■日時 平成30年3月12日(月)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 アニメーション「食べちゃったっていいのにな!」及び動画「MIRAI2061」について
2 震災から8年目を迎えて及び東日本大震災追悼復興祈念式について
3 福島第一原発の凍土遮水壁について
4 国の東日本大震災7周年追悼式での総理式辞について
5 今後の復興財源の確保について
6 安倍総理との意見交換について
7 避難指示区域の復興について
8 復興・創生期間後の構想について
【記者】
震災8年目へ向けて将来を考えた時に、風評の問題が根強くあると思います。その中で、先日、県産の農産物や水産物を擬人化し、アニメーションを使って伝える取組をされております。さらに、「MIRAI」という動画も作られましたが、それらの反響はどうなっていますでしょうか。
【知事】
先般、アニメーション「食べちゃったっていいのにな!」を公表しました。福島県を代表する農林水産物の個性をいかしたかわいいキャラクターで、県産農林水産物の魅力を新しい切り口で表現しているのが特徴です。予告編の配信は、一週間でツイッターの「いいね」が約2,200、再生回数約4万回となっており、反響が大きいと聞いています。日本が世界に誇るアニメーションをきっかけとして、多くの皆さんに福島に興味を持っていただいて、県産農林水産物の魅力を知ってもらえることを期待しています。
また、動画「MIRAI」については、震災と原発事故からこれまで、そして、これからの県民の皆さんの御努力が必ず報われ、子や孫の世代には希望と笑顔にあふれた福島が現実のものになるという思いを込めて制作いたしました。今回の動画は、「震災から50年後の福島」の姿を具体的にイメージした意欲作であり、この動画を通して、県民の皆さんに、日々の努力が未来の希望につながっているということをメッセージとしてお伝えしたいと思います。
こうした動画も含めて、復興が着実に進む中で難しい課題も残る福島の正確な現状、挑戦を続ける県民の姿、県産農林水産物を始めとする食や自慢の日本酒、豊かで美しい自然、温泉などの多くの魅力を様々な手法を用いて伝え、多くの方々に福島に行ってみたい、福島のものを食べてみたいと思っていただけるよう、これからも心に届く発信を続けていきたいと考えています。
【記者】
震災から7年が経過し、8年目を迎え、風評払拭など課題がありますが、これからどのような意気込みで取り組んでいかれるのか。また、昨日、式典に参加されましたが、どのような一日でしたでしょうか、地元の方々と話す中で感じたことなどをお伺いします。
【知事】
8年目を迎える今日、私が今どういう思いでいるかを3つの言葉でお話したいと思います。
一つ目の言葉は「感謝」です。震災から丸7年、県民の皆さんが本当に苦労の多い中、努力を続けてこられました。そして国内外からたくさんの温かい応援を頂きました。このことによって、福島の7年間の復興が着実に前に進んでいます。県民の皆さん、そして国内外の応援していただいている皆さんに、心から「ありがとう」という感謝の思いをお伝えしたいと思います。
二つ目の思いは「危機意識」です。丸7年経ちましたが、今の福島は難しい問題や課題が山積しています。今もなお5万人近い避難者の方がおられます。避難地域の復興再生、福島第一原発の廃炉対策、県全体の産業再生、風評の問題、さらに、急激な人口減少など、我々が臨んでいるこの複合災害との戦いは、非常に重い課題を次から次へと生み出しています。このことに対する危機意識を頭の中にしっかり置いて、県政に臨んでいかなければいけないと覚悟しています。
そして三つ目は、「風化の加速」の問題です。我々の努力は形になり、頑張ったことがきちんと復興に向かって反映されます。しかし、風化の問題は、時間との戦いですので、残念ながら7年、8年、9年、10年と、時間が過ぎれば過ぎるほど、風化は必然的に加速していきます。したがって風化が加速していく中で、我々がどうやって今の福島をより正確に発信していったらいいのかが、毎年、毎年、より大きな課題になって浮かび上がってくると思います。ちょうど7年を終えて8年目に移る今日、これから風化の加速との戦いがより重い問題としてのしかかってくることを改めて実感しております。
昨日の追悼祈念式に参加した際に、遺族代表で、渡邊さんがスピーチされました。その言葉の中で心に響いたものがありました。渡邊さんは、津波によって御親族を失われ、避難生活があり、その後戻られたというプロセスがありました。そういったプロセスを経て、今、前向きに生活していきたいというメッセージを発出されました。様々な御苦労があり、避難者の方々は、それぞれ様々な思いを持っておられます。十人十色、百人百様、様々な思いがある中で、あのメッセージを出していただいたことに本当に感動しました。
