■日時 令和2年4月6日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 新型コロナウイルス感染症について
2 トリチウムを含む処理水の処分方法について
【質問事項】
【記者】
新型コロナについて、(県内で)初めての発症が確認されてから約1か月になります。この6日間で計14人の患者が出ており、県の医療体制について、県民は心配されていると思うのですが、これから発症者が増えた場合(に備えて)、現状の県の医療体制について教えてください。
【知事】
新型コロナウイルス感染症への対応については、検査体制の充実と医療受入体制の充実の二つが大切です。
検査体制について、これまで1日当たりの検査可能数は、衛生研究所で24人、民間研究機関で25人、福島市保健所で8人の計57人でしたが、4月1日から新たにいわき市で5人が検査可能となったことから、合計62人の検査を行える体制となりました。更なる検査体制の拡充に向け、引き続き、中核市、医療機関及び民間検査機関における検査体制の確立に向けた支援や調整を継続してまいります。
併せて、病院の受入体制も極めて重要であります。帰国者・接触者相談センターを県内の全保健所に設置し、24時間体制で相談対応に当たっており、確実に帰国者・接触者外来につないでいるところです。帰国者・接触者外来については、4月1日までに1医療機関が追加され、現在、県内28か所に設置し、早期診断・早期治療が出来る体制を拡充しております。入院が必要な場合は、県内6か所の感染症指定医療機関に入院していただくこととしております。また、今後、患者数が増加した場合に備え、入院病床の更なる確保に向け、県医師会等の関係機関に協力を依頼し、各保健所が中心となって管内の医療機関等と調整しており、現時点で一般病床20床を確保しているところです。したがって、感染症指定医療機関32床、一般病床20床の計52床が現時点において確保されております。引き続き、入院病床の更なる確保に向けて、医療機関との調整を進めてまいります。
【記者】
PCR検査の数(の拡充)について医師会と進めているということですが、(入院病床が)52床というのは、先を見据えた上で、知事は十分だと思われますか。
【知事】
福島県内の発症状況は、この6日間で大きく増えております。そのような状況の中にあって、現在の有床数で一定の対応が出来ると考えておりますが、今後、更に(発症が)増えていくことも懸念されます。県としては、入院医療体制を充実・強化していかなければならないと考えております。また、4月2日に国から宿泊・自宅療養等に関する通知がありました。感染者の増加は予断を許さない状況であると認識しており、福島県においても、宿泊・自宅療養等の取扱いについて検討を進めてまいります。
【記者】
安倍総理が、明日にも緊急事態宣言に踏み切る意向を固めたという報道がありますが、混乱を避けるため、福島県民にどのようなことを呼び掛けたいですか。
【知事】
政府が緊急事態宣言を発出する意向を固めつつあり、東京都などを指定する方向で、現在、調整を進めているという報道を拝見しております。日本という国全体にとって、新しい重要な局面に入っていると考えております。現在、県では、国が一定の地域に対して緊急事態宣言を発出した場合、本県としてどのような取組が必要になるのか、早急に検討を進めております。
県民の皆さんに対しては、マスコミの皆さんの力をお借りし、公的機関の情報をしっかりと知っていただくこと、また、冷静に対応していただくことをお願いしたいと思います。特に大切なことは、自分自身の健康、身の回りの方の健康を守るために、手洗い・咳エチケットの励行、「密閉」、「密集」、「密接」の三つの「密」を避けること、また東京方面等への不要不急の往来を避けることなどの基本的な対策を、県民の皆さんに徹底していただくよう、お願いをしていきたいと思います。
【記者】
首都圏の大学に通っている学生が、福島県内に帰省をするケースも増えているようですが、今、首都圏にいる福島県民に呼び掛けたいことはありますか。
【知事】
やはり自分自身の健康や安全を守るために何をすべきかということ。そして、仮に帰省される場合、東京方面においては、より(感染の)リスクが高いという現実を勘案し、自分自身の健康に配慮していただきたい。また、周りの人に対する気遣いが大切であるということを、是非、頭の中に置いて、慎重な対応を取っていただきたいと考えております。
【記者】
