■日時 平成30年1月4日(木)10:00~10:30
■会場 応接室
【質問事項】
1 県政運営について
2 東京電力会長等の知事表敬について
3 企業と連携した取組について
4 本県視察に関する全国知事アンケート結果について
5 県産ヒラメの輸出について
6 年末年始のスポーツにおける活躍について
7 被災地でのビジネスモデルの推進について
8 知事選について
【新年挨拶】
福島県民の皆さんに、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
震災から7度目のお正月を迎えました。この間、県内各地に足を運び、自らの誇りを胸に、復興に向けて懸命に挑戦を続けておられる多くの方々の声を伺ってまいりました。また、他県や東南アジア、北米・南米など国内外への訪問や、福島にお越しいただいた多くの皆さんとお会いする機会を通して、たくさんの温かいメッセージや激励の言葉を頂きました。県民の皆さんの復興に向けた思いや福島を応援してくださる方々の共感と信頼の輪に触れて、思いを一つにする大切さ、福島へのきずなの深さを感じ、またこの一年も新たな気持ちで、「ふくしまチャレンジ」、そして「ふくしまプライド」を頭の真ん中に置いて、復興を実感していただけるよう全力を尽くす。このような思いを改めて感じているところであります。
昨年は、飯舘村、川俣町、浪江町、富岡町の4町村における避難指示の解除を始め、帰還困難区域の復興再生や福島イノベーション・コースト構想が具体的に動き出すなど、福島の復興が新たなステージを迎えた年でありました。また、県内を見渡しますと、高速交通ネットワークの整備進展、スポーツ・文化の両面における若者たちのめざましい活躍、県産品の国内外での高い評価など、福島の未来を拓く明るい光が新たな輝きを見せてまいりました。一方で、避難地域の再生はもとより、廃炉・汚染水対策や古里への帰還に向けた生活環境の整備、風評と風化の問題、さらには産業振興や人口減少対策など、福島県はいまだ、様々な重い課題を抱えております。今年は、復興・創生期間の折り返しの大切な1年となります。これらの前例のない困難な課題に対して、県民の皆さんを始め、国や市町村と一体となって挑戦を続け、福島の復興がまた一つ新たなステージに進むことができるよう、復興・創生に全力で取り組んでまいります。
以下、県政の重要課題に沿って、新年の主な施策についての考え方をお話ししてまいります。
まず始めに、原子力災害からの復興再生についてであります。
避難地域の復興は福島県の最優先課題であり、この地域が再生しない限り、福島県全体の復興は成し得ません。大きく動き出した今の流れを更に加速させ、既に帰還されている方々はもとより、避難されている皆さんが一人でも多く、慣れ親しんだ古里で安心して生活することができるよう、避難地域の復興再生に全力を尽くしてまいります。このため、被災者の生活再建、住宅確保、事業・生業再生へのきめ細かな対応を始め、この春に開院予定の「ふたば医療センター」の着実な整備、施設再開や運営への支援、人材育成など医療・介護サービスの提供体制の確保、にぎわいを取り戻し、まちづくりの拠点となる商業・交流機能の再生、学校再開や特色ある教育活動への支援など、広域的な課題解決に向けてしっかりと取り組んでまいります。
また、特定復興再生拠点区域についても、引き続き、市町村、国と連携を密にしながら、全庁一丸となって着実に整備を進めてまいります。
改正福島特措法により、名実ともに国家プロジェクトとして位置付けられた福島イノベーション・コースト構想につきましては、福島特措法に基づく「重点推進計画」を策定するほか、昨年7月に設立した「推進機構」を中心に、地元を始め、多様な主体と幅広く連携しながら、具体的な動きを加速してまいります。
福島復興のシンボルであるJヴィレッジにつきましては、この夏の一部営業再開に向け着実に準備を進めるとともに、利便性の向上や周辺地域の活性化につながる新駅の設置について、関係機関と協議を進めてまいります。
環境回復につきましては、除染による除去土壌等の一日も早い搬出が求められている中、中間貯蔵施設において、昨年10月から土壌貯蔵施設等が本格的に稼働いたしました。今後とも、着実な除染の推進と除去土壌等の適正な管理に努めるとともに、安全を最優先に施設の整備や円滑な輸送がなされるよう、広域自治体である県としての役割を積極的に果たしてまいります。
また、特定廃棄物の埋立処分事業につきましても、昨年11月から施設への搬入が開始されたところであり、国には、引き続き、地元に丁寧な説明を行うとともに、安全・確実な事業の推進など、施設設置者として責任ある対応を求めてまいります。