一方で、終わった後、渡邊さんに御礼の言葉をかけた時に、「あの言葉は、遺族全体を代表するにはやはり難しい。自分の思いを述べたのであって、それぞれの遺族にはそれぞれの思いがある。言葉を変えれば、それぞれの避難者にはそれぞれの立場や思いがある」ということを私に言われました。そういった原子力災害ならではの非常に複雑で個別的な状況を頭に置きながら施策を進めていかなければいけないと改めて感じたところです。
【記者】
「危機意識」の中で廃炉対策を挙げられましたが、先週、東京電力が汚染水対策の凍土壁についての効果を示し、半分程度に減るということですが、一方では効果が限定的だとか、費用対効果の面で疑問視する声もあります。この東京電力の評価に対してどのようにお考えでしょうか。
【知事】
凍土遮水壁を始め、地下水バイパスやサブドレンなどの重層的な対策によって、汚染水の発生量が抑制されつつあります。東京電力には引き続き、安全かつ確実な運用、管理に努めて欲しいと考えています。
県としては、今月中に、廃炉安全監視協議会を開催して、凍土遮水壁の効果や更なる削減のための対策等について確認することとしています。引き続き、この汚染水問題の解決に向けて、国と東京電力にはしっかりと取り組んでいただきたいと訴えてまいります。
【記者】
政府の追悼式について、去年は、安倍首相が「原発事故」という文言を使わずに言葉を述べられて、知事が違和感を表明されていましたが、昨日は「原発事故」という文言を使い、福島の被害について言及されていました。このことの受け止めをお聞かせください。
【知事】
昨日、国の東日本大震災七周年追悼式の安倍総理大臣の式辞において、総理が原子力災害で傷ついた福島の復興を加速していくという強い決意を述べられました。引き続き、原発事故により、今後数十年にわたって厳しい対応が続く福島の問題は、絶対に風化させてはならないという強い思いを持ち、復興に取り組んでまいります。
また、一昨日ですが、安倍総理は福島県内を視察されました。その際、「安心して帰還できるよう生業の再生や細かな支援を行い、復興を加速させる」、「福島の復興・新産業創出には、福島イノベーション・コースト構想が切り札になる」、「『福島の復興なくして日本の再生なし』との決意の下、8年目を迎えても、引き続き国が前面に立って全力を尽くす」と約束していただきました。県としては、国、県、市町村、関係機関が一体となって、この原子力災害を含む複合災害との戦いを継続していく中で、福島の復興・創生を成し遂げていきたいと考えております。
【記者】
福島の復興はこれから長い時間がかかると思いますが、一方で、国からの手当などは、縮小してくる部分もあろうかと思います。国からの必要な支援をしっかりと確保するために、今後、どのように働き掛けていくのかお伺いします。
【知事】
国において、この復興・創生期間全体の財源確保、財源フレームは、(当時の)竹下復興大臣の段階でしっかりとなされております。そして、各年度の予算要求の際、昨年末もそうですが、福島県から国に対して要請していた事項についてはきちんと反映されております。今、県の予算が表面的に減額しているのは、例えば、除染が進捗し、復興公営住宅が完成に近づき、また、災害復旧事業が着実に進んでいるからです。したがって、福島県がこういった予算が必要だ、財源が必要だと訴えたことに対して、国にきちんと対応していただいております。
一方で、復興・創生期間後の扱いについては、国は前面に立って努力していくと明言されておりますが、その後のフレームについては、現時点ではまだ明確になっておりません。このため、先般の福島復興再生協議会において、私から、復興大臣、経済産業大臣、環境大臣等に対して、復興・創生期間後の構想ビジョンを共に作っていきましょうと提言したところです。
【記者】
今後の長期的なビジョンについて、一昨日や昨日、総理と何かお話をされていますか。
【知事】
先日、総理に(福島を訪問していただいた)相馬福島道路の一部開通式において、こういったインフラ復旧がどれだけ地域にとって力になるか、希望の道になるかについてお話をしました。
二点目は、福島イノベーション・コースト構想についてです。地震、津波、原発事故、風評、全ての複合災害を直接受けているのが浜通りです。この浜通りを再生していくエンジンとして、この福島イノベーション・コースト構想を国家プロジェクトとして推進していくことの重要性を総理とお話をしたところです。
もう一点は、風評の問題です。福島県の農産物の安全対策をしっかり行っていくこと、そして、海産物、水産物も含めて、いよいよ輸出等が始まったという明るいニュースがある一方で、まだまだ根強い風評に我々が苦しんでいるという実情を率直に申し上げました。総理は、例えば、輸入規制緩和について、直接、諸外国の首脳とお話をされています。総理からは、御自分がこれまでどういった首脳とどういう話をしてきたかについて私に克明にお話をしていただき、これからも続けていくということを言われました。総理とは、こういったインフラ整備の重要性、福島イノベーション・コースト構想、風評の問題、さらに被災者の生活再建という問題も含め、有意義な意見交換ができたと思います。
