【質問事項】
1 3月12日掲載の新聞広告について
2 森林除染について
3 311甲状腺がん家族会について
4 帰還困難区域等の見直しについて
5 県幹部人事について
【記者】
3.11が過ぎまして、また新しく「復興・創生期間」ということで、これからまた臨まれていくと思うのですけれども、3月12日の朝刊にですね、知事のメッセージということで、大きく広告が出ました。
福島の名前を変えなくてはいけないのではないかと思ったこともあったみたいな表現だったのですけれども、土日なので個人的な反響しかないと思うのですけれども、何かメッセージとか知事の元に届いておりますでしょうか。
【知事】
今回の広報、これから恐らく実際の反響が寄せられると思うのですが、私のところに直接、特に県外の方からお話がありました。
「福島県が、今、5年目でこういう思いを持っているのだ、こういう状況なのだということがストレートに真っ直ぐに伝わった」「すごく共感したよ」というお話を頂きました。
色々な受け止め方があると思います。もちろん福島県の名前云々というのは、そういうことを言っている一部の方がいるということですし、そのことそのものを福島県自身がどうこうということではもちろん無いのですが、最初から最後まで読んだと言うのですね。
あのような広告というのは、頭の方だけ読んで終わりになってしまうことが多いのですが、「読み進めてしまう内容だった」とか、「静かだけど迫力があった」、そういう趣旨のお話を頂きました。
広報の仕方というものは、常に我々悩みながら どういう形が良いかということを考えているのですが、色々な形での発信というものをこれからも続けていかなければならないと、改めて感じております。
【記者】
今後に向けての思いというのを、ありましたら教えてください。
【知事】
先週で震災から丸5年という一つの節目を迎えました。実はここ一週間、あるいは一か月くらいの間に、本当に、全国あるいは世界の皆さんから、改めて3.11に対する温かい激励のメッセージを頂いています。
私自身、色々な地域のイベントの方に参加させていただいて、多くの県民の方々に参加いただきました。
特に昨日、「ふくしま復興を考える県民シンポジウム」を郡山で開催したのですが、3時間半という非常に長い時間、しかも、かなり真面目な内容であったのですが、最初から最後まで、ほとんどの方がそのまま残っておられて、ずっと演壇で真剣に話すパネラーであったり、事例発表者の話をうなずきながら聞いていて、そして時折、笑顔になりながら、一生懸命、復興について考えていただいている姿がとても印象的でした。
こういう県民の皆さんと、まだまだ苦労や課題は正直あるのですが、何とかそういうものを一つ一つ乗り越えて、明るい福島の未来を切り拓いていきたい、そのように考えております。
【知事】
今回示されました、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組内容は、これまで限定的であった森林の除染範囲、それを地元の要望も踏まえて、必要に応じて拡大することや、継続的な森林整備と放射性物質対策の一体的推進など、これまでの福島県の要望に沿ったものであります。
今回は、復興庁、環境省、農林水産省が一体となって、対応を考えていただいていますし、ここに至るプロセスにおいては、自民党の復興加速化本部が非常に懸命な対応をしていただきました。皆さんの対応にまず感謝をしております。
そして、特に「里山再生モデル事業」については、今後、県と関係省庁との間で設置されます連絡会議などにおいて、モデル地区の選定など、地元市町村や林業関係者の意向が十分反映されるよう、県として、国との調整に努めてまいる考えであります。
今後とも本県の森林・林業の再生に向けて、きめ細かな対策が講じられるよう、国への働き掛けを続けてまいります。
【記者】
今の点に関連してなのですけれども、一定の方針は示されたとは言え、やはりここまで来るのに5年の月日が経ったと、林業関係者の方からは、やはり「5年でやっと示された」「今まで非常に方針が示されるまで長かった」という声も聞かれるのですけれども、それについて、県の思いと言いますか、どのようにお感じでしょうか。
【知事】
時間が掛かっているという点は、私自身も同感であります。
いずれにしても結果として、本県の要望を踏まえた、あるいは林業関係者の要望を踏まえた方向性というものが示された訳であります。
福島県、非常に県土面積は元々広い上に、その7割が森林でございますので、この森林林業が再生していくということが、福島の復興・再生そのものにつながっていきますので、関係者と一緒になって、国とも力を合わせて、この林業再生、森林再生を是非進めていきたいと思います。
