■日時 平成27年10月19日(月)10:00~10:25
■会場 応接室
【報告事項】
イタリア・ミラノ訪問について
【知事】
福島県の魅力と今を世界に広く伝えるため、今月の11日から14日にかけまして、イタリアのミラノを訪問してまいりました。
ミラノ万博の「ふくしまウィーク」では、世界からの御支援に心からの感謝をお伝えするとともに、7月に福島県に来県をしてくれたミラノ大学の学生や、「あったかふくしま観光交流大使」の辰巳琢郎さんたちと共に、福島の復興が着実に前に進む姿や、食の安全性の確保に関する取組等の発信をしてまいりました。
また、地元メディア向けに、復興の状況等に関する説明をするセミナーを実施したほか、関係の方々を招いたレセプションを開催しまして、福島県産の日本酒や、天のつぶを用いたお寿司、桃などの食材を用いた料理を味わっていただき、福島の食の魅力と美味しさを多くの皆さんに感じていただきました。
さらには、ミラノ大学を訪問しまして、副学長や教授、あるいは学生たちと懇談をし、今後の継続的な情報発信に関する協力について合意をしたほか、同大学での講演会におきましては、国内外の多くの方々に福島への関心を持ってもらい、復興へ向けた取組等に共感をしていただくことが大切であることをお伝えしてまいりました。
今回のミラノ訪問を通じて、世界各国への感謝と復興が着実に進む姿、そして、福島の食の安全と魅力をしっかりと伝え、海外の皆さんの共感の輪を広げ、福島県とイタリアとの新しいつながりができたと考えております。
引き続き、国内外に向け て、福島県の正確な情報を発信し、風評払拭、風化防止を図りますとともに、将来の輸出促進につなげていくため、福島の食の安全と魅力を引き続き全力で発信をしてまいります。
【記者】
今のミラノ訪問に関してなのですけれども、以前7月にイギリス、スイスに行かれた時と比較されて、地元の福島に対するイメージというものはどういったものだったのでしょうか。それとも7月との何か違いを感じられたのでしょうか。
【知事】
スイス、イギリスの際は、比較的、国際機関の方であったり、政府関係者との交流が主でございました。従って、一般の方との交流は若干足らなかった部分があったと思います。今回は「食」の万博という場でもありましたので、非常に一般のお客様が多かった、そういう方々に対してのふれあいが多かったというところが大きな違いだったと思います。もちろん国際機関、政府の方も熱心なのですが、一般の方々がそういった方々と違ったのが、いわゆる福島の状況に対する基本的な情報がかなり少ないのだということを実感しました。
福島は3.11後の4年7か月、色々な形で復興が進んでいます。一方で厳しい現状もあるのですが、こういった時の変化に伴って変わってきているのだという情報があまりない。そういう中で、我々の話を初めて聞いて、「あっ、福島ってそうなっていたんだ。」と言って、驚きと共に受け止めておられるというのが私の印象でありました。
従って、いわゆる政府関係の方とかそういう方々、行政関係の方々への発信ももちろん重要なのですが、一般の方々への発信というものも同時に考えていかないと、中々世界全体に対する風評払拭や風化防止というものが難しいのだということを、この二つの訪問の違いを通して感じたところでございます。
【記者】
関連してなのですが、風評払拭ということになりますと、東アジアがまだ根強いとされているのですが、今後、特に中国、韓国への風評払拭に向けて、何か知事自ら訪問されるとか、もしくは向こうからどなたか呼ばれるとか、そういった何かを考えていらっしゃいますか。
【知事】
東アジアに対する情報発信が非常に重要です。特に農林水産物の関係の、例えば輸入規制の問題であったり、こういった問題も福島の根本的な問題としてございます。
こういったことについて、外務省とも連携をしながら、また、県の担当部局においても様々な形で、実は訪問を今年も繰り返しております。こういった取組を続けていくことは重要でありますし、また逆に、今後、大使ですとか国際的な方々に是非福島に来ていただいて、見ていただいて、感じていただくということも実施をしますが、こういった我々が行くという取組、そして向こうからも来ていただく、その双方を繰り返していくことが重要だと思います。
また、私自身の日程は1年間の全体の中で、非常にハードなスケジュールであるので機会が作れればと思っておりますが、様々な全体のスケジュールの中で検討していかなければいけないと考えております。
【記者】
ミラノ大学と風評払拭のところで連携をしていくというお話があったのですけれども、具体的な内容は今後詰めるということだったと思うのですけれども、今後どのくらいまでにとか、スケジュール感として考えていらっしゃることがあればお願いします。
【知事】
