■日時 平成30年11月12日(月)11:00~11:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 復興・創生期間後の体制について
2 二期目について
3 廃炉・汚染水対策について
【質問事項】
【記者】
先週、知事は復興・創生期間後の復興方針の在り方について国に要望されましたが、今後、国が前面に立って取り組む具体的な体制についての考え方や県としての関わり方について、改めてお伺いします。
【知事】
復興・創生期間が残り2年余になりました。この間を大事にして、国・県・自治体を始め、関係の皆さんが力を合わせて、出来る限り復興を前に進めていくことが基本だと思います。そしてもう一つ大切なことは、お尋ねいただいたポスト復興・創生期間の体制と財源の在り方について、関係者が丁寧に協議を始めていくことだと思います。体制という言葉には、例えば組織や制度といったものが含まれますが、この体制によって福島のその後の復興の行方が変わってきます。きちんと国が責任を持って前面に立ってやり遂げるという決意表明をしていただいていますので、その言葉を形にできる体制を、これから国と丁寧に協議していきたいと思います。
県は広域自治体です。例えば避難区域の12市町村や、その他関係する自治体が、県内にそれぞれございます。そういった方々の意見を伺い、その上で、国と直接話をしていく窓口になるのが、広域自治体である県の役割であろうかと思います。選挙後、既に国と幾度も話をしていますが、知事としても広域自治体の長としての役割が求められていると思いますので、そういった点にきちんと意を置いて、これから丁寧に国との協議を進めてまいります。
【記者】
二期目を迎えまして、改めて知事の抱負がありましたらお伺いします。
【知事】
今日、二期目のスタートの初日を迎えまして、改めてこれからの4年間、福島県知事として重い責任を負ったということで身が引き締まる思いです。福島県の復興と地方創生という難しい二つの課題に対して挑戦を続けていくこと。二期目においては、特にこの挑戦として三つの施策に力を入れていきたいと考えています。
一つ目は、避難地域の復興・再生です。避難指示が解除された区域における住民の皆さんの帰還はまだまだこれからという状況です。被災された皆さんの生活再建、生業・産業の再生、風評・風化対策、病院・介護サービスの確保、商業施設の整備、学校の再開、さらに公共交通ネットワークの構築など、丁寧にきめ細かな施策を講じていきます。併せて、福島イノベーション・コースト構想を踏まえ、これらの地域に新しい産業を創出し、雇用の場をつくるという積極的な施策も進めていく中で、その両輪で浜通りを元気にしていきたいという思いを持っております。
二つ目は、福島県内の産業の再生・活性化です。農林水産業、商工業、観光業など、既存産業の振興にしっかりと取り組みます。併せて、例えば、ロボット、再生可能エネルギー、航空宇宙関連産業など、新しい産業を構築し、県内の経済を活性化させていきたいと考えています。
三つ目は、少子化対策、人口減少対策であります。今、急激に人口減少が進んでいる。その人口減少の幅を出来る限り抑えていくために、総合的な対策を講じていかなければいけないと考えております。働き盛りの子育て世代の皆さんやこれから社会で活躍する若い皆さんが安定的に生活できるよう、魅力ある雇用の場を確保していきます。また、安心して結婚・出産・子育てが出来る環境を充実させていくために、これまでの制度のすき間をカバーするような新しい子育て支援策などを女性のアイデア等を頂きながら検討を進めていきます。さらに、地域における医療・介護・福祉の充実にも取り組んでまいります。
県の施策は多岐にわたります。こういったそれぞれの施策に一つ一つ挑戦し、またこれまでの4年間とは異なる「シンカ」を取り入れながらチャレンジを継続していく中で、それぞれの施策を形にして成果を上げていくことが、私自身に次の4年間で与えられた大事な使命であると考えております。
【記者】
県庁でのやり方を、今後、どのように進化させていくのかをお聞きします。一期目では、例えば資料をiPadで送ってもらい即決したり、レクチャーの効率化により決断が早くなったと感じるようになりました。優秀な職員もいる中で、知事自らどのように進化して、職員を引っ張っていくかについて、どうお考えでしょうか。
【知事】
