知事定例記者会見
■日時 平成28年2月22日(月)10:00~10:13
■会場 応接室
【質問事項】
1 韓国における東北復興イベントの中止について
2 イノベーション・コースト構想について
【知事】
今回の事業については、現地において福島県の情報を発信できる絶好の機会でありました。韓国の方々に福島県に対する理解を深めていただけることを期待していたため、事業中止は残念であります。
外務省からは、今回の理由について、現地区役所の許可の関係ということを伺っております。
県としては、引き続き、国や関係機関等と連携をして、本県への理解が促進されますよう、本県の現状や復興の取組など、正確な情報発信に粘り強く取り組んでまいります。
【記者】
今の点に関連してなのですけれども、知事は就任以来、ダボスですとか、スイス、イギリスなど、様々なところで風評払拭に向けて活動されていますが、今回のソウルでのイベント中止というのは、やはりヨーロッパとは異なって、東アジアでいかに福島への理解が進んでないかということを象徴しているかと思うのですけれども、今後、韓国も含めまして、中国や台湾を含めて、東アジアにどのように風評払拭を訴えていくのかというのをお聞かせください。
【知事】
昨年、特に、ヨーロッパ等を中心に様々な形での情報発信を続けてまいりました。また、結果としまして、欧州における輸入規制が一部緩和されたというのは、一つの進展であったと受け止めております。
一方で今回の韓国の件、あるいは昨年の台湾の対応も含めですね、東アジアにおいて、まだまだ厳しい状況が続いているという現実もあります。これまで、特に韓国に対しては、ソウルで開催されました国際旅行博等への出展ですとか、あるいは、雑誌・旅行関係者の本県招へいなどを通しまして、福島県の情報の発信をしてまいりました。
引き続き、国、関係機関等と連携をしながら、福島県への理解がより促進されますよう、福島県の現状、復興の取組、こういった正確な情報発信をしっかりと伝えていく必要があると考えております。特に、東アジアに対して、今後どうしていくかということも検討を深めていきたいと考えております。
【記者】
今の点に関連してなのですけれども、韓国はアジアの中では、わりかし緩和されてきている方だと思うのですけれども、そうした中で、国としてはたぶん緩和をしつつも、やはりどうしても国民自体がなかなか理解が進まないというところもあると思うのですけれども、その国民一人一人まで風評払拭のためにPRしていくというのは、なかなか難しいと思うのですけれども、その辺、どのように対応されていくのでしょうか。
【知事】
この風評の問題というのは、国外だけでなくて国内も含めて、全体としての問題だと捉えています。私自身、トップセールスを国内外で、色々な場面で行っています。
実際に顔を合わせながら、例えば、プレゼン資料を使って丁寧にお話をすると、一定の御理解を頂いているなという実感があるのですが、ただそうは言いましても、それを全ての方に行うというのは、現実、一つの県として難しいところがあります。
やはり風評払拭には一定の長い時間が掛かるという覚悟もしておりまして、特効薬は無い訳ですので、科学的な事実ですとか、それから福島県の現実、努力をしているその姿、そういったものを全体として発信していく中で着実に払拭をしていくしかない、そのような思いを改めて感じております。
【記者】
この間のダボス会議もそうですが、世界各国、あと国内もそうですが、トップセールスに行かれて、一生懸命やってらっしゃると思うのですけれども、今回の件、どのように情報が知事の方に入ってきて、その時、正直どのような感覚を覚えられましたか。
【知事】
今回、韓国において、こういう事業をするということは事前から知っておりまして、特に若松副大臣あるいは県庁の幹部が行きまして、一生懸命やるというお話を聞いておりましたので、韓国の現地において、こういうイベントが開催されるというのは非常に効果があるのだろうなという期待をしておりました。
ところが週末になって急遽連絡が入って、1日目は確か順調にできたと思いますが、2日目の行事が急遽できなくなるというお話を伺って、ああ、やはり風評の問題というのが根強いのかなと。こういった問題については、時間を掛けて、丁寧に取り組んでいかなければいけないのだなと思いを新たにしたところでございます。
【記者】
同じく韓国に関してですけれども、知事は、ずっと韓国の要人とか関係者が来ると、やはりソウル便というのは福島と韓国を結ぶ上では、いつも話題になっていたと思うのですけれども、今回こういう、やはりなかなか風評が払拭できないという象徴する出来事があって、このソウル便の再開に向けては、改めてどのような思いをお持ちですか。
【知事】