今、具体的な協力内容、実は帰国してから既にミラノ大学自身との議論を始めているところでございます。まだスケジュールがいつまでということが明確に言える段階ではないのですが、その具体的な中身を申し上げますと、例えば、ミラノ大学の研究者の皆さんに福島県の復興状況であったり、県産農林水産物の安全確保の取組であったり、あるいはモニタリング検査の結果、こういった様々な情報を継続して提供するということをターゲットで考えております。
こういう事柄でありますと、それほど時間を掛けずに進めることが可能ですし、彼ら自身もそういったものを自分自身で咀嚼して、また色々な形で発信をしていきたいという強い思いを持っていただいているので、比較的近いうちにこういった取組は具体化できると思っております。
また、福島県に来てくれた大学生たちは、SNS、ソーシャル・ネットワーク・サービス等を通じて、既に自分の思いを様々な形で発信をしてくれています。こういった現地での応援団というものが我々の力に間違いなくなりますので、今後も例えば研究をされる先生方であるとか学生さんたちに、また福島県に来ていただく機会を作っていく、継続をしていくということも具体化をしていきたいと考えております。
【記者】
ミラノ訪問に関連してなのですけれども、こういった大学との連携を他に広げていくことも重要なのかなと思います。知事の考えをお聞かせいただければと思います。
【知事】
今年は例えば、イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン、UCLであったり、あるいはミラノ大学ということでまず進めてまいりました。実は、その両方の大学とも非常に世界的にも有名な大学でありますし、強い発信力を持っています。実際にお会いをして、交流をする中で、彼ら自身のモチベーション、動機が非常に強くなるという側面がありまして、福島県自身はもちろんこれからも一生懸命継続をして発信していくのですが、我々からの発信だけではどうしても一方通行になってしまうというきらいがあるのと、継続性がどうしても断続的になってしまうというきらいがありますので、そういったデメリットの部分をフォローしていくためにも、我々にとって「シンパシー」「共感」を持ってくれている大学と提携をしていく、あるいは継続した取組を続けていくことが重要だと受け止めております。
そういう意味で、今後とも諸外国の色々な大学との連携というもの、あるいは国際的な研究機関との連携というものも福島県の風評払拭のために継続をしていかなければいけないと考えておりますし、実は先ほどは申し上げなかったのかもしれないのですが、今回ちょっと非常に不安、課題として持っていますのが、5年目になってものすごく風化しています。日本国内でも風化が進んでいますが、それだけでなくて世界では風化のスピードがもっと速いです。そういう意味でもこの粘り強い取組を続けていく。さらに、より効果的に各国の皆さんに届くためにも、大学ですとか関係機関の親身な協力は欠かせないと思っておりますので、できるだけこういった取組を広げるように、これからも知恵を絞って取り組んでいきたいと思います。
【記者】
県議会が閉会しまして、県議選の事実上の準備に入っている訳ですけれども、知事が考えるにはまだ早いのですが、まずは争点というか、何を議論、論議されるべきだというふうに知事としてお考えなのかというのが一点と、また、現時点で知事は「オール福島」ということで、事実上、オール与党と言うとあれですけれど、皆さんから支えられているということだと思うのですけれども、これについてですね、オール与党とはどうしても批判がしづらいとか、他県の方では色々と問題も指摘されている部分もあるのですけれども、知事と議会の在り方ですね、改選後の議会の在り方について、どのようなものが望ましいと思われているのか、この二点をお願いします。
【知事】
今回の県議会議員選挙は、前回の選挙から4年経って、11月に行われます。
御承知のとおり、前回の選挙は、本来、平成23年の4月に行われるべき県議選でしたが、東日本大震災、原子力災害の影響で半年近くずれ込んで、11月に開催されたという実状がございます。
正に震災後の一番苦しい、厳しい状況の中、この県議会は、福島復興・再生ということを旗頭に、必死に皆さんが取り組んできていただいたものと受け止めております。
そういう意味で、今回の県議選というものは、やはり県民の皆さんが一番強く関心を持っているのは、これからの福島復興・再生をどう進めようとしているのだという具体的な方策ではないかと思います。
ここまで4年7か月で復興がある程度進んだ部分もありますが、残念ながらまだ途上であります。従って、これからの4年間、2020年も徐々に近づいてくる訳ですが、そこに向けて、県議会として、どういう復興・再生の道筋を考えているのだということを、県民の皆さんは一番強く関心を持っておられると思います。