非常に大事な質問だと思います。知事も努力して頑張ることは重要ですが、知事にできる仕事には限りがあります。副知事や部局長がおり、各部局の職員、皆さんが力を合わせることで福島県全体としての大きな仕事ができると思います。そういう意味で、職員一人一人が「もっと頑張っていこう」、「実際にやってみよう」、そして「いい形になった」という好循環をつくり出していくことも、二期目における私の大事な役割だと思います。例えば、一期目においては、各部局長と非常に細かく一つ一つの話をしながら、まず、資料で「こういう方向でいきたい」という伺いが来た時に、それでいいものはすぐ決裁し、そうでないものは電話や直接話をしながら方向性を同調させていくというプロセスを経てきました。これは継続してまいります。また、中堅幹部の皆さんや、若い方々と個別の話をすることも大事ですが、出来るだけ多くの職員と知事との関わりを増やしていく機会を今後作っていかなければいけないと考えています。実は選挙に入る前にも、職員との懇談会を行っております。イクボス面談とはまた違う形での意見交換会なのですが、こういったものを続けていく中で、「知事はこういう考え方なんだ」、「こういうキャラクターなんだ」ということをより身近に感じてもらうことも重要だと思います。ただ、様々な仕事をしているため、どれだけの回数をこなせるかはまた別の話ですが、県職員との距離感を近づけるためには、実際に会って話をすることが重要だと思っておりますので、忙しい仕事の合間をうまく使いながらやっていくことが私にとっての一つの進化の形だと思います。
また、今日の訓示もそうなんですが、自分の思いを皆さんに届けるために、自分の言葉でどう伝えるかについても、「ある程度うまくできたな」というところと、「ちょっと言葉が足りなかった」、「もう少し時間をかければよかった」という反省がその都度あります。そういった点を改善しながら、限られたチャンスが100%、場合によっては120%になるように、伝え方も常に工夫して進化させていかなければいけないと考えています。
【記者】
先ほどの訓示の中で、部長当時の仕事の話をされていましたが、福島の復興に向けて大変な時期において、職員も中々チャレンジしづらい環境ではないかと思いますが、厳しい中でも人口減少などにチャレンジしていかないと、今まで通りではどうしようもないと思います。先ほどの訓示の中からも感じられましたが、「チャレンジして欲しい」という思いはございますか。
【知事】
「挑戦」や「進化」は非常に前向きな言葉で、重要です。ただ、「挑戦」や「進化」のイメージは、どうしても「大胆な挑戦」や「積極的な進化」、これらはもちろん一つの要素としてありますが、今日の訓示でもあえて申し上げたとおり、「第一歩を踏み出す挑戦」や「一歩前に進む進化」もあると思います。「身近なチャレンジ」という言葉が当てはまるか分かりませんが、何か極端に新しいものをやることだけが「挑戦」や「進化」ではなく、今自分のやっていることの中で改善したり、知恵や工夫によって一歩二歩進むことも立派な挑戦であり、進化であると思います。このあたりを今日あえて例示とともに話をしたのですが、「挑戦」や「進化」というと、「大き過ぎて僕にはできない」と思ってしまう方もいるかもしれないので、「こういうことも立派な挑戦なんだよ」、「こういうことも進化なんだよ」ということをあえて今日お話ししました。これならば本県の職員は必ずできると思います。100メートル前に行く挑戦もすばらしいと思いますが、30センチ、50センチ、1メートルの前進も立派な進化なので、まずこういうことからやってみようと、そして自分のやったことによって具体的な結果が出て、あるいは反省もあるかと思いますが、自分もやったことの効果が出たと実感できると、また次への自信にもつながると思います。もちろん1年単位の極端に大きな進化、挑戦もやりたいのですが、日々、あるいは毎月の一歩ずつの「進化」や「挑戦」も、出来るだけ分かりやすく伝えていく中で、「やればできる」「一緒にやってみよう」というメッセージを職員に伝えることにも二期目は力を入れていきたいと考えています。
【記者】
明日、明後日と都内での御挨拶がありますが、どこに回られて、どのようなことを訴えたいと思っていますか。
【知事】
私がお伝えしたいことが二つあります。今回は、二期目に入り、初めてお会いする方々になりますので、表敬というのが本質です。その表敬の中で伝えたいことが二つあり、一つは「感謝」です。私の一期目の4年間はもちろんですが、、2011年以降の7年余の期間に、明日、明後日お会いする全ての方々にお世話になっています。したがって、これまでの震災後の福島に対する御支援や、私の一期目の4年間に対する支援に対して、素直に「ありがとうございます」という感謝をまず伝えたいと思います。
