【質問事項】
1 原子力災害からの福島復興再生協議会について
2 補助金の不正受給について
3 福島第一原発のサブドレン水位低下について
4 全国高校総体・総文祭における本県高校生の活躍について
【知事】
福島イノベーション・コースト構想の実現は、避難区域や浜通り全体の復興再生にとって極めて重要な役割を果たします。今回、福島復興再生協議会の分科会として、福島イノベーション・コースト構想を検討する場が設けられることとなりました。この場において国・県・自治体等の相互の協議が進んで、更に具体的な内容が進展することを期待しております。
特に、福島イノベーション・コースト構想において、例えば、再生可能エネルギーやロボット等、様々な新産業を活性化させて、浜通り再生の起爆剤、エンジンにしていくことも重要ですが、何よりも大切なことは、地域の企業の皆さんがこの福島イノベーション・コースト構想に具体的に参画して一緒に大きく成長していくことだと考えております。そして、並行して進めなければいけないのが、避難区域等に住んでおられた方々が安心して古里に戻り、落ち着いた生活を始められ、続けられることです。
福島イノベーション・コースト構想は、このような前に進む部分や取り戻す部分が含まれた構想になっておりますので、この分科会の場を利用して、県や自治体としての思いをしっかりと発信し、形を作っていきたいと考えております。
【記者】
昨日開かれた協議会で、県として7項目を概算要求に向けて要望されましたが、この時期に7項目を要求された意義を改めてお伺いします。
【知事】
昨日の復興再生協議会において、福島県、市町村あるいは関係団体の思いを3人の大臣を始め、政府の幹部に直接伝えることができました。2つ大切な意味があります。
一点目は、内閣改造直後の復興再生協議会であったことです。例えば中川環境大臣は替わられたばかりですが、県や市町村の首長さんと直接、意見交換できたことは、大臣にとっても非常に有意義であったかと思います。
もう一点は、今、国の平成30年度予算概算要求に向けての大事な時期です。昨日は3人の大臣等に対して、7つの項目を直接要望いたしました。この後、私は上京して国土交通大臣等に会い、福島のインフラ復旧について直接お話をいたします。福島が復興・創生を進めていくためには、財源の確保や制度をしっかりと構築していくことが何よりも重要であります。直接顔を見て、思いを伝え、実現していく、そうした意味で、非常に大事な場になったと思います。
【知事】
補助金の不正受給が発生したことは誠に遺憾であり、補助金の返還を求めてまいります。補助事業の審査や調査において、確認が足らざる点があったことは重く受け止めております。今後、補助事業における審査等の更なる強化や外部委託等も含め、このような事案が発生しないように努力してまいります。
【記者】
補助金の不正受給について、今回の件を受けて、審査の外部委託を再発防止策として挙げられましたが、この間、他にも補助金の不正事件あったことを踏まえると、県の対応に遅れがあったのではないかという印象があります。この点について、知事はどのように考えていらっしゃいますか。
【知事】
そのような指摘は真摯に受け止めさせていただきます。この補助金の様々な問題は、以前からいくつか発生しており、その時点ごとに、きちんと対応しなければいけないということで、これまでも審査体制の強化や現地調査、人員を増やすなどの対応はしていますが、十分に結果を出していないという現実もあります。
今回の問題も踏まえて、外部委託という新しい手法も導入しながら、適正に補助金を運用していくことが、国民の皆さんからの期待と信用に応えるためにも重要ですので、県として努力を重ねていきたいと考えております。
【知事】
福島第一原発の廃炉作業において、建屋内に滞留している汚染水は、大きなリスクの一つです。これまでも繰り返し、東京電力あるいは国に対して、外部に流出させることがないよう、厳密な水位管理等を求めてきたところです。しかしながら、今回、原子炉建屋近傍のサブドレン水位が原子炉建屋水位よりも低下し、流出するおそれがある事象が発生したこと、さらには、事象発生後、速やかに情報提供がなされなかったことは遺憾です。この件については、危機管理部長から東京電力に対して、原因究明と再発防止、通報判断の改善等の申し入れを行ったところであり、県としては、今後、その対応についてしっかりと確認を進めてまいります。
【記者】
今回、水位が下がったこともありますが、通報が20時間ほど遅かったこともあります。その東電の対応についてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
原発事故前も原発事故後も、通報の遅れの問題はこれまでたくさんありました。そのたびに、通報、連絡体制をしっかりとやって欲しいと、何度も申し入れをしているところです。このような申し入れをする必要がないように、東京電力にはしっかりと対応していただきたいと考えております。
【記者】
東京五輪まで3年を切りましたが、五輪の招致の段階で、汚染水に関してはコントロールできているという安倍首相の発言もあり、汚染水をしっかり管理することは、国際的な公約にもなっていると思います。そうした中での水位低下の問題は、人為的なミスも絡んでいることもありますが、五輪の招致からかなり時間も経っている中で、内堀知事としては、汚染水対策の進捗についてどのように受け止めていますか。