福島県の復興を更に前へと進めていくためには、安全かつ着実な廃炉・汚染水対策が大前提となります。3号機の使用済燃料取り出しに向けた作業の進展や凍土遮水壁の全面凍結開始など、廃炉に向けた取組は着実に前進しているものの、燃料デブリの取り出しやトリチウム水の取扱いなど、解決すべき課題も多いことから、引き続き、国、東京電力の取組をしっかりと監視してまいります。
また、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉につきましては、今後とも、あらゆる機会を捉えて、繰り返し求めてまいります。
風評・風化対策につきましては、これまでの取組を粘り強く継続して進めるとともに、斬新な発想を取り入れるなど、一工夫加えた、より伝わる取組が大切であります。このため、これまでの流通対策や消費拡大に向けた取組、インバウンド対策やホープツーリズムの推進等、観光誘客の取組を継続して行うとともに、国の風評払拭・リスコミ強化戦略の具体化を求めるほか、新たに企業の発信力を活用した情報発信プロジェクト、市町村と一体となったプロモーション活動を展開するなど、より知っていただく、心に響く取組を進めてまいります。
また、今年開催する全国植樹祭を始め、太平洋・島サミット、世界水族館会議等を通して、未来に向けて挑戦を続ける福島の姿を力強く発信してまいります。
東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、昨年7月に立ち上げた「復興ふくしま推進会議」を中心に、県民の皆さんと共に笑顔で迎えることができるよう、ホストタウンの取組への支援を始め、事前キャンプの誘致活動や聖火リレーの検討など、オール福島の体制で取り組んでまいります。
次に、産業政策についてであります。
地域の活力を取り戻し、福島の未来を切り拓いていくためには、経済や産業の活性化が不可欠であります。
農林水産業につきましては、ICT等による大規模な稲作経営や園芸品目の生産拡大を加速するなど、水田をフル活用した農業経営に取り組むほか、認証GAP等の取組を通して、県産農林水産物への確かな信頼を確保するとともに、パッケージ等の改良によるイメージの向上やオンラインストアによる販売を一層充実させるなど、県産農林水産物のブランド力を強化してまいります。また、被災地域においては、引き続き、きめ細かな営農再開支援や企業等と連携して展開するビジネスモデルの推進を図ってまいります。
商工業の振興につきましては、引き続き、中小企業等へのきめ細かな経営支援を行うとともに、未来を担う人材育成にも積極的に取り組み、地域経済の活性化を図ってまいります。また、政府の基本戦略に基づく水素社会実現に向けたモデルの構築や、今年一部開所となる「福島ロボットテストフィールド」などの拠点を活用した取組を進め、県内企業等の参画の下、新産業の育成・集積を図ってまいります。
次に、子ども・若者の育成についてであります。
福島の未来を担う子どもたちの育成は、これからの新しい福島を形作る上で、極めて大切であります。このため、頑張る学校応援プランに基づき、学力の向上はもとより、主体性、創造力を培う取組を始め、福島イノベーション・コースト構想をけん引するトップリーダーや、ロボットなど新たなものづくりに果敢に挑戦する優れた産業人材の育成など、福島県全体で子ども・若者の育成を進めてまいります。
県民の健康保持増進につきましては、避難生活の長期化や生活環境の変化などに伴い、健康指標の悪化が課題となっております。このため、引き続き、「食」・「運動」・「社会参加」、これを三本の柱とした取組を関係機関と共に展開するほか、県内外に避難されている方の心のケアの充実など、「健康長寿ふくしま」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
公共インフラにつきましては、復興を支えるとともに、県民の安全・安心な暮らしを確保し、活力ある県土づくりを行う上で無くてはならない社会基盤であります。海岸施設等の早期復旧はもとより、ふくしま復興再生道路を始めとする広域的な道路網や物流を支える港湾などの整備を着実に進めてまいります。
また、JR常磐線、只見線につきましても、国や関係市町村等と連携・協力をしながら、早期の復旧や利用促進に向けて取り組んでまいります。
地方創生・人口減少対策につきましては、復興と併せて取り組まなければならない最重要課題であります。このため、引き続き、市町村の取組をきめ細かに支援するとともに、現役世代等の移住促進に向け、福島の魅力やポテンシャルの積極的な情報発信と受入体制づくりを強化してまいります。また、結婚・出産・子育て支援や女性活躍、ワーク・ライフ・バランスの推進など、福島ならではの地方創生に全庁一体となって取り組んでまいります。
以上、新年の県政運営に関し、所信の一端を申し上げました。
これからも、現場主義の考えの下、国内外に積極的に足を運び、皆さんの声を県政に反映させ、私自ら先頭に立って、福島の復興・創生が更に前進するよう全力を尽くしてまいります。
