■日時 平成29年7月18日(火)10:00~10:15
■会場 応接室
【質問事項】
1 東京電力 川村会長等の発言について
2 未明からの豪雨対応について
【記者】
先週、東京電力の川村会長が、報道取材に対して、トリチウムを含んだ汚染水を国の基準値以下に薄めて放出することを判断していると(発言したと)報じられました。漁業関係者の団体が抗議していますが、この発言の受け止めについて知事にお伺いします。
また、この発言を巡って、東京電力から、知事や県に何らかの説明があったのかどうか、どのような説明があったのか。また、いわきでは海開きが7年ぶりにありましたが、そのような動きがある中で、ネガティブな影響もあるという意見もありますが、知事としてこの発言をどのように考えていらっしゃるのか教えてください。
【知事】
今回、会長がどのような意図で発言されたのかは分かりません。トリチウム水の取扱いについては、現在、国の小委員会で様々な観点から議論が交わされております。このような中での発言は、誤解を与えることのないよう慎重に対応すべきであると考えております。いずれにしても、国や東京電力は、環境や風評への影響などを十分に考慮しながら、慎重に検討を進めていただきたいと考えております。
なお、この発言について、先週、東京電力の幹部から県の幹部に対して、「そのような趣旨ではない」という説明はありました。
【記者】
この発言により、トリチウム水の処理という議論が進まなくなるのではないかという見方もあり、そうなりますと、福島の復興全般に影響してくる問題だと思いますが、その点をどのように受け止めていらっしゃるのかお伺いします。
【知事】
トリチウム水の取扱いについては、現在、国の小委員会で議論が進められているところであり、風評に大きな影響を与えかねない重要な問題です。県としては、経済合理性だけではなく社会的な影響なども含め、県民の理解を得ながら慎重に議論を進めるよう申し入れているところです。東京電力、国においては、丁寧な進め方が何よりも大切であると考えています。
【記者】
トリチウム水の海洋放出と農産物の風評払拭は似ている部分があると思います。科学的には安全ですが、消費者が不安に感じてしまうことについて、県では既に取り組んでいますが、国が先頭に立って消費者にアピールすることで、トリチウム水の議論も進むと思います。そのためにはこれまで以上に国に対して支援を求めていくべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
【知事】
福島県の農産物は、水産物も含めて、安全検査、モニタリングを丁寧に進め、その科学的な安全性はきちんとデータとして蓄積されてきたと考えております。米の全量全袋検査はその一つの象徴と考えております。全量全袋検査が、今後どうあるべきかについて、今、議論を始めようとしているところですが、その受け止め方も人によって様々であり、それが現実です。また、福島県民の皆さんの受け止め方と、県外の受け止め方は異なりますし、比較的福島県に近いエリア、例えば首都圏等での受け止め方と、関西よりも西の方の受け止め方は異なるところがあります。何か一律で整理ができるかというと、決してそのような問題ではないと考えておりますので、当事者である国や電力事業者等は、この問題の難しさ、複雑さ、あるいは人の受け止め方の違いをしっかりと頭の真ん中に置いた上で、慎重に議論を進め、検討を進めていくことが何よりも大切だと考えております。
【記者】
今、知事から「経済合理性だけでなく」とのお言葉がありました。現在、経産省の小委員会では、地層への注入や蒸発、電気分解、そして、海洋放出という4つの案について検討されていますが、知事から御覧になられて、この4つの選択肢の中で、どの方策がとられることを希望するか、あるいは留意してほしい点などお聞かせください。
【知事】
今、お示しいただいた4つの方法も含めて、現在、国の専門家等において具体的に様々な議論が進められている状況を県として注視しているところです。現時点で、個別の手法について県としてコメントする状況にはないと考えておりますが、福島県知事、あるいは福島県民として、今一番気にしているのは、この問題の対応によって、更なる風評を惹起することがないようにすること、そして、多くの国民や海外の方も含めて、安全性や安心に対して信頼をもって対応できること、これがベストの解であろうと思います。非常に難しい問題ですが、様々な議論を尽くす中で、経済的な観点や社会的な影響の観点を網羅した上で、どのような進め方が一番適切なのか、しっかりと道筋を見極めていただきたいと期待しているところです。
【記者】
