■日時 令和元年10月21日(月)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 台風19号による被害への対応について
2 台風19号による犠牲者の氏名公表について
3 即位礼正殿の儀について
【質問事項】
【記者】
台風被害についてお伺いします。1週間が過ぎましたが、今見えている課題にどのように取り組まれるのか教えてください。
【知事】
福島県では多くの方が今回の台風災害により亡くなられております。被害状況が明らかになってきた中で、極めて甚大な被害をもたらした災害であるとの認識を深めております。亡くなられた方々に対し、深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。引き続き、行方不明者の捜索や孤立した集落の救助・救援に全力で当たるとともに、決壊した箇所の復旧や被災された方々の生活の再建、事業再開に向け、市町村、国、関係機関と連携し、総力を挙げて取り組んでまいります。
発災から1週間が経過し、被災された方々の懸命な御努力やボランティアの皆さんの献身的な御助力によって、家屋の片付けを始めとした復旧活動が本格的に始まっています。また、発災から休校が続いていた学校の多くが本日再開されるなど、復旧に向けて着実に歩みを進めています。県内外から支援の手を差し伸べていただいていることに、心から感謝を申し上げます。
一方で、今もなお1,600人を超える方々が避難所生活を続けておられます。状況は一日一日と変わっており、避難者の住宅の確保、健康管理、災害廃棄物の処理など、新たな課題に対し市町村の考え方を踏まえながら、スピード感を持って対応してまいります。
また、農業や商工業等の事業活動に関する被害の状況が日を追うごとに明らかになっています。営農再開あるいは事業再開に向け、希望を持って前に進んでいただけるよう、国や市町村、関係機関と連携して対応してまいります。今後とも被害状況を把握し、被災箇所の復旧及び被災者の生活再建に、国、市町村、関係機関と力を合わせ、しっかりと取り組んでまいります。
【記者】
東日本大震災からようやく復興のスタートに立ったところに、このタイミングで起きて、直接被災していない企業も経営が厳しくなることが予想されますが、直接被災していない企業への対応について聞かせてください。
【知事】
直接被災をされている企業、事業所、工場等の被害状況は、現時点で明確ではありません。したがって、県として、国や関係機関と連携して聞き取り調査を行い、直接被害を受けた方が今どのような状況で、今後どういった復旧を考えているのか、あるいはどのような課題があるのかを丁寧に伺い、その対策をつくり上げてまいります。
併せて、直接被災していない企業にも間接的な影響は当然及んでいると思います。そのような状況についても、今後段階的に把握しながら、どのような対策を講じる必要があるかを検討していきたいと思います。
福島県の場合は、東日本大震災、原発事故からの復興の途上で今回の台風19号の災害を被っています。だからこそ、この二重、三重の災害からの復興のために、県としてどのような手立てが必要かを、市町村や商工関係の団体の皆さんのお考えをお聞きした上で、国、政府あるいは関係機関等にしっかりと要請していきたいと思います。
【記者】
新たな課題として、災害廃棄物の処理が出ているというお話ですが、各市町村が一生懸命処理に取り組んでいる一方で、県としての広域的な処理計画を定めなければならないと思いますが、知事の考えを伺います
【知事】
災害廃棄物の処理が当面の大きな課題になっております。福島県では、被害が大きい市町村を環境省と(一緒に)訪問させていただき、具体的な対応についての協議や助言を行うとともに、仮置き場として活用可能な県有地や未利用国有地の情報提供等を行っております。引き続き、市町村の災害廃棄物の処理に支障を来たさないよう、国や関係機関と連携しながら取り組んでまいります。今後の広域的な対応計画等についても、今回の災害の経験を踏まえて検討を進めていく必要があると考えております。
【記者】
(先ほどの質問は)平時ではなく、今回の台風19号で出た廃棄物の処理計画についての質問だったのですが、西日本豪雨の時に、広島県が各市町村に対し、市町村が(廃棄物の)処理を進める計画のひな型のようなものを示すというサポートをしたと聞いています。各市町村の状況把握はもちろんですが、福島県も各市町村が計画をつくれるようなサポートが必要ではないのでしょうか。
【知事】
今回の台風19号による災害廃棄物への対応という意味であれば、各市町村に対し具体的なお話を伺いながら、当面の処理が十分可能となるよう一つ一つ丁寧に対応しています。「計画」という言い方が適当かどうかは分かりませんが、一番苦労しているのは都市部で、例えば、ごみ焼却施設やし尿処理施設が被災した郡山市においては、県内外の自治体に支援をお願いしているとともに、環境省の仮設焼却施設の活用によって、生活ごみやし尿の受入先については目途が立ったと考えております。各自治体も基本的に一定の方向性が作られたと考えておりますが、今後また新しい課題等が生じた場合には、一つ一つの自治体が困らないような対応を、広域自治体である県として取り組んでいきたいと思います。
