■日時 令和元年12月3日(火)14時15分~14時40分
■会場 応接室
【発表事項】
1 令和元年度12月補正予算の概要について
【質問事項】
1 台風19号等に係る災害対応の検証について
2 被災者生活支援特別給付金について
3 中長期ロードマップの改訂について
4 女川原発の新規制基準適合について
5 地方創生総合戦略について
【発表事項】
令和元年度12月補正予算の概要を発表いたします。今回の補正予算は、台風第19号とその後の大雨による災害からの復旧や、生活の再建に向けて緊急に措置すべき経費などについて計上いたしました。
その主な内容といたしましては、台風等により被災された方の生活再建に向けた支援金の給付、県の災害対応などについての検証、河川、道路などの公共土木施設や治山施設の復旧、がけ崩れ等の土砂災害への対策などに要する経費を計上いたしました。
以上により一般会計における補正予算の総額は、599億3,300万円、本年度予算の累計額は、1兆5,885億2,400万円となります。。
【質問事項】
【記者】
補正予算の災害対応検証事業について、組織の具体的な中身、例えば、トップは知事であるとか、災害対応のまとめとして、いつまでにどういったものをまとめたいのかなど、内容についてお聞かせください。
【知事】
台風第19号等に係る県災害対策本部の対応などについて、第三者の学識経験者を交えた委員会を設置して検証するための予算を計上しております。委員会においては、住民避難行動などを踏まえた県災害対策本部の対応や市町村等の関係機関との連携などについて、検証いただくことを考えております。
また、今後については、来年の出水期である6月の初め頃までに住民避難行動などに対する県の対応について中間取りまとめを行い、来年の8月頃までに検証の最終的な取りまとめを行いたいと考えております。
【記者】
委員会の第1回をいつ頃に開く予定なのか、また、どういった方がトップに立つのかについてはいかがでしょうか。
【知事】
まだそこまでは整理しておりません。12月県議会における審議の状況を見ながら、お話を頂いた内容についても精査していきたいと思います。
【記者】
検証について伺います。今回の台風で犠牲になった方の氏名を公表してはどうかという意見が、記者クラブですとか、この場でも質問があったと思いますが、今回の検証事業の中でそれについて議論する考えはありますか。
【知事】
現時点において、検証の中身を具体的に整理している訳ではございません。今後、県議会における審議を経ながら、どういったものを対象にするのか、また、第三者として学識経験者の皆さんの御意見も聞きながら、進めていくことになると考えております。
【記者】
対応検証事業について伺います。資料を見ると、関係機関との連携とありますが、いわゆる破堤した河川の状況など、河川を今後どうしていくか、そういった検証というものは行われるのでしょうか。
【知事】
台風19号等による災害を踏まえて、今後、県や市町村などの関係機関が構成員となっている水災害対策協議会を開催し、災害対応検証委員会と連携を図りながら、台風19号対応時の情報収集や情報伝達、応急対策など、ハード・ソフト対応における課題の抽出・検討を進めていきたいと考えております。
【記者】
今回の台風対応の中で、どういうところが課題であったのかについて、知事自身の御認識を伺ってよろしいでしょうか。
【知事】
大切なことは人命を守ることです。そういう意味で、まずソフト面で、緊急の避難指示、勧告等が出た場合に、自治体からそれぞれの個々人に対して、どういう形での連絡を行って、特に高齢者や要支援者世帯の方々も含め、安全に速やかに避難を行うことが出来るのか。市町村長と何度も意見交換をしていく中で、こういった点について、皆さんも非常に気にしておられました。この点は市町村や関係の方からお話を聞きながら、力を入れていきたいと思います。
また、先ほどお話を頂きましたハード面の検証も大事です。例えば、国管理、県管理、市町村管理あるいは私的なものあり、それらを相互に連携させ、今後復旧していく訳ですが、より良い形で復旧するために、どう連動させてシステムを構築していくかということも、今後のハード面の検証の重要なポイントになると考えております。
【記者】
生活再建に向けた支援金の給付について、市長会、自民党、県民連合、昨日は町村会からも要望がありましたが、今回、給付を行うという方針を固めたその背景、理由をお聞かせください。
【知事】
今回の給付の目的は、台風第19号等による住宅被害を受けられた世帯のうち、被災者生活再建支援法の支援対象とならない半壊世帯と床上浸水世帯に対し、市町村と連携して被災者の生活を再建するために、1世帯当たり10万円を給付する制度を考えております。
また、制度を新しく作った経緯ですが、御指摘いただきましたように、県議会や市長会、町村会から頂いた生活再建支援に係る要望を真摯に受け止め、検討を進めてまいりました。その結果、被災者生活再建支援法の支援対象とならない住宅被害の半壊以下の被災世帯が、県内の広い範囲で多数に上っていることから、被災者の生活再建を図るため、市町村と共に支援することとしたところです。
【記者】
