■日時 平成29年4月10日(月)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 復興大臣の発言及び自主避難者への支援について
2 平成30年度政府予算について
3 東京電力の新体制について
【質問事項】
【知事】
復興大臣が、先般の御自身の発言について、先日、「自己責任という言葉は非常にまずかった。自主避難者の方も事故のために避難しているにもかかわらず、自らの責任であるような印象を与えてしまい、深くお詫び申し上げる」と釈明され、また、発言を撤回されたと受け止めております。今後、適切な対応をしていただきたいと考えます。
【記者】
「適切な対応」とは具体的にはどのようなことでしょうか。知事もこの問題については慎重な発言をされていて、それぞれ事情があろうかと思いますが、具体的にどのような対応をこれから求めていきたいと考えていますか。
【知事】
今村復興大臣の発言については、大臣御自身が謝罪され、さらに安倍総理も福島訪問時にお詫びの言葉を述べられました。復興庁として、また政府として、福島の復興再生に誠心誠意、力を尽くしていただきたいと考えております。
【記者】
今村復興大臣は総理の随行で福島県へ来られましたが、その際、御自身の言葉でこの問題について、特に県民に対しては語りませんでした。このような復興大臣の態度について、どのようにお考えでしょうか。
【知事】
今村復興大臣は、先週、会見や国会での審議において謝罪されていると受け止めております。また、総理に随行された際、私に対しても直接、謝罪の言葉がありました。復興大臣は、福島の復興再生を担う司令塔です。その立場で今後、適切に対応していただきたいと考えております。
【記者】
謝罪の言葉というのは知事に対してどんな言葉があったのでしょうか。また、大臣に対して辞任要求がいろいろなところから出ていますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
大臣からは、「今般の発言について大変御迷惑をかけ、申し訳なく思っている」という趣旨のお話がありました。また、発言について、復興大臣御自身や安倍総理からお詫びの言葉がありました。大切なことは復興庁として、また、政府として、福島の復興再生に誠意をもって力を尽くすことだと考えております。
【記者】
今村復興大臣は先週、「自己責任」という発言以外にも、「裁判でも何でもやればいい」ということもおっしゃっていました。その発言は撤回していませんが、どのように受け止めていますか。
【知事】
県として、裁判については、直接的なコメントはありません。大臣御自身の発言ですので、政治家として説明責任を果たしていただきたいと考えます。
【記者】
福島県については、ちょっとした言葉の「あや」や表現の違いが、大きな誤解や偏見、風評につながると思います。今村復興大臣の実際の福島での働きぶりは別として、これまでも「マラソンで例えると30キロ地点」や、「ふるさとを捨てるのは簡単だ」など、感覚がずれた発言が多いと思いますが、知事はこのまま今村大臣が復興大臣を続けても大丈夫とお考えですか。
【知事】
福島県は現在、地震、津波、原子力災害、さらに風評被害という複合災害を抱えています。この複合災害は、過去の災害において前例がありません。このような原子力災害に対してどのように向き合っていくのか、そしてどのような施策を講じていくのか、あるいはどのような形でコミュニケーションを図っていくのか、これらには本当にしっかりとした対応が大切で、かつ細心の注意が求められると考えます。政府においては、原子力災害の重さ、被害の甚大さを頭に置いていただいて、誠心誠意、対応していただくことが何よりも重要だと考えます。
【記者】
今村復興大臣の発言に関連して、御存知のように、福島からの避難者であることを理由にしたいじめ問題が発生しており、その背景がある中で国民の信任を受けて選ばれた国会議員たる大臣がこのような発言をすることは、正に知事がよくおっしゃっている、「風化」の一つの表れであり、また、復興の司令塔である大臣がそのような言葉を発すること自体が、福島を軽視していると考えています。今回、私はこの「風化」と結びつけて考えていますが、知事はどのように考えているのかと、こうした政府高官の不適切な発言に対して、福島県としてできることはあるのかについて、お考えをお聞かせください。
【知事】
震災から6年が経ち、7年目に入りました。このように時間が経過することで、復興は着実に前に進み、プラスの部分もありますが、一方で、御指摘のとおり、風化が顕在化していくという面も間違いなくあると思います。まず、県としてできることは、今の福島の実情を率直に分かりやすく伝えていくことだと考えています。光と影、6年間で前に進んでいる、頑張っている明るい部分と、一方で、6年経っても、これだけ厳しい状況があることを、全国や世界の方々に分かりやすく伝えていくこと、そしてそれを継続していくことが県の大事な使命と考えます。
また、復興大臣は非常に重い職におられます。総理大臣も含めて、謝罪されていることは、重く受け止めるべきだと考えます。県民の皆さんや国内の皆さんも様々な思いを持っておられると思います。そのような謝罪をせざるを得なかった状況を踏まえて、今後の復興政策の中で対応していただくことが何よりも重要だと考えます。
【記者】