【知事】
今回、家族会というものが新たに発足した。これはやはり3.11後、甲状腺問題も含めてですが、県民の皆さんが本当に色々な意味で不安や悩みを抱えておられる、その一つの形だと受け止めております。
この甲状腺検査、県が実施をしておりますが、心のケアサポートや経済的負担の軽減を図っております。また、診療の場においても、がん相談支援センター等による、がん患者に対する相談支援が行われております。
患者や御家族の御意見を今後また改めて伺いながら、甲状腺検査やがん診療において、行政がどう対応すべきか、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
【知事】
帰還困難区域の見直しの必要性について、我々がこれまで訴えてきたことを受け止めていただき、方針を示す時期を明言いただきました。帰還困難区域を抱える市町村にとっては、復興の先行きに関わる、避けて通れない重要な課題でございます。
今後の帰還困難区域の姿がより具体的になるよう、地元市町村の意見をよく聞いていただくとともに、県としても意見を申し上げていきたいと考えております。
【記者】
帰還困難区域の見直しについてなのですけれども、知事がおっしゃいましたように、復興の歩みに、先行きに関わる重大な事項だと思いますし、これまで必要性についても訴えてこられたと思うのですが、一方で、住民の方にとっては、この見直しということがあることによって、逆に「帰れる」「帰れない」という現実をまた改めて、厳しい現実を突き付けられたりですとか、また再編されることによって、また一つその地域の中に線が引かれてしまい、また引き裂かれてしまう、もしかしたら辛い決断を迫られることになるかもしれないという、そういう局面もあると思います。
そこに関して、県として、知事としてどう対応されるのかということと、そのような線引きがされることによって、住民の方の思いというか、その引き裂かれてしまうかもしれないということに対して、知事の考えをお願いします。
【知事】
非常に難しい御質問だと思います。
今、何故この帰還困難区域の見直しの議論が出ているかと言うと、来春、国として居住制限区域と避難指示解除準備区域について、一定の方向性を示すということを明言されているから。その時に、帰還困難区域だけが、今後の取扱いというものが全く方向性が見えていない。
それに対して、地元の自治体であったり、住民の皆さんから「俺たちはどうなるんだ」「私たちはどうなるんだ」という切実な声があったということが、ある意味、大きなきっかけになっていると思います。
そういう意味で、まず居住制限区域であったり避難指示解除準備区域について、一つの方向性、形を作るという作業と併せて、今後、帰還困難区域についての見通しというものを示すということは重要だと考えています。
ただ一方で、御指摘がありましたとおり、こういったもの全てが一遍に解除できて、帰れるような環境になるかというと、現在の空間線量等の状況、あるいは原発の廃炉状況等を考えると、なかなかそうはいかないという厳しい現実もございます。
従って、住民の皆さんには、新たなそういう意味での悩みとか、苦しみを結果として、そういう方々に与えてしまうという可能性もあると思います。
そういった住民の感情や思いというものも考えながら、今後、市町村や国と一緒に、どういう形の見直しの方向性が良いのかという議論を深めていきたいと思います。
【記者】
例えば、その住民感情に配慮した見直しの在り方というような要望もしていかれるということはお考えでしょうか。
【知事】
要望ということではなくて、具体的な協議の中で、そういった要素を我々として提示をしながら、お話をしていく。あと恐らく、自治体自身も同じように、そういうお話を国に対してしていくということになるのではないかと思います。
【記者】
今、正に質問のありました帰還困難区域に関連してですけれども、来年3月までに、政府は居住制限区域と避難指示解除準備区域、これを全部解除するということは、安倍総理もはっきりと明言されているのですけれども、首長の中にはですね、これはちょっと厳しいんじゃないかという見方を示す方もいらっしゃいます。
そうした時に、政府のその目標に合わせていくべきなのか、あるいはそれとも、ずらしていくことも考えていらっしゃるのか、その辺の知事の考えをお聞かせください。
【知事】
来春の見直し方針についてであります。これについては、まず成すべきは、居住制限区域あるいは避難指示解除準備区域において、例えば除染であったり、様々な各種インフラの整備であったり、生活環境の整備、こういったものをしっかりと進めていって、住民の皆さんが安全に安心して帰れる環境を、国が責任を持って作るということが何よりも重要であります。
