求めていくことですとか、県として監視というか、県も入ってらっしゃると思うのですけれども、実効性を高めるためにされていくことをまず一つ教えていただきたいのですが。
【知事】
今回、官民合同チームが発足したというのは大切なステップだと受け止めています。
例えば今、御指摘があった一次産業、農業を含む事業者の皆さんの事業再開ということは、避難区域の復興、そして福島県全体の復興にとっても不可欠でございます。従って、県としては、国や民間の皆さんと一体となって、当該地域の復興・再生に、全力を尽くしていきたいと考えています。
ただ一方で、スタート段階において、全ての手立てが整っているかというと、そのようなことはないと思います。まず、第一陣ということで、今のメンバーが出来上がっていますが、相手の皆さんが、例えば8,000の事業者であったり、更にそれよりも多い農業の関係ということもありますので、実際に今のメンバーでどこまで回りきれるか、しかも期限がある程度、区切られていますので、その中でどこまできるかという要素の問題があろうかと思います。
従って、まず発足はした、その上で足らざるところを更に強化し、充実をしていく中で、避難区域にとって役立つ仕事を、お一人お一人に寄り添った対応というものをしていく必要がありますので、常に進化していかなければ、あのチームは成り立たないのであろうと私は考えています。
県自身もそれは他人事ではなく、私たち自身のことでありますので、一緒になってやっていくしかありません。あと、非常にそれぞれの事業者さんですとか、お一人お一人の立場によって、相当色々なバリエーション、パターンが違うと思いますので、今、国が用意してある予算の施策や制度の施策も、それで足りるかというと恐らく足りないと思います。
従って、そういったものも今後色々な形で、追加をする、上乗せをする、拡充をする、こういったことも重要だと思いますので、県からも積極的に提案をしながら、官民合同チームをしっかりと育てていく、大きなものにしていかなければいけないと考えております。
【記者】
大阪の寝屋川市で除染作業員として県内で働いていた方が容疑者として逮捕されました。川俣町では除染の中止ですとか、準備宿泊の延期を求める声が議会から上がっていますが、県としては今後どのように対策をとってほしいと考えていらっしゃるのかというのと、もう一つですね、除染作業員の方が県内でたくさん復興に向けて頑張ってらっしゃると思うのですけれども、除染作業員と地元の住民の方との関係づくりというか、溝をどうやって埋めていくのかという、12市町村の将来像会議でも調整が重要という指摘があったと思うのですが、県として、今考えていることがありましたらお願いします。
【知事】
まず、将来のある中学生の命が犠牲になったということは、本当に痛ましい事件であります。心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
また、今も指摘の中にもありましたが、多くの除染作業員の方々が懸命に作業をしている中で、今回このような事案が起きたということ、本当に残念に感じております。
その上で、除染や復興事業で全国から多くの作業員の皆さんが来ていただいて、従事をしていただいております。地域ごとに、市町村、警察、環境省、県、事業者等による「除染事業等警察連絡会」というものを設けまして、除染事業からの、例えば暴力団の排除のほか、交通安全あるいは防犯対策といった、きめ細かい側面も含めて取り組んできたところでございます。
地域住民の皆さんの安全・安心の確保、これが最も重要であります。不安や懸念をどう払拭するのかという問題、今回の件でより重要になってきておりますので、引き続き、県としては、関係機関と連携をして取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
DCの関係なのですけれども、知事はインバウンドや教育旅行というのはこれからだとおっしゃっておられました。ただ、今、福島空港は海外定期便は上海便などが回復していない中で、県の観光施策を拝見しますと、福島空港の活性化策とインバウンド策を直結した政策がちょっと偏りがあるのではないかとの印象を受けます。端的に申しますと、仙台空港であるとか、場合によっては浜通りでは茨城空港であるとか、他県の空港から、言い方は悪いですが、お客を呼び込むという施策がちょっと欠けているのではないかと思うのですが、この点、他県空港の活用についてお聞かせください。
【知事】
我々、福島空港に対する思いというのが強いので、確かに福島空港でまずチャーター便を始めて、空路を再開してという思いがより強く見えるという側面はあろうかと思います。
ただ、一方でインバウンドというものを現実に考えていく場合、残念ながら、今の福島空港には海外への便が開いていない訳ですから、そういう意味では御指摘のあったような、仙台空港であったり茨城空港、さらに言えば、羽田空港やあるいは成田空港もそうです。さらに福島空港は大阪便があるので関西国際空港、こういった形でのインバウンド対策というものも今後視野に入れていく必要があろうかと思います。
また、特にインバウンドは御承知のとおり、東北全体が冷え込んでいます。日本全体はものすごい勢いで伸びていますが、その中で東北だけが一人沈んだ状態にあります。北海道も非常に状況は良いですから、そういう意味でも、福島県も東北の他県とも連結し、また、他空港との関係というものも、もう一回改めて見ながら、今回のDCの次、ネクストを考えていく中でそういった幅広い視野での展開というものを今後検討していく必要があるかと思います。
(終了)
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平成27年度9月補正予算について
(平成27年度9月補正予算の概要について
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政府関係機関の地方移転について
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福島相双復興官民合同チームについて
→ 商工労働部経営金融課 電話024-521-7291
除染作業等に伴う地域の安全・安心の確保について
→ 生活環境部除染対策課 電話024-521-8315
海外からの誘客対策について
→ 観光交流局観光交流課 電話024-521-7128