その上で、二つ目に伝えたいことは、これからも是非、そういった支援、あるいは前面に立ってやっていただくことを続けて欲しいということをしっかりとお話したいと思っています。先ほどの訓示でもお話ししましたが、福島県は複合災害と人口減少という二つの長い戦いに向き合っています。この長い戦いで、県はもちろん頑張りますが、明日、明後日お会いする、例えば政府や政党の幹部などの方々のお力を欠かすことはできません。こういった方々と思いを一つにして、「これからも福島のことをしっかりやるよ」と言っていただいて、行動に移していただくことが福島県の未来にとって重要だと考えています。
この「感謝」と今後の「継続」の二点を、今回の訪問の中でしっかりと気持ちを共有してメッセージをお伝えしていきたいと考えております。
【記者】
二期目に向けて、内堀知事が政治家として交渉などで、今後、いろいろと発信する場面があると思いますが、そこで、何かスタンスを変えたい、進化させていきたいと考えていることがあれば教えてください。
【知事】
例えば、東京に行って政府や東京電力とどう交渉するかが今日のメインテーマになっていますが、その時に大事なことは、私が福島県知事として県民の思いをどう背負っているかだと思っています。先ほどの訓示でも話しましたが、「県庁」という言葉の謂われは地域の声を聴くということですので、現場主義は一期目もそうでしたが、今後とも自分自身で59の市町村、浜通り、中通り、会津地方に出来る限り足を運んで、生で皆さんの思いを伺い、また先般、17日間の選挙戦の間も、本当に多くの県民の方々との触れ合いがありましたが、こういったものを自分の体の真ん中に置いた上で、政府と交渉し、東京電力ときちんと話をする、あるいは国内外に風評払拭、風化の問題を発信することが私の原点だと思います。二期目においても、一番大事にしたいのは、内堀雅雄という知事の真ん中に県民の思いがどれだけきちんと入っているかです。それがなければ交渉や発信は中々難しい部分があると思いますので、今やっている現場主義を継続することと、1回1回の中身をより濃くする。そういうことを工夫し、進化していく中で、それをまた東京に行って、あるいはいろいろな場面で福島県知事として堂々と発信していくことを大切にしていきたいと考えています。
【記者】
二期目の政策の中で廃炉・汚染水対策についてお聞きします。一期目の公約で第二原発の廃炉を掲げられ、ある程度方向性が見えてきて、二期目で、第二原発の廃炉の正式決定に向けてどのように活動されるのかという点と、今課題になっているトリチウム処理水に関して、二期目でどのような方向性を示すよう求めるのかをお伺いします。
【知事】
福島県内には原発が全部で10基あります。まず福島第二原発の4基の在り方ですが、6月の段階で2Fの廃炉という方向性が示されています。ただ、まだ正式決定や、具体的なスケジュール感が出ている段階ではありません。したがって、先般、世耕経済産業大臣を訪問した際にも、今後の道筋を国と東京電力においてしっかり固めて、それを見せていただきたいという趣旨の話をいたしました。まず、2Fの廃炉について実際に道筋を明確にして、県内原発10基が全て廃炉になることを示していただけるよう、これまでも国、東京電力に要請を行ってきましたが、それをしっかりと継続してまいります。
そして、福島第一原発には6基ございます。特に事故を起こした基も含めて、この廃炉・汚染水対策を安全・着実に行うことが重要です。先般、第一原発の視察に行った際も、この安全・着実な廃炉が福島の復興・再生にとって極めて重要だと東京電力の社長に改めて申し上げました。これに対して最大限の意を払い、世界の英知を結集して必ずやり遂げるということを今後も強く訴えてまいります。
そして、大事なことは汚染水の問題、トリチウムを含んだ水の在り方について、現在、国の小委員会等において議論が続けられております。先般の公聴会を始め、様々な意見が県民の皆さん、あるいは全国的にもあります。直接関わってくる漁業者の皆さん等の御意見もある。そういったものを踏まえて議論を深め、とにかく慎重に検討を進めることを、政府・東京電力に対して広域自治体である県としてしっかりと申し上げていきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
1 復興・創生期間後の体制について
⇒ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129
3 廃炉・汚染水対策について
⇒ (県内原発の全基廃炉に関すること)
企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116
⇒ (福島第一原発の廃炉、汚染水・トリチウム水に関すること)
危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-8054