知事がお話しされたように、日本という国全体にとって重要な局面ですが、緊急事態宣言について、特定の都道府県を指定するのと、日本全体を指定するのではインパクトというか意味合いも違ってくると思います。先週、知事も移動の自粛要請を出されたように、東京と福島は近いので、エリアとしては一体のようなところもあります。例えば、東京が指定されて福島が指定されないということが良いのかどうかについて、知事はどのように考えますか。
【知事】
緊急事態宣言は私権の制限を伴う制度であり、特別措置法に基づく非常に重要な措置であると考えております。したがって、今、政府においては、専門家会議、諮問会議あるいは国会等の議論も踏まえた上で、(宣言が)発出されるというプロセスにあると思います。現在、どの地域が対象になるかについては明らかになっておりませんが、県としては、緊急事態宣言がどのような形で出されるかを注視しながら、県として今、何が出来るのか、当面何をすべきかについて検討を深めていきたいと考えております。
【記者】
首都圏から帰省する学生の話がありましたが、首都圏が緊急事態宣言の対象となり、福島や周辺の都道府県が指定されないとなると、緊急事態宣言が出てないところに逃げようという心理になって、福島や周辺の自治体に人が移動してしまうことにもなりかねないと思います。その点についてはどのように考えますか。
【知事】
まだ緊急事態宣言が発出されているわけではなく、地域も明確になっておりませんので、県として様々な観点から分析、検討を進めていきたいと思います。
【記者】
宿泊・自宅療養の件で、東京都などは大きなホテルなどを借り上げる形で進めているようですが、福島の場合は、大型の宿泊施設の確保も難しいかと思います。(福島県は)どのような方向で進めるのか。(宿泊療養ではなく)自宅療養に重点を置くのでしょうか。
【知事】
福島県で発生した16例を見ても、家庭内での感染が確認され、二次感染・三次感染が現実にあります。そのような状況も勘案しながら、軽症者等に係る宿泊療養あるいは自宅療養について、どのような形がより良いのか、様々な検討を進めております。また、仮にそのような施設を指定する場合、今ある施設を使わせていただくことになると思いますので、それをリストアップしながら、より良い形でつくり上げていきたいと考えております。
【記者】
知事は、東京方面の往来について控えるよう呼び掛けていますが、昨日の本部会議では、金光先生が「人との接触を避けるように」と、少し強めの言い方をされていたと思います。外出自粛要請について、現段階での知事の考えを聞かせてください。
【知事】
現段階で、明確に外出自粛要請を呼び掛けておられるのは、東京都等の一部の大都市かと思います。一方で、いよいよ緊急事態宣言が発出されるという状況の中で、福島県としてどのような対応が良いのかについて検討を深めていきたいと考えております。
【記者】
緊急事態が宣言され、(その地域に)福島県が入っていない場合でも、県内の外出について自粛要請を発出する可能性もあるということでしょうか。
【知事】
現時点においては、日々状況が厳しくなってきているという側面もあり、福島県の発症状況を全国と比較した上で、慎重な対応についての議論もあろうかと思います。したがって、今後、政府の緊急事態宣言の動向を注視しながら、県としてどのように対応していくかについて、関係機関あるいは専門家の御意見も伺い、真剣に検討を深めていきたいと思います。
併せて、県として一定の自粛要請は行っておりますが、改めて県民の皆さんにお願いをしたいこととして、3つの「密」を避けていただきたいというお話をしているところです。「密閉」、「密集」、「密接」、こういったものは、非常に感染のリスクを高めるということが福島県内の16例、あるいは全国の3,000を上回る感染事例を見ても分かっておりますので、是非、皆さんに真剣に受け止めていただき、日々の自分たちの行動を考えていただくことが何よりも重要かと思います。
【記者】
政府の緊急経済対策について伺います。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、所得が一定水準に減少した世帯に対し、政府が世帯当たり30万円を給付することを決めました。県内でも苦境に陥ってる人は多いと思いますが、この現金給付政策ということ自体、あるいは30万円という額の妥当性についてどのように考えますか。
【知事】
