■日時 平成30年4月16日(月)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 県立高等学校柔道部における外部コーチの不適切な指導について
2 JFAアカデミー福島の帰還決定について
3 東京五輪の聖火リレーについて
4 保育所等の待機児童数について
5 総務省による人口推計について
6 帰還困難区域の特定復興拠点について
【記者】
知事に二点お伺いします。県立高校の柔道部で外部コーチが、男子部員を3回連続で失神させる案件がありました。この件に関する知事の所感と、今後どのように対応されるのかお伺いします。もう一点は、今回の案件はまだ体罰と認定されていませんが、教育現場における体罰に対する知事の考えをお伺いします。
【知事】
今回の案件、生徒の生命に関わる乱暴な指導はあってはならないものと考えております。教育委員会からは、校長の対応も含め、事実関係を確認し、厳正に対処していくと聞いております。また、体罰を含めた全体的な指導については、全教職員が改めて、部活動あるいは学校生活における自身の指導法をしっかりと考え、見直して、今回のようなことが二度と繰り返されることがないよう対応していただきたいと考えております。
【記者】
JFAアカデミー福島の県内への段階的な帰還が正式に発表されましたが、知事の受け止めを教えてください。
【知事】
JFAアカデミー福島の県内での再開は、地元として待ち望んでいたものであり、正に福島県の復興に向けた明るい光となるものです。これまで多大なる御尽力を頂いた日本サッカー協会を始め、震災以降、この活動継続に御支援を頂いている静岡県、そして関係の皆さんに心から感謝を申し上げます。夢に向かって挑戦を続けるJFAアカデミー福島の生徒の皆さんが切磋琢磨しながら成長する姿は、福島県の復興・創生への大きな原動力となるものであります。今後も地元の自治体と連携して、福島県内での再開に向け、県としてしっかり取り組んでまいります。
【記者】
今後、県としてサポートや支援を考えていることがありましたら教えてください。
【知事】
具体的な内容は、これから日本サッカー協会と、しっかりと検討を進めて対応を考えてまいりますが、そもそも震災前に、JFAアカデミー福島が開校するに至った経緯においても、日本サッカー協会と福島県と関係の自治体、あるいは県サッカー協会など関係機関が共に心を合わせて連携することが、JFAアカデミー福島の開校に至ることができた大きな要因であったと思います。もう一度、震災、原発事故を乗り越えて再開しようという思いで、関係の皆さんと一緒にスクラムを組み、県も積極的に関わりながら、再開に向けて動き出したいと考えております。
【記者】
東京オリンピックの聖火リレーで福島県に3日間が割り当てられることになりました。これに対しての知事の期待感についてお伺いします。
【知事】
大会組織委員会を始め、関係の皆さんには、福島県を含めた被災地に御配慮を頂いたことに心から感謝を申し上げます。今後、組織委員会が定めるルート選定基準等をもとにして、実行委員会を組織してルート案等の検討を始めます。大会を通じて、これまでの御支援に対する感謝と、福島の復興が着実に進んでいる姿を国内外に発信するとともに、復興五輪の一つのシンボルとなることができるように、県として準備を進めてまいります。
【記者】
厚労省が待機児童の数を発表しまして、福島県が853人で過去最多の数字になりましたが、この数字についての知事の感想をお聞かせください。
【知事】
平成29年10月現在の県内の待機児童数が、同年4月から増えて853人となったことについては、重要な問題であると受け止めております。県としては、市町村が保育サービスをより適切に提供することができるよう、連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
原発事故など、様々な要因があると思いますが、どうしてこのように増えたのか分析などされていればお伺いします。
【知事】
大きな要因としては二つあるかと思います。一つは保育ニーズの増加に対する受け皿の不足、そしてもう一つが保育士の不足であります。
まず、受け皿の不足については、今年度、県として新たに待機児童の大半を占めている0歳から2歳児の受け皿確保策として、小規模な保育所の整備支援に取り組みます。また、3歳以上の児童については、幼稚園との連携を図ることによって、待機児童解消の取組を進めていきたいと考えています。
もう一点の保育士の不足の問題ですが、昨年度から保育士養成校などの関係機関による連絡会を設けて、情報共有しながら、保育士の就職説明会や就職支援など、連携して取り組んできました。今年度は、新たに保育士養成校の学生に対する修学資金貸付の拡充や、県外で行われる保育士就職説明会への出展などによって、新卒者の確保策をより強化するとともに、保育士の勤務環境の改善なども進めながら、保育士の確保と定着を図っていきたいと考えております。
【記者】
市町村との連携は、具体的にどのように進めていくのでしょうか。また、去年10月の853人という数字を、この時期までにこれぐらいにしたいという具体的な目標があればお伺いします。
【知事】
市町村との連携については、ただ今、具体的な施策を申し上げましたが、受け皿不足と保育士の不足の二点が重要な要素になっています。これらを市町村と一つ一つ緊密に連携してやっていくことが大事です。
また、各市町村において、こういった待機児童数を今後このように減らしていきたいという具体的な目標もあります。それらが形になるように、県としてサポートしていくことが広域自治体としての大切な役割と思います。
【記者】
数字についていつ頃までにというのはあるのでしょうか。
【知事】
ただ今、申し上げたとおりです。
【記者】
先週、総務省が昨年10月1日現在の推計人口を発表しましたが、前年と比べた減少率で本県が全国最下位という暗いニュースとなりました。人口の統計に関しては、先々週も定例会見で伺いましたが、改めて、この人口減少という本県の課題をどのように認識されて、どのように取り組まれるかお伺いします。
【知事】