半壊世帯の給付についてですが、当初、知事は、国に要望するとおっしゃっていました。そこからなぜ転換したのか。先ほどの質問に対しての回答だと、県内の広い範囲で(被害が)多数に上っているというのは、従来から分かっていたことだと思うので、各会派等からの要望の中身としては、新しいものではなかったと思いますが、改めて、国に要望するというところからの転換の理由を教えてください。
【知事】
被災者生活支援について、現行の国の制度がございます。これについてはかねてから、今回の台風19号以前に災害が発生した段階から、全国知事会として現行の制度が十分ではないのではないか、あるいは対象にならない世帯があるのではないかという指摘がありました。そういったものも受け、全国知事会の中に制度立てを議論する場が設けられ、国に対して要望活動を行っていたところです。
そういった中で、10月に台風19号が発災し、その後の大雨も含めて、多くの方々が被害に見舞われたという状況になっております。こういった制度については、出来れば国全体での制度立てが好ましいという思いも持っており、要望活動を続けておりました。私自身が政府の要人に対して直接話し、また知事会としても要望していただいたところですが、やはり現時点において、新たな制度改正が行われるということは、中々困難な状況であると思います。一方で、福島県内で(制度の)対象とならない方が大勢おられます。併せて、県議会、市長会、町村会からも県独自で出来ないかというお話を頂く中で、この予算発表に至ったところでございます。
【記者】
被災者生活支援特別給付金について、他県ですと、半壊世帯に20万円、50万円を支給しているところもあるようですが、今回10万円という金額に設定した理由についてお聞かせ願います。
【知事】
今回、市長会、町村会からは、具体的な金額に係る要望も含めてお話を頂いております。既に一定の見舞金制度等を構築されている自治体もございます。一方で、制度を持っていない自治体もございます。そういったことを念頭に、被災者の方々は、住宅の補修あるいは家財の購入などの経費が必要になりますので、生活再建の一助とするため、今回の制度の金額を設定したところです。
【記者】
金額を18億5,700万円と見積りましたが、半壊以下の世帯というのが、ある程度数字として見えているのでしょうか。それとも、あくまでも概算としてこのような金額を出したのでしょうか。
【知事】
後ほど具体的な数字については、担当課長から話をさせますが、具体的な数をつかんだ上で、今回の予算を計上しております。
【記者】
国に対する要望は、今回の制度創設とは別に続けていくことになると思いますが、新しく制度が出来た時、例えば、国も半壊世帯に対して(支援金を)出すとなった場合、県も重ねて出すことにするのか、それともその時は止めるのか、細かいですが、どのような考えか教えてください。
【知事】
今、頂いたお話は今後のことですので、現時点で確たる考えがある訳ではございません。その上で、今回、台風19号等によって、私の記憶では14県ほどが大きな被害を受けている中で、県独自の支援を行っている県は半数以下、逆に言うと半数以上の県においては、県独自支援を行っていないと思います。
やはりこういった国全体に関わるような大きな災害に対しては、出来れば国の制度として、一定の制度構築がなされることがより望ましいのではないかと思います。そうであるからこそ、これまでに生活再建支援の給付というシステムが出来て、国と都道府県でお互いに財源を出し合いながら、出来るだけ被災者の生活再建を行うということで取り組んでまいりました。今後とも、こういった制度設計について、何とかオールジャパンで出来ないかということを訴えていきたいと考えております。
【記者】
支援金の話ですが、知事も何度も東京に行かれて要望している中で、制度として確立しない要因というのはどの辺りでしょうか。実際、被災者に聞いていると、半壊以下であろうが、大規模半壊、全壊であろうが、被災していることにより生活出来ないということは一緒ではないかという御意見がある中で、国が中々動かないことについて、知事はどのようにお考えですか。
【知事】
私自身が幾度も被災地に足を運んでおります。そこで懸命に水を吸って重くなった畳を運んでおられる姿、泥だらけの家の中を片付けておられる姿を拝見していて、1メートル等の基準によって云々ではないということを、被災者の方から直接、話を聞いております。それらが今回の県単独の制度を構築する一つの大きな要因になっています。こういった点を十分に考えた上で、国に対して様々な要望をしてまいりました。
ただ一方で、今回、被災者生活再建支援法という枠組みでは結果が出ておりませんが、ちょうど災害救助法関係の一定の要件緩和となって、対象者が増えたという現実もございます。
また、対策パッケージを打ち出しておりますが、この点についても、これまでなかったような、国としての制度立てを、懸命に作っていただいているという点は評価をしております。
したがって、今回の制度がどうだったかという部分は、私自身は分析しかねますが、国としても、出来ることは最大限にやっていただいております。一方で、我々自身もここは何らかの対応をしなければいけない、14の他県と比べてどうするかと悩んだ上で、この予算発表に至ったのが実情でございます。