まだ現時点において、政府の緊急経済対策の全貌が明確になっているわけではありません。ただ一つ確かなことは、今回の新型コロナウイルス感染症に伴う経済への影響が、リーマンショックや東日本大災・原発事故と肩を並べる、あるいは、状況としてはそれを上回る規模のマイナスが生じているという現実です。政府においては、そういったものを頭に置いた上で、思い切った対応策を講じていくことを総理自身が明言しておられます。今、緊急事態宣言の話がいよいよ差し迫った状態になっておりますが、私自身は緊急事態宣言と政府の緊急経済対策は一体として、発出されていくことが重要かと思います。感染拡大防止の一方で、国民の生活の安定、こういったものを一体としてメッセージを発していくことが、国全体で感染症対策に当たる一番の基礎になるものと考えております。今後の政府の動向を見極めながら、国の緊急対応策、経済対策等が出そろってまいりましたら、その後の国会審議の動向を見た上で、県としての対応も当然、スピーディーに進めていく必要があるかと思います。
【記者】
県内の経済状況について、リーマンショックや東日本大震災と肩を並べる、あるいはそれ以上ということですが、どのような部分でそう感じるのかお聞かせください。
【知事】
現在、新型コロナウイルス感染症によって、県内企業がどういった影響を受けているか、各部局において所管の団体等に対して一つ一つ聞き取り調査を行っております。そういった中で、例えば、宿泊施設や飲食店においては、大量のキャンセルと予約の落ち込みによって非常に厳しい状況にあり、その影響が仕入れ先など取引企業にも及んできている。あるいは、製造業においても中国企業とのサプライチェーンを構築している企業で、経営悪化が懸念されているほか、建設業にも影響が広がり始めているといった声を伺っております。
私自身も先般、商工3団体からこうした県内企業の厳しいお話を直接伺っているところです。また、観光においても、「自粛」と言われている関係で、桜の花が非常にきれいな時期になっておりますが、県内各地で人出が大幅に減少しているという現実があります。こういった極端な動向は、過去の様々な不況と比べても相当厳しい部分があるというのが現時点での受け止めです。
【記者】
先週から、知事が、風評被害を受けた立場からの切なる願いを発したり、苦言を呈されるという場面が何度か見受けられました。実際、風評被害というのは、人間の考え方の問題であり、(知事がメッセージを送ることは)非常に有効であると見ております。直接の思いについては、メッセージの中に込められておりますが、どういったことを考慮されてのメッセージなのか伺います。
また、最近、東京方面から来ている人に対し、警戒感のようなものが県内でも持たれていることを感じており、私も全国紙の記者ということで、「東京から来たのではないか」と確認されたり、弊社も東京方面で研修する新人記者を受け入れることもあり、多少懸念はしております。今の発生状況から言うと、東京方面は確かにリスクは同じではないと思いますが、知事の考えについてお聞かせください。
【知事】
感染者やその周辺の方、職場、学校などに対して、差別、偏見が相次いでいるというお話を伺っております。あるいは、今お話があったような、東京方面あるいは感染が拡大している地域に対する思いというものも一部あろうかと思います。今回の感染症の状況からすれば、県民の皆さんにとって、そのような不安や恐れの気持ちはどうしても出てくる部分があろうかと思います。一方で、我々は2011年、東日本大震災に加え、原発事故という非常に苦しい体験をしました。しかも、今なお、現在進行形であります。そういった中で、風評被害の持つ恐ろしさ、またそれを受ける側の苦しさというものを正に実感してきたところでもあり、新型コロナウイルス感染症の陽性となった方や関係者に対する差別あるいは偏見を持たないようにお願いをしたいと思います。
新型コロナウイルス感染症については、日々状況が変化しています。県としては、状況に応じて柔軟に対応していくとともに、様々な施策を総動員し、県を挙げて取り組んでいきますので、県民の皆さんには冷静な対応、「正しく恐れる」、こういった部分を是非、自分自身の対応として行っていただけるよう、声掛けをしていきたいと考えています。
【記者】
コロナ患者の発表について伺います。昨日、南相馬市から積極的な情報発信について要望があったと思いますが、一方で、発表の際には、相手方と調整中であるために非公表とするケースが多いと思います。このことが、県民の不安を増長していると思うのですが、先行して公表することは今後もないのでしょうか。是正する考えがないのかお聞かせください。