【記者】
台風19号からの復興に向けて、被災自治体が国の制度がいろいろあって何を使えるか分からないというケースもあると聞いておりますが、市町村を視察される中で、そのような話を聞いていればお聞かせください。
【知事】
率直に言いまして、被害状況が確定していないため、現段階では自治体の皆さんからそのような具体的な話を伺っておりません。ただ、これから間違いなく必要になります。そして、今回の台風19号は、国において特定災害に指定されましたので、昨年の西日本豪雨災害あるいは以前の東日本大震災といった経験を踏まえ、政府としての手立てが必要であると考えております。今後、出来るだけ早いタイミングで、政府に対して特別な財政措置あるいは制度立てを各省庁に訴えていく必要があると考えています。その中で、今ある既存の制度も当然使えると思いますし、場合によっては今後新たに構築される制度により、複雑な体系になってくるかと思います。それについては、国と県で一緒になり、各自治体が迷うことなく、より良い制度を使えるよう、周知し、あるいは、書類を書く場合に、皆さん被災されて御苦労されておりますので、そういった際の手助けも含め、きめ細かく対応していかなければいけないと考えております。今後、市町村から具体的な要望が増えてくると思いますので、それらを取りまとめ、県が窓口になって対応していきたいと考えております。
【記者】
一週間経ちまして、(本県の)死者が30人ということで、(全国で)一番多いという状況ですが、ハード面、ソフト面含めた課題と今後の対策として、どういったところが教訓になると知事は感じておりますか。
【知事】
福島県において多くの方の尊い人命が失われたことを踏まえて、今後の対策を講じていく必要があると思います。
昨日、国土交通大臣が来県し、各被災地を訪問されました。その際、私も一部同行して、大臣に対して(意見を)申し上げました。国土強靱化は3か年計画ということで進めていただいていますが、2020年度で節目ということになっています。国土強靱化は3年間では終わりません。今回の災害を踏まえ、平成の大改修によってしっかりと守られた場所も間違いなくあった一方で、結果として溢水や決壊した場所もあったことから、今後もハードの面において、このような国土の強靱化を国・県・市町村が一体となって更に進め、強化していかなければならないという認識を持っています。また、併せて大切なことは、ソフト対策であります。どんなにハードを強化しても、やはり100%ということはありません。また、常に我々のこれまでの経験を超えた降雨や、いろいろな災害が起きているのが今の世の中でありますので、その意味で、これまでも間違いなく充実・強化していただいておりますが、災害のおそれがある場合には出来るだけ速やかに避難していただくソフト的な対策について、なお一層やっていかなければならないと思っています。今回亡くなられた現場に、何箇所も行きましたが、高齢者、要援護者の方で避難の呼び掛けはある程度分かっていても、結果的に(亡くなってしまった)ということも伺っております。そのような状況に対し、市町村長さんが辛い思いを抱えてすごく落ち込んでおられました。ソフト対策をどうやってきめ細かく出来るかということも、今後の大事な課題だと考えております。
【記者】
ソフト対策ということで伺います。週末に雨が降って、再び土砂災害が起きるという警戒をしていた時の話ですが、各市町村が警戒情報を出したにもかかわらず、県がそれを把握しておらず、県に全く情報が集約されていないという状況が一時ありました。ハードは大切でソフトもやらなければという知事の今の発言と、先週末の状況は食い違っているように思いますが、どのようにお考えですか。
【知事】
先週末にそのような状況であったという御指摘は、しっかりと受け止めさせていただきます。やはり、市町村が今どういう状況にあるのかということを、県自身が出来るだけリアルタイムで受け止めておくことが重要だと思います。そのような御指摘も含めて、今後、より改善していかなければならないと思います。
【記者】
氏名の公表について、福島県の場合、現在、死者が30人と全国で一番多くなってしまっている状況で、前々から、従来と同様の対応を今回も継続していくということをおっしゃっていますが、プライバシーに配慮するという意味も分かりますが、公表しないデメリットもあると思います。遺族の中には、亡くなったことを後世に伝えることで災害の教訓にして欲しいという思いを抱えておられる方もいます。改めて、氏名公表についてのスタンスと、なぜ今回、公表しないのかをもう一度教えてください。
【知事】
ただ今の御意見を真摯に受け止めさせていただきます。その上で、犠牲者の方の氏名については、犠牲者の方やその御家族等のプライバシーを尊重し、これまでと同様、公表しないこととさせていただいております。また先般、年齢、性別、被害の状況等について、市町村等から聞き取りした内容を皆様に公表させていただいたところであります。
【記者】