皆さんの一層の御支援、御協力をお願い申し上げまして、新年の御挨拶といたします。
【記者】
多岐にわたる政策についてお話しいただきました。この中で、特に原子力災害に関することについて、今年中にこれだけは成し遂げたいと思われているものを挙げていただければと思います。
【知事】
福島県の最優先の課題は、避難地域の復興再生を始めとした原子力災害の克服です。被災者の生活再建、廃炉・汚染水対策にしっかりと取り組んで、県民の皆さんが安心して暮らせる環境づくりを一歩ずつ着実に進めてまいります。また、風評・風化対策、産業振興、人口減少対策などの重要課題に力を尽くして福島県全体を元気にしていく、これを今年一年しっかり取り組んでまいります。
【記者】
明日、東電の川村会長と小早川社長が来られて面会され、毎年の恒例ではありますが、年頭に当たり、知事から東電側にこれだけは言っておきたいこと、昨年を振り返って今年はこういったところに気を付けて欲しいなどありましたらお願いします。
【知事】
明日、東京電力の会長、社長等、幹部が県庁に来られます。その際、私が申し上げたいのは三点です。一点目は、福島第一原発の廃炉・汚染水対策を着実に進めていただくこと。二点目は、福島第二原発の廃炉をしっかりと進めていただくこと。そして三点目は、原子力損害賠償を的確、迅速に行うこと。この三点を改めて強く申し上げたいと考えております。
【記者】
風評払拭に向けた取組の中で、新たに企業の発信力のプロジェクトを行っていくと言われました。これまでも、ビームスと大堀相馬焼のコラボレーションなど、企業の力を借りた取組はありましたが、新たな取組で具体的なものがありましたら教えてください。
【知事】
福島県が復興・創生を前に進めていく際に、まず我々、福島県民が努力して前進していくことはもちろん重要です。一方で、福島県の場合は、原子力災害という重い課題を背負っておりますので、多くの方々の力を是非お借りしたいと考えています。今、新年度予算の編成を進めており、その中で新しい具体的な施策を盛り込んでいきたいと思っておりますが、大切なことは、様々な方々と共に共働していくことであり、これは非常に効果があります。今、お話しいただいたビームスジャパンには、福島の復興に大変なお力を頂いており、大堀相馬焼と新しくコラボレーションすることで、劇的に新しいイメージを創り上げています。その他の取組では、コシノジュンコさんが、福島県の伝統文化や工芸に力を入れていただくことで、新しい時代の新たな文化として、国内のみならず世界に発信できるという取組があります。また、吉本興業と連携協定を結んでおり、例えば、健康指標を改善する取組にお笑い芸人さんのお力をお借りしたり、JR只見線の利活用促進のために多数の芸人さんが東京からお客さんと共に訪れて、その強力な発信力を活用させていただくという取組も行っております。さらに、様々な企業と連携協定を結んでおり、各企業とも何千人、何万人もの社員を抱えておられ、さらに何万人、何十万人という顧客に対して、例えば社内報やメールマガジンなど、様々な形で日頃から連絡されていますが、その中に福島県に関係することを盛り込んでいただくことで、非常に大きな発信力に変わります。このような取組を含め、企業と様々な知恵と工夫を重ねて、お互いにウィンウィンの関係で連携を深めていくことは可能だと思います。新年度予算にはそのような視点での新しい事業を是非入れ込んでいきたいと考えております。
【記者】
弊社において全国の知事に対して福島の視察に関するアンケートを行い、その結果がまとまりました。6割の方が福島に来ている一方で、避難区域に来ている方はそれほど多くないという結果を受けた所感をお伺いします。
【知事】
震災以降、各都道府県から、避難者の受け入れを始め、職員派遣や復興応援のイベントの開催など、本当に多くの御支援を頂きました。また、知事や市町村長さんが実際に福島の地を訪れて、福島の被災状況や復興状況を肌で感じ、激励いただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
震災から7度目の新年を迎えた今でもなお、福島県は多くの難しい課題を抱えております。引き続き、福島の今の姿を発信することと併せて、機会があれば、是非、実際の福島の現場に来て、見て、実感していただくように、全国知事会を始め、様々な機会を捉えて私自身が話をしていきたいと考えております。
また、その逆のパターンになりますが、昨年は私が実際に他県の県庁に伺い、これまでの支援に対する御礼や福島の現状についての発信を行いました。例えば、大分県、熊本県、石川県、滋賀県のそれぞれの県庁に伺い、知事と直接お会いして、その地域のメディアの皆さんにも集まっていただきながらやりとりする、こうしたことも福島の状況を正確に発信する大切なツールになると思います。多くの方に来ていただく、また我々自身も出かけていって伝える努力をする、この双方向の関係を大切にしていきたいと考えております。