先日、総務省による人口推計が発表されました。最近このように発表される人口の状況を拝見していて、改めて、福島県がこの人口減少の面において極めて厳しい状況にあるという危機意識を抱いております。
こうした中、人口減少の主な要因ですが、出生数の減少、若い世代の県外流出など、少子高齢化などの構造的な問題によるもの、そしてもう一点は、除染事業など復興関連業務の減少に伴う従事者の転出増加など、震災・原発事故の様々な要因も考えられようかと思います。福島県では、「ふくしま創生総合戦略」という人口減少対策のプランがあります。この中で4つの柱、「しごとづくり」、「ひとの流れづくり」、「結婚・出産・子育て支援」、「まちづくり」に基づく施策を進めているところです。厳しい現状が間違いなくありますが、一方で、明るいデータも一部出てきております。例えば、合計特殊出生率の改善傾向や、移住世帯数が平成28年度に震災前の水準を超えて、特に若い世代や子育て世代の割合が増えている。こういった明るいデータを、全体としての大きな人口減少対策につなげていくために、結婚・出産・子育て支援の充実、定住・二地域居住の更なる推進など、県としての総合的な施策を展開して、この人口減少対策、人口減少の歯止めに全庁一丸になって取り組んでまいります。
【記者】
帰還困難区域の特定復興拠点についてですが、先週、新生ふくしま復興推進本部会議で県として葛尾村の計画に同意されました。葛尾村、飯舘村はまだ認定には至っていませんが、計画段階では帰還困難区域の中に占める特定復興拠点の面積が、わずか8%ぐらいという見通しになっているかと思います。まず、この8%という数字に対する知事の考え方についてお伺いします。また、政府としては、帰還困難区域全域の解除も当然掲げている中で、まだ何も示されていません。長期的となる帰還困難区域全域の復興の考え方について併せてお伺いします。
【知事】
昨年の春、避難指示解除が進んで、福島県全体における避難地域の割合が大きく減少したという進展がありました。一方で、今、御指摘があったように、帰還困難区域はそれとは別という形になりますので、今後、住民の皆さんがいつの段階で帰還できるかは明確に示されておりません。そのような帰還困難区域において、帰ることができる場所があるんだということを示すために、現在、復興拠点の計画を認定して事業を具体化していくプロセスが進んでいます。その場合、全体の帰還困難区域の面積からすれば、一部だという見方もちろんあろうかと思います。ただ一方で、帰還困難区域においても、帰ることができるという具体的な姿を住民の皆さんにお示しをすること、古里に帰れるんだということが希望の光になるという見方もできるかと思います。ただ、住民の皆さんが望んでおられるのは、全域が解除されて、古里に安心して帰れる状態だと思います。国においても将来的に全域を解除するという決意を明確に示していただいています。県としては、避難指示が解除された区域において、まだ一部の方しか戻っていない地域もありますので、より多くの方々が安心して帰れる生活環境をつくっていくことや生業を再建していくことと併せて、この帰還困難区域等の復興拠点を形作り、将来的には全域解除がなされることを実感していただけるように、国、自治体関係機関と力を合わせて取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
帰れることができることを照らす希望というのはそのとおりだと思いますが、人によっては、古里に帰るということが、慣れ親しんだ自分の家に帰ることなのか、双葉町なら双葉町に帰ることなのか、様々な考え方があると思います。その中で、復興拠点以外の部分は5年から更にその先の長期的な話となる中で、帰還の意志を削がないように、継続して前を向いてもらうために、どのようなことが大切だと考えていらっしゃいますか。
【知事】
古里への帰還は、自分が住んでいた地域、自分の家に出来るだけ早く帰れることが、ベストだと思います。ただ残念ながら、帰還困難区域の一定の割合のエリアについては、現時点では見通しがついていないという厳しい現実があります。住民の皆さんにはそれぞれ悩みながらも、選択や判断があろうかと思いますので、我々はその判断を尊重していきたいと考えています。その中で、復興拠点ができれば地域に帰りたいという方々のために、今、地元で復興公営住宅をつくり、あるいはその地域において安心して暮らせる住環境をつくる取組を進めておられますので、それを一緒になって進めていきたいと思います。
もう一つ大事なことは、古里のきずなだと思います。昨年、避難指示が解除された浪江町や富岡町において、十日市祭やえびす講市、夜ノ森の桜まつりを再開することができました。古里に戻られた住民の方も、戻ろうか戻るまいか悩んでいる方も、あるいは戻らないと決めた方も参加していただいて、皆さんが笑顔で、伝統の行事やイベントを楽しんでいただいています。どのような判断をされるかは個々の判断であり尊重しますが、自治体を中心にして古里のきずなを結ぶことができるソフト的なイベントや行事を継続することも重要だと思います。県としては、国と一体となって、市町村が行う行事等も含め支援していきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
1 県立高等学校柔道部における外部コーチの不適切な指導について
⇒ 教育庁高校教育課 電話024-521-7766
2 JFAアカデミー福島の帰還決定について
⇒ 企画調整部地域政策課 電話024-521-7119
3 東京五輪の聖火リレーについて
⇒ 文化スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-7312
4 保育所等の待機児童数について
⇒ 保健福祉部子育て支援課 電話024-521-7239
5 総務省による人口推計について
⇒ 企画調整部復興・総合計画課 電話024-521-7922
6 帰還困難区域の特定復興拠点について
⇒ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439