【知事】
行動歴の公表等に当たりましては、県民の健康への影響、感染者のプライバシーの保護、県民の不安の軽減、そして風評被害等を総合的に勘案し、個別に検討、判断しながら、出来る限り公表していきたいと考えております。
【記者】
もう一つ大事なのは、県職員の感染を防いでいくことだと思います。職員の感染予防対策として、呼び掛けていくことがありましたら教えてください。
【知事】
職員に対しては、県民の皆さんへの呼び掛けと同様に、我々自身が感染しない努力を不断に続けていくことが重要だということを、県庁内の様々な会議において、幾度も周知徹底をしているところです。先般の本部員会議においても、そういったことを改めて注意喚起し、私自身も含め、東京方面への出張について精査して、出来る限り東京等に行かずに、同じような内容をしっかりと担保できるような代替措置が取れないかということを徹底しているところです。政府にも、そういった考え方について理解していただいており、今週行う会議も、テレビ会議により遠隔から参加することとしております。県職員あるいは市町村の職員も同様に、行政として、県民の皆さんの安全・安心を守っていくという立場もありますので、注意喚起、対応を徹底していきたいと思います。
【記者】
先ほど、緊急事態宣言と経済対策を一体で出すべきだというお話がありましたが、緊急事態宣言は一度出されるとその都道府県の全ての人が対象になるのですが、一方で、経済対策として30万円(給付)というのは、一定程度収入が減った方に限られていて、5,800万世帯のうち1,000万世帯ぐらいが対象になると設計されているようです。全国民に等しく現金を給付するべきという意見もありますが、宣言と経済対策がセットであるというのであれば、経済対策の方も全国民を対象にするという考えもあるかと思います。それについてはどう考えますか。
【知事】
緊急事態宣言と緊急経済対策をある程度一体的に発出することが、国民の皆さんに、より安心なメッセージを与えることが出来るのではないかというのが先ほどの考え方であり、給付金の対象を全国民にということを言っているわけではありません。これまでのような任意の自粛ではなく、法律や制度に基づいた自粛ということで、各都道府県知事が発出することになります。一方で、これは強制力や罰則があるものではありません。したがって、しっかりとその地域の方々に自粛を守っていただくためにも、政府として思い切った対策を講ずるから一緒にこの状況を乗り切っていこうという思いを同時に出すことが、より効果的ではないかという思いで申し上げたところです。
【記者】
繰り返しになりますが、自粛要請というのは、全ての方に外出しないようお願いすることで、今のお考えだと、やはり全国民を対象に経済対策をやった方がお願いの力が強まると思いますが(どのように考えますか)。
【知事】
御意見として承ります。
【記者】
先ほど知事が表明された宿泊・自宅療養の検討についてのスケジュール感を伺います。
また、今日の午後のトリチウム水関係の会議について、県としてどのようなスタンスで臨まれるのかお聞かせください。
【知事】
まず、軽症者等に係る宿泊・自宅療養について、現時点において、いつまでということを示せる段階にはありません。当面、県民の皆さんが入院できる状況は、一定程度、確保出来ていると思っておりますが、この1週間を見ても、福島県内の(患者の)増え方が顕著な状況にありますので、速やかに検討を進めていきたいと考えております。
また、トリチウム水の関係ですが、トリチウムを含む処理水の取扱いについて、本日福島市において「意見を伺う場」があり、私が出席することとしております。本県の農林水産業、観光業などに関する現状、課題を踏まえ、風評対策とトリチウムに関する正確な情報発信の重要性について意見を述べたいと思います。国及び東京電力においては、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、慎重に対応方針を検討していただきたいということを求めていきたいと思います。
(終了)
【問合せ先】
1 新型コロナウイルス感染症について
→保健福祉部地域医療課 電話024-521-7238
(県内経済への影響に関すること)
→商工労働部商工総務課 電話024-521-7270
2 トリチウムを含む処理水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252