福島空港のソウル便というのは、正に韓国と福島との空の玄関に当たる訳であります。震災前は定期便が飛んでいた訳でありますし、両国の国際交流も、この福島空港経由で行われる草の根事業もたくさんありました。
また、今も地元の方を中心に、是非再開してほしいという強い思いがありますので、震災後休止ということになっておりますが、私どもは是非再開をしてほしいという働き掛けをかねてから続けております。
特に、確か2年ほど前だったと思いますが、まずチャーター便を定期的に運航しようという動きがあったのですが、当時、第一原発において汚染水の問題等がありまして、結果、そのチャーターが止まってしまって、その後、ちょっと動きがはかばかしくないという現状がございます。
今回のこのイベントの中止の問題というものもかみ合わせて、空路の再開ということについても引き続き、私どもとして、粘り強く働き掛けて、まずチャーター便を再開してもらって、福島の方も当然韓国に行く訳ですが、韓国の方にも是非福島に来ていただいて、復興が進んでいる現状というものを生で見ていただく中で、徐々に風評払拭が進めばありがたいと考えております。
【記者】
韓国との関係、福島との関係は、知事としては、やはり改善できるとお考えですか。
【知事】
これまでの韓国との交流の歴史というものを考えると、もちろん震災ですとか、原発事故の影響があって、今、厳しいのは事実でありますが、未来に向かって改善をしていかなければいけない大切な課題だと考えています。
【知事】
イノベーション・コースト構想は、ある意味、今回の2011年の震災、原発事故、津波という複合災害の中で、一番厳しい状況にある浜通りを復興させていくための中核のプロジェクトであります。
従って、このイノベーション・コースト構想をどうやって具体的に進めていくかということで、今、国・関係機関と共に、具体的なワーキンググループ等も立ち上げながら検討を進めております。
その中で大切なのは、山名先生が言われるとおり、何か大きな事業だけが進んで、地元との関わりが薄いということであっては、本当の意味での浜通りの復興につながらないと考えています。従って、特に県においては、イノベーション・コースト構想の中の、農林水産業版であったり、やはり地域の企業とこの構想との関わりというものを是非密にしていって、融合した形で全体として底上げが図れる、こういった構想にしていきたいと考えています。
例えば、ロボット事業であれば、地元の中小企業さんに積極的に参画をしていただく。あるいは再エネの関係についても、地元の企業であったり自治体が関わっていく。さらに、農業、林業、水産業がいずれも本当に大きな痛手を受けておりますし、元々、特に双葉郡等では、第一次産業が活発でしたので、そういったものを徐々に良くしていくということが、地元の皆さんがふるさとに帰ろうと考える原動力になると考えています。
そこで農業も、従来型の農業をきちんとまたできるようにしていくことも大事ですし、また、イノベーションという観点を入れて、例えばロボットですとか、新しいタイプの農業というものを、今後、あの地域で積極的に進めていく中で、今、TPPの問題等もありますので、そういう中で新しい日本の農業の姿を示す、こういったことも進めていかなければいけないと考えています。
いずれにしても、今、構想の形ができて、それぞれについて分科会的な議論を進めておりますので、地元の方と一体となって、地に足の着いた構想を推進していきたいと考えています。
【記者】
地元企業の参画を促すために、県として補助金であるとかですね、何かインセンティブ的なものは何かありませんか。
【知事】
今回の28年度当初予算の中でも、このイノベーション・コースト構想関係で、地元の事業者さんが関わりやすいような、色々な支援制度を用意しております。これも財源をきちんと確保しなければいけないので、昨年の後半は、ずっと28年度当初予算のこの関係の事業で、特に経産省であったり、復興庁と様々な相談をしながら財源を確保して、新たな予算立てを、今、県議会に上程していますので、こういったものをまず是非積極的に活用したいと思っております。
また、分科会等でも色々な新たなお話も出てくるかと思いますので、そういったものについても、丁寧にまずお話を聞きながら、対応を考えていきたいと思います。
(終了)
■内容についてのお問い合わせ先
韓国における東北復興イベントの中止について
・韓国における東北復興イベントに関すること
・観光交流局観光交流課 電話024-521-7128
・風評対策に関すること
→総務部広報課 電話024-521-7124
・福島空港ソウル便に関すること
→観光交流局空港交流課 電話024-521-7211
イノベーション・コースト構想について
→ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129