また、2つ目の質問でございますが、私自身、震災前からもそうですし、震災後、また、知事選に出る前、出た後、ともになのですが、県議の皆さんとは非常に長くそれぞれお付き合いをしていただいております。そういった方々からは、私を支持する方しない方も含めてですが、色々な場面で叱咤激励、厳しい言葉も含めて様々頂いておりまして、非常に彼らは、建設的な意見あるいは厳しい意見も含めて、率直に投げかけていただいていると思っておりますし、今後とも、そういったことが県議会との関係の中で非常に重要だと私は考えております。
【記者】
先日いわき市の方でも、東京五輪なのですけれど、誘致に乗り出したりと、県内の市町村の方でも気運と言いますか大変盛り上がってきているところでありますけれども、県の方では市町村とか担当会議などもこの間やりましたけども、例えば、まだちょっと早いかもしれませんが、県内の全庁で何か会議を持つであるとか、体制を強化するとか、県としてどうするかという点を、市町村の方の盛り上がりを受けて改めてお願いします。
【知事】
まず今回の東京オリンピック・パラリンピックとの関係は二つに大きく分けて捉えないといけないと思います。
まず、「追加種目」の関係で、実際に具体的な五輪競技の一部を福島で開催をしてほしい、この件については、まず追加種目そのものが日本からの提案はIOCの方にぶつけていますが、まだ最終的な結論が出ている訳ではありません。そういったものを見ながら、福島での開催というものを、私自身が先頭に立って強く訴えていきたいと思います。現在、具体的な動きを一部の種目を念頭に置かれながら、各自治体が手を挙げておられるということは非常に心強いと思っておりまして、今後、追加種目の決定状況を見極めながら、色々な形で強く国に対して、あるいは関係機関に対して、私自身が訴えていく場面を作りたいと考えております。
そして、もう一つが、例えば「合宿」ですとか、「関連事業」の開催でございます。これはもう間違いなく既に視野、スケジュールに入ってきている案件ですので、既にこういった合議体、会議的なものを設定しておりますが、各市町村がどういった種目のどういった競技について協力ができる、あるいは関連イベントのこういうことについてできるということについて、既に洗い出しを進めております。今後とも是非誘致をしたいという自治体の意向も踏まえながら、広域自治体として、県全体の強い思いを関係機関に訴えかけていくと、こういうことも併せて進めていきたいと思います。
【記者】
今月と来月がですね、県が定めた地産地消月間ということで、新しく年度内にもアクションプログラムを作るということが先ほど決まりましたけれども、改めてこの地産地消の重要性とそれから福島県が持つ食の魅力の活用方法について、どういうふうに地産地消という形でいかしていこうというお考えなのか、その二点についてお願いします。
【知事】
実は地産地消の取組は震災前から熱心にやっておりました。ところが東日本大震災、原子力災害の影響、厳しい状況もありまして、しばらく本格的に動ける状況ではなかったというのが実状でございます。しかし震災から5年目に入った、ここで改めて福島県の地産地消という基本理念、しっかりと光を当てて進めていきたい、そういう思いを持っております。
そういう中で、これまで元々農産物ですとか、観光、こういった部分にスポットを当てて、以前も進めておったのですが、幅の広い地産地消というものを進めていきたいと考えています。当然、食の安全・安心の確保に含めて、農産物、もう一回風評払拭のために売り出す、こういうことも大切ですし、福島県内の観光、先般のDC期間中もそうなのですが、県民の皆さん自身が行って、再評価して「いいところだない」と思っていただくこと、これも重要です。
それに加えて、例えば「再生可能エネルギー」、今、県で進めておりますが、再生可能エネルギーは正に地産地消そのものです。正に地元で作ったエネルギーを地元で使う。これが原子力に依存しない社会につながっていくという部分がございますので、これも一つの地産地消。
あるいは「ロボット産業」です。今、これも進めていきたいということで力を入れているのですが、福島県内で作ったロボットを福祉や介護現場や農業現場で今、現に使い始めてもらっています。私もその現場に実際に行って、自分自身装着して試してみましたが、そういったものが、福祉・介護現場の色々な難しさというものを解決する手段になっています。それが「メイド・イン・福島」であるということが、また新しい誇りにつながりますし、それは福島県内だけではなくて、全国展開・世界展開にも広がっていくということになります。
従って、今後、県が進めていく地産地消というものは、これまでの概念はもちろん力を入れてやっていく。そして風評払拭という新しい要素が入っている。さらに幅を広げて、広い意味で福島県民が、自分が生まれて育っているこの福島に「誇りを持てる」、「プライド」をもう一度取り戻すことができる、そういう地産地消として進めていくことが、福島の復興・再生のためにも重要であると考えております。