先週のこの発言があった会見では、今村復興大臣は、自主避難の方々をどうするかということについて、「災害の対応も含めて、県がしっかりやっているので、国の職員が出ていくより良い」という趣旨の発言をしていました。言い方の問題はあったかもしれませんが、現場主義を考えれば、現場の福島県が実施するのは一つの考え方だと思います。その上で、復興大臣の発言に対して自主避難されている方々が抗議に訪れたりしていましたが、自主避難者の方々がどうしていくかについて、県として今後どのようなスタンスで臨まれるのかをお伺いします。
【知事】
自主避難をされている方々への対応については、この春、これまでの国の災害救助法に基づく支援制度から県の独自支援制度へと移行したところです。この制度の移行や、そもそもの災害救助法に基づく支援制度の適用については、県が国と再三にわたり様々な協議を重ねて対応を検討し、進めてきました。また、県の制度への移行においても、国との連携は欠かせませんので、国と県がこの問題について真剣に、一緒になって考えて出た結果が、今回の制度移行の大前提となります。その上で、特に制度の移行時、1万2,000世帯を超える方々がおられ、その方々にどのような対応ができるのかということで、方向性を出してから約1年9か月程度の期間があったと思いますが、その期間全体の中で、様々な説明を行い、戸別訪問をして、それぞれの御家庭が4月以降の方向性を見出せるようなきめ細かい対応を進めてまいりました。その結果、おかげさまでほとんどの世帯では、4月以降の方向性を見出されております。一方で、まだ残っておられる方がいらっしゃいますので、現在も様々な形でお話をしながら、今後、どうするかの対応を進めているところです。この問題は、それぞれの御家庭や世帯によって事情の異なるものですので、これからもこうした丁寧な対応を県として続けていきたいと考えております。
【知事】
「復興・創生期間」の2年目に入りました。復興期間は7年目になっていますが、「集中復興期間」である平成23年からの5年間でも、一年、一年、時間が経つことで、職員の皆さんは、どうしても人事異動で替わりますので、そのたびにもう一回、我々と同じ危機意識、有事感覚を持っていただくために、一定の時間を要していたのが現実です。この問題は、震災直後から既に起こっている問題ですが、6年目、7年目になりますと、復興が進んだ部分も見えてきますので、今、お話がありましたように、「福島はだいぶ良くなってきた」という思い込みの状態で来られると、その誤解を解くのに時間がかかるという側面もあります。県として行うべきは、彼らと向き合い、現状をしっかりと伝え、それから出来るだけ多く、現場に足を運んでいただき、職員だけでなく県民の皆さんと直接、話をしていただいて、どういうところで悩んでいるのか、苦しんでいるのか、困っているのかを直に聞いていただくことだと思います。例えば、経済産業副大臣の高木さんは福島県に200日以上来られています。これだけ来られた方は今までいなかったと思います。当然、高木副大臣に付かれている方々も、我々と同じ、あるいは事柄によっては彼らの方が危機意識が強いこともあります。現場に来ていただく機会を作って欲しいと伝えて、来ていただき、実際に見ていただく、このように、感覚をできるだけ近づけていく努力をすることが県としての大事な使命だと考えております。
【知事】
先日、新体制の方向性が報告されました。今後、新体制に移行する中で、新しいメンバーの方々にも今の福島の状況をしっかりと体感していただき、福島に対する東京電力としての使命を果たしていただきたいと考えております。特に、福島第一原発事故の被害の重大さ、深刻さは、過去形ではなく、現在進行形であり、悔しいのですが、未来形でもあるという現実があります。東京電力の当事者としての責任感を是非持っていただきたいと考えます。
併せて、今後もできるだけ現場に入っていただいて、県や市町村と会って意見を聞いていただくことも当然だと思いますし、県民の方々が感じている雰囲気を生で聞いていただくことも重要だと思います。そのような中で、改めて私から福島県内原発の全基廃炉、第二原発の廃炉が県民の強い思いであることを再度申し上げたいと思いますし、また県民の強い思いを皮膚感覚として感じていただきたいと考えます。
【記者】
川村会長が原子力政策について、一定程度は必要だと発言されていたのですが、そのことについて、知事は思うことはございますか。
【知事】
原子力政策の在り方について、大切なことが二つあります。一つは2011年3月の福島第一原発事故の過酷さ、深刻さを十分に踏まえること。もう一つは、国民の安全・安心を最優先にすること。この二つを一番の基軸に置いて、原子力政策の在り方というものに対応していただきたいと考えます。
【記者】
新しいメンバーの方々にも福島の状況を体感していただきたいという発言がありましたが、新会長、新社長が避難指示区域をまわることや、知事とお話になるという予定はあるのでしょうか。
【知事】
まだ、そもそも体制そのものが移行するのが先ですので、具体的な話はありません。ただ、当然そういったことはあると考えます。
(終了)
【問合せ先】
1 復興大臣の発言及び自主避難者への支援について
⇒ 避難地域復興局生活拠点課 電話024-521-8629
避難地域復興局避難者支援課 電話024-521-8046
2 平成30年度政府予算について
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129
3 東京電力の新体制について
⇒ 企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116