あと1年余りということで、だいぶ期間も迫ってまいりましたが、そこの進捗状況というものをきちんと国が示しながら、自治体であったり、住民の皆さんと相談を深めていくことが重要だと考えています。
【記者】
そうすると進捗状況を、インフラとか除染とかの状況を見極めながらという話でしたけれども、その結果、首長さんがですね、やっぱり3月に解除は難しいから、平成29年の4月とか5月とかいうように後ろ倒しになっても、これはやむを得ないというふうにお考えなのでしょうか。
【知事】
今、あと1年余りありますが、いずれにしても現時点で予断を持って、仮定の話をするのはどうかと思います。
まず、国自身が責任を持って、成すべきことを成して、その上で、自治体や住民の皆さんに丁寧に説明をしていくことが先だと思います。
【知事】
それぞれのキャリアパスは、人によって異なると思います。今、記者さんの御指摘の点があった一部のメンバーがそういうキャリアを経ているというのは事実だと思います。
一方で、彼らがそれ以外のジャンルの仕事もこれまで県庁に入庁してから、色々な部門を経験しています。その中の一部の期間、ある意味、そういう所にいたということで、恐らく私の感覚としては、それ以外の部であったり、課にいた期間が長いという事実がありますので、従って特定の分野だけに偏って云々といった御指摘には当たらないと考えております。
あと、各部局長の仕事振りというのは、それまでの県庁の色々な仕事の中で、例えば一つの課においても、一つの仕事だけをしている訳ではありません。例えば、ルーティン的な業務もあります。飛び込み的な業務もあります。市町村との交渉というものもありますし、国との協議がある、あるいはマスコミさんとの対応とか、色々な性格を一つの課の一つのポジションで持っています。
その時点時点において、その当該人物がどういう仕事を行ってきたかというところを見ながら、我々は人事全体を考えておりますので、適材適所というのは、そこに基本があると考えています。
【記者】
おっしゃるとおり1人の方のキャリアを見ると、人事・秘書以外の部署の方が長いということは正におっしゃるとおりだと思います。
一方で、逆にここまでの人数がいるということは、部局長に登用されるには、ここを1回はやらないとできないのではないかと推認されるに足りる人数ではないかなと思うし、また、更にですね、現役の職員、場合によっては職員のOBの方もそうした懸念というのは、私も実際聞いたことがございます。
そこの部分のお考えを改めてと、それともう一つはですね、やはりこういった内部管理の部署ですね、いわゆる官房系の部署ということだと思うのですが、そういったところを経験するというのが必須と考えるべきなのか、もしくはそういったところは経験していなかったけれども、より住民に接する現場の部署であるとか、企画立案を重点的にやってきたとか、そういうキャリアが多いという方も、バランス良く配置するべきではないかというような見方もできると思うのですけど、その幹部登用の在り方について総括的にお願いします。
【知事】
先ほど何人かの具体的なお話をされましたが、逆に言うと、その方以外の方はそういうラインを通らずに部局長になっておられる方もおられます。あと、それぞれそのラインを通っている、通っていないに関わらず、現場的な部門と、それからいわゆる管理的・総務的な部門と、皆さん基本的に県職員はゼネラリストの方が多いので、そういった部門を通っています。
あるいは、技術的なジャンルだけをやっておられる方でも、幹部に登用するということはこれまでも行っていますので、決して何か特定のところが云々といったことではなくて、全体的なキャリアパス、その人の人となりですね、そういったものを考えながら人事を進めているところでございます。
【記者】
最後に一点だけすみません。そうしますと確認なのですが、今年度の人事の方も、特定の部署を経験したということを優遇するとか、そうしたことはなく、あくまで人物本位、能力本位で知事が責任を持って決められると、そういうことでよろしいでしょうか。
【知事】
先ほど申し上げたとおりでございます。
(終了)
■内容についてのお問い合わせ先
3月12日掲載の新聞広告について
→ 総務部広報課 電話024-521-7146
森林除染について
→ 農林水産部森林計画課 電話024-521-7405
311甲状腺がん家族会について
→ 保健福祉部県民健康調査課 電話024-521-8219
帰還困難区域等の見直しについて
→ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439
県幹部人事について
→ 総務部人事課 電話024-521-7033