【記者】
避難区域の復興について、帰る人が少ないから、除染やインフラ整備は無駄ではないかという昨今の論調があります。原発事故の責任は東電や国にありますが、時間が経つとそのような論調もあって、特にこれから帰還困難区域の全面的な解除に向けて、どれぐらいの人が帰るのかという議論をされてしまい、復興が進まない気がします。昨今の論調について、風化の側面も含めてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
特に今後、帰還困難区域等を含む避難指示区域をどういう形で解除していくのかについて、様々な議論があることは承知しています。広域自治体である県として申し上げるべきはただ一点、古里を取り戻したいという、その地域の住民や自治体の切なる声、思いがあります。だからこそ、帰還困難区域も含めた避難指示区域を、将来的には全て解除するとの強い思いを持って、様々な施策を実行していくことが何よりも大切だと思います。私は、この思いは国も各政党も一緒だと認識しています。もちろん、いきなり解除できるわけではありません。例えば、帰還困難区域においては、まず拠点区域をつくり、その拠点区域をこれからの5年間の中で再生していく、そこからのスタートになります。ただ、いずれにしても古里に帰りたい、古里を取り戻したいという住民の強い思いを、県として真ん中に置いて、様々な仕事に取り組んでいきたいと思っています。
一方で、風評・風化の問題がこれからも根強く残ります。そのことに対しては、我々が様々な手法を駆使して、丁寧に粘り強く福島の光と影の両方を伝えながら、福島が努力して汗をかいて懸命に頑張っている姿を伝えていく中で、風評払拭と風化防止を図っていきたいと考えています。
【記者】
復興庁の後継組織の議論がこれからますます本格化すると思います。弊社の首長アンケートでも、設置期限を延長すべき、新しい組織にすべきなど、様々な意見が出ておりますが、担当大臣は引き続き置いて欲しいという点では皆さん一致するところだと思います。そこで、ポスト復興庁についての知事の考えを尋ねます。
【知事】
今月末で復興・創生期間の2年目が終わります。大切なことは、残り3年間を含めて復興・創生期間の5年間で、最大限、復興を前に進めていくことです。もう一つ大切なことは、体制や制度、また財源の在り方を含め、今後の復興に係る構想・ビジョンを国、県、市町村等がお互いに協議を重ねて、イメージを共有して作っていくことです。このことを広域自治体の長として、しっかりと国と協議を重ねて成し遂げていきたいと考えています。
【記者】
近く市町村と会合を持つ予定はありますか。
【知事】
まだ現時点ではそこまで至っておりません。まず、国と様々な議論を準備的に重ねていく段階だと思います。
(終了)
【問合せ先】
1 アニメーション「食べちゃったっていいのにな!」及び動画「MIRAI2061」について
⇒(アニメーションに関すること)
農林水産部農産物流通課 電話024-521-7353
⇒(動画に関すること)
総務部広報課 電話024-521-7124
2 震災から8年目を迎えて及び東日本大震災追悼復興祈念式について
⇒ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
(東日本大震災追悼復興祈念式に関すること)
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-8627
3 福島第一原発の凍土遮水壁について
⇒ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-8054
4 国の東日本大震災7周年追悼式での総理式辞について
5 今後の復興財源の確保について
⇒ 総務部財政課 電話024-521-7027
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129
6 安倍総理との意見交換について
⇒ 土木部高速道路室 電話024-521-7478
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129
⇒ 農林水産部農産物流通課 電話024-521-7353
7 避難指示区域の復興について
⇒ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439
8 復興・創生期間後の構想について
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129