【質問事項】
1 避難指示解除について
2 新年度に向けて
3 自主避難者への支援について
4 小高産業技術高等学校について
5 県補助金の不正受給疑いについて
【質問事項】
【知事】
先週末に飯舘村、川俣町、浪江町、そして富岡町で避難指示が解除されました。町村長さん始め、関係の皆さんが本当に悩み、苦労しながら、この避難指示解除を進めてこられたことに心から敬意を表したいと思います。また、今年の春までに除染を完了するということで、国、関係機関が懸命に取り組んでまいりました。そして、平成28年度末までに一定の除染が完了したという状況にあります。ただ、除染について、住民の皆さんはいろいろな意味で不安を持っておられると思います。これまで、避難指示解除が予定される自治体において、住民説明会が幾度もなされてきました。その中でも、放射線量に対する不安について、住民の皆さんから様々な御意見がありました。そして、そういった意識も踏まえ、この4月以降、近いうちに戻られる方の割合はおそらくまだ高い状況にはないというのが現実かと思います。特に、特定の地域で、まだまだ高いのではないかという議論があることについては、今後、自治体や国においてしっかりとフォローアップ除染に対応していくことが必要だと思います。また、帰還困難区域も含めて、除染の議論が続いてまいります。放射線に対する不安は間違いなく地域住民の中にあるので、地元自治体の意見を尊重しながら、県として、関係機関と一体となって分かりやすい説明をしていくこと、また、フォローアップ除染が必要なところをしっかり進めていくこと、そして、それ以外の様々な生活環境の整備も含めて、取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
今回、解除が行われましたが、かなりの地域がまだ解除されずに残っているのも事実です。解除されなかった地域について、これからどうやって解除を決めていくのか、時期的なことも含めてお答えください。
【知事】
今回、避難指示が3月末、4月1日と大きく進みましたが、福島県全体の2.7%の地域が避難指示区域としてまだ残っております。ピーク時で12%でしたので、それに比べれば、相当狭まってきたという見方もできますが、一方で、この2.7%の地域を市町村で見ますと、7つの市町村にまたがっています。また、この地域の避難指示が解除されるにはまだ時間がかかるという厳しい現実があります。今後、福島県として、地元市町村の将来的な計画を最大限に尊重しながら、地域全体の復興再生に向けて、国や地元自治体と力を合わせて取り組んでまいります。
【記者】
先週末、避難指示が解除されて、知事は実際に現地に行かれ、いろいろな式典に出られたと思います。これまでの取組を踏まえて、その時に知事として感じたことなど、感想を伺いたいと思います。式典でいろいろな方と言葉を交わしてどのような感想を持ったのかや、今後の意気込みを教えてください。
【知事】
先週の木曜、富岡町のさくらモールとみおかのグランドオープンセレモニーに出席しました。また、金曜日には、飯舘村の「おかえりなさいセレモニー」に出席しました。私自身の率直な思いは「光と影」、このキーワードです。
まず光、明るい部分としては、富岡町や飯舘村、浪江町、川俣町も、全体を含めて、皆さんが笑顔で、避難指示解除を喜んでおられて、ふるさとに帰れるということの喜びをあらわしていました。その明るい表情を見て、私は光を感じました。一方で、厳しい現状としては、先ほども言ったとおり、人数的には少ないという現実と、私自身が式典に参加した時に感じたことは、平日ということもあってかもしれませんが、年配の方が多く、若い方々の姿が少なかったこと。おそらく今後、比較的早いタイミングで帰還される方は、年配の方が多いのが現状だと思います。先ほど放射線量の話もありましたが、若い世代の方々は、様々な状況や理由があり、避難指示が解除されたからすぐに戻れるかというと、そういう状況にはないのだろうと感じました。戻られた、戻ることができてうれしいという笑顔を見た部分と、まだまだ若い方が戻るには時間がかかると、その両方を実際に自分が式典に出て、感じたところです。
【記者】
4月6日あたりから、先に解除された楢葉町や小高区の小学校が再開されると思いますが、新年度に戻られるお子さんが少ないと報じられております。これは、放射線量やいろいろ理由はあろうかと思いますが、知事としてはその状況をどのように見ていらっしゃるのか、あるいは県として何か関わっていくことがあるとすればどんな点なのかお聞かせください。
【知事】
かつて避難指示が出されていた区域で、避難指示が解除され、各自治体で小学校や中学校が再開していくことは、地元の将来にとって重要な意義があると考えます。ただ、再開しても中々、お子さんたちが以前のように登校していただけるわけではないという厳しい現実もあります。震災から3年、4年、5年、6年という期間が経ち、皆さん、避難先での生活に一定の落ち着きを持っておられます。また、放射線量や原発に対する不安もあり、以前と違うふるさとの状況を考えると、直ちに戻るという環境にはないという御判断も、個々の世帯によって当然あると思います。こういった、子どもたち、あるいは親御さんたちの帰還の在り方は、各家庭の御意思を尊重することが基本だと思います。
一方で、各自治体では、子どもたちの声がもう一度ふるさとに戻るよう取り組みたいという強い思いを持っておられます。県としてはこういった自治体の気持ちを最大限尊重し、例えば学校の先生の配置や、施設をつくる際の財政的な支援など、様々な対応が必要だと考えます。今後とも、各自治体、教育委員会とも連携しながら、ふるさとでの学校再開に必要な支援を積極的に進めていきたいと考えております。
【記者】
避難指示が解除されて戻られたところが、人数的にも少なく、かつ高齢者が多いとなると、極めて過疎・高齢化が進むと思いますが、そういったところはこれまでどおりの対応ということではなく、更に手厚く高齢者への対応が必要になると思いますが、県としてどのようなサポートをお考えですか。