先週、記者会見の中で、原子力規制委員会の田中委員長から、トリチウム水を放出することについて、「東電が早く判断すべき」と海洋放出について容認するような発言がありましたが、委員長の一連の発言について知事としてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
委員長の発言については、報道等で承知しております。県としては、このトリチウム水の取扱いは、今、国の小委員会で議論を進めているところであり、風評に大きな影響を与えかねない重要な問題であると考えております。経済合理性だけではなく、社会的な影響なども含めて、慎重で丁寧な議論が何よりも大切であると考えております。
【記者】
先週、原子力規制委員会の臨時会議で、田中委員長から「福島の責任とは具体的に何ですか」と問われた際に、川村会長が「直接的には賠償、除染、廃炉ですが、根源的には日本に原子力の必要性を示すことや、新しいタイプの原子力を動かせることを見せる責任がある」といった発言をして、田中さんから「それは違うのではないか」との発言がありました。知事も報道でしか御存知ないとは思いますが、川村会長の発言について何か思うことはありますでしょうか。
【知事】
その報道や御発言の趣旨は拝見しております。福島県として、東京電力の経営陣に求めることは、まず、福島第一原発の安全かつ着実な廃炉、そして、福島第二原発の廃炉、そして、的確かつ迅速な賠償について責任を持って取り組んでいただくこと、この3点に尽きると考えております。
【記者】
6月末に東電の経営陣が新体制に変わりました。社長の小早川さんは双葉町における記者との応答の中で、避難指示について誤った認識を示され、今回、川村会長が、トリチウム水の放出について議論を呼ぶ発言をされました。新体制になり、社長と会長のトップの発言で県民が非常に心配を抱くような状況になりましたが、このような状況について、知事から東電の経営陣に対して、改めて申し上げたいことは何かありますでしょうか。
【知事】
東京電力の新しい経営陣におかれては、現場に足を運び、県民と接し、県民の思いをしっかりと受け止めながら、全社を挙げて安全を最優先に、着実に廃炉作業に取り組み、また、過酷事故、シビアアクシデントを起こした事業者としての責任を全うしていただきたいと考えております。
【知事】
現在、大雨被害の状況が分かってきており、浸水等の被害情報もあります。まず、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。本日明け方に、1時間当たり90ミリ近い雨を記録した只見町では、1,800世帯、4,300人を超える方々に避難指示(緊急)が出されました。また、金山町では、340世帯を超える700人余りに避難準備・高齢者等避難開始を発令したところです。雨は低気圧によるものなので、午前中をピークに勢力が衰える見込みですが、しばらくの間、強い雨が予想されますので、住民の皆さんには、身を守る行動を取っていただきたいと思います。
また、今日の午後、市町村長の皆さんを対象に開催を予定しておりました「トップフォーラムin福島」、災害対策のリーダー研修は中止することとしました。当面県としては、自治体、関係機関と連携し、豪雨対策の対応に万全を期してまいりたいと考えております。
【記者】
災害対策のリーダー研修が中止されましたが、今後、県で、その他に何か対応や対策はありますか。
【知事】
九州の豪雨等を受けて、県の災害対策として、先般、各市町村に避難指示の発令と住民への対応について万全を期すよう、改めて話をしたところです。実は、本日の災害対策研修には、高名な専門家に来ていただき、相当多くの市町村長が出席を予定され、直接、危機管理の在り方について話をさせていただく良い機会であると考えておりましたが、現在の状況を考えまして、急きょ、中止といたしました。今後、このトップフォーラムをどうするかは別途検討したいと思いますが、自治体と県、国、関係機関が日頃から防災訓練等も含め連携し、いざという時に迅速な対応を取ることが何よりも重要です。今後、台風や大雨災害、地震も含めて様々な災害が発生することもありますので、このような点において、改めて十分に注意喚起を進めていきたいと思います。
(終了)
【問合せ先】
1 東京電力 川村会長等の発言について
⇒ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-8054
企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116
2 未明からの豪雨対応について
⇒ 危機管理部災害対策課 電話024-521-7194