【記者】
先日、北海道新幹線の料金体系が発表されまして、各地で北海道新幹線開業に向けた動きが始まっていますけれども、福島県としてこれは大きなチャンスなのかなとも思うのですが、県としまして知事として、そちらに向けて期待すること、これから取り組んでいきたいことを教えていただけますでしょうか。
【知事】
北海道と東北というのは、従来から一体で色々な取組をすることが多いです。例えば、知事会議であったり、あるいは北海道・東北の経済ブロックであったり、観光交流であったりと北の方で一体になって一緒に取り組むということが従来からありました。
今後、北海道新幹線が延伸をしていくということは、東北にとっても大きなチャンスになると思います。特にインバウンド、海外からの観光客の方々が日本全体ではものすごく増えています。ところが、残念ながら東北エリアは非常にその伸びの恩恵がないという現実がございます。これは恐らく東日本大震災や原子力災害の影響もあると思いますが、こういった北海道新幹線の延伸というのも一つの契機にして、この地域全体が観光であったり経済で活性化をしていく。あるいは海外のお客さんをたくさん呼び込むために共に連携をしていく。こういった取組が非常に重要だと思いますので、今後、知事会議等もありますので、そういった色々な場面を通じて、共に連携をしていきたいと思います。
【記者】
その中で、その震災の影響や原発の影響、特にいまだに苦しんでいる部分もある福島県として、独自でやっていく部分というのは今の時点でいかがでしょうか。
【知事】
福島県が行うべきは、足元の復興・再生をしっかり進めることなのです。ひと月経つごとに、あるいは1年経つごとに、復興が進捗しているという姿をまず作り上げること。そして、それを正確に国内外に発信をしていくことだと思います。
特に東北は、宮城県、岩手県といった同じように大きな災害を受けた県がございますが、彼らは我々以上に見事に進捗をされています。福島県は残念ながら彼らに比べると、まだ進捗の歩みが原子力災害の影響もあって遅いということがありますので、そういう意味でも、宮城県や岩手県に負けないように、これからも復興を進めて、それを発信して、東北全体を盛り上げていく、こういう思いが重要だと思います。
【記者】
今日、福島第一原発の廃炉に向けて、ロボットを開発する楢葉町の遠隔技術センターが開所しますが、このセンターへの知事としての期待と、今後、県としてどのように技術開発、若しくはセンターに関わっていくのかの二つについてお願いいたします。
【知事】
まず、福島が復興・再生を真の意味で果たしていくには、福島第一原発の廃炉作業が安全かつ着実に進んでいくこと、これが欠かせません。ただ残念ながら、この4年7か月を振り返ると、色々なトラブルが発生したり、廃炉対策そのものの方針がきちんと決まっていない、あるいは手法が決まっていなかったという現実がございます。
今日、除幕式が行われますモックアップセンター、これは正に福島第一原発と同じ構造を作って、そこで実際にロボット技術が使えるかどうか、これを試す重要な場となります。そして、ここで試された機器が実際の現場で順調に作業を進められるということが、正に福島の廃炉が本当に進む大切な道筋になると思いますので、今日のモックアップセンターの開所というのは、福島の復興・再生にとっての大切な一歩になると受け止めております。
また、県としては、福島第一原発の廃炉・汚染水対策、こちらの方をしっかりと進めていただくために、廃炉安全監視協議会を始め、専門家の意見を聞きながら、地元自治体と一体となって、こういった作業をしっかりと監視をしていくこと。また、適時適切に申し上げるべき意見をしっかりと申し上げること、そして東京電力、国と共に、この汚染水対策あるいは廃炉対策が順調に進むように、県民の皆さんに色々な情報を公開していくこと、こういった取組が重要であると考えておりますので、引き続き、続けていきたいと考えております。
(終了)
■内容についてのお問い合わせ先
イタリア・ミラノ訪問について
→農林水産部農産物流通課 電話024-521-8041
県議会議員選挙の論点等について
→総務部政策調査課 電話024-521-7184
東京オリンピック・パラリンピックについて
→文化スポーツ局文化振興課 電話024-521-7312
地産地消について
→企画調整部地域振興課 電話024-521-7118
北海道新幹線の開業(観光振興等)について
→観光交流局観光交流課 電話024-521-7128
楢葉遠隔技術開発センター(モックアップ施設)について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-8054