【知事】
避難指示が解除され、戻られる方々が比較的年配の方が多いという場合、医療や介護の問題が喫緊の課題になります。各自治体でも、まず診療所の再開を熱心に進めていただいており、県営の診療所も楢葉町に開所しました。さらに、二次救急も含めた病院をしっかりとつくってほしいという要請を頂いており、現在、双葉地域の医療センターの整備を進めております。
また、介護関係についても一定の整備がなされないと安心して帰ることができないというお話があります。この点についても、自治体と相談しながら、まずハードをどうするか、そして人的な点も決して容易ではありませんので、広域自治体としてどのような対応ができるか、一緒に工夫しながら、戻られる住民の皆さん、特に年配の方々が安心して暮らすことができる医療・福祉環境づくりにこれからも継続して取り組んでいきたいと思います。
【知事】
新年度、平成29年度は東日本大震災、原発事故から7年目の年になります。また、「復興・創生期間」としては2年目になりますが、私は先ほど、県の部局長が集まる会議で、一つのキーワードを示しました。それは「有事」。「平常時ではない」、「非常時が続いている」という「有事」というキーワードです。この6年間で福島県の復興は相当進みました。これは間違いないです。そして、避難指示解除もある程度進みました。しかし、それで平常時に戻ったかというと、そんなことはありません。例えば、避難指示区域が、今もなお7市町村において残っているという厳しい現状があります。また、避難指示が解除された区域でも、元のふるさとが戻ったわけではなく、多く戻られたところで7割、あるいは1割に満たないところもあります。そういった現実を考えると、避難区域において「有事」が継続していることは間違いないわけです。
さらに、県全域で考えた場合も、風評の問題については、7年目に入りましたが、平成28年度の1年間においても関連するニュースが大変多かったです。これは避難区域の問題ではなく、福島県全体の問題であり、私は日本全体の問題だと思っていますが、この風評の問題が県全域に7年目も継続して残っていることが一つ。もう一つは、人口の急激な減少。悔しいですが全国でも上位の減り幅です。これも福島県全体の問題なので、こういったことを考えると、平成29年度、新年度においても、まだ「有事」が続いている、その危機意識を持って、我々も一日一日の仕事に取り組むもうという話をしたところです。
【知事】
これまでの意向調査や3回にわたる戸別訪問等の結果もあり、多くの方は4月以降の住まいの確保が見込まれております。ただ、3月末での段階で、住まいを確保することができなかった避難者の方々がおられることも事実です。県としては、それぞれの世帯の個別の事情を丁寧に伺いながら、避難元、避難先自治体や関係機関と連携しながら、丁寧に対応してまいります。
【記者】
かつて特定避難勧奨地点などになって、政府から避難するようにと勧められて、今になって「出て行け」というのはおかしいという人もいて、そのような人たちを救える、例えば、仮設住宅や災害公営住宅の入居要件を緩和するなど、新たな支援策がないだろうかと思っていますが、そのあたりはどうでしょうか。
【知事】
これまで、それぞれの避難者の皆さんにどのように対応するかのフレームを県としてつくってきました。大切なことは、その一世帯一世帯の状況が全部異なり、また、今、県内におられるか、県外でも、どの都道府県におられるかによって、事情が全て異なりますので、その方の話を伺い、特に、避難元自治体と避難先自治体との関係も頭に置きながら、取り組んでいきたいと思います。
【知事】
小高産業技術高等学校では、間もなく入学式もありますが、その学校が仮にスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールに指定されることになりますと、特に福島イノベーション・コースト構想の人材を育成しようという強い思いを持っている高校にとって、非常に大きな意義があると考えております。小高産業技術高校は、避難指示が解除されて、その地域につくられるある意味、本格的な初めての高校ということになります。これから新入生が期待に胸を膨らませて入学してきますが、その高校生にとって、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールという国の一つの枠組みの中で評価され、他の高校とは異なる新しい教育があり、そしてそれが、福島イノベーション・コースト構想の実現や自分の未来の進路に向けて、非常に大きな支えになることが実感できる、そのような意味で大きな意義があると期待しております。
【知事】
その案件についての報道は拝見しています。その上で、個別案件の内容については、この場で触れることは差し控えさせていただきたいと思います。
一般論として申し上げますが、福島県の場合、「ふくしま産業復興企業立地補助金」の交付済み企業における不正受給の情報などがあれば、立入調査を実施するなど、適切に対応してまいります。また、具体的な内容については、担当部局にお聞きいただければと思います。
(終了)
【問合せ先】
1 避難指示解除について
⇒ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439
2 新年度に向けて
⇒ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
(風評対策に関すること)
総務部広報課 電話024-521-7124
(人口減少対策に関すること)
企画調整部復興・総合計画課 電話024-521-7922
3 自主避難者への支援について
⇒ 避難地域復興局避難者支援課 電話024-521-8046
避難地域復興局生活拠点課 電話024-521-8629
4 小高産業技術高等学校について
⇒ 教育庁高校教育課県立高校改革室 電話024-521-8712
5 県補助金の不正受給疑いについて
⇒ 商工労働部企業立地課 電話024-521-8523