犠牲者が亡くなられた時の状況や性別、死因などについて、被害状況の即報ということで16報まで現在出ていますが、14報まで出てこない状況で、15報で一気に内容が出てきたという印象です。16報でもかなり詳細に書いていただいておりますが、少しずつ出さずにいきなり15報で情報を出したという状況について、なぜそうなったのか、リソースは市町村のほか警察も入っているのかについて教えてください。
【知事】
その点については、災害対策本部の事務局に御確認願います。
【記者】
例えば、山岳遭難などの事案があった時には、どこの誰がどういう状況で亡くなったということは出していると思います。今回のケースと何が違うのかという点を伺います。山岳遭難で30人が亡くなることはほとんどないと思いますが、山岳遭難であれば、1人、2人亡くなって発見された時でも、県警から情報が出ますが、今回のケースとの違いを教えてください。
【知事】
今回は台風19号に伴う災害対策本部、県としての対応についての考え方をお話しさせていただいております。
【記者】
県警だろうが県だろうが広く言えば県だと思いますが。
【知事】
繰り返しになりますが、今回は県警としての問題ではなく、災害対策本部としての考え方を述べさせていただいております。
【記者】
福島県で災害対策本部が立ち上がると、氏名は公表しないということですか。
【知事】
従来と同様の対応とさせていただいております。
【記者】
氏名の公表について、他県では、遺族の反対がなければ原則として公表するという例が、西日本豪雨も含めて多いようですが、今回、福島県災害対策本部が、そのような匿名で発表するという方針を決めるに当たって、遺族の意向というのは確認したのでしょうか。
【知事】
今回の災害対策本部の対応は、従来からの対応というものを踏まえて判断させていただいております。
【記者】
確認はしていないということですか。
【知事】
それについては、事務方に御確認願います。
【記者】
先ほどの質問にお答えいただいていないような気がしたので、再度お聞きします。遺族の中には実名で(公表し)、生きた証を残して欲しいというような声もあるようですが、そうした考えについてはどのようにお考えですか。
【知事】
御意見として受け止めさせていただきます。
【記者】
有識者の方にこのことを聞くと、災害時は公共の利益が前面に出て、プライバシー権は一定程度後退するという考え方があると伺っております。知事は災害時のプライバシー権と公共の利益とのバランスについてどのようにお考えですか。
【知事】
繰り返しになりますが、今回の県としての対応は、これまでの災害対策本部における対応を踏まえて対応させていただいております。今頂いた部分については、御意見として受け止めさせていただきます。
【記者】
今回の対応を決めるに当たって、有識者や専門家等に意見を聞いているのか伺います。もし聞いているのであれば、どういった有識者にお尋ねになられたのかお聞かせください。
【知事】
先ほどからお答えしているとおりであります。
【記者】
災害対策本部で決めたということですか。
【知事】
そのとおりです。
【記者】
東日本大震災の時は、おそらく県警の判断で氏名を公表していました。その後、国の防災計画が出来上がり、被害者の情報は県が一括して集約することとされたと思いますが、知事がおっしゃっている従来の対応というのは、具体的にいつ頃に策定されたルールで、具体的にどういうルールになっているのか教えていただけたらと思います。
【知事】
今回の対応は、平成23年の東日本大震災の対応と同じくしております。
【記者】
東日本大震災以前からこのような対応を実施されているということでしょうか。
【知事】
大震災以前にこれだけ大きな災害というものはあまりなかったかと思います。私自身の記憶ではございません。
【記者】
東日本大震災の時の対応を踏襲しているということですか。
【知事】
そうであります。
【記者】
明日の即位関係式典に現時点で出席されるかについて伺います。
【知事】
天皇・皇后両陛下におかれましては、これまで幾度となく福島県に御来訪いただきました。そして東日本大震災、原子力発電所の事故以降は、県内各地で被災者に直接温かい言葉をかけてくださり、励ましていただくなど、復興に向けて果敢に挑戦を続ける県民の皆さんに寄り添ってその歩みを支えていただいております。また、このたびの台風19号による豪雨災害で、福島県を始め多くの地域が甚大な被害を受けていることに対するお見舞いのお気持ちと、亡くなられた方々に心から哀悼の思いを表されるとともに、一日も早い復旧を願っておられますという、両陛下のこうしたお心遣いに深く感謝を申し上げますとともに、謹んで両陛下の御健康と御多幸、皇室の末長い御繁栄を心からお祈り申し上げたいと思います。お尋ねいただいた件については、現在調整中でございます。
(終了)
【問合せ先】
1 台風19号による被害への対応について
2 台風19号による犠牲者の氏名公表について
→災害対策本部事務局 (危機管理部災害対策課) 電話024-521-7641
3 即位礼将正殿の儀について
→総務部秘書課 電話024-521-7009