【記者】
福島県産のヒラメを輸出する計画があると伺っています。先ほど知事がおっしゃっていた「ふくしまチャレンジ」であり、「ふくしまプライド」を取り戻す果敢で意欲的な取組だと感じますが、これが実現した場合、次に向けてどのように期待されているのか教えてください。
【知事】
現在も試験操業が続いております。震災前、福島県の近海で獲れるヒラメは、高級魚として全国でも人気の高い魚でした。現時点では、関係者において協議中ですが、輸出が実現すれば、正に、県産水産物の「ふくしまプライド」の復活となり、「ふくしまチャレンジ」のシンボルになると考えております。引き続き、福島県としてもこの実現に向けて支援していきたいと考えております。
【記者】
今年のお正月にラグビー、サッカーを始め、駅伝も県勢が大変活躍しましたが、この若者の活躍を、どのような目で見て、どのような感想を持ったのかお聞かせください。
【知事】
年末年始にかけて、特にスポーツで若者たちが一生懸命、全力でプレーしている姿を見て本当に感動しました。
ラグビーの郡山北工業高校が、昨年までは1トライも取ることができませんでしたが、まず1回戦を勝ち抜いた。そして、2回戦も含めて本当に健闘し、しっかりブロックを勝ち上がっていった姿はすばらしかったと思います。ベスト16では、強豪が相手でしたので、結果、負けはしましたが、最後の最後に1トライをする姿は、私たちにとって非常にお手本になると感じました。
駅伝においても、福島県出身の監督や選手の皆さんが死力を尽くして、最高のタイムを出そう、優勝しようとする姿に感激しました。
このように何かに挑戦する姿は、私たちの復興・創生に臨む姿に重なるものがあります。私自身、これからもこの「ふくしまチャレンジ」、スポーツに挑む若者たちに見習って、今年一年も全力を尽くしていきたいと考えております。
【記者】
農業振興で企業とのビジネスモデルの推進ということがございましたが、これはどういったことをお考えなのかお伺いします。
【知事】
具体的な内容は新年度予算等で形にしていきたいと考えておりますが、特に、旧避難区域において営農再開する場合、まず個人が自力で営農再開できるよう官民合同チーム(機構)と共にバックアップして進めていくことが基本となります。ただ、営農を再開することに対して、残念ながらそこまで思いが至らないという方もおられ、いわゆる遊休農地も出てきますので、このような農地をどういかしていくかというときに、例えば法人という形や、あるいは企業の力を借りることもあり、複数の様々な手立てがあり得ると思います。福島イノベーション・コースト構想の中には、農業部門も対象として入っておりますので、特に避難区域における営農再開や新しい形での農業の展開を、今後の予算編成で、あるいは国、自治体との協議を踏まえながら形をつくっていきたいと考えております。
【記者】
様々な課題が残っているというお話でしたが、知事は今年の11月に任期満了になられ、この状況で今後の知事選にどのように向かわれるのかお伺いします。
【知事】
大切なことは、いただいた任期いっぱい、福島の復興・創生に向けて、私自身が全力で取り組んでいくことだと思います。特に、今年の干支は「戌年」ということで犬には「勤勉で努力家」という干支の象徴があるようです。戌年にちなんで、とにかく一生懸命汗をかいて、まじめに真剣に挑戦という努力、チャレンジという努力を続けていくことが今の私にとって一番大切なことだと考えております。
(終了)
【問合せ先】
1 県政運営について
⇒ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
2 東京電力会長等の知事表敬について
⇒ 企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116
3 企業と連携した取組について
⇒ (ビームスジャパンとの連携に関すること)
総務部広報課 電話024-521-7014
⇒ (企業との連携協定に関すること)
企画調整部企画調整課 電話024-521-8627
⇒ (只見線における吉本興業との連携に関すること)
生活環境部生活交通課 電話024-521-7157
⇒ (コシノジュンコさんとの連携に関すること)
観光交流局県産品振興戦略課 電話024-521-7296
4 本県視察に関する全国知事アンケート結果について
5 県産ヒラメの輸出について
⇒ 観光交流局県産品振興戦略課 電話024-521-7296
6 年末年始のスポーツにおける活躍について
7 被災地でのビジネスモデルの推進について
⇒ 農林水産部農業振興課 電話024-521-7337
8 知事選について