【知事】
2011年3月、福島第一原発はかつて経験がないような深刻な事故を引き起こしました。それに伴う廃炉・汚染水対策が極めて困難で、重要な問題となっています。今後、日本国として、また、福島県として、この1Fの廃炉・汚染水対策を着実に、安全に進めていただくことは極めて重要です。特に避難区域が、今後、復興再生していくための大前提と考えております。国、東京電力においては、廃炉・汚染水対策をしっかりと安定的に進めていくことが、この地域や日本全体の風評にとっても、極めて重要であり、何としても成し遂げなければならないという覚悟を持って、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
五輪に向けての話も含めてでしょうか。
【知事】
五輪も当然ですが、避難者の方々が自宅や古里に帰られて、安心して暮らしていくために、日々の積み重ねが重要だと思います。情報提供の在り方も含めて、安定した廃炉・汚染水対策をしっかりと進めていただくことが国と東京電力の責務であると考えております。
【記者】
内堀知事としては一定の進捗は見られると評価されていますか。
【知事】
1Fの廃炉・汚染水対策やロードマップの改訂も逐次行っており、一定の進捗は間違いなくあると思います。しかし、御承知のとおり、廃炉・汚染水対策の全体の議論は、30年から40年のスパンの中で進めていくということですから、進捗があったと言っても、まだこの先の道のりは遠い、それが現実です。デブリの取り出し一つを取っても、工法をどうするかという議論が現在、真剣に行われている最中です。常に危機意識を持ち、真剣に、責任を持って対応していただくことが何よりも大切だと思います。
【記者】
1Fのサブドレンの問題について、先ほど質問があった通報遅れに共通するところがありまして、具体的な事象ですが、当日警報があり、それを見過ごした言い訳というのが「故障かと思った」ということです。このことについて、東電の現場の危機管理意識をどのように考えておりますか。
【知事】
今、御指摘ありましたが、今回の場合、「故障かと思った」で見過ごされる問題ではないと思います。緊張感、危機意識が結果として足りていなかったのではないかというのが率直な思いです。ただ、このような案件は今回初めてではなく、これまでもヒューマンエラーや非常に単純なミスが何度もありました。そのたびに改善を強く申し入れてきた経緯もありますので、このような案件が大きな事故やトラブルにつながりかねないという危機意識を組織全体、現場の皆さん全員が持っていただき、日々しっかり作業していただくことが何よりも大切だと思います。
【記者】
1Fの件について、小野部長による申し入れの際に、実は、私は「緊張感が欠けているのではないか」と同じ質問をしていますが、東電は「そんなことはない」とおっしゃっていました。6年が経過して、この前のトリチウム水の排水問題ではないですが、どこか緩んでいるところがあるのではと思います。デブリ取り出しに向けて努力されている一方で、緊張感を欠いているのではと思われますが、知事はどのように思われますか。
【知事】
第一原発の廃炉・汚染水対策は、日本国全体にとっても極めて困難であり、一方で重要なプロジェクトだと思います。この6年余りの間に、東京電力や国が非常に努力を重ねて、結果として間違いなく全体工程は進捗していると思います。私も実際に、現場に入って幹部や作業員の皆さんが本当に真剣に作業を進めている様子を拝見しておりますので、その部分についてはまず評価いたします。
ただ一方で、先ほどお話があった会長の発言問題や今回のトラブル、ヒューマンエラーの問題が、結果として生じておりますので、そこは足らざるところがあったと指摘されて当然ですし、足りないところがあることを自覚した上で、反省を形にしていくことが重要だと思います。
東京電力において、そのような危機意識や反省の意識があってこそ、次へのステップになると思いますので、そのような点を自覚していただきたいと考えております。
【知事】
県立ふたば未来学園高等学校のバドミントン競技における6種目中5種目での優勝という快挙を始め、運動・文化の両面における福島県の高校生の活躍を大変うれしく思います。これまで積み重ねてきた練習と努力の成果を十分に発揮された生徒の皆さんと、それを励まし、見守ってこられた関係の方々に心から敬意を表するとともに、高校生の今後の更なる活躍を願っております。
福島県でも開催されております全国高校総体は、各会場の実行委員会や関係団体、そして大会ボランティアとして高校生の皆さんに支えられております。そうした活動に心から感謝を申し上げますとともに、南東北インターハイも残り2週間となり、福島県選手団の更なる活躍を期待しております。
(終了)
【問合せ先】
1 原子力災害からの福島復興再生協議会について
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
2 補助金の不正受給について
⇒ 商工労働部企業立地課 電話024-521-8523
3 福島第一原発のサブドレン水位低下について
⇒ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7255
4 全国高校総体・総文祭における本県高校生の活躍について
⇒ 教育庁健康教育課 電話024-521-7777
教育庁高校教育課 電話024-521-7769