【記者】
昨日、中長期ロードマップの改訂案が示されました。デブリの取り出しは2号機から、プール燃料を2031年末までに取り出すという新たな目標がありましたが、知事はこの改訂案についてどのように受け止めていますか。
【知事】
中長期ロードマップの改訂案については、今週、12月5日に開催される廃炉安全監視協議会において、国から説明を受ける予定となっております。その説明を踏まえて、県として国に対し、必要な意見を申し上げていきたいと考えております。
詳細については、国から説明を受けた後になりますが、この廃炉作業は長期にわたるものであり、住民の帰還はもとより、県内全域の風評を払拭する上でも大きな影響を与えるものです。引き続き、安全確保を最優先に着実に取り組むこと、作業に伴うリスクや安全対策について、県民に丁寧に説明していくことなどを求めていきたいと考えております。
【記者】
東北電力女川原発の2号機が原子力規制委員会の再稼働審査に事実上合格しました。原発事故を踏まえた新基準として合格したのは東北で初めてですが、これについての受け止めをお伺いします。
【知事】
女川原発2号機について、原子力規制委員会が新規制基準の適合性審査の審査書案を取りまとめました。この審査書案については、原子力規制委員会が基準に則って審査したものと考えております。福島県としては、原子力政策については、福島第一原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国及び事業者の責任において検討されるべきであると考えております。
【記者】
福島県は、原発事故以降、県内原発の全基廃炉というのを掲げて、それを国や東電に突きつけてきた経緯がありますが、県内になければいいのかとも見えてしまうのですが、その点はいかがでしょうか。
【知事】
2011年に福島第一原発事故という過酷な事故に見舞われました。その現状と教訓を踏まえて、何よりも住民の安全・安心の確保が大事だということをこれまでも訴えてきましたし、これからも訴えてまいります。
【記者】
知事は、福島県民の思いというのが全基廃炉の背景にあるのだということを繰り返しおっしゃっていますけれども、個人的な解釈ですが、東京で使う電力のために、原発のリスクを福島に置いていたということを承認出来ないというのが県民の思いだと思うのですが、(県内全基)廃炉にすることで実現したと思っています。一方で、福島で使う電気のために、原発のリスクを宮城県女川に置くということも、構図としては同じではないかと思うのですが、知事はどのようにお考えですか。
【知事】
前段にお話しいただいたことは、(記者の)個人的な意見ということで受け止めさせていただきます。
その上で、女川原発の取り扱いについて、まだ具体的な方向性が出ている訳ではないと受け止めております。県としては、先ほど言ったとおり、原子力政策について従来どおりの思いを、国あるいは電力事業者に対して訴えていきたいと考えております。
【記者】
少し前の話になってしまうのですが、国が2期目の地方創生総合戦略で、地方への人・資金の流れの強化というものを掲げていますが、自治体からは、今回の目標設定について後退しているという意見もあります。知事はこの基本的な考え方について、どう感じていらっしゃるのかお聞かせください。
【知事】
現在、福島県において、地方創生総合戦略の見直し作業に取り掛かっております。そういう中で、今後どういった形で人口をシミュレーションするかということについて、正に議論を尽くしているところです。国において、そういった基本的なデータであったり、考え方を示すということは重要であり、御承知のとおり、福島県の人口が毎年、急激に減っています。自然減もあり、社会減もあります。こういった現状と今後のシミュレーションを前提にして、どういった施策をとれば、人口減少に歯止めが掛けられるのかを真剣に議論しているところです。今後そういったデータの提供や、人的・財源的なサポートも国に求めながら、人口減少を食い止めて、地域が元気である、そういった福島を作り上げていきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
○発表事項
令和元年度12月補正予算の概要について
→総務部財政課 電話024-521-7027
○質問事項
1 台風19号等に係る災害対応の検証について
→危機管理部災害対策課 電話024-521-7194
(水災害対策協議会に関すること)
→土木部河川計画課 電話024-521-7499
2 被災者生活支援特別給付金について
→ 危機管理部災害対策課 電話024-521-7194
3 中長期ロードマップの改訂について
→ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
4 女川原発の新規制基準適合について
→ 企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116
5 地方創生総合戦略について
→ 企画調整部復興・総合計画課 電話024-521-7922